バカとテストとオリ主と召喚獣   作:黒っぽい猫

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お、お久しぶりです……まさかこんなに書けないとは自分でも思っておりませんでした…。

他作品では山場ですが、こちらはまだまだ序の序であります。ゆったりお楽しみいただければと思います!


第七問〜安らぎの一時〜

八坂晴人は、保健室の天井を見ていた。何時閉じたのかもわからない目を開くと、真っ白な天井だった。

 

「………ここは?」

 

「あら、目が覚めたの?おはよう、晴人の中の誰かさん」

 

それは、横から投げかけられた声だった。

 

「起き抜けに何言ってんだ優子…?俺は俺だぞ?」

 

「下手なお芝居はやめてくれる?演技をしてるつもりならうちの愚弟の真似でもしていたら?そのうち上手くなるんじゃない?」

 

八坂晴人は顔に薄い笑みを貼り付ける。その顔に、優子は何処と無く薄気味悪さを感じた。

 

「へぇ〜、どうしてわかったんだい?」

 

「……認めるのね。晴人はこの話を聞いてるのかしら?」

 

「?そこを気にする必要は無いよ。今、晴人は眠っているからね」

 

そう、と安心したように一瞬だけ頬を緩ませると、真剣な顔で晴人では無い誰かに語る。

 

「あんたにわかってもらおうとは微塵も思わないわ。でも、アタシにとって晴人は、そんなに軽々しい存在じゃない。だからアイツの姿はそれなりに見てきたわ。そんなに長い付き合いではなくても、貴方を一目で晴人じゃないって見抜ける程度には」

 

まあ、髪の色でまず疑問を感じたんだけどね、苦笑いしながら話を進める。彼の髪色は銀髪から綺麗な黒髪に染まっていた。

 

「なにより、貴方の戦い方を見たわ。あまりにも、綺麗すぎたのよ。晴人にあそこまで綺麗な戦い方はできない」

 

「ふうん……晴人のことを良く見てるんだね。よっぽど晴人に惚れ込んでると見た」

 

その言葉を聞いた瞬間に優子の顔が赤く染まる。

 

「なっ?!ななななにゃに言ってんのよ?!アタシが晴人に惚れてるなんてそんなわけ……」

 

面白そうにその様を見ている彼はクスクスと笑う。

 

「その反応、やっぱりあたりか〜。まあ、気にしなくていいよ。さっきも言ったけど晴人に今の会話は何も聞こえてないから」

 

しばらく笑った後、笑みを収めると顔を真っ赤にした優子に話をする。

 

「君の言う通りだ、俺は晴人じゃない。この身体は晴人のものだけどね」

 

恥ずかしさを切り替えると、優子は改めて目の前の少年を睨みつける。

 

「……誰なのよ、アンタ。それも気にはなるけど、まず晴人は戻れるの?」

 

「そんなに心配しなくても、もう少しすれば戻ってくる。俺のことが気になるなら、後で晴人(コイツ)から聞いてくれ。俺が話しても構わないって言ってたって言えば話すだろうさ」

 

ま、こいつは話したがらないだろうけどね、そう付け足すとベッドから起き上がる。

 

「坂本は…坂本雄二は近くにいるかい?」

 

「いえ、坂本君たちは帰ったわよ」

 

「それじゃあ西村先生は「呼んだか?八坂」呼びました」

 

「きゃっ?!」

 

不意に背後に現れた西村に優子は驚く。

 

「おっと、すまんな木下……それで、話があるのか?」

 

「ええ、晴人の中の〘1つ目の鍵〙が既に破壊されています。Dクラス戦の最中に一瞬だけ〘アイツ〙が外に出ました」

 

「そうか……わかった、坂本には俺から伝えておこう」

 

「よろしくお願いします、西村先生」

 

「お前の体は……まだ戻らないのか?」

 

「ええ、そう一筋縄ではいかなそうです」

 

「そうか……仕事がまだ残ってる、俺は行くぞ。帰る前に保健室の鍵は宿直の先生にちゃんと渡して帰るように、頼んだぞ木下」

 

先程から話についていけていなかった優子はいきなり話しかけられて飛び上がる。

 

「あっ、はい!わかりました」

 

西村が完全に去ると、優子は恨めしげに目の前の男を見やる。

 

「完全にアタシを話から置き去りにしたわね…」

 

「あははは、ごめんごめん。でもま、俺のことに関してはともかく、西村先生との内容に関してはまだ知らない方がいいかな」

 

(知ってしまえば、もしかすると君も晴人から離れていってしまうかもしれないからね……)

 

「?何か言った?」

 

「ううん、なんでもない。それじゃあ、俺の愚弟のことは君に任せるよ、うん。ラブラブするなりイチャイチャするなり、楽しんでくれたまえ」

 

仰向けにベッドに入りながらも優子をからかう。そして見事に顔を赤らめる彼女を満足そうに見届けると目を閉じる。

 

数秒の間が開き、再び目を覚ます。

 

「……痛えな……ここは保健室か…?さては、まーたバカ兄貴が俺の体で無茶しやがったな」

 

体を起こした彼は横を見て、優子とばっちり目を合わせる。

 

「優子………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ました俺が真っ先に見たものは天井だった。

 

体を起こすと節々に痛みが走る。

 

「……痛えな……ここは保健室か…?さてはまたバカ兄貴が俺の体で無茶しやがったな」

 

体を起こして窓の方を見ると顔を赤くして慌てているよく見知った顔があった。

 

「優子………?」

 

「は、晴人!目が覚めたのね」

 

「まあ……てか、俺はどうしてここにいるんだ……あ、あの後どうなったんだ…?」

 

直前の記憶が抜け落ちている所からすると、やはり兄さんが出てきて何かやったらしいな。

 

「……坂本君から大まかに話は聞いてるわよ。Bクラスに罠に嵌められたって。その時に無理をして一人で七人を斬ってたわ」

 

「斬ってた……って、おいおい見てたのか?」

 

「ええ、アンタの戦い方とは思えないほど綺麗だったわ」

 

「………それで?」

 

まさかとは思うが……。

 

「アンタのお兄さんを名乗る人と話をしたわ。その時に詳しい事はアンタに教えてもらえって」

 

「……そうかい」

 

面倒事は全部俺に押し付けていきやがったなあのバカ兄貴…。

 

「わり、今日は気分悪いんだわ。また後日でいいか?家の布団でさっさと休みてえんだ」

 

「そ。わかったわ、じゃあさっさと行くわよ」

 

「は?行くって何処に?」

 

「はぁ?アンタの家に決まってんでしょ。どうせ放っておいたら晩ご飯まともに食べないでしょ。そんなんで明日の戦争に勝てると思ってるの?」

 

まずは英気を養いなさい、そう言って優子は俺の頭を撫でる。何をされているのか一拍空いて理解すると、慌てて手を払う。

 

「何すんだ!やめろよ恥ずかしい!この歳にもなってそんなことされると思わなかったわ!」

 

顔が赤い。自分でも自覚できる。

 

「あら、照れてるの〜?らしくないわねぇ〜」

 

「うるせえ!俺は帰る!!」

 

カバンを持って立ち上がるが、まだ力が足に入らないらしい。フラついて倒れてしまう。

 

「──ッ!」

 

「晴人!」

 

慌てて俺の体を支えてくる優子。その華奢な体には合わない力の強さに驚いた。ゴリラかy…

 

「いま、余計な事考えたでしょ?」

 

「い、いや、別に」

 

「そ。そろそろ自分で歩ける?いくらなんでもアンタの体抱えて歩くのはしんどそうだもの」

 

不可能って言わねえのか……。流石だ。

 

「問題ねぇよ………ありがとな」

 

「え?何?よく聞こえなかったからもう一回言って?」

 

「………言わねぇよ」

 

「いやあ、アンタがお礼言うなんてね〜、明日は槍でも降るのかしら?」

 

「……帰る」

 

このあと帰るまで、一言も話さなかったが、別に恥ずかしかったからじゃない。絶対に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ〜、ここがアンタの住んでる所なの?家賃幾ら?」

 

住んでるマンションに着くと、一瞬驚いた後に少し目を輝かせながら聞いてきた。我ながら、俺が住むには洒落すぎてるよな。

 

「いや、兄貴が中三の時に買ったんだよ。ローンも組まずにな」

 

「へ?買った?」

 

「あの時の兄貴、株にハマってたらしくて大当たりしたノリで買いやがった」

 

「んな無茶苦茶な……」

 

「いいから上がれよ。別に俺が作ってもいいけど、折角お前が振る舞ってくれるなら、それに越したことはない。お前の料理は美味いからな」

 

「そ、そう……何か食べたいものとかある?」

 

「ん〜…肉系、かな。冷蔵庫の中身は好きに使っていいからよ。てかお前、家に連絡しなくていいのか?」

 

「あ……ま、まあ、アンタといるって言えば平気なんだけど…」

 

「?」

 

「い、いえ!何でもないわ!!」

 

「そうか…俺は着替えてくるからな」

 

「わかった!終わったら手伝ってよね?」

 

「あいよ」

 

そう言って優子は台所へ、俺は自分の部屋に行く。制服をベッドに脱ぎ捨てて私服に着替える。ワイシャツと下着を洗濯機に直接ぶち込んで回す。

 

「乾燥もかけておくか。優子が何時までこっちにいるかわからねぇからな」

 

アイツを送っていくことを考えて私服に着替える。流石に飯を作って貰ってるんだからそれくらいはするべきだろう。

 

全部セットが終わったので洗濯機を回す。問題なく回っているのを見て一旦手を洗い、優子がいる台所へ向かう。

 

「優子、メニューは決まったか?」

 

「あ、晴人……そうね、ピーマンの肉詰めとかどうかしら?」

 

「おう、それにしよう。挽肉は足りそうか?足りないなら買いに行ってくるけど」

 

「平気よ。二人分ならそんなに量いらないわ」

 

「おう。手伝えることあったらじゃんじゃん言ってくれ」

 

「それじゃ早速…ピーマンのタネを抜いてくれる?アタシは肉に味付けするわ」

 

「任せとけ」

 

黙々と作業をこなしていく。最低限の会話だけだが、別段居心地の悪いものでも無かった。

 

「おし、抜き終わったぞ。米は……もう炊飯始めてんのか」

 

「炊けるまではまだ時間がかかるわ。どっちもできたての方が美味しいでしょうし、お肉を詰め終わったら少しゆっくりしましょうか」

 

「それじゃあ、少し数学を教えてくんねえか?」

 

優子が目を見開いている。俺がこんな風にものを頼んだのが珍しいからだろうか……確かに珍しいな。

 

「あー…Fクラスの中でも、俺はこれでも主戦力として期待されてんだ。多少点数改善されたからって、それだけで満足してらんねえんだ」

 

曲がりなりにも、俺はアイツらに期待されてる。期待されたからには、答えるしかない。

 

「ふぅん……」

 

優子の眉間にシワがよっている……やはり嫌なのか。でも、ここで諦めるわけには。

 

「…お前には敵に塩を送る事になるのかもしれないけどな、それでも俺はなりふり構ってられねぇんだ」

 

「そう、別にいいわよ」

 

「え……良いのか?」

 

「何よ、意外そうな顔をして。断って欲しかったの?」

 

「いや、不機嫌そうな顔をしてたから……」

 

「別に?ただ、去年どんなに言っても全く数学をやらなかったアンタが掌を返したのに少し苛立ったの」

 

「うっ……」

 

否定出来ない正論に言葉を詰まらせると、満足げにフッと表情を緩める。

 

「ふふっ。アンタの落ち込む顔を見れたし、それでチャラにしてあげる。ほら、あんまり時間もないしさっさと問題を持ってきなさい。やるからにはアタシと同じレベルに来てもらうわよ」

 

うげ…確かコイツ、数学は異常にずば抜けていた様な気が…。

 

「言い忘れてたけどアタシ、数学は学年首席だからね?教えを乞う相手を間違えたわね♪」

 

「やっぱりやめ「ほら、さっさとしなさい?」……いや、肉を詰める作業が──「今の話してるうちに終わらせたわよ?」……」

 

このあと、めちゃくちゃ数学やらされた。変な心変わりはするもんじゃないな…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう……わざわざ送ってくれなくてもいいのに…」

 

「バカ言うな。こんな時間に女一人帰らせられるか」

 

あの後数学の勉強をみっちりつけられ、完成した晩飯を二人で食べたりした。そして午後九時を過ぎた時に優子が帰ると言い出したので俺は送ることにした。

 

「でもアンタは疲れてるんだからゆっくり休まないと……」

 

優子は心配そうに眉を顰める。確かにその気遣いはありがたい。だが、これは俺の譲れない所でもある。

 

「お前に何かあってから後悔したくないんだよ、俺は。兄さんの時は何も出来なかったし、その後すっげえたくさん後悔したんだよ。もうあんな目には遭いたくねえんだ」

 

酷く私欲塗れの考えだけど、それでいいと思っている。俺は完璧にはなれないのだから。

 

「大切な人に居なくなられるのは、二回も経験すれば一生分だ」

 

「──!!バカっ!!アンタはすぐにそういう事〜〜っ!!」

 

「?何か変な事言ったか?」

 

「気づかないならいいわよ!それより……二回って…?」

 

「ん?ああ、小六の時、火事で両親と父方の祖父母がな。それ以来頼れる親類がいなかった俺と兄さんで一人暮らししてたんだ」

 

まあ、もう昔の事だ。そう言って優子を見ると、一瞬俺と目を合わせると慌てて俯いてしまう。見ると、雫が落ちていた。

 

「あっ……ごめんなさい……嫌な事を聞いて」

 

予想以上に深刻な話だったから、気にしてしまったのだろうか。

 

「言ってるだろ、もう昔の事なんだ。それに今はそんなに寂しくねぇよ」

 

これは事実だ。俺は良い友人に囲まれている今の環境が気に入っている。

 

「でも──」

 

ポン、と優子の頭にゆっくり手を置く。自分の不用意な言葉で優子を傷つけてしまったことを反省していた。

 

「いいんだよ、寧ろ聞いてもらえて良かったくらいだ」

 

「ほ、本当に?」

 

「ああ、だから泣くなよ。お前が泣いてると調子が狂っちまう」

 

「別に泣いてないわよっ……」

 

そんな目を赤くしながら言われても……。

 

「というかいつまで手を乗っけてるのよ!」

 

急に俺の手をどかして距離を取ろうとして後ろに下がっ──!

 

「きゃあっ!!」

 

「優子ッ!!」

 

優子は後ろの段差に躓いて転びそうになっていた。だから咄嗟に俺はコイツの横に回り込んで取り敢えず転ばないように支える。

 

(ち、近いっ…!!)

 

俺は優子の頭と腰に手を当てて優子を支えている訳だが、当然優子の顔と俺の顔がかなり接近する。先程まで涙を流していた優子の目は、まだ潤んでおり、なんとも形容しがたい美しさを纏っていた。

 

「…はる………と……」

 

なんなんだこの雰囲気……と、普段の自分なら後ろからチョップを入れそうなものだが、少し感傷に浸っていたのもあって感情的になっているようだ。

 

「優子……」

 

ただただ、見つめ合っていた。

 

「ゴホンッ!仲が良いのは結構じゃ。ただ、場所を弁えてはもらえんかのぅ……」

 

「「ひ、秀吉っ?!」」

 

優子と俺はとりあえず一瞬で距離を置いた。

 

「うむ。晴人も元気そうでなによりなのじゃ。それに姉上との仲も何やら親密になったようじゃしのう」

 

ニコニコと笑う秀吉の笑顔に目を背ける。

 

「さて、姉上。何があったのかじっくり聞かせてもらうからの?晴人は明日もBクラス戦じゃ、しっかり休んで欲しいのじゃ」

 

「は、晴人……」

 

「おう、また明日な。秀吉、優子」

 

触らぬ神に祟りなし、触らぬ秀吉に安寧ありだ。残念ながら優子を助けることは出来そうにない。

 

「この薄情者ぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!」

 

この俺の選択が、後のAクラス戦で大きな利子付きで帰ってくる事になるとは、この時の俺は全く知らなかった。




如何でしたでしょうか?
Aクラス戦で果たして何が起こるのか……?!

次回は、またBクラス戦へ戻ります。

ここまで読んでいただきありがとうございました!次回もよろしくお願いします!!
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