前回のあらすじ。
フウとレンは初めてエムと顔を合わせたよ。
二人の戦闘能力を確かめたよ。
0. eagerness
勝つと決めた。
必要なのは、その信念だけで十分なのだろう。
1.
2月1日。
第一回スクワッド・ジャム開催日。
SBCグロッケンの一角は賑わいを見せていた。
メインストリートにある大きな酒場はSJの大会本部であるため、参加者や観戦者のプレイヤー達で込み入っている。
レンは参加者として、コソコソと茶色い外套を頭からスッポリと被って酒場に入った。
待ち合わせ場所である酒場の個室に逃げ込むと、そこには既に先客がいた。
「レン。おはよ……あ、もうこんにちは、ですね」
「こんにちは、フウ。先に来てたんだ」
中性的な女性。
お行儀よく背筋を伸ばして座っているフウであった。
待ち合わせの時間にはまだ早い随分と時間だ。
「えへへ、ちょっと落ち着かなくて……」
「あ、分かる。わたしもそうだもん」
フウとレン。
お互いに顔を見合わせて笑う。
レンが個室に入ってから、数分もしないうちにフウよりも大きな巨漢な男がやってきた。
「こんにちは、エムさん」
「こんにちはです」
「ああ。今日はよろしく」
迷彩柄の服に身を包んだエム。
もう二人とも随分と打ち解けたようだ。
店内では主催者の挨拶や、何発の銃弾が放たれるかの予想ゲームなどで盛り上がっている。
そんな中、レンは今回SJに参加できなかったピトフーイのことを思う。
「ピトさんは、今頃ドレスかなぁ」
「ドレス?ピトさんは舞踏会にでも行ってるんですか?」
「あれ?フウは知らなかったっけ、ピトさんは今日友人の結婚式に出席してるんだよ」
「用事って結婚式のことでしたか」
ピトフーイがSJに出るのを躊躇うのも分かる。
結婚式に友人がゲームの大会で欠席などしていたら、ブチ切れるだろう。
「結婚式に参列するのはいいが、悔しそうな顔をして、周囲にあらぬ誤解を与えなければいいがな」
「ぷくく、ピトさんならありそう」
「たしかに……」
ひとしきり笑って、緊張もほぐれた。
心身ともに落ち着いたレンは、一度姿勢を正し、
「二人とも、今日はよろしく。わたし、参加するか悩んでたけどもうちょっとGGOを楽しもうと思うっ!」
「そうだな」
「はいっ」
レンの言葉に一人は優しく、一人は嬉しそうに返した。
「俺、ピトから“絶対優勝しろ!”って言われてるんだ」
「ああ、ピトさんなら言いそう」
「いいですね。目指すは優勝ですか」
「できる限りは頑張る、とは答えた。こちらは三人。相手はチームによっては倍の戦力を有している。降参も致し方ない」
「それはしょうがないと思う。わたしも一人になっちゃったら降参しちゃうかもだし」
「そうですね。僕も狙撃しか取り柄がないので、流石に一人じゃ優勝は厳しいですね」
それぞれ思い思いに自身の意見を述べる。
「それでも、できる限りは上を目指す。三人でどこまでいけるか、楽しんでいこう」
「了解!」
「了解です!」
明るい返事が返ってきたところで、甲高い女性アナウンスが流れてきた。
『スクワッド・ジャム出場者の皆様!お待たせいたしました!只今から、待機エリアへの転送を開始します。お仲間は全員揃っておますかー!?』
アナウンスを聞きながら、フウの視界は青色の光に包まれた。
***
気がつけば、フウは周囲が暗闇の空間にいた。
賑やかな酒場とは一転にして、無駄な音もしない静かな空間に転送されたようだ。
「ここは……」
「待機室のようだな。装備の確認や、作戦の確認などをするための空間だろう」
「はえ〜」
囁くようなフウの呟きにエムが反応した。
まるでチュートリアルの時と同じようだ、と初めてVRゲームをプレイしたときのことを思い出した。
だが、今回は状況が少し違う。
フウは一人ではない。隣には小さなレンが、大きなエムがいる。
更に、目の前には『待機時間09:52』とカウントダウンの表示が。
このカウントダウンが戦闘までの猶予なのだろう。
カウントが終わった瞬間、フウ達のアバターはSJの特設ステージに転送される。
再び、心臓がドキドキと脈打つ。
これは緊張ではないと、直感的に感じた。
きっとこれは楽しみなんだと、フウの中で分かっていた。
「うん、頑張りましょう……」
自身に言い聞かせるように囁く。
時間は無限にあるわけではない。
今できることをやらなければと、体を動かし始める。
と、目の前にサテライト・スキャン端末が配られたと表示された画面が。
タッチするとフウの手の中には片手で持てる程度の端末が現れる。
これ一つで地図を表示することができ、サテライト・スキャン中は、地図上に参加チームのリーダーの位置を教えてくれる。
フウは装備を整える為に、メニューからストレージを選択する。
レンもエムも自身の装備の準備をしている。
服装はいつもの濃い紺色の戦闘服。
ストレージから取り出したのはOSV-96。
予備マガジン、救急治療セット、グレネードをそれぞれ装備する。
戦闘準備を進めたフウは時間に余裕があったので、チラリとレンの様子を見る。
そこにはエムにコンバットナイフの使い方を指導されているレンの姿があった。
とりあえず、フウは邪魔しないように一人集中力を高めることにした。
そういえば、と。
(……試合前は、いつもこんな風に瞑想してましたっけ)
弓道は個人戦、団体戦とあるが、フウは専ら個人戦しか出場したことがなかった。
団体戦はチームのメンタル面が重要なものとなる。
何射目に弓を射るにしても、そのどれもが勝利へと必要な一射だ。
だからこそ、フウは団体戦には出場しない。
きっと自分は部の足枷になってしまうから。
誰かに裏切られるのも期待されるのも怖かったから。
(……分かっていました。これが私の弱さなのでしょう。——でも)
——今は、小花衣風音ではない。
(そう、私は……いや、僕はフウだ)
雑念を取り払う。
心を落ち着ける。
今は、それだけでいい、と。
自身に言い聞かせるように、フウは静かに目を閉じた。
***
「———?……フ…?フウっ!」
「………ん」
下から聞こえる可愛らしい声。
仮想世界での瞑想という器用なことをしていたフウはレンの声に反応した。
「……大丈夫?」
「あ、はい、大丈夫です。ちょっと集中してただけなので」
「よかったぁ。反応なかったからログアウトしちゃったのかと思ったよ」
「あはは。ごめんなさい、心配かけて」
カウントダウン示す時間に目を向けると、もう大会開始まで後一分までになっていた。
エムのナイフ指導は既に終わっていたようだ。
その証拠に、レンの腰の後ろにはコンバットナイフが装備されていた。
フウはカウントダウンから目を逸らして、片膝をついて身をかがめる。
視線をレンと合わせて、レンの小さな手を自身の手で包み込む。
この手の温もりはデータだ。
だが、フウにはレンの温もりを感じた。
それだけで力が湧いてくる。安心する。頑張れる。
不安も心配も全て吹き飛んでしまった。
「フウ?どうしたの?」
「いえ、なんでもありません」
「そっか」
「はい」
ニコッと、朗らかな笑顔を見せてくれるレン。
フウにもその笑顔が伝染して、自然と頬が緩んでいた。
「レン」
「ん?」
「一緒に、頑張りましょう」
「もちろんっ!!」
短いやり取り。
それだけで今は十分だった。
刻一刻と時間は減っていく。
「よし。……やろうか」
通信機を通じて、エムの声が聞こえてきた。
「よぉーし!」
レンの気合の入った声も届く。
皆、気合十分のようだ。
頼もしい仲間の存在を感じてながら、フウの心は高揚する。
そして、カウントが『00:00』になった瞬間。
再び、目の前は光に包まれた。
(絶対に勝ちましょう……!)
——第一回スクワッド・ジャム、試合開始。
2.
「あわわわ……!」
大会開始から早数分。
いきなり、フウは慌てふためいていた。
視線の先、ゲーム内で格段に向上した視力によって映されたのは縮こまったレンの姿。
大きな木を盾にして、飛び交う弾丸から小さな体を守っている。
「エ、エムさんエムさん!本当に助けなくていいんですか!?」
「ああ、問題ない。レンには言っていないが、地図を見てみろ。時間的にはまだスキャン中のはずだ」
「え?」
レンからおよそ300m程離れた場所で、エムからの指示でサテライト・スキャン端末を使用して、地図映像を表示させる。
浮かび上がってきたのはSJ専用の特設ステージの地図。
大会が始まって初めに転送された位置は、最北東に広がる森林地帯。
チームに不利な地形のため、フウ達はエムの指示の下、そこから南下した所にある都市部を目指すことになった。
レンを先行させ、エムが間に、その後ろからフウが付いて進んでいた。
サテライト・スキャンによりリーダーのレンの居場所がバレるので、フウとエムは距離を取っていた。
そして、現在の位置は森林地帯と都市部との境。
フウ達は森に身を隠しながら、10分に一回チームリーダーの位置情報を知らせてくれるサテライト・スキャン、その一回目を迎えていた。
代表してエムがサテライト・スキャン端末で他チームの位置情報を取得することにした。
だが、スキャン直後、森林地帯と都市部の境界線になっている高速道路沿いにいた敵チームから先行していたレンが狙われたのだ。
銃声から、チーム全員がマシンガン使いという脳筋パーティだということがエムから教えられたが、火力はかなり高いとのこと。
サテライト・スキャン端末を取り出し、急いで地図を表示させたフウ。
エムの言う通り、まだスキャンギリギリのラインであったため他チームの位置情報が確認できた。
「あっ」
「分かったか」
小さな声も特殊な通信機なら鮮明に聞こえるようで、フウが何かに気づいたことがエムにも伝わった。
「マシンガン使い達の後ろに、また違うチームが……!……まさか!」
都市部の高速道沿いにいるマシンガン連中を示す赤い光点の少し南、十分戦闘に参加できる距離にマシンガン連中とは異なる赤い光点の存在を見つけられた。
そして、エムが何故レンを助けようとしないのかも理解した。
「ああ、都市部にいたチームがレンに気を取られているマシンガン連中を奇襲するのを待っている」
「あの、それってレンを囮にした、ということですか……?」
「そうなるな」
「むぅぅ〜……」
頬を膨らませ、エムへと避難の表情を向ける。
作戦だったとはいえ、レンを銃弾の嵐の中へ放置したことに少しご立腹のご様子。
「そう怒るな。実際にレンは無事だ」
「そうですけど、そうなんですけどっ……。でも酷いですよ!囮にするなら私を囮にしてくれればいいのに!!」
珍しく声を荒げるフウ。
通信機が音量を自動調節してくれて助かったと、エムは安堵していた。
「…………」
「…………なんですか」
「いや、なんでもない」
素の一人称になってしまうまで、レンのことを本気で心配していたフウに対して、『作戦のうちだ』とは言えなかった。
「レンを囮に使ったことは謝ろう。だが、——もうすぐだ」
「それって……」
「マシンガン連中の発砲音が止むだろう」
腕時計を確認しながらエムは冷静に戦況を見つめる。
「今のうちにレンとの距離を詰める。付いて来い」
「りょ、了解です」
未だにマシンガンの重低音が響く森の中を、エムの背中を追って歩いていく。
身を低くしながらレンへと近づき、バレット・ラインが時折表示される所までやってきたので、流れ弾が来ても大丈夫なように草木に身を隠した。
レンとの距離、およそ100mといったところか。
実質指揮官であるエムの言葉を信じるのなら、もうすぐ戦況が変わるという。
マシンガン連中の頭を撃ち抜きたい衝動を抑えて、フウはじっとその時を待つ。
——そして。
「あっ!」
聞こえた。
ズガガガガガッ!
と、マシンガンの発砲音に混じって一発、明らかに違う銃声が聞き取れた。
また一発、更に一発と。
都市部からの狙撃によってマシンガン連中のチームは半壊していた。
マシンガンの発砲音も止み、再び森に静寂が訪れた。
「よし、移動するぞ。レン、今からそっちに向かう。間違えて撃つなよ」
「や、やっとか〜……」
レンから気の抜けた声が返ってくる。
慎重に進んでいき、レンの隣にフウとエムは到着する。
「んで、何があったの?」
今まで銃弾に身を晒されていたレンの疑問にエムが先程説明したように答えた。
「なるほど……。つまり、わたしを囮にしたってこと!?」
「ああ」
「僕がもっと早くに気付いていれば、代わってあげられたのに……」
「いや、これはリーダーのレンにしか出来なかった」
「そっか。スキャンにはわたしの位置だけが表示されちゃうんだった」
「ううぅ……」
「そんなに落ち込まなくても……」
草木に体を隠しながら、会話をする。
沈んだ表情のフウの頭をよしよしとレンが撫でているのは、エムからしてみればなんともチグハグな光景に映っただろう。
「さて、話すのはそこまでにして。レン、これを受け取れ」
言いながら、レンへと向けて投げたのは小型の単眼鏡であった。
フウにはOSV-96があるので必要ないと判断されたようだ。
「それを使え。しばらくはここで様子を見る」
「うん。ありがと」
フウはOSV-96を。エムはM14EBRを。レンは小型単眼鏡を目に当てて先程まで弾丸が飛んで来ていた方向を盗み見る。
「マシンガン連中は五人。三人はすでに死んでいる」
スコープ越しに状況を確認したエムの言葉を聞きながら、敵の情報を集める。
後ろからの狙撃に気を取られていて、残りの二人はこちらへの警戒を怠っている。
こちらは狙撃手が二人。相手も残りは二人。しかも自分たちのチームにはまるで注意を向けていない。
ならば、こちらから撃ってしまえばいいのでは?とレンがエムとフウに呼びかけるが、
「だめだ。こちらからは攻撃しない」
「今はまだ、やめておいたほうがいいと思います」
二人からストップの言葉が返って来た。
どうして?とレンが訊ねる前に、その答えは現れた。
フウ達からおよそ200m前後の距離に、迷彩服の男達が出現したのだ。
顔を目出し帽で隠し、統一した焦げ茶色の迷彩服を纏った四人組。
生き残ったマシンガン連中の150m程離れた横倒しになっているバスから一直線にマシンガン連中へと向かって行っている。
「『FAL』だな。空挺部隊用のショートバージョンだ」
銃の種類を言われてもフウにはさっぱりなので、軽く聞き流したが、その動きには目を見張るものがあった。
遮蔽物を利用してマシンガン連中の死角を進んでいる。曲がり角では小さな鏡を使って先の様子を確認していた。
「すごい、ですね。地形の把握に長けているのでしょうか?」
「いや、それだけじゃあの動きは出来ないだろう。おそらく、まだ仲間がいて、そいつらはビルの上から四人に指示を出しているんだろう。マシンガン連中の三人を狙撃したのもそいつらだ」
「うえっ!?どこにいるの?」
「流石にそう簡単に見つかる場所にはいないだろうな」
新たに現れたチームについて話しているうちに、覆面のチームは襲撃のできる距離まで接近していた。
覆面チームの一人が手榴弾を投げ、それにつられて逃げ出したマシンガン連中の二人の背中に向かって正確に弾丸を撃ち込んでいった。
数十秒の間に二人のアバターの上には『Dead』のタグが。
この時点でマシンガン連中のチームは全員脱落したことになる。
まだスキャンまでには時間がある。
覆面チームはこちらが森の奥に隠れたと思い込んでいるとのエムの予想通りならば、こちらからは攻撃できない。
居場所も知られ、残りには隠れられてしまう。
逃げるにしても都市部へは行けないので、再び不利な森の中へと戻るしかなくなってしまう。
結果、様子を見るしかなくなってしまった。
まだ覆面チームの残りの仲間も見つかっていないし、他のチームが都市部に潜伏している可能性もある。
次のサテライト・スキャンまで後5分。
今いる場所をキープしながら、安全に敵チームを観察する。
それが、今フウ達がとれる最善の行動なのだろう。
しばらくその場から動かずにいた三人だが、エムがいち早く覆面チームの残りの仲間に反応した。
「いたぞ」
「えっ!どこどこ?」
「外壁が大きく反っているビルだ」
「大きく反ったビル……」
スコープを覗いて指示通りのビルを探す。
「あっ、いた!」
「こちらも確認できました」
大きく聳え立つビルの中層あたりに、あの四人組と同じ焦げ茶色の迷彩服に目出し帽の男が二人いた。
「なにあれ!すごい!」
レンが興奮するように声をあげる。
視線の先にはロープを使ってビルの外壁に張り付くように下っていく二人組の姿があった。
「ラペリングだよ。ロープによる懸垂降下」
「縦の移動に便利だね。階段下りるよりずっと速いし」
「あんなスキルがあったんですね」
感心したようにフウとレンは素直に称賛する。
「いや。アレはスキルではないな。GGO内でのラペリングスキルではあそこまで素早い下降はできない。プレイヤーの能力。つまり、リアルでラペリングをやったことのあるプレイヤーなんだろう」
「ふへー。すごいね。じゃああの人達はリアルだと登山家とかなのかな?」
「もしくはレスキュー隊の方達とかですかね?」
ラペリングを使用するような人達を頭に思い浮かべる二人だが、それはエムによって否定されることになる。
「そうだったら、よかったんだがな」
エムの重く、真剣な声音。
その言葉に違和感。
「その言い方だと、エムさんはあの人達のリアルが分かってるみたいだよ?」
「予想だがな」
「それは、なにか不味いことがあるのでしょうか?」
「ああ。優勝を目指す俺達にとって、いや、他のチーム達にとってもあの覆面チームは脅威になるだろうな」
まさかの言葉に、二人に緊張が走る。
「ど、どういうこと?」
「先の戦闘。丁寧で統率のとれた動き。素早いラペリング。おそらくアイツらは、
「え、プロ?」
「それって……」
プロという単語。
嫌な予感が体中を駆け巡る。
その予感は的中してしまう。
「文字通り、"戦うことでお金をもらっている人達"だ。あのチームは全員、警察、もしくは海上保安庁の特殊部隊か、自衛隊員だ」
三人の前に、高く聳え立つ壁が立ちはだかった。
次のサテライト・スキャンまで、後3分を切った。
3.
「戦闘の、プロ……」
「なにそれ!?ズルイ!遊びにプロの出場禁止!」
「残念だが、そんなルールはない。これも予想に過ぎないが、GGOを訓練の一環として取り入れているんだろう。SJにはその腕試しに、といったところか」
冷静なエムの声に、焦っていた心を落ち着けようとする。
「どうするの?あの人達倒さないと都市部に陣取れないよ?というか、優勝すらできないよ!?」
「あちらは六人。こちらは三人。しかも、戦闘のプロということでしたら、僕達の勝ち目は薄いような……」
「そうだな」
「そんなあっさりっ!?」
勝つことが厳しいと現実を突き付けられたレンは絶望していたが、エムは未だに落ち着いている。
それがフウには何か勝てる見込みでもあるのではないのか、と思わせた。
「エムさん。もしかして、何か作戦が……?」
「えっ!?本当っ?」
フウの言葉に不敵な笑みを浮かべるエム。
「確かに、アイツらと戦えば素人であるこちらが負けるだろう。だが、それはリアルの話。——これはゲームだ」
M14EBRのスコープを覗きながら続ける。
「システムがあり、スキルがあり、そしてステータスがある。何よりフルダイブ型ゲームへの慣れがある」
真剣にエムの言葉を耳に聞き入れる二人。
スコープから目を離し、そんな二人を一瞥するエム。
(あのピトに『才能がある』と言わしめた二人がいる)
すぐにスコープを覗き、戦況や周囲の警戒をする。
「元よりアイツらを倒さない限り、俺達に優勝はないと思う。勝てるかどうかは俺達次第だ」
「うん。わたしもそう思う」
「はい。さっきの戦闘でそれは十分理解できました」
——でも。
——だから。
「僕に、——」
「わたしに、——」
——エムさんが勝てると思う作戦を
声を揃えて意気込みを示した。
SJにおいて、チーム『LHM』の初戦闘が始まる。
「素人がプロに勝てない道理はないと、見せつけてやれ」
「おうっ!!」「はいっ!!」
遅れてすみません…。
書いては消し書いては消しを繰り返してました。
構成のしっかりした作品の二次創作は難しいって実感しました。