イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
???「くそ、ここはいったいなんなんだ!全てはあの悪魔のせいで・・・おのれ・・・必ずや目にもの見せてくれる!!」
????「ほう、あの男私好みだな・・・そこの君、私のファミリアに入りたまえ、そうすれば力を与えよう・・・」
???「は?よくわからないが奴を倒す力ならなんでもいい!ファミリアってのに入ってやる!」
ヘルメス・ファミリアにて
「ふんふんふーん」
「ずいぶんご機嫌ですねシエン」
「こういうのは楽しんでやらないとね」
オレは今、鼻歌を歌いながらアイズとの戦闘でボロボロになったマントを修復中だ。捨ててもいいがイーリスから持ってこれた、わずかな物だから大事にしたい。
こちらではさまざまな防具、火耐性のあるマントなどがあるようだからいつかそんなマントを作ってみたい。【神秘】か【鍛治】の発展アビリティが必要みたいだけど。
Lv.2以上にならないと発展アビリティを手に入れられない・・・オレがLv.2になるのはいつになるんだ?
普通の人は数年かかるみたいだ。オレはどうなるんだろう?何年も待ってられないぞ・・・
「今日は何をするんですか?」
「ダンジョンに行こうと思う、リヴェリアさんから18階までならいいって」
「初のダンジョン潜りで18階まで行けるなんて・・・いえ、シエンですものね・・・」
「なんだよ」
「いえ、シエンの強さに呆れてるだけです」
「生き残るために強くなっただけなのになぁ〜」
「あそこは過酷過ぎます」
ホントそれ、弱かったら死ぬ、強かったら追い出される・・・どうすればよかったんだろうな・・・
オレにはわからない、だから【封印】なんてスキルが出たんだろうか・・・
マントの修復を程々にダンジョンに向かった。2階層にはベルのところの村にいたゴブリンがいた。
また新しく書いた、赤い魔道書の【ファイアー】で瞬殺、魔石も溶けてしまった。次にコボルトの群れも緑色の魔道書【ギガウインド】でコマ切れに。キラーアントはルフレから貰った魔道書【トロン】で消滅した・・・・
「・・・・・よわ・・・」
よ、弱すぎる・・・まるで歯ごたえが無いけど調子に乗ってはいけない、オレの戦闘方法は精神力を使う戦い方、精神枯渇を起こしたら死亡確定、精神力管理をしっかりしないとな。精神力節約の為に魔法だけでなく武器での戦闘もしてみるか・・・
今オレがいる階層は10階層、そこには深くない霧が発生しており真っ白な草原が広がっていて葉と枝を失った枯木も存在していた。
ここいいな、ダンジョンの中で魔法の修行をする時には良いかもしれない。
うーん、この真っ白な枯木を杖にすることが出来そうな出来なさそうな・・・取り敢えず回収しよう。
そう言って腰につけていた短剣を取り出し枯木を持ちやすいように切り落とす。うん、このアスフィから貰った短剣いい切れ味だな。
「ブギッ」
お、オークだ!丁度いいな、イーリスでも剣を使った接近戦はやってきたんだ!くらえ!
オレはオークに急接近してその腹に短剣を突き立てるが、歯が刺さらなかった・・・
「へ?」
「ブギ?」
オレとオークは変な声が出た。
え?弾かれた!?うそ、私の【力】低すぎ・・・
「ブギッ!ブッ!ブギギギギギ!!」
こいつ・・・笑ってやがるのか・・・そういえばオレが向こうにいるとき、兵種【傭兵】の時は力が上がりやすいはずなのに全然上がった感覚がしなくて魔力ばっかりあがってる感覚はあったっけ・・・
「ブギ」
「ブギ」
増援か・・・めんどくさいな、合体魔法をやってみるか・・・
オレは赤色の魔道書と緑色の魔道書に精神力を流し込み【エルファイア】、【エルウインド】を同時に発動させる!
オレの周囲に竜巻を発生させそこに火炎を乗せると竜巻は火炎竜となって周囲を焼き尽くしていく・・・
「「「ブギャアアア!?」」」
オーク達は火炎竜に巻き込まれ燃え尽きていった・・・あ、魔石も・・・
焼き尽くしたのはオーク達だけではなかった・・草も枯木もすべて燃えていく・・・これやばいんじゃないの・・・オレしーらね・・・
そうしてどんどん次の階層に潜っていった・・・そうして辿り着いた17階層、ここにはゴライアスという階層主がいるらしい・・・
「オオオオオオオッッ!!」
人の体格によく似た形、そして体の色は灰褐色、大きさは約7Mくらい・・・
小さいな・・・デカイけど小さいな・・・ギムレーと比べると・・・
「オオオオオオオッ!」
オレに近づいてきて足でオレを押し潰そうとするが
「【ミラーバリア】!!」
オレは【防御魔法】を発動する今回のバリアは一味違う、形がまるでウニのようにトゲトゲだからだ・・・そんなとこにおもいっきり足を踏み下ろしたら・・・
「ゴ?アアアアアアッッ!??」
ゴライアスの足にたくさんの穴が空き、血が噴き出す、うわぁ・・・やったのオレだけど痛そう・・・まだ終わらないけどな
バリアの形状を精神力を消費して更に変化させる。
貫通したトゲを花が開くように開かせ、まるでサンダルを履いてるようにしてその場から動けなくする。そして、【トロン】を顔にぶつける、ジュッ!!っと音がなりゴライアスの顔が溶けてなくなって、ゴライアスの体が倒れた・・・魔石を回収しようにもオレの【力】ではゴライアスの体に傷をつけることができないので放置した。オレじゃない誰か、頼んだぞ!
どうやらこのレベルのモンスターにはオレの【魔法】は通用するみたいだ。でも状態異常には注意しないとな、1人で冒険してるから助けてくれる人がいない・・・仲間がいたらなぁ・・・そう思いながら18階層にたどり着いた。
そこには緑が溢れて、天井には大きな水晶があって周りの木にも水晶があったりと訳の分からない光景が広がっていた。
ここには街があるが生憎とそこに用は無い、ここにたどり着くのと魔法の杖を作るのに役立ちそうなアイテムを手に入れるのが目的だ。
オレは森の中を歩く、この階層にはモンスターが生まれないが、別の階層からはモンスターがやって来るのでここも一応危険だ。注意してどんどん進んでいくと・・・
「・・・迷ったなこれは・・・」
迷いました・・・地図もないし土地勘もなし!当たり前だな!
焼いちゃってもいいけど大切な資源だし変に環境を変えると大変なことになりそうだしな、最悪【風魔法】で空飛んで森から出ればいいや、アスフィから貰った兜もあるしバレないだろ。
そうして適当に進んでいくと武器がたくさん刺さっている場所に出てきた。十字架もある・・・お墓なのかな・・・
お花が供えられている、誰かここに来たのかな?オレは供え物はないが手を合わせ祈る。亡くなった人たちが安らかに眠れますように・・・
こうしてオレの初のダンジョン潜りが終わった。手に入れられた魔石はまさかのゼロ!溶ける、バラバラになる、消滅するといった事で全く得られなかった・・・力加減が難しいな。
でも、枯木や水晶などの新しい杖の材料も手に入れたし、ダンジョン探索に必要な事も新たに分かった。まだまだこれからだな!
そうしてオレは【豊饒の女主人】に行った。
「いらっしゃいませ」
「お?リューさんか、いつもの頼むよ」
「かしこまりました」
オレは席につき料理を待つ、しばらくしたらリューさんがいつものを持って来てくれた。
「お待たせしました、アルヴの水と今日のオススメです」
「ありがとう、いや〜今日初めてダンジョンに潜ってね?疲れてお腹が空いちゃったよ」
「そうですか・・・どのくらい潜ったのですか?」
「18階層」
「は?」
「18階層まで潜ったよ、リヴェリアさんに許可されたのはそこまでだったからね」
「シエンさん、すみませんが今貴方のレベルはいくつですか?」
「ん?レベル1だけど?」
「なんて自殺行為を・・・リヴェリア様に許可を頂いたとは?」
「ああ、ダンジョンについて全然知らないからリヴェリアさんに習っているんだ、それで許可が出たのが18階層までだった」
「レベル6とまともに戦えるならそこまでは大丈夫だとは思いますが用心してください」
「ああ、もちろんだよ。ダンジョンに潜って足りないものがまだまだたくさんある事を知ったよ。しばらくは10階層位までにしようと思う」
「ええ、それがいいかと」
「話変わるけどリューさんは結構強いよね?昔冒険者とかやってなかった?」
「たしかに冒険者でした、何故分かったのですか?」
「立ち振る舞いと【魔力】の強さでかな?」
「・・・本当に何者なんですか貴方は・・・」
「普通の魔道士って前に言ったでしょ、それより18階層で森の中にお墓があったんだけど何か知らない?」
そう聞いたらリューさんの表情が少し変わった。
「・・・いえ、知りません・・・それで?」
「いや、お花が供えられてたから誰か来たのかなってあんな森の深いところまでなかなか行けないと思うけど、あ、オレもお祈りしたぞ」
「・・・そう、ですか、きっと亡くなった方々もお祈りしてくれたことに感謝していますよ」
「そうだといいな、オレたちも亡くなった人たちの分しっかりと生きていかないとな」
「はい、ありがとうございます」
「なんでリューさんがお礼を言うんだ?」
「さあ?なんででしょうね」
アスフィから貰った短剣
アスフィがシエンの為に選んで買ったプレゼント、切れ味抜群で性能を重視するシエンにはぴったりの品物
シエンはこれを貰ってダンジョンから戻った後にアスフィにお返しに作った魔法の杖を渡した。
ちょっとダンまち1から6巻を見直してきますので更新を一時ストップします。