イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
シエンがダンジョンを潜ったその日の夕方
ロキ・ファミリア
「アイズさん、どうやらシエンさんダンジョンに潜ったらしいっすよ?」
「・・・本当?」
「なんといきなり18階層まで行ったみたいっす。聞いた情報をまとめると、さまざまな魔法を使ったり10階層を焼け野原にして、17階層のゴライアスをボコボコにしたみたいっす」
「・・・・・」
「シエンのやつ・・・確かに18階層までの許可は出したが初のダンジョン潜りで本当に18階層まで行ったか・・・今度会った時じっくりと話を聞かせて貰わないとな」
同時刻、ヘルメス・ファミリアにて
何やら悪寒がしたがまあいいだろう・・・それよりも
「完成じゃああああ!!」
「恐ろしいものができましたね・・・」
黒色のマントを修復が完了した、ただしアスフィの【神秘】付きで・・・その際さまざまな機能が搭載された
さっそくこのマントに精神力を流し込むと・・・
「おお、伸びる伸びる!!掴める!元に戻る!」
伸びます、形を変えてものを掴めて、元に戻せる、硬くもなる。破けても精神力を流せば修復できるおまけ付きだ!
ふふふ、怖かろう・・・マントで魔道書を掴んだ状態で魔法を発動する事もできる!!
このマントはいわば【ミラーバリア】を魔法名言わないバージョンだ。接近された時はこのマントの出番だな、反射は出来ないけど・・・
防具扱いだからこれで敵の攻撃を防いだら【耐久】も上がる!怪我しなくても【耐久】を上げられるなんて、かなりすごいな!!
「アスフィのお陰だよ!ありがとうな」
「いえ、お役に立てて良かったです」
「フフフ、魔法多数同時発動・・・さらに魔法が楽しくなるな・・・」
「そんな恐ろしいことしないでください・・・」
そしてマントには新しくフードを付け、魔道書が入る内ポケットも付けた。火、風、雷、闇、水、岩、回復、防御の同時発動・・・
ククク、ワクワクが止まらないぜ・・・
次の日オレは新しいマントを着てダンジョンに向かう、バベル付近にて
「お兄さん、お兄さん。黒い髪のお兄さん」
オレの腹あたりから声が聞こえてきた。クリーム色のゆったりとしたローブを身につけ深くかぶったフードから栗色の前髪がはみ出ている。そして目を引くのは背負っている大きなバックパックだ。
「突然ですがサポーターなんか探していませんか?」
サポーターはダンジョン内で荷物を持ってくれたり、倒したモンスターの魔石を取ってくれたりする人達のことだ。
力のない人達がやる事なので馬鹿にされがちではあるが、命を張ってやる立派な仕事だとオレは思っている。
「サポーターかぁ、オレは雇ったことないから勝手がわからないけどいいのか?」
「構いません!冒険者様のお手伝いをさせてください!」
「そっか、ならよろしく頼むよ、小さいのにしっかりしてるな。オレの名前はシエン、君は?」
「リリはリリルカ・アーデです!リリと呼んでください!シエン様!」
「・・・様付けか・・・ちょっと嫌なんだが、なんとかならんか?シエンでいいぞ?」
「いえ、そういうわけにはいきません。けじめをつけないと他の冒険者様に生意気なサポーターという風潮が流れてしまうのです」
「・・・そうか、ならいいがダンジョンに潜る前にまずはその【魔法】を解いてもらおうか?」
「!?な、何を言っているのですか?落ちこぼれのリリが【魔法】なんて・・・」
「そんなことを言っても無駄だ、君の体に纏わり付いている【魔力】で姿を変えているんだろう?【魔法】はかなり詳しいんだ。ダンジョン内で精神枯渇を起こしてぶっ倒れても困る・・・ああ、逃げても無駄だぞ?君の【魔力】は覚えた、どこに行こうがどこにいるのかわかる」
「・・・本当にお詳しいんですね・・・」
「これでも元魔法研究員でね?【魔法】のことが大好きなのさ」
「・・・【響く十二時のお告げ】」
そう【詠唱】すると姿が変わり、小人族の少女の姿になった。
随分と腕も細い・・・栄養あまり取ってないな・・・それはともかく
「ほー面白い【魔法】だな!新しい魔法の杖の案が浮かびそうかも!」
「どんな魔法の杖ですか?」
「そうだな、出来て名前を付けるとしたら【へんげのつえ】と言ったところか・・・必要な材料とか全くの不明だがやりがいはあるな、あんな事やこんな事に使ったりして・・・ククク!!」
「リリのお株を奪わないでください!というかそんなの作れるんですか?!」
「分からん!だけど楽しそうだ!さて、こんなとこで突っ立ってないでダンジョン行くぞダンジョン!イクゾー!デッデッデデデデ!(カーン)デデデデッデッデッデデデデ!」
「あーもう!分かりました!ついて行きますよ!なんなんですか!?この変な冒険者様は!?」
こうしてオレは新たな仲間(?)リリルカ・アーデと共にダンジョンに向かった。
リリは今日お金を稼ぐため新たなカモを探してバベル付近に居ました、そしたらぼんやりとしたアホそうな黒ずくめの男を見つけ声をかけました。
そのカモはあっさり自分をサポーターとして雇ってくれました、ちょろいと思っていたらリリの使っている【魔法】
どうしようもなくなったので【魔法】を解除すると目を輝かせ、新しい魔法の杖が作れそうだとシエン様は仰いました。どうやらシエン様は変わった道具を作れるようです。その時のシエン様のお顔は下衆でした。
それにしても【へんげのつえ】とかリリの存在価値がなくなってしまいます!?でも本当に作れるのでしょうか?もし出来たらアイディア料として1つ欲しいです。
そうしてシエン様は変な事を口走りダンジョンに掛けて行きました・・・こうなってはヤケです!たっぷり稼がせてもらいますよ!シエン様!
・・・ダンジョンに潜った結果今までで一番の稼ぎでした・・・潜った階層は10階層まで、シエン様は護衛しながらダンジョン潜った事ないからほどほどにという事で10階層という事になりました。そして10階層に行くまでさまざまな事がありました・・・
出てくるモンスターは全て【魔法】で倒して【魔法】は1人3つまでしか使えないはずなのにリリが見た感じ10種類は使っていたような気がします・・・
キラーアントというモンスターに出くわし、キラーアントを瀕死状態にすると仲間を呼ぶという習性を利用して、狭い通路に誘き出しわざと袋小路に入り、前からモンスターが来るようにして魔石稼ぎを始めました・・・リリは必死で魔石を集めました。ええ、死ぬかと思いましたよ・・・しばらくアリは見たくありません・・・
10階層に着きオークが出現したら、シエン様はリベンジじゃあああ!!と言ってオークに突撃しました。あの短剣なかなかのものでしたね・・・
そして凄まじい速さで突撃しオークを倒した!っと思ったのですがオークの腹に刺さらず弾かれていました・・・オークに笑われる冒険者は初めて見ましたね・・・若干シエン様は落ち込んでました。
そしてシエン様は怒ったのかマントの二ヶ所が青と黄色に光りだすと水と雷が現れ合わさり、オークにぶつけオークを倒しました。
【魔法】は一つしか発動できないのに二つ、しかも詠唱どころか魔法名すら言っていない・・・リリの常識が壊れたような気がしました。
本当に【魔法】に優れているようです。
昨日噂になってた10階層の焼け野原になった原因はシエン様なのでは?と聞くと
「リリのようにカンのいい子は好きだよ・・・」
と言って三日月のように口を歪ませリリに笑いかけてきました・・・気持ち悪いですシエン様。
10階層にある枯木を回収して喜んでいるシエン様、
「これは良い杖になりそうだ。昨日焼け野原になった10階層がもう元通りになっている、ダンジョンの修復力はどうなってんだ?不思議だ・・・」
不思議そうにしていましたがリリはシエン様の方が不思議です。何か他の冒険者と違う気がします。
儲けたお金は7対3で分けましたがシエン様がその後でよく働いた分とご飯をよく食べるようにとお金をくださいました。実質5対5でした。
サポーターなのに・・・・・・ホント、変なの・・・
黒いマント
シエンがイーリスから持ってこれた物の一つ。ただの布だから防御面では役に立たなかったが、アスフィの力を借りる事でとんでもないマントになった。
作るのに使用した素材は再生力の高いモンスターのドロップアイテムと下層に出てくる蜘蛛のモンスターのドロップアイテムである糸
蜘蛛のモンスターのドロップアイテムを使用しているせいか装備していると毒耐性がつくようだ。