イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
「おや?シエンどうしたんだい?ベル君達のところに行くんだろう?」
「そうしたかったんだけど、シルに弱みを握られてクエストを受ける事になった・・・」
「ハハハ!それは災難だったね。シルちゃんはなかなか強かだからなぁ。それで?クエストの内容は?」
シエンはヘルメスにクエスト内容を言う。
「なるほどね、確かにこの材料ならセオロの森林にあるぜ。気をつけて行ってくるといい」
「おう、分かった。行ってくるよ」
「アスフィ、映像の撮れる魔道具を持ってセオロの森林に出かけるぞ。コイツは面白いことになりそうだ・・・神のカンがそういっている!!」
「ハァ、まだ私仕事が残っているんですけど・・・シエン・・・気をつけてくださいね・・・」
オレはシルからクエストを受注し、セオロの森林に行く許可を貰いにギルドへ向かった。
そして、最近オレの担当のアドバイザーになったハーフエルフのエイナ・チュールを見つけた。ギルドでも人気の美人さんだ。
「あれ?シエンさん?今日オラリオから出て行くって言ってましたよね?どうしたんですか?」
「そうしようと思っていたんだけど友人にクエストを受けてほしいと言われてな、それでクエストをこなす為にセオロの森林に行く許可が欲しいんだ」
「分かりました、許可を取っておきます。でも夜の森はとても危険です。シエンさん、十分注意してくださいね?」
「分かってるって!それじゃ行ってくるよ」
「お気をつけて、でも大きな猪が出るって情報はなかったと思いますけどってもういない!?」
そうしてオラリオから出る許可を貰ってセオロの森林に向かう、馬車で向かうらしいがそんな時間は勿体無いのでオレは高く跳び上がってから【ギガウインド】を使って凄まじい風を起こしその反動で森に向かって空を飛ぶ。目にゴミが入らないように【ミラーバリア】をゴーグルのような形にして顔にくっつける、痕が残ったりしそうだな・・・
しばらく飛んだら森林が見えてきて入り口で着陸する。さて、クエスト開始だな。ホントにあるのかなぁ料理に使う材料が・・・見た感じは絶対料理に使うようなものじゃないと思うけど・・・
しばらく探してみると森林の開けたところにシルが欲しがっていた材料っぽいものが!よし!これでクエスト完了だな!材料を採ろうと近寄る。
その時、空から大きな黒い影が現れて持っている大きな大剣をオレに振り下ろしてきた!!ギリギリで躱し、大剣は地面を叩く。
ズドォォン!と大きな音を立てて砂煙が舞う・・・
おいおい・・・誰だよ・・・こんなこと仕掛けてくるのは!!
砂煙が収まりその場には2Mを超える錆色の髪をした大剣を持った猪人がいた。
「・・・・・」
ジッとこっちを見る猪人。コイツ、強いな・・・アイズ達よりも・・・見た目もゴツゴツしてて、パワータイプか?
「オレは【猛者】オッタル、お前の力見せてもらうぞ・・・」
「悪いけど・・・オレはそこにある材料が欲しいだけなんだ・・・オレにはアンタと戦う理由が無いから戦うのやめない?」
「そういうわけにはいかない・・・・・フンッ!」
そう言って急接近してきて大剣をオレに振り下ろしてくる。
こっちの都合を考えてくれ!大きな猪ってコイツのことかよ!?人じゃねーか!?
「【ミラーバリア】!!」
「ム、しかし弱いな・・・ハァ!!」
バリアで大剣の勢いを殺すことは出来たが更に力を入れて無理やり押し付けてバリアを砕きやがった!どうする・・・オレのやる事はコイツと戦う事じゃ無い、逃げるか・・・
オレは背を向けて逃げ出そうとするが、しかしまわりこまれてしまった!!
「遅い・・・」
「クッ!」
アンタが速すぎんだよ!素のオレより速いだろ!
どデカイ大剣が迫ってくる!【魔法】が間に合わねぇ!?マントに精神力を流し込み硬化させてガードだ!
迫ってきた攻撃をマントで防ぐ事にしたオレだが【魔法】より弱いマントのガードでは防ぎきれず吹っ飛ばされてしまう。空中で体勢を整えて着地する。
「オレと本気で戦え・・・戦わなければヘルメスファミリアを襲撃し皆殺しする」
「!?」
「そうすればお前も少しは戦う気になるだろう・・・」
何を言っているんだコイツは・・・?皆殺し?バカじゃないのか!?
そんな事して何のメリットもない、デメリットだらけだ!
けどアイツの目・・・あれは本気だ・・・本気でやろうとしている・・・ふざけやがって・・・オレの友人を殺すだと?させっかよそんな事!!
オレの背中が熱くなる、【封印】が解除されて【魔力】が吹き荒れる・・・
【魔力】が上がるたびにシエンのプレッシャーがどんどん強くなっていく・・・先に攻撃に動いたのはオッタルだった。
「【ミラーバリア】・・・」
オッタルの大剣がシエンのバリアにぶつかり火花が散る。今度は壊れない。オッタルはすぐさまその場を離れようとするが足が動かない、足元にはシエンのスキル【呪い】で出来た黒い手がオッタルを捉えていた。
「オオオオオオ!!」
気合いを入れて無理矢理黒い手の呪縛から逃れるオッタル、しかしその動作はシエンの【魔法】を放つのには十分過ぎた。
シエンのマントにある【トロン】の魔道書が輝き、複数の雷の矢がオッタルの肩に刺さる。
「グッ!?」
「【ミラーバリア】」
怯んだオッタルの周りには透明な障壁が現れる。オッタルは大剣を何度も斬りつけて傷一つ付ける事はできない・・・
「(なんだこの【魔法】は、さっきと全然強度が違う)」
シエンは緑の魔道書を使い宙に浮き上がって行く・・・
「(バカな!?魔法を二つ発動するだと!?この【魔法】の強度も全く変わっていない!?)」
オッタルは驚愕した、魔法を二つ発動する事、そして先に発動している【魔法】は全く強度が変わっていない事を。
シエンはある程度まで浮き上がりその状態を維持しマントの内ポケットにある【ストーン】の魔道書に精神力を流す、魔道書は鈍色に輝きセオロの森林を覆う大きな魔法陣を作り出す。
オッタルは何やらとんでもないことが起きる気がしてバリアから出るために攻撃していると頭上が暗くなっていき見上げるとそこには見たこともない大きな魔法陣がありそこから巨岩が作り出され自分に向かって落ちてくる。
「(二つじゃない、三つ・・・まて!?雷、障壁、空中移動、巨岩、四つだと!?【魔法】は例外でもない限り三つまでのはず、しかも現在三つ発動中・・・どうなっている・・・)」
巨岩がバリアに触れるギリギリでバリアは消失しオッタルに迫る!
「(躱す事ならできる・・・だが)」
そう、この戦いを自分の主神が見に来ているのだ、主神の護衛役は自分以外にもいるが逃げ遅れ巨岩の下敷きになってはたまらない。
「オオオオオオオ!!」
オッタルはその場を踏み止まり巨岩を待ち受ける、巨岩がオッタルに触れ凄まじい重さが体にのしかかるが持ち堪える・・・そして声が聞こえてきた・・・
「へぇ、やるじゃん。ならば後10個程どう?」
魔法陣は消えていなかった、悪魔が口走った言葉通り巨岩がオッタルの支えている巨岩の上に更に10個降り注ぐ・・・
「グ、アアアアアア!!」
流石のオッタルもこれには耐えられない。重さに耐え切れず押し潰された・・・セオロの森林の二分の一は巨岩に埋め尽くされてしまった。これがバレたら自然の中で生きてきたエルフ達、中でもハイエルフのリヴェリアはブチギレ確定である。
「・・・・・さてクエスト再開するか」
怒られる前にオラリオから出て行く事を決意し再び森に降り立ち材料を入手しセオロの森林を後にする。
シエンがセオロの森林を去った後、美の女神フレイヤはある巨岩に近づく
「オッタル、無事かしら?」
そう話しかけるとフレイヤの足元の地面が盛り上がりそこから傷だらけのオッタルが現れる。オッタルは巨岩の下敷きになる寸前で地面に穴を掘りやり過ごしたのだ。
「フレイヤ様、戦い敗れ無様な姿を晒してしまい申し訳ございません・・・次は必ず勝ちます」
「私もオッタルの戦いに邪魔になってしまったようだし気にしないで頂戴、そして次の戦いを楽しみにしてるわ。」
「ハッ!」
「あの野郎・・・オレと戦っていた時とまるで違う・・・オレじゃあ遊びにもならないってか・・・」
フレイヤの護衛役だったアレンはシエンとの戦いで相手にされていなかった事に苛立ち歯をくいしばる。
「それにしてもあの子の【魔力】凄まじかったわね、しかもまだ完全には発揮していなかった・・・フフフ、ますます欲しくなっちゃう」
シエンはまだ完全には本気ではなかったのだ、ペレジア兵や屍兵以外には余程のことがない限りはフルパワーは出さない、次の戦いの為に【魔力】を残しておく為に・・・
「欲しいけどアッサリ魅了して私の物にするのもつまらないわね・・・貴方達があの子を倒した時魅了するというのもアリね・・・そうしましょうか」
「「ハッ!必ずや奴を倒して見せましょう」」
「期待してるわ(フフフ、異世界からの迷い人さん?私をもっと楽しませて頂戴?)」
フレイヤはシエンをただ魅了するのではなく自分の眷属達の成長の為に利用する事に決めた。シエンの困難はまだまだ続く・・・
【猛者】オッタル
29歳 猪人 Lv.7
オラリオ最強の冒険者だったがシエンに敗れる、自分より強い者がいることを知り、まだまださらなる高みに行けるとダンジョン潜りを再開する。
自分を押し潰した巨岩を砕き、ある程度の大きさの物をヘファイトスファミリアにて加工してもらい、石の大剣を手に入れた。
魔殺しの大剣
シエンの【ストーン】にて出来た巨岩を砕き加工した物。【魔力】Lv.7クラスで岩を作り出したのでアダマンタイト以上の強度がある。
作られた際に【鍛治】スキルが働いたのか、石の大剣に魔法が触れると魔法を打ち消す退魔の大剣となった。【魔道士絶対殺す大剣】の誕生である。