イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
「ねぇねぇアイズ!これ、新しい本買ってきたんだけど一緒に読もう!」
「・・・これなんの本?」
「英雄達の軍記物語だって言っていたよ」
「アンタ本当に本を読むの飽きないわね・・・どこで買って来たのよ」
「えーと、裏路地にいた赤い髪の女の人だったよ。めったに手に入らない本なんだって!だから思わず買っちゃった!」
「それは騙されてるわよ。しかもこれ共通語じゃないし読めないじゃない」
「大丈夫!ロキがいるから!ねえロキ、これ読んでよ!」
「ウチは神やから読めるけどなになに・・・ティオナ、お手柄やな」
「え?なんで?」
「これは【イーリス聖王軍記】ちゅうみたいや」
「イーリスってことはシエンについて何かわかるかもしれないってこと!?」
「せやな、フィンとリヴェリアが居らんけど先に読んどくか。シエン君も一緒にいる時に読んでもええなぁ、どないしようかなぁ〜(ゲス顔)」
森の中の屍兵を倒した後に匂いの箱について相談した結果、オレはアンナさんに渡して元の世界に戻してもらうことに決めた。もし無理だとしたらどのファミリアとも中立なギルドに預けることに決めた。ギルドの人たちは神の恩恵を得ていないので例え屍兵を出現させたとしても大した強さではないからだ。まあ開けたら大災害だけどな。
まったく、余計なものを持ち込んでくれたよ・・・
リヴィラの街
制圧されたリヴィラの街を取り返すべく戦っているのだが・・・
「グオオオ!」
「・・・ハッ!」
「グギャ!?」
襲いかかってくる屍兵はオッタルが大剣を振り回すことによって消滅する。
つ、強すぎる・・・アレ?オレらいらなくね?
「フィンさん、前にオッタル戦ったことがあるんですけど、やっぱ無茶苦茶強いですね」
「オラリオで最強の冒険者だからね。でもそんな彼を君は倒した」
「倒したというか岩で生き埋めにしただけですけど・・・」
戦闘ではこっちの攻撃が強すぎて殺してしまう可能性が非常に高いので手加減をしなくてはいけない。他の能力が全部負けているように思えるので下手をするとあっさりやられてしまうだろう。例えるなら防具を着けず拳銃を装備している感じかな。
あれ?オレは【魔力】以外は格下だからこれ真面目に戦ったらレベルアップするんじゃね?
なんだっていい!レベルアップするチャンスだ!
・・・ん?なんだ?遠くにいる屍兵の一体が止まったな・・・
「【ミラーバリア】!」
オレはバリアを目の前に展開した瞬間に矢が五本突き刺さってそのままの方向にはね返したが遠くにいた屍兵に躱された。ほぼ一度に5本矢を放つという事はスキル【流星】を持っているという事。弓を扱うという事はソードマスターになった後に弓の使える上級職に変えた屍兵がいるようだな。
コイツがゴライアスをやった奴らの一体に違いない
「シエン、今のは?」
「どうやら他の屍兵とは格の違う奴がいたようですね。上級職のスキルも持っているようですし奴がエースですね」
「居場所は?」
「奴の【魔力】を覚えたのでバッチリ把握してます。先程の奴の特徴は接近戦に慣れていて待ち伏せが上手く素早いことですね。まあ、待ち伏せは問題ないですが」
「なぜ特徴が分かるんだ?」
「兵種によって得意分野が分かれているんですよ。そして兵種によって習得出来るスキルも決まっていますのでその屍兵がどのような兵種をこなしてきたのか分かります」
「・・・シエン。もしかしたら君にもその兵種があるのかい?」
「ええ、【ソーサラー】といって【魔力】が伸びやすく【魔法】に特化した兵種ですよ」
「死んだ人間のような姿、兵種にスキル・・・まさか」
フィンさんは理解してしまったようだ。ま、これだけ分かったら勘づくよな。
「そのまさかですよ。アレはオレの居た国の死んだ人を利用して出来た兵士達です」
「・・・死んだ人を利用するだと?なんて卑劣な!」
「死んだ人ということはシエンもそうなってしまうのかい?」
「いえ、屍兵になるにはデスマスクが必要で屍兵を作り出した本体がもういないので大丈夫です(ただし別の世界線にはいる)」
「そうか、それは安心したよ。君が屍兵となって襲いかかってくるなんて考えたらゾッとするよ」
「強い奴が死んだ時は死体が残らないように消滅させてましたね」
「話はそれぐらいにしておけ、・・・くるぞ」
オッタルがそう言った後に空に飛んでいたドラゴンナイトやペガサスナイト達が強襲してきた。先程より速い、捨て身の特攻という事か。
「シエン!」
「了解!」
こちらに向かって飛んできている屍兵達に極太な火炎放射の【ギガファイアー】を放ちまとめて焼き尽くす。これで空の部隊はもういない、他はまたあの屍兵の足が止まったという事はくるか!
「【ミラーバリア】!」
今度はリヴェリアさんに向かって矢を放ったようだがそうはさせない。先程と同じようにして返す。
「シエン、すまない。助かった」
「防御は任せてください。にしてもあの弓使いは厄介ですね。こちらが別の事に気を取られていたら攻撃してすぐにその場から離れる。オレの【魔法】では街中に被害が出ます」
「確かに厄介だが場所が分かればこちらのものだ。ここは私に任せてくれ、【間もなく、焔は放たれる。忍び寄る戦火、免れえぬ破滅。開戦の角笛は高らかに鳴り響き、暴虐なる争乱が全てを包み込む。至れ、紅蓮の炎、無慈悲な猛火。汝は業火の化身なり。ことごとくを一掃し、大いなる戦乱に幕引きを。焼きつくせ、スルトの剣――我が名はアールヴ】」
リヴェリアさんが【詠唱】を行うと足元に展開された魔法円は翡翠の色に輝き、無数の光粒を舞い上がる。【詠唱】が完成するときには魔法円が拡大して街中に広がっていき、弓を使う屍兵のいる場所まで魔法円が拡大したことがわかった。
「【レア・ラーヴァテイン】!!」
魔法円から突き出す天井にも届く炎柱が屍兵のいる建物ごと焼き尽くした。建物は完全になくなってしまった、建物は犠牲になったのだ・・・屍兵を倒すそのための犠牲にな・・・
あれ?これってもしかしてこの範囲全部射程内?こんな高火力がこの範囲全体に展開されるとか悪夢でしかないな。
オレが敵のいる場所を教えて防御魔法を展開してリヴェリアさんが【魔法】をぶっ放す。
なんだよ・・・結構いいコンビじゃねえか・・・へへ
「シエン、なぜにやけている?はやく屍兵を眠らせに行くぞ」
この後屍兵達は全滅した。どうやらあの屍兵が今回出てきた中で一番強い個体のようだった。どんな魔石や道具を落とすのか気になって焼け跡に行くと白色の弓【シャイニングボウ】(覚醒にはありません)が落ちていた。これは【魔力】が高いと威力が上がるという変わり者の弓で精神力を消費して矢を作り出す武器だ。屍兵は鉄の矢を使っていたようだった、意外にケチだったのか?
オレはこれを拾い、フィンさんたちのところに戻り片膝を立ててリヴェリアさんに献上した。
オレは頭を下げていてわからなかったが、後で聞いた話ではリヴェリアさんは困ったような顔を受け取って見ていたオッタルの無表情がすこし崩れていたとフィンさんが笑って言っていた。
残った屍兵の反応はもうないのでこれで終わり、帰りましょうということになったときにオッタルが口を開きこういった。
「オレと戦え」
しってた、だが今回は戦うことにした。ここなら派手に暴れても問題ないだろう。
ジャガーノート「ワイの出番は?」
カルビン8「上層中層はウラノスの祈祷がよく届いているので出てこれない」
ジャガーノート「(´・ω・`)」
ロキファミリア 聖王軍記を読み終わって
「(略)・・・こうして聖王クロムとルフレ達によって邪竜ギムレーは滅びイーリス聖王国は平和となったとさ。・・・なんやこれ?行くところで問題ばっか起きて戦って、戦闘して倒した敵は屍兵となって再び立ち向かってくる。戦いで自軍の兵も死んでくからそれも屍兵に・・・神も協力的じゃなくて嘘も見抜けないから裏切りが頻繁に起きる。シエン君のいたところハードすぎるやろ!」
「・・・ロキ、これって本当にあった話なのよね?」
「せや、ノンフィクションやで。多少は盛っているかも知れへんけどこの本に書いてある通りのポテンシャルがあればそらL v.1でも無茶苦茶強いはずやで」
「・・・シエンがオラリオに来た理由は書いてないの?」
「イーリス聖王についてメインで書かれているからシエン君のことはあくまでおまけやからな」
「ねーロキ。これ誰が書いたの?」
「著者は【ダサい手槍】さんや。なんやこの名前」