イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
シエンの部屋
食堂の空気をぶち壊したオレは部屋に戻った。ロキにオレの部屋に案内された時に本の材料を頼んでおいたので丸テーブルの上に置いてあった。寝るまでに時間があるし魔道書作りでもしようか。やり方はインクにオレの【精神力】を流し込み、そして書く。それだけだが今のオレだと【精神力】の量が少ないからすぐにはできないだろう。毎日コツコツとやるのが1番だ。
「ッ!ぐぬぬ、なかなかインクに馴染まないな」
早速問題が発生した。オレの【精神力】がインクにうまく馴染まないのだ。向こうでは魔道書に適したインクを使っていたからな。今は【精神力】を100流したら1くらいしかインクに馴染まず99は無駄になる。非常にもったいない。
逆に考えるんだ【精神力】を無駄にしちゃっても良いんだと。それだけたくさんの【精神力】を使用するという事はステイタスにも影響するはずだ。多分無駄じゃないはず・・・
しばらく紙に魔法文字を書いていると頭がボ〜としてきて集中できなくなって目の前が真っ暗になった。あ、風呂に入ってないや・・・
シエンの部屋
「シエン、そろそろ風呂に入る時間だよ」
「・・・」
フィンはシエンの部屋のドアをノックしたが返事がない。ドアノブを回すと鍵が閉まっておらずドアが開いた。
「シエン、失礼するよ」
フィンはシエンの部屋に入った。そこには丸テーブルにうつ伏せになっていたシエンがいた。丸テーブルの上には羽ペンとインクと紙があって何かを書いていたことが分かった。疲れて眠ってしまったのかと思っているとよく見たらピクリとも動かず精神枯渇の症状が出ていた。
「やれやれ、一体なにをしていたらこの状態になるのやら・・・ん?この文字」
フィンはシエンをベットに運び、丸テーブルにの上に置いてある魔法文字の書いてある紙を見つけた。フィンには解読出来なかったがこの文字にはなにかしらの力が宿っている事を感じた。この文字を書くのに【精神力】を使用したのだと察した。
「(魔道書を書ける、か。どんなものかは聞いていないけど本当にとんでもない子だよ。この本が完成するのが楽しみだ。)おやすみ、シエン」
そう言ってフィンはシエンの部屋を後にした。
夢の中
そこは砂漠が広がっており大きな竜の骨の上には今にも落ちそうになっている女性がいた。
「私は無力で愚かでした。クロム、リズ、シエン。後は頼みましたよ、私はあなたたちのことを愛しています」
そして身を投げ、地面に叩きつけられた。遠目ではもうピクリとも動いていないように見える。
「姉さん!」
「いやぁぁぁぁ!!」
「エメリナ様!」
「ギャハハハハ!!見事な死に様だゼェ!王女エメリナァ!けどなぁテメェは後のことを全て放り投げた無責任ヤローだァ!ギャハハハハ!!」
「う、ああ、ギャンレルゥゥゥゥゥゥゥ!!許さない・・・絶対に許さない!」
その後撤退戦となり第1王女エメリナを失った悲しみが【魔力】を増幅させ、シエンは仲間と協力してペレジア兵を全滅させることになった。
シエンの部屋
「ハッ!?・・・夢か・・・クソッ!」
目を覚ますとベットの上で全身汗だくになっていた。外はまだ明るくなっておらず太陽は登っていない。
「もう、あんな事があってたまるか。その為には強く、強くならないと・・・」
あの夢を見た原因はともかく、強くなるための励みとなるならばあの時の頃を思い出すのもまあ良いだろう。頻繁に見るのは勘弁してほしいが。
さて瞑想にオレに発現した【魔法】の研究に魔道書製作、やる事が山積みだな。今日から頑張ろう。
食堂
鍛錬をこなしたらなんかフラフラな状態で食事をとりにきた。なんなんだこの症状、イーリスにいた時はこんな症状出なかったぞ。
「ようシエン!おはようさん!ってまた元気ないなぁ。クマも取れてないし、しっかり身体休ませんといかんで?」
昨日とはまた別の席に座り食事を取っているとロキが隣に座って話しかけて来た。ちょうどいい、この原因を聞こう。
「おはようロキ・・・、【魔法】の修行していたらフラフラになってしまって・・・【魔法】が原因の筈なんだけど何か知らない?」
「それはな、精神枯渇ちゅうんや。精神力を使いすぎると意識が遠くなってぶっ倒れしまうで」
「なるほど・・・わかった。治すためにはどうするんだ?」
「精神力を回復させるマジックポーションを使用することや。価格はポーションより高いけどな。もしくは精神力を使わず休んでおくとか」
マジか・・・今オレは金を持ってないし、もし金を持っていても紙、杖、水晶、魔法石の為に使うから常に金欠になりそうだ・・・
何処でも魔道士は必要なものが多すぎる・・・辛い
辛い現実から目をそらし食事にする。サンドイッチと野菜になんか綺麗な水にした。
「ふーん、エルフっぽい食事やな」
「栄養のバランスを考えてのことだ。にしてもこの野菜うまいな!瑞々しくて甘い、これならたくさん食べれるぞ!」
「野菜嫌いではないとは感心だな、アイズにも見習ってほしいものだ」
「ひふぇひあひゃん!?(リヴェリアさん!?)」
反対の席にリヴェリアさんが座って来た。おお、今日もお美しい・・・
「シエン、食べ物を口に含んだまま喋るな」
「(ゴクン)すいません、驚いてしまいまして」
「それはすまないな、ところで他にも飲み物があった筈なのになぜその水を?」
「これですか?透明で綺麗な水なんで飲んでみようと思いましてリヴェリアさんはこの水を知っているんですか?」
「ああ、その水はアルヴの水だ。霊峰と呼ばれるアルヴ山脈から採水された水でエルフがよく好むものだ。無論私もよく飲む」
「そうなんですか?ん〜美味しい!普通の水とは訳が違いますね!」
「ふふふ、そうだろう。それはいいのだが、シエンあまり体調が優れていないのか?よく顔を見せてみろ・・・これは精神枯渇になりかけているのか・・・昨日から一体何をしていた?」
「えーと、気がついたらベットで寝ていて目を覚ました後は寝付けなくて【魔法】の鍛錬をしてました」
「馬鹿者!!そんな体調でしっかりとした鍛錬などできるものか!お前はその目の隈が消えるまで【魔法】の鍛錬をすることを禁止する!」
「そ、そんな!?オレの生きがいを奪うなんて・・・おかしいですよ!リヴェリアさん!」
「(スキルで魔法が好きって分かるからなぁ、なかなかにえぐいでクォレワ・・・)」
「だったら早寝早起きの規則正しい生活を送ることだ。文句は受け付けん。それと食事が終わったら私の部屋に来い、勉強を行う。【魔法】に関しての知識も学んでもらうぞ」
「ぐぬぬぬ・・・」
リヴェリアの部屋 勉強を始め初日
オレ、シエンはリヴェリアさんの部屋で共通語の勉強をしています。教えてもらうはずなのだが自習中だ。何故なら・・・
「アイズ!何処にいる!早く出てこい!!」
アイズが絶賛逃亡中だからだ。アイズが勉強を始めて3日で逃走した。1日で覚える量も半端ではなくリヴェリアさんもかなりのスパルタ指導らしいからだ。
オレ?必死にやればなんとかなるもんだ。【スキル】を使えば居場所はわかるが勉強を優先するようにと言われたので自習をしている。
「シエン、今戻った。どれ・・・ほう、共通語も殆ど覚えたようだな。ならばアイズと同じ内容を勉強してもらう。アイズ、少しペースを落として勉強の時間も減らす」
お?少し楽になるか?ちょっと気になって【スキル】を使って居場所を探ったら中庭でフィンと会っていたようだし何かあったな。
「ただしシエン、お前は今のままだ」
「ゑ?」
「どうやらお前は優秀なようだからな。厳しめでいく覚悟しろ」
「そんな〜」
オレの情けない声や表情にアイズは
「プッ」
笑いやがった・・・アイズが笑ったのは初めて見たな。子供らしく表情豊かならば可愛らしいものを・・・
晩酌して夜早く寝ると次の日は気分爽快。元気に仕事ができるぞ!みんな怪我なく頑張ろうぜ!