イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
ルフレ「大丈夫かい?クロム?」
クロム「どこかで誰かオレのことを噂しているな・・・」
応接室
「ンー、なるほど新米冒険者にとってウォーシャドウは強敵なのはわかっているけどこうして数値化して【ぼーぐらふ】というのにするとよく分かる」
「やはりただの小僧じゃないのう」
「しかもまだこれで未完成、出来上がりが楽しみだ。これをシエンに返しに行ってくれ。それとそろそろ夕食だから食堂にくるようにとも言っておいてくれ」
「うん」
アイズは資料を持って応接室を出てシエンの部屋へ向かう。今は夕方でもう少しで食事の時間となる。食事を取ったら中庭で剣の素振りをしようかと考えていていたらシエンの部屋についた。アイズは部屋に入る前にドアをノックした。
「シエン、入るよ?」
「・・・」
だが返事はない、そしてドアノブを捻るとやはり開いている。さっき入った時と同じだった。返事がないがアイズはシエンの部屋に入った。部屋の中はまだ来て1日しかたっていないのに床には紙が散らかっていて足の踏み場が無い汚部屋だった。
「・・・」
アイズが入って来ていることにも気付かず、丸テーブルの上に固定して置いてある紙に両手にペンを持ちひたすら何かを書きなぐっていた。何をしているのだろうと床の紙を退けて横顔を見るとギョッとした。顔中が汗まみれで顔色もおかしかったからだ。シエンの書いた紙を見てみると黒インクで書かれた文字が赤くなって発光していた。何か特別なものなのだろうか?さっき書いていた資料とは別のものを書いていることにすぐ気がついた。
「・・・ッ!あーもう無理!!ぜんっぜん書けねぇ!いつ終わるんだよこれ・・・ん?アイズか?オレの書いた紙をリヴェリアに持って行ったみたいだけど持って帰って来てくれたか?」
シエンは二本のペンをテーブルに置き、愚痴った後にアイズが来たことに気がついた。
「うん、はいこれ。リヴェリアが出来上がりを楽しみにしてるって。それともうご飯だから食堂に行かないと」
「もうそんな時間か、なら行こうか。でもなんでオレの書いた紙を持って行ったんだ?」
「リヴェリアがこの【ぼーぐらふ】の事知ってるのか聞きたくて持って行った。聞いたら知らなかったみたいだけど」
「アイズはマイペースだなぁ。次からは持っていくかどうかはオレに言ってからにしてくれよ」
「分かった、勝手に持って行ってごめんなさい。それでさっき書いてたのは何?」
「話の切り替えはやいな・・・まあいいけど。これは朝言ってただろ?魔道書を書けるって、それの続きをしていたんだ」
「そうなんだ・・・文字が赤色に光っていたけど?」
「それはオレが黒インクに【精神力】を流し込んで書くとそういう風にって・・・あああああ!?しまった!?」
得意げに話していたシエンは突然声を上げた。朝の食堂のことを思い出したのだ。リヴェリアに【魔法】の鍛錬は禁止されていることを早速破ってしまったのだ。「約束?知りませんなぁ〜。これは鍛錬ではなく本の作成ですが?クックック・・・」とか頭の中で聞こえてきたがそういうわけにはいかない。相手には屁理屈や嘘は通用しないからだ。
「やってしまったのはしょうがない。謝れば許してくれるだろう」
「本当にそう?」
「そんな不安になるようなこと言わないでくれよ・・・そうだ、リヴェリア達以外にオレが魔道書を書けること言ったらダメだからな」
「うん、ナイショ」
食堂
「リヴェリア、早速禁止されてた事を破ってしまってごめんなさい」
オレはリヴェリアの座っている席に行き頭を下げて謝った。はやく謝らないと気分悪いからな。
「反省しているならそれでいい。あの書いていたレポートはいつ頃できる?」
「わからない、3週間くらいだと思う」
「出来上がりを楽しみにしてるぞ」
「はい」
無事お許しも出たので席に戻ろうとすると小さな声で
「あまり調子にのるなよクソガキ・・・」
「・・・」
という小さな子供にキレる人間の冒険者がいた。まさか入って2日で恨まれる対象になるとは思わなかった。関わるだけ無駄なので無視をして自分の席に戻り食事を終えた
オレが去っていくところをロキが見ていることを気付かなかった
中庭 夜
「・・・」
部屋に篭って紙を書いてるのにも疲れたので中庭に来た。そこには剣を握り素振りをしているアイズがいた。よく頑張るなぁ、飲み物持って来て正解だったか?
「おい、クソガキ。ここは突っ立っている場所じゃねぇ、先輩のオレが手合わせしてやる。感謝しな」
「お断りします」
先程なんか言ってた男の人間がやって来た。今は強制クエストとかでみんな忙しいはずなのにコイツは暇なのか?それとも精神的に疲れているのか?
「そういうなよ、先輩の言うことは聞くもんだぜッ!」
そう言って訓練用の刃を潰した剣で切りかかってきた。まじかコイツ!
だが目が追いつかないわけじゃ無い、十分追える。【敏捷】は圧倒的に負けてるから最低限の動きで見切って躱す!魔道書は無いが【魔法】がある。周りに気を回してる場合じゃ無い、目の前の敵に集中だ!
「くそ、くそ!何故あたらねぇ!」
「・・・」
オレは攻撃の当たる寸前でヒラリと躱し、少し離れて一定の距離を保ち続ける。そもそも今のオレは背が低く剣を当てづらいハズ。今いる場所は中庭で人の目がよく届く場所だ。しばらくしたら誰か通りかかって止めてくれるだろう
「だがお前も避けるばかりでオレを倒すことはできねぇだろ!お前はオレに敗れる
戦っている人間はカッコつけて言ったつもりなのだろう。だか覚醒の滅びの未来、運命を切り開いた者たちとして聞き捨てならなかった。
「・・・変える」
「あ?」
「その運命を変える!!」
誰かが来るまでの時間稼ぎは止めだ。コイツを倒す。だが倒す手段は【魔法】だが練習不足で防御しかできない。ならばリヴェリアに教えてもらった【アレ】をやるか・・・
アイズの目の前では小さな子供が自分より大きな相手に攻撃を躱しうまく立ち回っていた。
「シエン、すごい・・・」
「アイズ、アレが駆け引き、立ち回りだよ」
「やっぱ、こうなったかぁ。けどええもん見れてるし、まあええか」
「良くはない、後で注意しておかないとならん」
「うーむ、気分が悪いのはあやつだけではないだろう。一度若造どものガス抜きでもしてやらんといかんのう」
ロキはなんとなくこうなるだろうと気付いて他の3人を連れて中庭に行くと戦いが起きていた。戦っている2人に気づかれたらこの戦いが終わるだろうから今はアイズを呼び寄せ隠れて見ている。
「・・・かえる」
「なんや?」
「その運命を変える!!」
「・・・顔つきが変わったね」
フィンの言う通り先程よりシエンの顔が表情がキツくなり【魔力】が高まっていく・・・
「バカな・・・ありえん。この【魔力】は・・・上級、いや第二級冒険者クラスだぞ!」
L v.2が上級冒険者でL v.3、4が第二級冒険者だ。少なくとも今のシエンは上級冒険者を超える【魔力】を持っているとリヴェリアは驚愕して言った。
「とはいえシエンには攻撃手段はなかろう?どうするつもりなんじゃ?」
「・・・ガレスたった一つだけあるよ【アレ】がね・・・闇派閥の連中がよくやるじゃないか・・・僕の親指の震えが止まらないよ」
「膨大な【魔力】、闇派閥・・・まさか!?あの小僧!?」
「?」
「・・・そうか!そういえば今日私が【魔法】を扱う上で注意しておくこととして言っていた。クッ!早く止めねば!!」
「ダメやリヴェリア」
「ロキ!」
「見てみいあの顔、小さくても大きな相手に立ち向かう男の子の顔をしとる。邪魔したらアカン、あの子の冒険なんや」
「しかし!」
「自分の持つ力で痛い目にあうのも大事なことや。シエンが勝つって信じて待つ。それがママってもんや。さあ戦局が変わるでぇ、どうするんやシエン?」
【魔力】が十分に高まったことでシエンは敵に突っ込んでいった
「ウワァァァァ!!」
「ハハハ!ヤケになって突っ込んできたか!甘いんだよ!」
突撃してきたシエンを待ち構え横薙ぎに剣を振るう。シエンは当たるまえにスライディングをして敵の股下を潜り抜けるという小さな体を持つものだけができる行動をする。そしてただ潜り抜けるだけでなく下半身にぶら下がっている男の急所を握り締め引っ張った!
「なに!?躱しただと!?おい!よせ!?う、グアアアアアアアア!!??」
子供とはいえ、神の恩恵を受けたばかりの冒険者でもゴブリンを倒すこともできる力を得ることができる。そんな力で急所を握られたらたまったものでない。
この戦いを見ている男達は皆青ざめていた・・・
「あ、アハハハ・・・子供って残酷だね・・・」
「あの小僧、なんて恐ろしいことを・・・」
勿論L v.6の第一級冒険者の2人も冷や汗をかいていた。
シエンは動かなくなっている内に男の背中に張り付き【アレ】の準備を終わらせた。そしてリヴェリアに言われたことを思い出していた。
『シエン、【魔法】を扱う上で注意しないといけないことがある』
『それは・・・なんですか?』
『それは【魔力】の制御を失敗した時に起こる【魔力暴発】だ。それによって【魔法】を使用者はボロボロになってしまいその後の戦闘では戦えなくなる。あえてそれを引き起こす馬鹿者がいるがな』
そして、その馬鹿者は【魔力】の制御をやめ【魔力暴発】を引き起こした。中庭は無茶苦茶になりゼロ距離での大爆発により相手も勿論シエンもただで済むわけがなく吹き飛び転倒した。
「ガハッ!?このクソガキ・・・!」
「・・・・・」
人間の男はそれなりにダメージを負ったがまだ膝をついておらず戦える状態だがシエンは吹っ飛んだ時に打ち所が悪かったのかピクリとも動かなくて血が流れ続け危険な状態だ。
薄れゆくシエンの意識、目の前の男には意識が行かずに【魔力】を感じとるとリヴェリア達の【魔力】を見つけた。
「(なんだよ・・・ずっと見てたんならもっと前に止めてくれよ・・・)」
コイツを倒すとか思っていて早く止めてくれと勝手な事を思うシエン。ボンヤリと見えるリヴェリアの姿にエメリナを重ねて昔に言われた事を思い出す。
『クロム、リズ、シエン・・・あとは頼みましたよ』
消えてしまいそうな透明な笑みを浮かべ崖から飛び降りたエメリナを思い出し意識を再び覚醒させ、身体を動かす。
「・・・ッ!!・・・死ねない」
上半身を起こし次に震える足で立ち上がったシエンに冒険者の男は驚きを隠せなかった。
「なに!?」
「こんな所で死んでたまるかああああああッ!!」
ズタボロになった体に鞭を入れ黒紫色の【魔力】が止まる事なく噴き出し体を覆っていく・・・黒目であった目と口からは分かりづらいが赤紫の【魔力】を吐き出している。スキル【復讐】発動したのだ。
「おおおおおおおおおおッッッ!!!」
全身に【魔力】を纏ったシエンは雄叫びを上げて人間の男を睨め付けた。
「ひっ!?」
明らかに異常な【魔力】を撒き散らしL v.1とは思えない重圧をかけてくるシエンに人間の男は怯み腰を抜かし尻餅をついた。
「・・・・・」
そして一歩、一歩、フラつきながらも確実に近づいてくるシエンに恐怖した。
「ひっ!?や、止めろ!?こ、これ以上・・・オレに近づくなああああああッッッ!!・・・・・」
そして叫び声を上げた後シエンの重圧に耐え切れず男は気絶した。
「・・・どうだ。お前の言ってた・・・運命とやらを・・・変えてやった・・・ぞ」
男が戦闘不能になったのを確認した後にシエンも左腕を伸ばし人差し指を突き出し倒れた・・・
やられキャラの導入が下手ですいません・・・
人間の男はシエンと同じくL v.1です。今はオラリオの治安が悪く自由に歩くことが出来ず、思い通りにステイタスも上がらずでストレスが溜まりまくり。冒険者は血の気が多いので年下の子供だろうが冒険者なので喧嘩をしかけました。
冒険者だからしょうがないね
ボツネタ
男にしがみつき
シエン「くらえ!だいしゅきホールド大爆発!!」
男「グワー!」
今回のダンメモのイベント面白いですね
ロキがアイズに噛まれるのをご褒美だと言ってアイズに噛まれに行ってそれでもアイズに逃げられるとかあったらよかったなぁ