イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか?   作:カルビン8

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フィンの日記 ●月●日
フィン
「誰かがこの日記を見ていることを考え詳細は省くがシエンの事について様々なことが分かった。夜中にダンジョンに潜り、ある【魔法】を試した。その【魔法】は強力で上層階の階層主とも言われているインファント・ドラゴンを跡形もなく消し飛ばした。今はこの程度で済んでいるがシエンが強くなり最下層にいる竜種のモンスターにも有効ならばこれほど頼もしい事はないだろう。アイズには心に余裕が出来るまでしばらく見せられそうにない。」

トリックスター「ウチも見たかったわ〜」
リヴェリア・リヨス・アールヴ「貴重な体験もさせてもらったしな(空中に浮き移動)」
ワシ「ウム、快適じゃったわい。シエンはネイチャーウェポンにも興味を示しておったのう。小さく切って何本か持ち帰ったが何に使うのじゃろうか?」


わたしはそうりょシエン、戦うことはできませんがちりょうのつえが使えます

オレが正体を明かしてから3週間が経った。この3週間にあったことは、フィンが見た目の割にアラサーだという事が分かったり、食事が終わりお風呂に入りに行く際にロキが女湯に入ろうとしてロキは男神だと言った時に「ウチは女神で何が悪い!修正したる!」とぶん殴られたこと。

アイズがオレのことを監視しているのか近くにいることだ。オレに恨みはないと思うが怪物の補正と竜種の超補正でどんだけ【力】が上がるんだろうか?とても興味深い・・・オレが攻撃を食らったら死にそうだけど

 

執務室

シエンは執務室でレポートの作成が完了して見直しを終わらせた。

 

「や、やっと終わった・・・」

 

「おつかれ、シエン。本当は1週間ほど前に終わっていたのにね」

 

フィンが書類整理が終わったのかシエンに話しかけてくる。

シエンが自身の事情を話したことでレポートの内容を自重しないで書いた結果、リヴェリアにこれをギルドに提出することはできないと言われロキファミリアでしか読むことが許されないものとなった。

その為、ギルドに提出するレポートは文章だけでリヴェリアに手伝ってもらって書いたという形で提出する事になった。貴重なギルドの資料を長い間持っているのは後で何か言われるだろうから早く返すためにシエンはレポートを1週間で書き上げた。

 

「ンー、これならあまり怪しまれないだろうね」

 

「あまり?」

 

「うん、あまりね。しょうがないだろう?7歳の子供が書くには内容が良すぎるからね。僕が下級冒険者の頃にあったらヴァリスを払って購入したいくらいだ。」

 

このシエンのレポートには危険なモンスターについて第一級冒険者がかつて注意していた事が書いてあり、とても価値があるものとなっている。フィン達にとっても初心に戻る良い機会だったと快く引き受け書いていた。

 

「シエン、僕からお願いがあるんだけど・・・」

 

「何のお願いか察せられるけど聞こうか」

 

「中層、下層、最下層編も書いてくれないかな?勿論報酬は払うよ?」

 

「だろうと思ったよ・・・ギルドに資料を借りられたら書いてみるよ。」

 

後々に中層や下層の知識が必要になるのでシエンはフィンのお願いを引き受ける事にした。

この後にギルドに提出したレポートの内容が高く評価され中層、下層の資料も借りられるようになってそれぞれの階層についてのレポートを提出しなければならなくなり、さらに毎年更新する羽目になるのだがまだこの時のシエンは知る由もなかった・・・

 

「そういえば気になっていたんだけど昨日ダンジョンで手に入れた木材はどうしたんだい?」

 

「ああ、あれか?あれなら削って杖にしてその先っぽにリヴェリアから貰った水晶を使って治療の杖【ライブ】を作ったぞ。これで戦うことはできないが、ちりょうのつえを使えるようになったな!まだまだ実験段階で杖は手作り感が凄いけど研究して水晶ではなく魔宝石を使ったらもっと凄いのが作れそうだ!!」

 

以前に使っていたものを使えるようになりちょっとずつ興奮しながら話すシエン。

 

「・・・さっそくやらかしてくれたね君は」

 

このライブの杖は【精神力】を杖に流し込み水晶が光って怪我を治すというものだ。【魔力】が高いとそれに比例して回復力も上がる。

何よりこの杖があれば【回復魔法】を持っていなくても【精神力】さえあれば誰でもヒーラーになれるのだ。杖には使用回数があるとはいえダンジョンを冒険する上では喉から手が出るほど欲しい必須のアイテムになるだろう。さらに優れたものを作るために必要なものもわかっている始末。

 

「オレは!ダンジョン探索に革命を起こすぞォ!フィン!!」

 

「もしこれをシエンが作れることがバレたら一生杖を作り続けることになるだろうね。現状君にしか作ることができないのだから」

 

「ウグッ!た、確かに・・・でもあったら便利だしなぁ」

 

隠し事は必ずバレるものなのでこの魔道具が作れることがバレてしまうのは時間の問題だろう。

 

「そこはロキ達と相談して決めよう。【精神力】を持っている家族全員に持たせることになるだろうから完成品ができるのを待っているよ。」

 

「わかってるよ、今は一番これが必要な時だろうからな。もうこんな時間か、ロキにステイタスを更新してもらって寝るとするかなぁ」

 

「シエンおつかれさま、おやすみ」

 

「フィンもそろそろ寝ろよ、おやすみ」

 

ロキの部屋

 

シエンはロキの部屋に行ってステイタスを更新してもらった。

 

シエン

 

Lv.1

 

力 :I0

 

耐久 :I0→I27

 

器用 :I0→G272

 

敏捷 :I0→I5

 

魔力 :I0→F391

 

 

魔防 :H

 

《魔法》

【ミラーバリア】

・速攻魔法

・敵の飛び道具や魔法を反射する。反射する際は向きを自由に変えられることができ、いろんな攻撃も防ぐことができる。形は精神力を消費すると自由に変えられる。

・魔法を反射したとき魔法の威力が上昇する。

・空中に足場を作ったりできるが透明で見えない。

参考 餅

 

【ドラゴンフォーゼ】

・詠唱 【姿が変わりゆけども決して変わらぬは己の心】

・竜変化 竜種に特効ダメージを与えられる

【魔力】が高ければ高いほど【耐久】【敏捷】に超補正、空中を浮くことが出来る

・【魔法】を無効化する。(回復と強化は受け付ける)

スキル【光の波動】が【魔法】発動している間に任意発動出来る

参考 FEの魔竜、遊◯王のドラゴン達

 

【】

 

《スキル》

 

【魔法の探究者】

・魔力と器用が凄まじく成長しやすくなり、限界を超える

・力が全く上がらなくなり、耐久が上がりづらくなる

 

【祈り】

【幸運】%で即死するような攻撃を受けても耐える

 

【呪い】

・自分の影が相手との接近戦になった時に黒い手のような形になり、具現化する。相手の足などに掴まり動きを阻害する。【魔力】、Lvの高さにより強力になる。【魔導】の補正も入る。任意発動、これは精神力を消費する。

 

【復讐】

・ダメージを受けるたび魔法の威力上昇、体力を全回復すると威力は元に戻る。身体中から黒紫色の魔力が出てくる

 

【道具節約】

・幸運×2%で武器や魔道書の使用回数が減らない竜石も減らない(新品のままになる)

 

【魔道具作り】

・(FEにある)武器、魔道書、杖を作ることができる。

 

【魔力追跡】

・生き物の【魔力】【精神力】を覚えどこにいるのかを探知できる。レベル、魔力が上がるごとに範囲拡大。【魔導】の補正も入る。ただしダンジョン内では不安定。

・任意発動、精神力を消費しない

 

多重魔法(マルチマジック)

・複数の魔法を同時に発動、または魔法を発動しながら別の魔法も発動できる。

 

【光の波動】(竜変化中のみ)

【精神力】を消費して光を発する。

呪い、怪我を治す。増血作用あり

 

 

「3週間でとんでもないことになってんでこれ・・・」

 

「【精神力】を使いまくっているから【魔力】と【器用】の伸びがすごいな。これでちょっとは魔道書を書くのが楽になるといいんだけど」

 

「自分がモンスターを倒すようになったら、いったいどうなってしまうんや・・・」

 

「もっと伸びるだろうな、限界を超えるってどれくらいまで行くかな?」

 

「ふふふ、ウチが強うなるわけやないけどワクワクするなぁ!」

 

「にして自分が強くなるのが実数値で分かるっていうのは良いもんだな」

 

「けど更新せんと強くなれないってデメリットがあるけどな。更新する度に美少女の柔肌見て触れることができるでェ、グヘヘ」

 

ロキは鼻を伸ばし、いやらしい笑みを浮かべる。どう見てもスケベなオッサンだ。

 

「ほどほどにな、おやすみ」

 

「おう、おやすみシエン」

 

次の日 中庭

 

「フッ!」

 

「まだまだ!」

 

朝食前にシエンとアイズは模擬戦を行なっていた。シエンの正体がわかってから毎朝続けている。

シエンの剣術はイーリスの基礎、基本しか出来ない。剣といっても青銅の剣とサンダーソードくらいしか使っておらず、サンダーソードも接近戦では使わず雷を敵に浴びせるといった力のない魔道士としては正しい使い方をしていた。

なのでシエンはアイズの剣を受け止めるほどの【力】はないので避けるか受け流すことや【呪い】を使い、複数の影の手がアイズの足を掴もうとうねうね蠢かせている。そのためアイズは距離を取らざるを得ない。

 

「クッ!攻め切れない・・・」

 

「ほれほれどうした?離れたら攻撃できないぜ?【スキル】使って攻めて来てもいいけど、千切っても千切っている間にまた別の影の手を作って拘束するけどな。バリアもあるし」

 

「降参・・・また負けた。どうすればシエンに勝てるかな」

 

「いや接近オンリーじゃキツイって、オレが反応出来ないくらい速くなるか、バリアを簡単に破壊出来るくらいに【力】を上げるとかかな?」

 

シエンとアイズはまだダンジョンに潜る許可を貰ってはいないので他の仲間達とは違ってホームにいる時間が多くやれる事が自主練か勉強くらいだ。

シエンはそれら以外にやることが多すぎてアイズと一緒に模擬戦をする時間があまりとれない。

アイズは一人になると中庭で素振りばっかりしていて寂しそうなので出来る限り相手をしている。フィンやガレスもアイズの相手をしに来たりしている。

 

「また戦おう?」

 

「時間が取れたらな。さ、朝ご飯にしよう腹ペコだ。」

 

「うん」

 

シエンとアイズ、二人一緒に食堂に向かって歩いていく。二人の間にはまだ距離があるが前よりは近づいていた。




冒険の書
シエンの書いたレポートのことで勉強嫌いの幼少期アイズですらよく読んでいた。
上層、中層、下層についての注意点、第一級冒険者による指揮官、魔導士、盾としての心構えやアドバイスが書いてあったりと非常に価値の高いものとなっている。ロキファミリアには絵やグラフを使った詳しく分かりやすい内容が書いてあるものが置いてある。
レポートが完成してから数年後以降は接近戦についてのアドバイスが多くなる。中でもツンデレな狼男のアドバイスは的確でフィン達からの評価は高い。
最下層についての情報はギルドが情報規制をしているためギルドからは情報を得ることはできないが最下層に遠征をするロキファミリアにとっては関係のないことで最下層編はロキファミリアにしか置いておらず遠征に行ける冒険者のみにしか読む事を許されていない。

ギルドは提出されたレポートの内容をそのまま利用し本にして売り出そうとしたがそれを知ったロキが激怒して取り止めとなった。
誰も見れないのでは意味がないので複数写本して持ち出し禁止という条件でギルドに置いてある。

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