イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか?   作:カルビン8

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フィンの日記●月●日
フィン
「シエンとアイズが家族となってから4ヶ月がたった。アイズは鍛錬に勉強をよくこなすようになり。僕ら第一級冒険者のお守りつきでのダンジョン探索に行く事を許可した。剣さばきもますます冴えてきてファミリアに入ってきた時の頃と比べると雲泥の差と言っていいだろう。しかし、防御が雑で倒す事のみを考えた攻撃でよく怪我をしてしまう。それを見ていたシエンは自分自身はなんともないかもしれないが周りの人から見ると危なく見えるな・・・と言って遠い目をしていた。おそらく彼も同じような事をしていたんだろう。少しアイズに注意して怪我を【ライブ】という杖で治療する。どうやら杖は完成したらしくまた新たな杖を執務室で作っている。何を作っているのか気になって事務作業が止まってしまうほどだ。」

トリックスター「ウチも思わずガン見してしまうほどやで」
リヴェリア・リヨス・アールヴ「前に言ってた【魔道書】とやらがもうすぐ完成するらしい」
ワシ「両手に羽ペンを持って用紙に文字を書き殴っている姿はいつ見ても驚くばかりじゃ。【魔法】の並行詠唱なんぞ楽勝なのではないか?」


さらなる力

早朝の中庭 アイズ

 

いつもなら私は訓練用の短剣を持って素振りをしているが今日はまだしていない。目の前に起きている【魔法】を見ているからだ。

 

「やった・・・やったぞ!!フハハハハ!!作成してから4ヶ月!やっと、やっと!!ようやくまともなダンジョン探索が出来る!!アイズが戦っていてオレが棒立ちという戦闘スタイルがようやく終わる!!」

 

赤く光り輝く赤い本を左手に持って右手に拳を作り振り上げ高らかに笑うシエン。私の【スキル】が発動した時はモンスターだと思っていたけど正体がわかってしばらく一緒過ごしたらなんとなく違うのではないかと思えてきた。そもそも元人でありこんな喋って笑って人を襲わず【魔法】の事にかかりっきりのモンスターがいるわけが無い。

 

それにシエンに人ではなくなって思う事がないかと聞くと『神の恩恵を持ってない一般人から見ればオレらは人であって人ではない化け物だろ?悩むだけ無駄無駄ァ!』と笑って言っていた。

それを聞いて真剣に考えていた自分がバカバカしくなってシエンがモンスターかモンスターではないとかなんかどうでもよくなった。

 

「WRYYYYY!!」

 

「シエンうるさい」

 

「アッハイ、ごめんなさい」

 

お日様の光を浴びながら仰け反り叫んでいてうるさかったので一言言ったら黙った。けど興奮していて中庭を喋らずゴロゴロ転がっている。どうやら嬉しさを隠しきれないその姿は可笑しくて思わず小さく笑ってしまった。すると転がっていたシエンは動きを止めてこっちを見てきた。

 

「お?今笑ったな?」

 

「・・・笑ってない」

 

「まあそういう事にしといておこうか、フフフ・・・」

 

シエンは私を見ていなかったハズなのに何故か笑っていた事を察してしまう。とても不思議で何から何まで見透されているようで不気味だ。

 

「なんやなんや?朝っぱらからテンション高いなぁシエン」

 

「お、ロキ!見てくれよこれ!!ついに出来たんだ【ファイアー】の【魔道書】が!!」

 

「ホンマか!?ウチも見てみたい!ちょっとシエンのいいとこ見てみたい!」

 

「ハイ!【ファイアー】!【ファイアー】!【ファイアー】!」

 

ロキに扇動されたシエンは【ファイアー】と呼ばれた赤い本をまた赤く光らせるとシエンの周りに光る文字が輪っかになって現れてシエンの手前に火球が現れて火球を3つ放った。リヴェリアからは【魔法】について学んだけど詠唱をしていないし火球を連射している。リヴェリアの言っていたことが何一つ当てはまらず訳がわからない・・・

 

「そしてさらに【ミラーバリア】!」

 

「おお!火球が見えん障壁に閉じ込めて乱反射させとるんやな。つかさらっと【魔法】を複数発動させんなや!!あんなかに閉じ込められて周り中から【魔法】が襲いかかってくるなんて怖ァ・・・」

 

ロキはテンションが上がったら下がったりと忙しそう。これからはシエンもダンジョン探索で戦うことが出来るみたいだ。けど私の倒すモンスターが減るとなるとちょっと困る。私は強くならないといけないのに・・・

あ、中庭が【魔法】でめちゃくちゃになってるけど大丈夫なのかな?

 

執務室

 

「早朝にこんな事があったんや!いや〜早起きして正解やったで!」

 

「そういうの極東の言葉では早起きは3ヴァリスの徳だっけ?」

 

「ヴァリスではなくて三文だったはずじゃ」

 

「シエン、【魔法】を使う時は中庭ではなく訓練場でやる事だ。いいな?」

 

「ハイ、ゴメンナサイ・・・」

 

フィン達が会話している中でシエンは床に正座しながらリヴェリアに説教を受けていた。頭には拳骨を貰ったのかまたタンコブが出来ている。

 

「それにしてもよう出来とるなぁ。【ファイアー】やっけ?」

 

「そう、俺たちにとっては基礎中の基礎の【魔法】だ。それを作るために【精神力】は足りないわ、【精神枯渇】でフラフラになって書きミスしてその紙を書き直しになるわで作るの苦労したぞ・・・」

 

「これは私たちも使えるのか?」

 

「【精神力】があってそれをこの本に流し込める事ができれば使える・・・ハズ」

 

「なんやはっきりせんなぁ」

 

「しょうがないだろ?向こうの材料じゃなくてこっちの材料で作ったのは初めてなんだから。これからどんどん実験して新しいのを作っていくから楽しみにしといてよ」

 

え?これからどんどん新しいのが出来ていくの?【魔法】って3つまでだったような・・・

 

「ンー、この本は【精神力】を必要とする魔剣の様なものと考えて良さそうだね。朝から何度も使っていた事らしいし数回しか使えないってことではなさそうだ。」

 

「オレは【スキル】が発動してるからずっと使えて何回使えるか分からないから協力してもらっていいか?」

 

「それならば私が協力しよう。」

 

「リヴェリアなら問題なさそうだね。頼んだよ。シエン、頑張っている君にはこんな物を用意したんだ」

 

そう言ってフィンは2つ羽ペンをシエンに渡した。良いなぁ、私もフィン達に認められて武器が欲しい・・・

 

「これは?羽ペンならもう持ってるけど」

 

「ただの羽ペンじゃないよ。これは【万能者】の発明品でね。少量の血をインクの代わりにできるんだ。」

 

「なにィ!?血をインクの代わりにできるってことはオレの魔道書作りがかなり楽になるんじゃないか!?」

 

そう言って早速シエンは試してみた。こういった【魔法】関係のことになると普段とは違う真剣な顔をする。

 

「自分の血だから【精神力】が馴染みやすいのは当然か。それをインクの代わりにする・・・ハァ、アイツ天才かよ・・・今まで必死こいて【精神力】を絞り出して書いていたのがバカみたいじゃないか・・・ハハハ・・・フフフフフフフフフフ」

 

そういって机に突っ伏して感情のこもってない声で薄ーく笑っている。かなり怖い・・・

 

「ハァ、まあいいや。これからは楽に書けると思えば・・・それにこれはこれで書き方が変わるだろうから色々試さないとな。よし!アスフィも頑張ってるしオレも頑張らないと!みんな、次に書いて欲しい【魔道書】のリクエストとかないか?」

 

「ンー、いざ聞かれると悩むね」

 

「火ときたら次は氷か?」

 

「岩石とかはどうじゃ?」

 

「ウチといったら変化やろ!変身魔法や!」

 

「アイズは何かないか?」

 

【魔法】、なんだろう・・・お母さんも【魔法】を持っていたような・・・

 

「風、かな」

 

「風、【ウインド】系か・・・色々応用が効くし、いいな。よし、【ウインド】を作るとしよう!アイデアをありがとな、アイズ。」

 

リヴェリア達の案ではなく私の言った【風】が採用された。なんだか嬉しいな。

シエンは2週間後に【ウインド】を完成させたけど血を使い過ぎて貧血を起こして倒れた・・・頭が良いのか頭が悪いのかよく分からない

 

ロキファミリア 一ヶ月後

 

「なんでもっとモンスターを倒させてくれないの!?リヴェリアの分からず屋!」

 

「馬鹿者!そんな事をしては疲労で倒れモンスターの餌食になってしまうだけだ。私たちがいなかったら何度死んでいたかわからないような場面がいくつもあっただろう!?身の程を知れ!」

 

「・・・ッ!」

 

アイズはリヴェリアに言われた事に反論できなくなると背を向けて執務室から飛び出して行った。シエンは魔道具製作を一旦やめてリヴェリアになにがあったかを聞いた。

 

「リヴェリア、ダンジョンで何かあったのか?」

 

「10階層に行ってオークに殺されかけた。」

 

「10階層ってオイオイ、早過ぎないか?オレとアイズはほぼ同じくらいに冒険者になってもう少しで半年ってくらいだろ?もうちょい行ったら中層じゃないか・・・」

 

「確かに早いね。けど9階層はもうクリアできたんだろう?」

 

「ああ、それで10階層に行ったんだが今までとは違う視野の妨害、霧の立ち込める場所での戦闘はまだ慣れてなくては酷い目にあったという事だ。」

 

「ウチとしてはちゃんと生きて帰ってきてくれてホッとしたわ。ありがとな、リヴェリア」

 

「うーむ、暫くは9階層までで我慢してもらうしかないのう。というかお前さんは最近ダンジョンにいかんな。」

 

「地上でオレは鍛錬と魔道具作製とたくさんやる事があるからな。そういやロキ、確かオレはランクアップできたよな?」

 

「「「なに!?」」」

 

「出来るで、【魔道書】を作ったあの日にランクアップが可能になったんや。フィン達には驚かすためにもうしばらく黙っとこうかと思っとったけど。」

 

「この世界には無い【魔道書】の作成に成功か・・・確かに偉業だな」

 

「で?なんや、ランクアップするんか?」

 

「まさか、まだまだ【器用】と【魔力】が伸びるんだろう?だったらまだしないさ、Lv.2になった時にLv.1だった時の能力値が潜在値(エキストラポイント)として影響するんならもっと伸ばすまで。少なくともアイズより先にランクアップするつもりはない。アイズはただでさえ急ぎ過ぎているのにこれ以上焦らすのはまずいだろ。」

 

「ロキ、ちなみにどんな【ステイタス】になっているんだい?」

 

「こんな感じや」

 

そう言ってロキは処分せずにいたシエンの【ステイタス】が記している用紙を見せた。

 

シエン

 

Lv.1

 

力 :I0

 

耐久 :E473

 

器用 :SS1058

 

敏捷 :G204

 

魔力 :SSS1589

 

魔防 :G

 

 

「魔力SSS・・・そうか・・・これが限界を超えるという事か」

 

「モンスターを倒してはいないけど、魔道具を作るのも結構大変なんだぞ?さて、街中にいるアイズを探してくるよ。」

 

そう言ってシエンは執務室から出て行った。

 

「やれやれ、あの二人には本当に驚かされるよ。」

 

「だがオラリオを甘く見ているようにもみえる。」

 

「地上も危険じゃからの」

 

「なにも悪いことばかりじゃあらへん、いいことだってあるかもしれんし。こっそりついていくか、なにが起こるか楽しみや!ガレス、ウチのお守りを頼むで」

 

「ハァー、なんでワシが・・・」

 

ヘファイトスファミリアの店

 

アイズはオークを倒せる壊れにくい上等な武器を探しにホームを飛び出し街に出た。そして武器屋にたどり着いたのだが・・・

 

「た、高すぎる・・・」

 

飾られていた短剣の値段はゼロが7つあった。あまりの高さに思わずひっくり返りそうになる。

今までに溜めたヴァリスでは到底買えそうにない。肩を落としながらトボトボ歩いて帰る。ホームに早く着くために裏路地を使って近道していると・・・

 

「おーい、アイズー、いたいた!ここを通っていたのか」

 

「シエン?」

 

アイズが通ってきた道からシエンが追いついてきた。アイズは知らないがシエンは【スキル】を使ってアイズの居場所を把握してやって来たのだ。

 

「こんな暗いところを通っていたら危険だぞ。さ、表通りから帰ろう」

 

そう言ってシエンはアイズに近づいて行ったが。

 

「そうはいかないぜ!その金髪金眼、噂の【人形姫】だろう?テメェを殺ればロキファミリアにとってはいい嫌がらせになりそうだからなぁ!ここで死んどけや!!」

 

そう言って黒ずくめの人達が物陰から現れてアイズに向かって襲いかかろうとするが

 

「【ミラーバリア】、悪いがそういうわけにはいかないな」

 

「なに!?これ以上先に行けねぇ!なんだこれは!」

 

 

シエンはアイズを守るためにドーム状に障壁を張った。襲いかかった黒ずくめの連中の武器はアイズには届かなかった。そして今度は黒ずくめの連中全員を逃がさないために大きめにドーム状の障壁を張った。

 

「【ミラーバリア】」

 

「なに!?詠唱なしで【魔法】を発動だとォ!」

 

「奇襲は失敗だ!逃げるぞ!」

 

「イテェ!なんだぁ!?出られねぇぞ!?」

 

「逃がさん、ガレス頼んだ」

 

「「「え?」」」

 

シエンは後ろを振り向かずに後ろにいるであろうガレスに問いかける。

 

「なんじゃ気がついておったのか」

 

「悪いこと起きたけど悪者捕まえて街にとってはいい事したなぁ。ガネーシャとこの眷属達、悪いけど頼むで」

 

「ハッ!闇派閥の連中の捕縛、ご協力感謝します」

 

ロキがゾウの仮面を付けたガネーシャファミリアの冒険者達を連れてやって来てガレスと協力の下、事態は収束した。

そして路地裏から出てホームに向かって歩いていく。アイズは若干不機嫌そうにしている。

 

「なんやアイズたん?そんなほっぺたプクーって膨らましてかわええやんか。どうかしたん?」

 

「さっき襲われた時何も出来なかった・・・私は弱い」

 

「こやつがおかしいだけじゃ、気にすることはない」

 

「ひっどいなぁ、あの【魔法】を突破されたらオレはあっさりやられるんだが?なんとかなる相手で良かったよ。」

 

「シエン今度また戦って。ダンジョンのモンスターよりシエンと戦えばもっと強くなれる気がする。」

 

アイズはシエンに対人戦を申し込んだ。現状ではシエンの【力】がなさすぎて受け流す事すらも危ういので剣での模擬戦はやめていた。

しかし【魔道書】を使っての多彩な攻撃が可能となった今のシエンとならば強力な【魔法】を受けるたびに【耐久】が、躱すたびに【敏捷】の経験値を多く得られると思ったからだ。

 

「やるとしたら訓練場でな。中庭でやったらまたリヴェリアに怒られる」

 

「うん、絶対負けない」

 

どこかの建物 夜

 

「うーん、欲しい!あの子達ウチに欲しいなぁ!【人形姫】もいいけど。あの黒ずくめの子、あの目!あの雰囲気!絶対何人もの人を殺ってるって!ウチに必要だ!!」

 

神タナトスは興奮も収まらずに欲しい欲しいと騒ぐ。

 

「他神様よ、そいつはどこのファミリアのやつなんだ?」

 

闇派閥の幹部、ヴァレッタはタナトスに聞いた。

 

「ロキファミリア」

 

「ぶっ殺す」

 

ロキファミリア、どちらかというと【勇者】に深い恨みがあるヴァレッタは暗い笑みを浮かべながら即答した。

 

「うーん、【人形姫】はなんとかなりそうだけど、そっちの黒ずくめの子は無理かなぁ」

 

「あぁ?なんでだよ?」

 

「なんか自己紹介したら殺されそう」

 

「ギャハハハ!神のアンタが殺されるのかよ!とんでもねぇイかれっぷりだな!どんなガキかいっぺん見てみたくなるじゃねーか!勧誘してもよし、ならないなら殺してもよしだな。なぁフィ〜ン、テメェの苦しむ顔が眼に浮かぶぜェ!」




原作のベル君の【ステイタス】の上がり方はおかしい
発展アビリティもバンバン上がるし・・・

街中も物騒なのに単身でアイズを探しに行くのか・・・(困惑)
そしてヤバい奴らに目をつけられるシエン、ヤバい奴らは惹かれ合うからしょうがないね
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