イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか?   作:カルビン8

40 / 87
フィンの日記●月●日
フィン
「二人がファミリアに入って8ヶ月たった。少し落ち着いて周りが見えるようになってきたアイズには新しい武器、ソード・エールを与えシエンと共に順調にダンジョン探索をしている。今では12階層まで行けるようになっている。二人とも【ステイタス】の伸びも良くアイズがより強くなるためにランクアップのことをそろそろ聞いてくるだろう。何かまた一波乱ありそうだ。」

トリックスター「中層のモンスターが上層に上がってくるかもしれんから見守りよろしく頼むで。ランクアップのことは・・・頼んだ!!」
リヴェリア・リヨス・アールヴ「最近私とは一緒にダンジョンに行ってないな・・・」
ワシ「お主は口うるさ過ぎるんじゃ。大切なのは分かるが痛い目にあうのもまた大事な事じゃて。ま、痛い目にあう前にシエンがなんとかしてしまうがの」


精神崩壊

オラリオ 昼

 

真昼間だろうと関係なく爆発音が鳴り建物が壊れていく。闇派閥達の宴が始まった。

 

「ふははははは!壊せ!奪え!殺せ!!オラリオを混沌に陥れるのだ!!」

 

闇派閥の幹部【白髪鬼(ヴェンデッタ)】ヒューマンのオリヴァス・アクトは仲間達に鼓舞する。

 

「オリヴァスの野郎、派手にやってんな。こっちも負けてらんねぇぞ!フィ〜ン!楽しい宴の始まりだァ!!」

 

同じく闇派閥の幹部筆頭、【殺帝(アラクニア)】ヴァレッタ・グレーデも悪意の限りを尽くす。今日もオラリオは真っ暗闇の中だった。

 

ロキファミリア 昼 同時刻

 

「闇派閥の連中を討伐に行く!僕、ガレス、リヴェリアの3つの隊列作りそれぞれ現場に向かう!行くぞ!!」

 

「私も行く!」

 

「ダメだ、お前はまだ見てはいけない戦場だ。」

 

「心配するでない、ちゃんと戻ってくるからの。」

 

そう言ってフィン達はホームから出て戦場へと向かった。

 

「闇派閥の連中はモンスターとは違って策を使ってくる。それにレベルだって上だろうしホームで大人しくしてようぜ?」

 

「せや、暇ならウチと一緒に遊ぶか?痛くせぇへんで?ハァハァ・・・」

 

「うわ・・・」

 

「シエン、私と戦って欲しい」

 

アイズはロキの言葉を無視してシエンと一緒に模擬戦をしに訓練場へ行った。

 

次の日 訓練場

 

早朝からも訓練場でひたすら対人戦に励む二人。

 

「フッ!」

 

「おっとォ!良い一撃、だァ!」

 

シエンはアイズの剣戟をギリギリで躱す。以前は【スキル】を使って動きを封じていたがそれではお互いに得るものが少ないので使わないようにしている。

魔法特化型のシエンは【力】は勿論、【敏捷】も負けているためどんどん押されていって最後に両手を上げた。

 

「参った、降参だ。」

 

「【魔法】を使わないの?」

 

シエンに勝ったが手を抜かれているようで不満そうなアイズはシエンに言った。

 

「そんなこと言ってまた前みたいに丸焦げになりたいのか?オレがどんだけリヴェリアに叱られたか・・・」

 

シエンは叱られた事を思い出して体を震わせる。

ある時アイズはシエンとの模擬戦でそれなりに精神力を使った【ファイアー】をくらった事がある。火球が直撃して火球の爆発に巻き込まれて大怪我を負ったことがあった。危うく火傷の傷跡が残るところだったとシエンはリヴェリアに大目玉を食らった。

 

「私は気にしない」

 

「オレが気にするんだよ・・・」

 

「せや!アイズたんの可愛らしい顔に傷がついたらシエン!自分ギルティやで!」

 

「ロキ、来ていたのか」

 

「暇やからな。一旦休憩しよか?」

 

いつのまにか訓練場に来ていたロキが休憩するように言う。

 

「【魔法】を使っとらんとはいえ、シエンに勝てるようになるとはなぁ・・・やるやんかアイズたん」

 

「アイズは時々キレのいい【技】を繰り出してくるからな。油断ならないよ。」

 

アイズは誰にも剣技を習ってはいなかったが昔は父親の剣技をよく見ていた。意識はしていなかったがどうやら父親の剣技を真似ていたようだ。

 

「なんでまたここに来たんだ?」

 

「事件の方はケリがついたみたいでな、その報告や。どうやら夕方には戻ってくるみたいやで。」

 

「・・・そう」

 

「お?なんやなんや?リヴェリア達のこと心配しとったんか?それをリヴェリア達が聞いたら泣いて喜ぶで?」

 

「・・・別に心配してない」

 

「泣くかどうかは分からんけど嬉しく思うだろうな。素直じゃないなぁ。ま、オレは心配してなかったけどな!」

 

「嘘やな、そんなこと言っといて【魔力追跡】をしとったんとちゃう?」

 

「ソ、ソンナコトナイデスヨー。オレ、ウソツカナイ」

 

神に嘘が通用しないことを知りながら平然と嘘をつくシエン。どう見てもバレバレである。

一応心配はしていたがフィン達の追跡から逃れた敵が本拠地に戻るところを探ろうとはしていたが出来ず意味がなかった。

 

「(オレが相手の正確な位置を把握するには【魔力】、もしくは【精神力】を覚える必要がある。相手がそれらを持っていなかったら追跡できない。ならば魔宝石の【魔素】を覚えて、それをそいつに持たせたらいけるか?もしくは砕いて飲ませるか・・・フィンと要相談だな。)くくく・・・」

 

「まーたなんか悪いこと考えとるやろ」

 

「失礼な、オレは明日をより良くするために考えているだけだぜ?」

 

「・・・ま、ええわ。アイズたん、シエン、ちょっと街にお出かけと行こか」

 

「街ィ?事件が終わったばっかりなのに?」

 

「だからこそ行くんや。それにフィン達にお疲れ様会として飲み会の場所を取りに行く。主神命令や!行くで!!」

 

街中

 

昨日事件が起きたことで人々の表情は暗く元気がない。

また事件が起きないかどうかパトロールしているギルド職員や剣と翼のエンブレムを見に着けた赤髪の少女や覆面の冒険者などが行く先々にいた。

アイズは闇派閥が暴れまわることで招いた事柄なのだと察した。

 

「何で・・・人同士で争っているの?」

 

「話をしても合わないからさ、合わなくて自分達を害するのだとすれば・・・どちらかが滅びるまで殺しあうしかない。」

 

「物騒やなシエン。でも暴力ってのも子供達の否定できない本能の一つやろうなぁ」

 

「・・・」

 

アイズは自分が戦う動機もそれに含まれるのではないかと思った。

 

「ま、それでもみんな明るい明日ってやつを望んで色々頑張っているんやけどな。アレとかな」

 

ロキが指差す先に建っていたのは看板にジャガ丸くんと書かれた屋台だった。

 

「最近できたばっかりの料理らしくてな、せっかくやし食べてこか」

 

ロキが注文すると三つ分の芋が店員からそれぞれに渡された。

潰した芋に衣をつけて揚げたもので出来立てで油と芋の匂いがする。

アイズは興味深げに見ていて、シエンにとっては懐かしい、前世で母親がよく作ってくれた暖かい食べ物であり、すぐにかぶりついた。

 

「・・・うまい、・・・うめぇ」

 

一口また一口と食べるたびに前世を思い出し思わず涙を流してしまうシエン、軽いホームシックに陥った。

 

「え?何で泣いとるん?そんな美味かったんか?」

 

涙を流すシエンを見て見当違いなことを言うロキ。アイズはというと、はむはむ、と一心不乱に食べていた。

 

「おお!アイズたん気に入ったんか!おっしゃどんどん食えや!店員さんもう一つ追加!」

 

「毎度!」

 

結局さらにもうひとつ追加して満足そうに食べたアイズだった。そしてシエンは軽くうつ状態となりテンションがガクッと下がった。

 

中央広場

 

「オレは・・・オレは・・・なにをやっているんだ何でこんなところにいるんだイーリスはどうしたんだ仲間はどうしたんだかあさんかあさんかあさんブツブツブツブツ」

 

「シエン、大丈夫・・・?」

 

「あかん、これはあかん奴や・・・でもどうすればええんや・・・」

 

まるで長文詠唱のようにブツブツとうつむきながら喋り続けるシエン。

 

「あら・・・ロキじゃない?」

 

「まぁ、本当。お久しぶり」

 

「おお!ファイたんにデメテル!」

 

そこにバベルから二柱の女神が現れた。一方は紅の髪、もう一方はふわふわとした蜂蜜色の髪。前者は右眼を覆う大きな眼帯、後者は驚くほど大きいふくよかな胸が特徴だ。

 

「二人ともなにしとるん?」

 

「私は自分のテナント帰り。デメテルは食料の配達よ」

 

「ロキ?そこにいる子達は貴方の眷族かしら?」

 

「せやで!こっちの可愛らしいのがアイズたんや!こっちが・・・さっきから調子が悪いんやけどシエンっちゅーんや!二人とも期待のスーパールーキーやで!二人共、この二神はヘファイストスとデメテルやで挨拶しいや」

 

「・・・こんにちは」

 

アイズは知らない相手なのでおずおずと挨拶をした。シエンは・・・

 

「やらなきゃやられるオレが・・・オレが・・・オレがやらなきゃやらないといけないんだみんなを助けるんだ殺してやるみんな皆殺しだ」

 

「「「「・・・」」」」

 

言っていることが無茶苦茶だった。シエンは精神崩壊を起こしていてとてもじゃないが挨拶をできる状態ではなかった。

闇魔道士は強力な闇魔法を使う影響か心や精神が不安定な者が多かったりする。国から追い出されることになったり身体が小さくなったりとそれなりに精神的にもキツかったが前世の親を思い出してついに精神が耐えきれなくなった。

 

「この子、大丈夫・・・なわけないわね。なにがあったの?」

 

「ジャガ丸くんを食べたんや。そしたら涙流して食べてそれからずっとこれや」

 

「・・・あんなに美味しいのに・・・なんで?」

 

「・・・」

 

デメテルは黙ってシエンの前に移動し膝を折ってシエンを抱きしめる。

 

「ほら、もう大丈夫よ。なにがあったのかしら?言ってごらんなさい?」

 

デメテルに抱かれてシエンはその状態のまま話し始めた。

 

「無理だよ、無理なんだよ!オレは優しくもないし強くもない!自分のことしか考えない、ろくでなしだ!村のみんなが命をかけて守ってくれたけどオレは、オレは村のみんなの希望になんてなれないんだ!オレの手は今はもうどうしようもなく人の血で汚れてしまってるんだよ!なんでオレが殺らなくちゃならない!!もう、殺したくない、戦いたくないよ・・・」

 

出てきた言葉は生き残る為に己を殺しひたすら敵兵を、人を殺害してきた魔道士の本音だった。

 




遊戯王GXのカミューラのテーマを聴きながら書いてたらなんかシエンが精神崩壊を起こしてしまったよ・・・
戦いたくないとか言い出したぞコイツ・・・どうすりゃいいんだよ・・・
闇魔法
ダークマージ、ソーサラーのみが使える強力な魔法(あるスキルをもっている場合使える)シエンは下級闇魔法【リザイア】のみを使っていた為、精神汚染はそこまで酷くなかった。なお、使用頻度は半端ではなかった模様。


あっそうだ(唐突)
ポケモン、スマブラ、のぶやぼ、FEと立て続けに新作のゲームが出る為更新が更に不安定になると思われます。どうかお許しを
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。