イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか?   作:カルビン8

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今回は場面がコロコロ変わります。

フィンの日記 ●月●日
フィン
「シエン達がファミリアに入って約一年経った。アイズのステイタスも伸びが悪くなり、そろそろ頭打ちというところまでいった。もうこれ以上強くならないのかと焦り、最近アイズは落ち着きがなく、身の安全とゆっくり慎重に強くなる事をアイズに言っているリヴェリアとはよく喧嘩ばかりしている。1人例外がいるがここまで早くランクアップ出来るものはそうはいないだろう。前例がなくどう対処すればいいか判断に困っている。ここ最近は闇派閥が地上で暴れていない、嵐の前の静けさでなければいいのだけど・・・」

トリックスター「あかん!それはフラグや!」

ワシ「リヴェリアの一言がないのう、アイズのことでかなり悩んでいるのかのう・・・」


イレギュラー

ロキファミリア ホーム 執務室 夜 雨

 

アンナさんがオラリオにやってきてから約4ヶ月がたった。その間にホームにアンナさんが作って欲しい魔道具の材料を持ってきてそれをオレが利用して魔道具を作ってアンナさんの持ち物と交換したりした。

前に提出した上層のダンジョンのレポートの出来が良かったのか今度は中層の分を作るようにローズさんから依頼を受けた。

そしてフィンのいる執務室で話しながらレポートを書いている。

 

「なかなかに危険な箇所が多いな、状態異常を仕掛けてくるモンスターも続々増えてくる。対策として【対異常】の発展アビリティが欲しいけど・・・」

 

「シエン、君は毒とか麻痺とか食らったことはあるのかい?そういった経験からステイタスに反映されるから状態異常にならないと【対異常】は得られる可能性は低いよ。」

 

「そりゃそうか、まあ今のオレは常に異常状態なんだけどな・・・もしかしたら手に入れられるか・・・?」

 

シエンは【対異常】の発展アビリティを欲しがったが得られる可能性はかなり低いとフィンは指摘する。

 

「さて、どうだろうね。それにしてもギルドには困ったものだよ。この忙しい時に遠征に早く行けと催促してくる。」

 

「いや、無理だろ。もうちょっと地上が落ち着かなきゃ安心してダンジョンに潜れないだろう?遠征に行ってる間にロキがやられて全員恩恵無しになったら全滅だぞ」

 

「そうならないように今度ギルドに遠征を遅らせるように交渉してくるよ。」

 

ギルドにもなんらかの理由があるのだろうが数年は遠征は無理だろう。現状はダンジョンに潜るよりも地上の方が圧倒的に危険だからだ。今のところはギルド本部にも被害は出ていないがいつ出てくるかは誰にもわからないのだから・・・

 

「それにしてもアイズとリヴェリアの帰りが遅い・・・シエン。」

 

「今やっている・・・。・・・いた。大体バベルの塔とウチのホームの間くらいの北のメインストリートだ。けどリヴェリアしかいない。」

 

「リヴェリアだけ?」

 

「ああ、しかも何か様子がおかしい。全く動かないし【魔力】も何か不安定だ。アイズは探知できないからおそらくダンジョンにいると思う。」

 

「・・・取り敢えずガレスと一緒にリヴェリアの所に行ってくる。情報ありがとう。」

 

フィンはリヴェリアがアイズとまた口喧嘩をしたのだと大体予想がついていた。全く動かないというのは気になるが、落ち込んでいる時には昔よく喧嘩をしていたドワーフのガレスを連れて行き発破をかけてもらうのが一番だと思い、ガレスと一緒にリヴェリアのいる場所へ向かった。

 

「・・・3人の様子を見にウチもちょっと出かけてくるわ。」

 

「ならオレもいく。夜は危険だから1人で行かせるわけにはいかない。」

 

フィンが出て行ってしばらく経った後にロキが出かけると行ったのでシエンもロキと一緒に雨の中、リヴェリアのいる場所へ向かった。

 

フィン達がリヴェリアのところまで行く何時間も前の出来事

 

雨の中、リヴェリアと口喧嘩をして別れて剣を片手に持ってダンジョンに向かって走っているアイズを見た者がいた。

 

「ねぇ、ヴァレッタちゃん。今回の襲撃なんだけどさ、ちょっと予定変更してみない?」

 

「ああ?今更かよ、めんどくせえな。」

 

「ちょっとあの【人形姫】ちゃんをウチにスカウトしようと思ってさ。あの子から死の匂いがするんだ、放っておけないくらいに・・・」

 

「ケッ!この変態野郎が・・・大切に育てているあのガキを奪えればフィンにとってもいい嫌がらせになるだろうしなァ。

それに今まではただ私達が暴れるだけだったが使い方が少し分かったコイツを使ったらいったいどんな被害が出るかなァ・・・ひひひひひ!」

 

ヴァレッタは片手に匂う箱を持ちながら、壊れたように笑い続けた。

 

「(ヘンタイなのはヴァレッタちゃんの方じゃないかな?)」

 

そんなヴァレッタを見てタナトスは心の中でツッコミをいれた。

オラリオには今までにはなかったイレギュラーが今夜起きようとしていた。

 

北のメインストリート

 

シエンとロキが追いついた時、3人の話し合いは終わっていてリヴェリアはアイズがダンジョンにいることを聞きダンジョンに行こうとしたその時、地面が揺れた。

 

「揺れたな。」

 

「どこのバカや、ダンジョンで【神威】を発動させたバカは!」

 

「ロキ、ダンジョンで【神威】を発動させたらどうなるんだい?」

 

「分からん!ダンジョンは神々を嫌っているからロクなことにはならんはずや!」

 

「フィン団長!大変です!ガネーシャファミリアからの情報で闇派閥が北東の工業区を襲撃してきているそうです!」

 

『!?』

 

ロキファミリアの団員からの急報にその場にいた全員は驚きを隠せなかった。

世界唯一の魔石産業を誇るオラリオにとって、魔石製品を生産する北東の工業区は重要な場所だ。もしここが破壊されたら経済的被害は計り知れないことになるだろう。

その報告を聞きフィンはすぐさま指示を出す。

 

「ガレスは先に向かってくれ!僕は全体の指揮をとる!君はホームにいる総員を連れてきてくれ。」

 

「分かった!」

 

「了解です!」

 

ガレスはすぐさま現場に向かい、団員はホームに向かった。

 

「私は・・・」

 

「リヴェリア、君はアイズの元へダンジョンに行くんだ。この連続の出来事はあまりにも臭すぎる。」

 

「しかし、私はあの子の親になる資格は・・・」

 

「資格?バカなことは言ってくれるな、リヴェリア。それは今日までアイズと一緒にいた君自身を侮辱する言葉だ。今までの行いは嘘だったのかい?」

 

「リヴェリアとアイズの絆はそう簡単には断ち切れないものだとオレは思うぞ。」

 

「せや、家出した娘を迎えに行くのは母親の仕事やで!」

 

「・・・お前達、すまない。行ってくる!」

 

そうしてリヴェリアはダンジョンに向かって走って行った。

 

「フィン、総員って言ってたけどオレは?」

 

「君はロキを連れてホームに戻り待機していてくれ。」

 

そう言ってフィンもガレスのいる工場に向かって走っていった。

 

「じゃ、オレらはホームに戻ってお留守番するか。」

 

「せやな、みんな頼むで・・・」

 

シエンとロキはホームに向かって歩き始めた。

 

北東 魔石製品工場

 

「邪魔だ!どきやがれェ!」

 

「ここは通さない!そうはさせるかァ!」

 

暴れ回る闇派閥の横暴を押さえつけるのは先行して現れたガネーシャファミリアの団員達。大派閥であるガネーシャファミリアに勝てるはずもなく、徐々に押されていく闇派閥の者達。そこに駄目押しと言わんばかりにガレスが到着した。

 

「おお!ロキファミリアの【重傑(エルガルム)】ガレス・ランドロックが来たぞ!」

 

「よし!ロキファミリアの援軍が来る!もう一踏ん張りだ!!」

 

『オオオオオオオオオオ!!!!』

 

増援が来るとわかり、士気が向上してガネーシャファミリアの団員達の攻撃は苛烈になっていった。そうして、1人、また1人と闇派閥の者達は倒れていった。

 

「やれやれ、ワシが来ても来なくてもあまり問題はなさそうじゃったかのう。」

 

「すまないガレス、ようやく着いたよ。状況は?」

 

「ほぼこちら側が優勢で終わりそうじゃ。じゃが、呆気なさすぎる。」

 

「うん、僕の親指も疼いている。まだ何かあるはず油断はできないね。」

 

フィンは今まで数々の経験を得て、虫の知らせに近いものを習得していた。なにかが起ころうとしている時は親指が疼くことによって知らせてくれる。

 

「その通りだぜェ!フィ〜〜〜ン〜〜〜!!!!私からのプレゼントだァ!受け取りやがれェ!!」

 

大きな声とともに突然現れたヴァレッタは箱を開きフィンの目の前にぶん投げた。それと同時に戦っていた闇派閥の者達も撤退を始める。

 

「これは・・・?」

 

フィンが見たものはどこにでもある箱だった。箱は開いていてそこから勢い良く黒い煙が吹き出して空へと昇っていく。箱のある付近には見たこともない魔法陣が現れていた。

匂いの箱、それはシエンのいたイーリスにて存在していたアイテム。その箱を開いた人物と同等クラスの強さを持った【屍兵】が魔法陣から現れるのだ。

 

「オオオォ・・・」

 

「ゥウウ・・・」

 

全身には傷を負っており体色は黒に近い紫、顔はデスマスクをつけており口からは箱と同じ黒い煙を吐いていて目は赤く光っていた。

 

「新種のモンスターか?」

 

「いや待て!あのモンスターが持っている本、シエンの持っているやつによく似ていないか!?」

 

現れたマントを着ているモンスター達は魔道書を発動、彼らの周りに魔法文字が円を作り現れる。魔法の発動の合図だ。

 

「ッ!?全員退避!?」

 

火炎、大竜巻、雷の槍がフィン達のいる場所に向かって襲いかかった。フィン達にダメージを与えるだけでなく建物に火が付き壊れていった。

 

「ひひひ、ひひひゃはははは!!!コイツはスゲェ!さぁドンドン暴れやがれ!!」

 

黒い煙からは新しい屍兵が現れる。天を駆ける馬に跨ったモンスター、飛竜に跨ったモンスター。鎧を纏った馬に跨ったモンスター達。

 

「・・・・ギギギ」

 

「シャアアアアア!!」

 

「あ?あっぶねェ!?コイツら誰でも構わずに襲いかかってくるのか。あの箱はもう回収は出来そうにないな、取りに行ったら殺されちまいそうだ。あばよフィン!!」

 

ヴァレッタの近くにいたモンスターはヴァレッタに向かって攻撃を仕掛けた。その攻撃をかわし、箱を開けた人物でも操ることができないことを確認するとヴァレッタも他の闇派閥の人と同様に撤退をした。

 

「オオオ・・・カミ・・・コロ・・・ス」

 

「モンスターが喋った!?」

 

「神を殺す?まさか!?」

 

現れたモンスターが喋ったことに驚くフィン達。神を殺す、その言葉の意味はとてもシンプルだった。

 

『オオオオオオオオオオ!!!!』

 

魔道書を持ったモンスター達は再びフィン達に向かって魔法を一斉射撃。その攻撃を防いでいる間に空を移動できる馬や竜に跨ったモンスター達が空中に舞い上がりオラリオ中心部にあるバベルの塔に向かって一斉に移動を始めた。

 

「なにッ!?一斉に飛んだ!?」

 

「クソ!空中にいたら攻撃が届かない!」

 

「おい・・・あのモンスター達、バベルの塔に向かって移動してないか・・・?」

 

「あいつら、バベルの塔にいる神々を殺しに行くつもりなのか!?」

 

バベルの塔はダンジョンに行くための場所でもあり、上に上がれば店があったり神々が住んでいる。屍兵達は神の【神威】を感じ取り居場所を把握して神がたくさんいるバベルの塔に狙いをつけた。

 

「不味いぞフィン!このままだと工場区とバベルの塔が破壊されてしまうぞ!!」

 

「ガレスは工場区にいる新種のモンスターを全て倒せ!攻撃魔法、遠距離攻撃の出来る冒険者は僕と共にバベルの塔へ向かう!急げ!!」

 

フィンは急いで指示を出し、空中にいるモンスターを追いかける。

小人族は他の種族に比べて目がいいので空中を移動している黒い体躯と翼を持った馬に跨ったモンスターが魔道書【トロン】を片手に持ちバベルの塔に向かって魔法を撃とうとしているのが見えた。

 

「ッ!間に合えェェ!!」

 

フィンは持っている黄金の槍を黒い馬に向かって投擲した。

 

「グォオオオ!???」

 

しかしその槍は飛竜に跨っていたモンスターが庇い、武器で軌道を逸らして別のモンスターに当たった。フィンの一撃は魔道書を持っているモンスターに届くことはなく、雷の槍がバベルの塔に向けて放たれた・・・

 

ロキファミリア 匂いの箱から屍兵が現れた時

 

「ッ!?この・・・感じは・・・まさか!!」

 

無事ロキと共にホームに戻ることができたシエンだったが、新たに現れた【魔力】を感知した。

 

「どうしたんや!」

 

「バカな!?ありえない!なぜ奴らが、【屍兵】がここにいるんだ!?」

 

「しかばねへい?なんやそれ?」

 

「詳しい話は後だ!アイズがランクアップするのを待つつもりだったが急いでフィン達に伝えるにはランクアップするしかない!頼むロキ、【ステイタス】の更新を!発展アビリティは【神秘】で!」

 

「・・・分かった。シエン、フィン達の力になってあげてくれや。」

 

ロキは急いでシエンの【ステイタス】を更新、ランクアップの手続きをした。

 

シエン

 

Lv.1→Lv.2

 

力 :I0→I0

 

耐久 :B768→I0

 

器用 :SSS2411→I0

 

敏捷 :C609→I0

 

魔力 :SSS3694→I0

 

魔防 :G→F

神秘 :I

 

【魔法】

 

【ミラーバリア】

・速攻魔法

・敵の飛び道具や魔法を反射する。反射する際は向きを自由に変えられることができ、いろんな攻撃も防ぐことができる。形は精神力を消費すると自由に変えられる。

・魔法を反射したとき魔法の威力が上昇する。

・空中に足場を作ったりできるが透明で見えない。

()()()()()()()()()

 

【ドラゴンフォーゼ】

詠唱 【姿が変わりゆけども決して変わらぬは己の心】

・竜変化 竜種に特効ダメージを与えられる

・【魔力】が高ければ高いほど【耐久】【敏捷】に超補正(()()()()()()()()()

・空中を浮くことが出来る

・【魔法】を無効化する。(回復と強化は受け付ける)

スキル【光の波動】が【魔法】発動している間に任意発動出来る

 

スキルは変化なし

 

「【魔法】の効果が少し変更されたな。」

 

「レベルアップする事でいろんなことが変わるのは当然のことや。さ、いってきい。」

 

「おう!行ってくる!」

 

そう言ってシエンは上着を着て【魔道書】が数冊入るくらいのバックパックを背負い窓から外へ飛び出してから【ウインド】を発動して風を起こしたその反動で空中を飛び、移動開始した。

 

「(屍兵の数は工場区に22、いや23体。だがまだ新たに出てきてるな、もしかして誰か匂いの箱を手に入れて使ったのか!?アンナさんも来ていたし他の人も来ている可能性はあったな。クソッ!油断した!)」

 

空中を飛んで狙い撃ちされることを避けるため地上から数メートル上を空中移動している最中に敵の居場所の索敵を再度行った。

レベルアップした事によって更に探知の性能が向上して屍兵の持つ特有の【魔力】から敵の数を正確に把握した。

フィン達のいる工場区にそのまま行こうとしたがダークペガサス、ドラゴンナイト達が南西に動き始めたのを感知した。

 

「(屍兵は敵を見つけ次第襲いかかるハズ。そうしないということはそれよりも優先することがあるということ。そして奴らがこのまま行けばバベルの塔・・・・そうか!そういう事か!!)」

 

シエンはかつての屍兵との戦いの経験から屍兵達が何を狙っているのかを理解した。

 

「(不味い!このままだと間に合わない!あの【魔法】で一気に行く!!)」

 

シエンは【ウインド】の発動を止めて地上に降りて走りながら詠唱を行う。

 

「【姿が変わりゆけども決して変わらぬは己の心】」

 

「【ドラゴンフォーゼ】!!」

 

詠唱を行い足元には魔法陣が現れて【魔法】発動するとそこから光が溢れ出てシエンを包み込んだ。

その光が消えた後に現れたのは全長3.5Mの黒い眼に鋭い牙に長い首、全身には白銀の鱗があり長い尻尾、両翼の翼膜は翡翠色のドラゴンだった。

 

再び地上から浮き、高速移動を開始する。レベルアップの影響により前よりも段違いに速くなりバベルの塔の真下に辿り着いた。

空中にいるダークペガサスの【魔力】が膨れ上がるのを感じ見上げると今まさに【魔法】をバベルの塔に向かって発動しようとしているところだった。

 

「オオオオオオオオオオ!!」

 

シエンは一気に上に浮き上がり、放たれた【トロン】を受け止めた。

 

 

 

別の場所

 

ヴァレッタは戦線から離脱してモンスターがバベルの塔に向かって【トロン】が放っているのを見た。

 

「ひひひひひ!!マジかよあのモンスター共!私達には出来なかったことをいとも容易くやってくれやがった!!私もまだまだ甘かったな・・・あ?」

 

【魔法】によって塔は破壊されず一匹の白銀のドラゴンが【魔法】を体で受け塔を守っていた。

 

「ハァ!?モンスターが神のいる塔を守っただとォ!!??なんだよそれ!?」

 

 

別の場所

 

「おい、なんだよあれ・・・また新たなモンスターか?」

 

「綺麗・・・」

 

「(あれは・・・シエンか。打つ手がなくなっていてホントに焦ったよ・・・)」

 

放った槍を防がれ打つ手のなくなっていたフィンは心の中で安堵した。

 

「団長!あれはいったい何ですか!?」

 

「あれはシエンだ。今まで黙っていたがシエンは竜化のレア魔法を持っていて、能力の向上、更に【魔法】による攻撃を受け付けない。」

 

『!?』

 

団員達はその魔法の情報を聞き驚愕した。魔法は戦いにおいて切り札だ。しかしシエンはそれを受け付けない、魔導士に対して最悪の相手だからだ。

 

「上手く防いだけどまだ終わっちゃいない。誰か僕に槍を貸してくれ。」

 

「どうぞ!」

 

「ありがとう。シエン!!僕を乗せろ!!」

 

フィンは団員から槍を受け取るとシエンに向かって叫んだ。

 

スキル【指揮戦声(コマンド・ハウル)

・一定以上の叫喚時における伝播機能拡張

・乱戦時のみ、拡張補正は規模に比例

 

フィンは地を蹴りシエンに向かって高く跳び上がる。

シエンはフィンの叫びを聞き、突っ込んできたフィンのスピードを受け流して背中に乗せた。

 

「うわっと!危ない危ない・・・フィン、無茶をするなぁ。」

 

「君なら必ず乗せてくれると信じていたからね。さて、反撃開始だ!!」

 

屍兵達はターゲットをシエン達に変え襲いかかってきた。

 

バベルの塔の中

 

「なんだあのモンスター!?」

 

「いや、あれモンスターか?なんかオレ達に近いものを感じるような・・・」

 

「オレも乗りてェ!」

 

神々は自分達を守ってくれたドラゴンに興味津々で2人の空中の戦闘を楽しんでいた。

 

「にしてもあの黒いモンスターはなんなんだ?今まで見たことがないぞ。」

 

「私もだ。」

 

「だったら名前をつけないとな!」

 

「よし、ならば地獄の闘士、【ヘル・ミッショネルズ】と名付けよう!!」

 

「長えよ、死んだ人間っぽいし【屍兵】でいいだろ」

 

戦いをよそにモンスターの名前が付けて非常事態にも関わらず楽しんでいる神々もいた。

 

「あの【勇者】が乗ってるドラゴンにも名前をつけようぜ!」

 

「それなら私にいい名前が浮かんだのだけどいいかしら?」

 

塔の最上階に住んでいるフレイヤはこの戦いを近くで見ようと下りてきていた。

 

「おお!フレイヤ様!いい名前とは?」

 

「ウフフ、そう慌てないで。そうね、【ファヴニール】なんてどうかしら?」

 

ファヴニールは、魔法の力でドラゴンに姿を変える者のことだ。魔剣グラムを持ったシグルズに殺されたが・・・

別の意味で【抱擁するもの】だったりする。

フレイヤは人の魂を見ることが出来てシエンの魂が前よりも強く輝いていることからランクアップを果たした事を知って【二つ名】を授けた。

 

「【ファヴニール】・・・」

 

「フレイヤ様がそう言うならオレは大賛成だぜ!」

 

「そうだそうだ!!フレイヤ様万歳!!」

 

そうしてロキの知らないところでシエンの【二つ名】は決まってしまった。

 

 

「・・・!?」

 

4ヶ月前に受けた銀色の気配にシエンはゾクリと体を震わせた。

 

「シエン、大丈夫かい!?」

 

「ああ、なんでもない!それよりさっさと終わらせよう!」

 

フィンとの協力で屍兵の数もだいぶ減り残り数体といったところだ。

 

「グォォォ!!」

 

ドラゴンナイトが斧を持って突撃してくるとフィンが槍で防ぎ、シエンは精神力を消費して竜特効の白銀のブレスを吐いた。

 

「ギギャアアアァァ・・・・」

 

そのブレスを食らったドラゴンナイトの屍兵はブレスに飲まれ消滅した。ブレスを躱し他の屍兵が襲いかかってきた、【トロン】を使いバベルの塔に攻撃しようとしていたダークペガサスだ。

 

「シエン、残りは?」

 

「ガレスのところももう片付いている。これでラストだ!」

 

突っ込んできたダークペガサスの屍兵の槍をフィンが応戦しシエンはペガサスのほうに小さくブレスを吐き、隙を作り出そうとするが、しかし容易く躱され距離を取られてしまう。

シエンは確かに速くなったがまだまだ相手の方が速かった。

 

「(速い、急いで倒さないととオレの精神力が尽きてしまう・・そうなればオレ達の負けだ)」

 

「シエン、落ち着いて。焦ってはいけないよ。」

 

フィンはシエンの精神力が尽きそうになって焦っている事を見抜き声をかけるがシエンは軽い精神枯渇に陥り、体がふらつきバランスを崩した。

その隙を逃さず再びダークペガサスが突撃してシエンの体に風穴をあけるべく槍を突き刺そうとすると。

 

「【ミラーバリア】!!」

 

「グオ!?」

 

シエンは精神力を絞り出して竜化している状態で別の【魔法】を唱え槍を弾いた。

屍兵は見たこともない反撃に隙を晒した。その隙をフィンは見逃さなかった。

 

「今だ!!」

 

「ゴァ!?」

 

フィンはシエンの背を蹴り、敵の懐に突撃して持っている槍で屍兵の胸を貫いた。すると屍兵はゆっくり体が消滅した。

土台にされたシエンは少し呻き、空中にいるフィンをまた背に乗せた。

 

「やっと・・・終わったな・・・流石にこれ以上は持たんぞ。」

 

そのまま地上に降りて探知した所、屍兵はもう出現していなかった。

 

「おつかれシエン。ゆっくり休んでくれ。」

 

シエンは【魔法】を解除して体を横にして眠った。

 

この日シエンとアイズは神の恩恵を得てからレベルアップするまでの期間が約一年という短さで世界最速記録を叩き出すのだった。




シエンの竜化した時の色は、黒色、朱色、白銀色のどれにしようかでめっちゃ悩んだ。
空中戦とか書けるわけないよ・・・
発展アビリティの他の候補は【魔道】【工作】でした。

ボツネタ

フィン、スキルあり「シエン!!乗せてくれ!!」

シエン「なんて声・・・出してやがる・・・ride on・・・」
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