イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか?   作:カルビン8

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フィンの日記 ●月●日

フィン「ラウル達が入って数週間経った。ラウル達がいる影響で二人共何か変わるかと思ったがそんな事はなく。シエンは魔道具作りに専念していたり、アイズは毎日ダンジョンに入り浸っている。新たな発見といえば、シエンが【魔道書】の製作中にインクをこぼし、一からやり直しになるところだったが。よく見ると紙がこぼしたインクを弾いていてやり直しにならずに済んだという不思議なことが起きた。これもまた【神秘】の力なのだろうか。」

トリックスター「【神秘】はウチらの軌跡を引き起こすもんや。まだまだ分からないことがたくさんあるけど、今回の件はそうだと思うで!」

リヴェリア・リヨス・アールヴ「なるほど、興味深いな・・・」

ワシ「椿の奴と一緒に鍛治仕事をさせるとどんな武具ができるかのう」


炎の台座

ガネーシャファミリア 藍色の髪の麗人 シャクティ・ヴァルマ

 

「あの【屍兵】とやらの情報は手に入ったか?」

 

「いえ、残念ながら・・・」

 

あの事件から数日経ったが新種のモンスターの情報はなかなか手に入らない。情報を持っていると思われるファミリアは実際に戦ったロキファミリアと我がファミリア、ガネーシャファミリアだ。

分かっていることは姿や形、武器や【魔法】を使ったりなどだ。モンスターがそんな事が出来るなんてとても信じられん。

空を飛ぶ馬や竜が現れた時は我々では手を出すことができず、易々とバベルの塔を攻撃されてしまった。

 

だが、突然塔の麓から白銀の竜が登り攻撃を防いでくれた。その竜は緊急神会で【二つ名】を与えられた【ファヴニール】のシエン。

ロキファミリアに新たに入団した謎のヒューマン、レベルアップに約1年と信じられない速さでLv.2になった。しかもまだ8歳だという。

あの【屍兵】と戦った感じでは大体Lv.4くらいだったからレベルアップしてもおかしくはないだろう。

が、たとえ戦う前にLv.2だとしてもLv.4クラスを焼き尽くすなどはあり得ないのだ。そして【屍兵】が塔に攻撃するタイミングで現れて攻撃を防ぐ・・・怪しい、怪し過ぎる・・・。

なんらかの【スキル】を持っていることは間違いないがその子供が【屍兵】について何か知っていると私のカンが言っている。

 

「シャクティ!失礼するゾウ!俺がガネーシャだ!」

 

そう言って部屋に入ってきた我が主神、顔を覆うゾウの仮面。浅黒い肌のガネーシャだ。

 

「何か用か、ガネーシャ。」

 

「おう!ちょっとオラリオ内を探索していたら旅商人にあってな!とても珍しい物だというから買いたいのだ!!ファミリアの貯金で!」

 

この間は山車を買ったのにどうやらこの主神はまたやらかすようだ。また団員達が泣いてしまう事になるだろうな・・・私はもう諦めたが

 

「で、その買いたいものとはなんだ?」

 

「魔法の本、それに何十回も使える雷の魔剣に回復の杖だ!」

 

「何だその馬鹿げた道具は・・・ああ、神には嘘は通用しないという事は本当という事か・・・」

 

ん?待てよ・・・あの【屍兵】も同じような物を持っていたような・・・もしかしてその人物も何か知っているかもしれないな

 

「ガネーシャ、その人物をホームに連れて来て・・・いや私も行こう。直接話しがしたい。もしかしたら今回の事件の情報を得られるかもしれない。」

 

「よし!ならば行くぞ!!待ってろ旅商人!俺がガネェェェェシャだぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

オラリオの治安を守るのが我々ガネーシャファミリアの使命。何としてでも情報を手に入れなければ・・・

 

ロキファミリア ラウル シエンの部屋

 

「なるほど、ダンジョンの上層はこういう風になっているんすね。」

 

「そ、ここが危険な場所で霧が発生して今まで戦ってきたモンスターが勢揃いしていて一匹一匹強化されて出現する。」

 

俺は今シエンの部屋でダンジョンについて勉強をしてるっす。年下の子供に教わるってのはとても恥ずかしいけど、実際に知らないから知っている人に聞くのが一番っすね。

それにシエンの教え方は絵を使ったりしてわかりやすい。ファミリアに入って数週間、シエンと話していると年上の兄ちゃんと喋っているような感じがして変な感じっすけど。

 

シエンの部屋は【魔道書】や杖や紙でいっぱいで綺麗に並べられているっす。

俺がこのファミリアに来る前は執務室で作業をしていたらしいけど自分の部屋で道具を作る事が許されたみたいっす。

部屋を綺麗にしていないとまた執務室に移動すると副団長に言われたみたいっす。シエンにとって副団長は頭が上がらない相手みたいっすね。

 

「よし、ダンジョン上層についてはこんな感じ。随分覚えるのが早いなラウル。」

 

「シエンの教え方が上手いからっすよ。シエンはダンジョンに行かなくていいんすか?アイズ()()はいつも行っているのに。」

 

「アイズにさん付けって・・・」

 

俺が初めてダンジョンに潜った時、出てくるモンスターに怯えてて震えていたのに。小さな女の子が顔色一つ変えずに切り捨てる姿にオレは恐怖した。とてもじゃないけどちゃん付けなんてもう呼べないと思うっす・・・

 

「今はもうちょっと中層に向けての装備を整えたいからまだ行かなくていいかな。おっ?アイズが無事地上に戻ってきたな、リヴェリアも一緒だ。よかったよかった。あー、お茶うま。」

 

そう言ってお茶を啜るシエン。

団長からシエンは【魔力】を探知する力を持っていて、団員一人一人に【魔素】の違う【魔宝石】を持たせて居場所を常に把握するようにしていると教えてもらったっす。

全員の居場所を把握なんて頭の中一体どうなってるんすかね?

 

ロキファミリア ガレスの部屋 さらに数日後

 

「ガレスー、いるかー?」

 

「おるぞ、入ってもいいぞ。」

 

シエンはガレスの部屋をノックしてガレスが居ることを確認して部屋に入る。部屋の壁には武器が掛けられていたり、本や道具を置いてある。

 

「お主がわしの所に来るなんて珍しいのう。何かあるのか?」

 

「盾が欲しくてね。ガレスって、武器や防具って作れるか?」

 

「ワシは手入れをしたりするくらいじゃ。それにウチのファミリアに工房はないから無理じゃ。ちなみにどんな盾が欲しいのじゃ?」

 

「いたってシンプルな盾かな。けど【神秘】の力を使ってイーリスにあった国宝、【炎の台座】を再現したい。」

 

「【炎の台座】?」

 

「本当は【ファイアーエムブレム】という。けど、ファイヤーエンブレムって言い間違いする人がいるから。【炎の台座】でいいかなって」

 

「その盾はあらゆる願いを叶えると言われていた。けど実際はそうではなくて世界の危機が訪れた時に【覚醒の儀】に必要になるものだったんだ。」

 

「【覚醒の儀】・・・」

 

「王家の人間には神竜ナーガの力が宿っているんだ。その力を目覚めさせるのに【炎の台座】を使って、虹の降る山を登って【覚醒の儀】を行うんだ。」

 

「なるほどのう。いろいろ聞きたい事があるがつまり、その盾に似た物を作りたいって事じゃな?」

 

「そういう事、【神秘】の事を他の派閥にバレたらまずいからウチのファミリアでなんとか出来ないかな?」

 

なんでも【神秘】の発展アビリティ持ちは10人にも満たなくてレアの中レアだからだ。今更感はあるが隠しておいた方がいいだろう。

 

「残念ながらムリじゃ、口が硬いかどうかは保証できんが腕の立つ鍛治職人なら紹介できるぞい。ワシと直接契約しておる、ヘファイストス・ファミリア団長、椿・コルブランドじゃ。」

 

とある平屋造りの建物の前 シエン

 

オレはガレスに連れられ北東のメインストリートから第2区画の中心にある工房に辿り着いた。

 

「椿、入るぞ。」

 

「・・・」

 

ガレスが声を掛けるが建物の中からは返事は返ってはこない。ひたすら金属の打撃音が響くだけだった。

 

「・・・ええい、上がるぞ。シエンもこい」

 

「わかった。」

 

しばらく待ったが何の反応もなかった為、待ちきれずオレ達は建物の中に入った。工房の奥には褐色の肌に黒の短髪。身長は170センチくらいの豊満な胸を持つ上半身はさらしだけで下半身は真っ赤な袴姿の女性だった。ガレスが言うには彼女はハーフドワーフらしい。

 

「・・・ふう、こんなものかな。・・・何奴ッ!・・・何だガレスではないか。中に入ってくる前に声を掛けてくれと散々言ったのに。」

 

ようやく気がついたのかオレ達を見た。背中からは分からなかったが彼女の左目に眼帯をつけていた、目に怪我でもしたのだろうか?

 

「ワシは何度も言ったんじゃがのう・・・」

 

「そうか。全く気づかなんだ!あっはっはっは!許せ許せ!!」

 

そう言って笑いながら詫びを入れる椿、ガレスの側に1人の子供がいることに気がついた。

 

「ん?ガレス、そこの童は何者だ?前に会った【人形姫】と同じくらいの歳に見えるが。」

 

「シエンじゃ。巷では噂になっている筈じゃが。」

 

「最近は工房に篭っておって知らんかったわ。それで手前に何の用だ?武器の新調か?」

 

「ワシではない。こやつが盾が欲しいと言ってな、それでお主に作って欲しいんじゃ。」

 

「よろしくお願いします。」

 

「まあガレスには世話になっているからそれくらいなら・・・で?シエンといったか。どんな物を手前に作って欲しいのだ?」

 

「こんな感じのです。」

 

シエンはガレスに話した内容を話して、設計図を渡した。

 

「なるほど、国宝のレプリカを作って欲しいって事だな。引き受けた。」

 

椿はあっさりと引き受けた。

 

「えっと、そんな簡単に引き受けていいんですか?」

 

「うむ、先程言った通りガレスには世話になっているし、こういった物を作るのもまた手前にとってもいい経験になるだろうからな。無論、金は取るぞ?」

 

「その代金はワシが払おう、ランクアップ祝いじゃ。」

 

シエンはホームにヴァリスを取ってこようとしたがガレスが払ってくれることになった。

 

「ありがとう、ガレス。」

 

「なに、前の事件でも活躍したんじゃろう。これくらいの事はさせてくれ。」

 

「ほう、なかなかやるではないか、お主。では作るためにこの設計図を借りるぞ。数日後には出来ると思うから楽しみに待っているといい。」

 

「よろしくお願いします。」

 

そうしてシエンは椿に【炎の台座】を作る事を依頼して、言われた通り数日後に取りに行き手に入れた。




原作ではアイズは入団してから半年経った時に椿に一度会ってます。
その時は短髪だったので今回も椿は黒髪の短髪という事にしています。

【炎の台座】(レプリカ)縦40センチ、横30センチの小さめの盾

シエンの体(118センチ)には大きすぎるので背中辺りに装着している。上着→盾→マント→バックパックといった感じ。
椿が作った物で材料はミスリルのみで作られている。
その盾には五つの窪みがあり、そこに時計回りに白、赤、青、緑、黒の【魔宝石】をはめこみ完成。
椿から直接貰いに行き、シエンが手にした時に【神秘】が発動して、白色の盾だったが金色の盾になった。この事で椿に【神秘】を持っている事がバレてしまい、バラされたくなくば直接契約を結ぶ事を脅・・・提案され契約する事になった。

性能
装備していると【魔宝石】を埋め込んであるので【魔法】の威力が上昇(杖の代わり)
詠唱【リフレクト】と唱えると精神力の消費無しで近接攻撃を防御、遠距離攻撃を反射する障壁を展開する。

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