イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
フィン「今日も2人はいつも通り。ここ最近では、なにやらガネーシャファミリアが前の事件の影響から下級冒険者、上級冒険者のレベルアップを狙って大会を開こうとしているらしい。ギルドから期待のルーキーの二人に出場してほしいと言われた。困ったもんだ。」
トリックスター「人気者は辛いな〜。けどウチの子の晴れ舞台やな!やったれ二人共!」
リヴェリア・リヨス・アールヴ「アイズはともかく、シエンのやつは出るか?」
ワシ「見せ物にされるのは絶対に嫌がるだろうのう・・・」
ダンジョン中層
「逃げろォォォォ!!」
「・・・倒す!」
「待てアイズ!このルームから通路に逃げるんだ!細い一本道ならば複数同時に相手をしなくてもすむ!」
現在、シエンとアイズそして団員達はモンスターの群れに遭遇してモンスターに追われている最中だ。それをどうにかするべくシエンはアイズに通路に逃げる事を指示する。
ダンジョンの簡単な仕組みは、ルームがありルームとルームの間には通路がある。そして下の階層ほど階層の面積が広くなり40階層地点ではオラリオ全域ほどあるといった感じだ。
シエン達はルームから出て通路に移動したが前からもモンスターの群れが襲いかかってきた。
「嘘だろ!?」
「このままでは挟み撃ちを食らうぞ!?」
「面倒な・・・アイズ!前は頼んだ!!後ろはオレに任せろ!!」
「うん!【吹き荒れろ】!」
アイズは【エアリエル】を発動して前から襲いかかってくるモンスターの殲滅にかかった。アイズの発展アビリティ【狩人】も発動していてより効率よく撃破できる。他の団員達もアイズと同じ前のモンスターにかかっていった。
「【ミラーバリア】!」
シエンは【魔法】を発動して通路に障壁を張りモンスターの移動を防ぐ。
「ガッ!?」
「ガルゥ!?」
突然に現れた見えない障壁に激突して動きの止まったモンスター達。そこにシエンの追い討ちがかかる。
「【ミラーバリア】!」
更に【魔法】を発動させた、モンスターの群れの最後尾に。
シエンの障壁は【精神力】を使って形が変化することが出来る、先に張った障壁の形を鋭い棘のものにして後ろにある障壁も同じようなものにしてどんどん幅を狭めていった。
「グガッ!?」
「ゴ・・・グ・・ァ・・・」
モンスター達がその障壁に押しつぶされて叫ぶこともできず串刺しになり生命を維持できず死に絶えて血と灰と魔石を残して消滅した。
「よし」
「よし、じゃねぇよ!?なんてえげつない事を・・・うっぷ・・・」
後ろからのモンスターを殲滅した事を確認して前の方を見るとシエンのやった事を見ていた団員がいて青ざめて言った。
「アイズはっと、殆ど片付けてるな。オレの出番はナシか」
前の方の群れはアイズ達が殆ど片付けており、もうおしまいといった感じだった。
「これで終わり・・・」
「そうだな、ただ最近はモンスターの群れに遭遇する事にが多くなったな。」
「それはお前らが他のファミリアの連中に目をつけられているからだよ。」
「はぁ、だよなぁ。」
「?」
シエンは理解してアイズは何故目をつけられているのか分からず首を傾げた。
「モンスターの群れ押し付ける【パス・パレード】、要は嫌がらせをしているってわけさ。地上で嫌がらせをやればバレてしまうがダンジョン内ならば誰がやったかバレづらいからな。とはいえ、ロキファミリアに喧嘩を売ってくるなんてそれなりのやつかもしれんな。地上でも気を付けろよ二人共。」
「わかった」
「分かりました。」
「よし、今日はこのくらいにして引き上げよう。」
そして今日のダンジョン探索は終了した。
『グゲゲゲゲ・・・』
ただ中層では珍しく上層にいる蛙のモンスター【フロッグ・シューター】の鳴き声に似た声が聞こえたのがシエンの頭の中に疑問として残っていた。
夜、ダンジョンからホームに戻り体を綺麗にしていつもの場所で夕食を取る。そこにロキが重大な発表があると言い出した。
「みんな、今日もお疲れさん!ちょっとだけウチの話に付き合ってくれや。2週間後にオラリオの最東端にある闘技場にてバトルトーナメント【ガネーシャ杯】が開催される事になった。」
「なんでまたそんな事を、闇派閥がやってきて危なくないか?」
「そこはガネーシャがなんとかするみたいや。最悪、神の鏡で中継して見てもらうって方法もあるしな。闇派閥の連中との戦いに負けないように冒険者同士戦わせて経験値を得てランクアップを出来る者を増やそうという魂胆や。あ、アイズたんとシエンは出場決定な?」
「強くなれるなら参加する。」
「ハァ!?ふざけんな!!何勝手に決めてんだロキィ!!オレは参加しないぞ。手の内を晒すなんて真っ平御免だ!!」
片方はやる気満々、もう片方は不満ありありだった。
「いや、他の神々も自分らに興味津々でな。断りきれんかったんや、それに」
「それに?」
「ウチの子が大舞台で活躍しとるとこ見たいやん?」
「ロキの都合じゃねぇか!!面倒臭いことになったな・・・」
残念ながらシエン達の出場は決定でどうしようもなかった。今更うだうだシエンが言っても意味はないので素早く食事を取った後は自室に戻り、魔道具製作に励むのだった。
時間は少し戻り 食堂 シエンが出てった後
「さっきのシエン、無茶苦茶怒っていたっすね。」
「あの子も怒る時は怒るのね。なんか安心したわ。」
「え?なんでっすか?」
「だって、あまりにも子供らしくないんだもの。けど、不機嫌な時に撒き散らしていた【魔力】は子どもらしくなく凄まじかったけどね。」
「とても、怒ってた。」
「いや〜やっぱまずったかな。」
「ロキ、そりゃシエンも怒るっすよ。俺はシエンと会ってまだそんなに時間は経ってないけどシエンは表に出たがらない目立ちたくないってタイプだと思うっす。」
3人で話をしているとロキが話に入ってきた。
「ウチもそのことはよう分かっとる。けどなぁ、レベルアップして目立った以上は実力を示さないと他の冒険者に舐められるんや。今回の大会はある意味いい機会なんやで。」
「それは私たちじゃなくてシエンに言ったほうがいい。」
「・・・せやな。アイズたんの言う通りや。ちょっと行ってくるわ。」
正論を言うアイズにロキは返す言葉もなく、シエンの元に行くのだった。
「と言うことなんや。嫌かもしれんけどすまん!この通り!」
ロキはさっきアイズ達に言った事をシエンに伝えた。
「・・・分かったよ。今度同じようなことがあったら勝手に決めないで相談してほしい。」
「分かっとる。まかしとき!」
渋々シエンは出場することを了承した。そして大会の優勝商品は何なのか聞いた。
「魔剣に治療の杖らしいで。」
「絶対にアンナさんが関わってんなこれ・・・ガネーシャファミリアにも商談を持ちかけたか。」
「ガネーシャのとこは金をいっぱい持っているからガッポリ儲けれそうやな。」
「ガネーシャファミリアはギルドとも仲がいいんだっけ?てことは【屍兵】の事も理解しただろうな。フフフ、知らない方が良かっただろうに。」
「死んだ人間を利用して作ってあの箱から出た【屍兵】は開けた奴と同じくらいの強さになって出てくるんやろ?おっそろしいでホンマ・・」
「死んで神の恩恵を失った冒険者の場合だと強いのは出来ないと思うけどな。生きたまま【屍兵】にしたらどうなるかは知らんけどね。」
「そ、そんなことができるんか!?」
「いつかの機会に話してやるさ。【屍兵】を生み出した元凶、天才錬金術師フォルネウスの話をな。さて話はお仕舞いだ。魔道具作るから静かにしててくれよ。」
「めっちゃ気になる!話してくれへん?」
「話す時は聞きたい人集めて話す。一人一人話すのは面倒だからまた今度。」
そうして、ロキを部屋から追い出して魔道具製作に戻った。
戦いたがらない主人公を戦わせるのって結構大変なんだと今更ながら気づいた。
今回はちょっと短めです。
【神の鏡】原作6巻
下界にて行使が許されている【神の力】
神ウラノスの許可が必要。
千里眼の能力を有し離れた土地においても一部始終を見通すことができる。(原作)
ただし声は聞こえないと思われる。(考察)