イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか?   作:カルビン8

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フィンの日記 ●月●日

フィン「旅商人のアンナから興味深い資料をもらった。それを書いておこうと思う。

とあるペレジア兵の記録

イーリスには悪魔がいる。

その悪魔は火を扱えば人を焼き尽くし灰すら残さず。

風を扱えば全てをなぎ倒し風の刃で切り刻む。

雷を扱えば空から必殺必中の雷が降り注ぐ。

闇を扱えば人の生命を全て奪い尽くす。

水と岩を扱えば城を水没させる。

その悪魔の名はシエン、決して近寄ることなかれ・・・」

トリックスター「・・・・・そら追放されるわ・・・」

リヴェリア・リヨス・アールヴ「・・・多少内容は盛っているのであろうがこれは・・・」

ワシ「あやつはどれだけ暴れまわったんじゃ・・・」





大会その4 生ぬるい戦場

試合開始とともにフリュネは斜め前にいるアイズに突撃した。真正面にいるシエンを無視して。

 

「くらいなァ!」

 

図体に合わず素早く、あっという間に距離を詰めて大戦斧でアイズに攻撃を仕掛けた。

 

「【ミラーバリア】」

 

「ゲゲェ!?」

 

アイズに斧が届く前にシエンの【魔法】が間に合う。レベル差があるとはいえフリュネの斧は見えない障壁の前に止まった。

 

「なんだ!?攻撃が止まった!?」

 

「詠唱無しの【魔法】だと!?おいおい、そんなのありかよ!?」

 

「というか、【魔法】を既に2つも持ってるのかよ・・・」

 

観客席からシエンの使った【魔法】に関して様々な感想が出る。

シエンはフリュネが接近しているので【呪い】を発動して、影を複数の黒い手に実体化させてフリュネを捉えようとした。

 

「おっとぉ、ゲゲゲ!小癪なガキだねェ!だけどこれならどうだい!!」

 

しかし、素早い身のこなしでそれらを躱しつつ距離をとってフリュネは雷の形をした斧を掲げる。すると突然シエンの頭上に雷が現れて降り注いだ。

 

「シエン!?」

 

「なんやあの斧!?魔剣か!?いや、魔斧!?」

 

「おおっと!フリュネ選手が使った武器は優勝賞品のサンダーソードと似ております。【ボルトアクス】だァ!!」

 

「優勝賞品もあんな感じなのか・・・」

 

「見た感じ発動も速いし、いいな」

 

フリュネが使ったボルトアクスに興味を示す観客達。雷を食らったシエンといえば。

 

「・・・(アイツ、【魔力】がないのにあれを使ったのか・・・このくらいなら問題はないが寧ろアイズが不意打ちで食らったほうがマズイか。)」

 

無傷だった。そして、【スキル】によってフリュネに【魔力】がない事を確認した。

 

「ゲゲゲェ!?何故だァ!?」

 

「そら、シエンに効くわけないやろなぁ・・・」

 

「魔法耐性は凄まじいからね。」

 

「そもそも、あまり威力が出て無かったと思うが。」

 

「ガッハッハ!これは頼もしいわい!」

 

無傷なシエンにフリュネは驚愕して、ロキ達はそれを当然だと思った。【魔防】の発展アビリティがFもあるのだから。(ガレスはE)

 

「こちらも忘れてもらっては困る。」

 

「【吹き荒れろ(テンペスト)】!」

 

離れたフリュネの代わりにタンムズがアイズに接近した。アイズは【エアリエル】を発動して剣に風を付加して対応する。

シエンはアイズにフリュネを近づかせないようにフリュネの攻撃がきても対応できるくらいまでに近づいた。

 

「このクソチビがァ!舐めんじゃないよォ!」

 

フリュネは身につけていた袋から何かを取り出し口に入れ飲み込んだ。すると先程よりも更に速くなりシエンに接近した。

 

「ゲゲゲェ!」

 

「クッ・・・!(速い!?薬によるドーピングか!?)」

 

フリュネは大戦斧を横にふるってシエンの首を跳ね飛ばそうとする。

その攻撃を食らう前にシエンは背中から倒れながら【エルウインド】を発動して地面すれすれに浮いて斧を躱した。フリュネの大きさは約2Mでシエンは118Cでフリュネは腰を落として攻撃しなくてはならず対してシエンは斧を躱すのは容易であった。

 

「なにィ!?」

 

「食らえ。」

 

必殺の一撃を有り得ない方法で躱されて動揺するフリュネにその状態で【精神力】を消費して【トロン】の魔道書が黄色に輝き、雷の槍が現れてフリュネの脇腹に突き刺さった。その槍から全身に高威力の電撃が襲いかかった。

シエンは浮きながらその場から離れて体制を戻し着地した。同時刻、何処かの王様が脇腹を押さえた。

 

「ギィヤァァァァァァァァァ!!!???」

 

「し、信じられません!?レベル差があるにも関わらず【ファヴニール】は【魔法】により圧倒しています!!というか、風と雷、2つを同時に使っているように見えましたが・・・」

 

「うーむ、あれはガネーシャだな!!」

 

「ちゃんと解説してくださいよガネーシャ様ァ!!」

 

わからないので適当に誤魔化すガネーシャ。

 

「へぇ、やるじゃない。あのルーキー。」

 

「【魔法】を使いながら移動するとはかなり器用ですね。【魔力暴発】を引き起こしていない。」

 

「また腹か・・・」

 

「背中のバックパックが光っていたな、何か仕込んでいるのか?」

 

「なんかバチバチいってるけどさっきの【ボルトアクス】ってのより威力高くね?」

 

「クッ・・・ガ・・・ァ・・・?」

 

身体に蓄積したダメージに意識を持っていかれ手からスルリと大戦斧とボルトアクスが滑り落ちた。

シエンはフリュネに3Mほど近付き、【呪い】を発動させて実体化した影の手でボルトアクスを拾った。【道具節約】のスキルが発動する。

 

シエンはボルトアクスを手に持ち、【精神力】を注ぎ込み斧の周辺に電撃を発生させた。

そして斧をフリュネに向かって横に振るうと斬撃が雷を纏い飛んだ。

 

「なにィ!?ガァァァァ!???」

 

フリュネは身体が痺れて動けなくて雷の斬撃が直撃した。シエンは【魔力】が高いのでその分ボルトアクスの雷の威力も上昇する。フリュネとは威力がダンチだった。

 

「なんや!?あんな使い方もあるんか!?」

 

「へぇ、面白いね。雷の槍とかないかな?ぜひ使ってみたいのだけど。」

 

「魔導士が斧を使うとはな。」

 

「【魔法】関連なら何でも使いこなす奴じゃからのう。今度斧の使い方を教えるとしよう。」

 

「・・・クッ!(このままではフリュネが死んでしまう!あのフレイヤに対する貴重な戦力が失う訳にはいかん。残念だがリタイアさせるしかない!だがあのクソガキ、タダでは終わらんぞ!)」

 

イシュタルは眷属達にポーション等を持たせてガネーシャファミリアの眷属にフリュネをリタイアさせることを言い、眷属達を闘技場に移動させた。

 

「ここで【男殺し】、神イシュタルによりリタイアになりました。【ファヴニール】は攻撃をやめて下さい!」

 

その指示を受けてシエンは攻撃をやめた。

イシュタルファミリアのアマゾネス達がフリュネの治療を始めたところを見て、シエンはアイズを援護しに行こうとして背を向けた時にアマゾネス達はシエンに向かって襲い掛かった。

 

「(悪く思わないでよね、小さな坊や。イシュタル様の命令には逆らえないの。)」

 

シエンは何かが近づいてくる気配を感じて振り返り、アマゾネス達が襲いかかってきたことを知ると【エルウインド】と【エルファイアー】に精神力を流して発動した。

自分の周囲に竜巻を起こしてそこに火を纏わせて火炎竜を作り出した。

 

「え?」

 

「グッ!熱い!」

 

「なんて竜巻なの・・・吸い込まれる!!」

 

シエンに襲いかかっていたので突然現れた火炎竜に対応できず吸い込まれて巻き上げられた。そしてそのまま闘技場の外へ吹き飛ばされた。

選手は闘技場から出てはいけない、アマゾネス達は退場となった。

 

「なん・・・だと・・・?バカな!?【魔法】は3つまでの筈だ!!」

 

「別に3つ以上【魔法】を使えてもいいだろ?戦術の幅が広がっていいしな。それにしてもイシュタルだったか、バカなことをする。自らの防御を薄くするとはな。」

 

「貴様!何をする気だ!!」

 

「そこ。」

 

「グッ!?」

 

タンムズはアイズと戦っていたが突然現れたシエンの竜巻に気を取られて余所見をしてそこにアイズの一撃が入ってよろめいた。

 

シエンはタンムズに分かりやすいようにイシュタルを見ずに手の平を向けてバックパックにある【トロン】に精神力を注ぎ込んで発動準備を終わらせる。

 

「まさか!?」

 

「オイオイオイオイ!?シャレにならねぇぞ、それは!!」

 

「ウフフフ・・・」

 

「クソ!?イシュタル様!!」

 

タンムズはシエンが神殺しを行おうとしているに気が付いた。タンムズはアイズの事を忘れ、イシュタルを救うべく観客席へと走り出した。

 

「まあ、()()()()()()。」

 

シエンは言葉を濁して雷の槍をイシュタルへと放った。タンムズは観客席に行くことが間に合わずイシュタルは殺されてしまうだろう。

 

「戻れタンムズ!!【嘘】だ!ヤツは嘘を付いている!!ヤツの狙いは・・・」

 

自分に向かってくる雷の槍に怯えながらもタンムズにシエンの狙いが自分はない事を伝える。そう、本当の狙いは。

 

「【ミラーバリア】」

 

シエンはイシュタルに放った雷の槍の前に障壁を展開して槍が当たると威力が上がり向きを変えてタンムズの方へと跳ね返した。

タンムズは突然向きを変えて襲いかかってきた雷の槍にどうすることもできず身体を貫かれた。

 

「なに!?」

 

「防御だけじゃない・・・【魔法】を反射するなんて・・・」

 

「ええ、見た感じ槍がさっきより大きくなっていた。つまり威力が上がっているということ。」

 

「これはこれは、えげつない。このヘルメスが名付けるとしたら【魔導士殺し(マジックスレイヤー)】といったところかな。」

 

「せ、戦闘続行不可能と判断して試合を終了させます!勝者【剣姫】!!」

 

審判によって試合は終了した。しかしアイズは納得いかないような顔をしていた。

 

「・・・私、全然戦ってない。」

 

「わ、悪かったって、後でジャガ丸君買ってあげるからそれで勘弁してくれ・・・」

 

「・・・なら、いい。」

 

「ホッ・・・(いいのか・・・やっぱちょろいわアイズ。)」

 

「何か言った?」

 

「なんでもないよー。さてと、【万能者】のサンダルを貰おうか。」

 

しばらく闘技場で待つとガネーシャファミリアの団員が壊れたサンダルを持って来た。それをシエンは受け取り闘技場からヘルメスファミリアがいる観客席の所に行きアスフィに渡した。

 

「はいこれ。」

 

「あ、ありがとうございます。けど、なぜ?」

 

「手放すのを嫌そうにしていたからな。大切なものなんだろう?」

 

「ええ、そうです。このお礼は必ず。」

 

「そういうのはいいから。オレが勝手にやったことだから気にしないでいい。」

 

そう言ってシエンは相手の返事を待たずにその場を離れた。

 

「言っただろう、アスフィ。なんとかなるって。」

 

ヘルメスはニヤニヤしながらアスフィに言った。

 

「(【ファヴニール】、シエンですか。私は借りはちゃんと返す主義なんです。いつか必ず返させてもらいますよ。)」

 

今のアスフィは離れていくシエンを見てそう思うのだった。




来週からは更新頻度が落ちます(確定)

今回の戦いはシエンの人間らしさを出しています。シエンはモンスターではないというアピールですがどう見ても危険人物です。
相手は格上だから殺されるかもしれないし、しょうがないね。

ドーピングはFE世界にある【速さの薬】です。

【魔導士殺し】のルビはソーサラーイーターにしようと思ったけどなんか違う気がしてボツ。

魔導士の英訳はソーサラーなんですけどね。

これにて大会編終了です。ベート(14才または15才)とかでるかなと期待していた方はごめんなさい。好青年ベート君はイメージできなかったです。
ベート君は大会には出ずにガネーシャファミリアの警備に協力していました。
優勝はアリーゼで準優勝がリュー、3位が輝夜になりました。
アイズは次の試合にリューと当たり敗北。

大会でのシエンの装備
4冊の魔道書
【エルファイアー】
【エルウインド】
シエン専用【トロン】
【リザイア】相手に黒い霧をぶつけてダメージを与えてそのダメージを与えた分体力と精神力を回復する。【神秘】によって精神汚染をしない物を作成に成功。
モンスターに使った場合はどうなるかわからないため使用していない。
え?【屍兵】相手に使いまくってた?・・・仕様です。

四本の杖
【リライブ】回復の杖
【リブロー】遠距離回復可能の杖
【レスキュー】転移魔法、遠くにいる仲間を使用者の付近に転移させる。イレギュラーが起きた時の為に装備
覚醒をプレイして簡単にお店で購入できたのは個人的にヤバイと思った。
【サイレス】魔法の使用不可、魔導士対策

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