イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
怪物祭 どこかの喫茶店
「そんでどんな男を狙っとんのや」
「うふふ、1人は透明な色をした魂を持つ子、もう1人の子は色んな色を混ぜ合わせて出来た黒。けど、その黒色の子の輝きは少しばかり濁っていてちょっと愛してあげたくなるわね」
「オラァ!【ファイアー】乱れ打ちィ!!」
【ファイアー】の魔道書に精神力を流し込み、多数の魔法陣を発生させて目の前にいるモンスターの群れに目掛けて発射する。
『ギィヤァァァァアアア!??』
「ス、スゴイ・・・」
時間は午前7時、豊饒の女主人によってシルにバスケットを返してから急いでダンジョンに入り現在は6階層にて大暴れしている。店に寄った際にベルが昼のご飯をシルから貰った事にイラついて大暴れしているわけではない、決して。
「時間は昼までと決めているんだ。まだだ、まだまだいける!!」
「お、落ち着いて!」
「オラァアアアアアアアア!!!【トロン】!!」
【トロン】の魔道書にも同じ事をして縦50Cの雷の槍を生み出して発射する。
この魔法は貫通力が高く、高い攻撃力を持つ。一直線に走った雷の槍はモンスター達を貫いてモンスターは魔石を残して黒い灰となって消滅した。雷の槍はそのままダンジョンの壁に突き刺さり壁に穴を開けた。
「ふぃ〜、爽快!」
「や、やりすぎじゃない・・・?通りかかった人にそれが当たったら大変なことになるんじゃあ・・・」
ベルは初めて【トロン】を見て頼もしく思ったがもしこれが冒険者に当たったらどうなるかを想像して冷や汗をかいた。
「当たったら?そりゃあ、身体に穴が空くな」
「ヒッ!?」
「だが、この階層では【トロン】はオーバーキルだな。【ファイアー】で充分だ。さ、またモンスターを探しに行くぞ、ベル」
「う、うん」
オレ達は昼になるまでにダンジョンで暴れまわった。ヘスティアのドレスの代金は足りるかなぁ・・・
「6階層!?ベル君にシエンさん!この間3階層でイレギュラーがあったとはいえ死にかけたっていうのに、何やっているんですか!?」
ギルド本部にて魔石の換金をしたらそれなりに稼ぐことが出来た。しかし、稼いだ金額をエイナに怪しまれて問い詰められて6階層に行ったことがバレた。どうやら午前中で稼ぐには3階層ではあり得ない額だったらしい。オレとしたことが・・・
「ご、ごめんなさいッッ!!」
「すまんなエイナ!ちょっと急いでいるんでお説教はまた今度な!」
「あ、コラ!二人共待ちなさーい!!」
これからヘスティアのドレスを買いに行くのでオレとベルは逃げる様にギルド本部から抜け出した。今度エイナに会うときが怖いぞ・・・
「まったくもう、今度会ったらうんといってやるんだから」
あっという間にギルド本部から逃げ出した白黒コンビに溜息を吐くエイナ。そんなエイナに同僚のミィシャが話しかけた。
「どうしたのエイナ〜。大声出していたけど」
「あ、うん。ちょっとあの二人がね・・・」
エイナはミィシャに先ほどにあったことを話した。
「へぇ!凄いじゃん!冒険者になって半月ほどで6階層まで行ったなんて私、今まで聞いたことがないよ!」
「私も聞いたことがないよ・・・それに見てこのドロップアイテム」
「え?これって・・・【ウォーシャドウの指刃】!?それにこんなにたくさん・・・どうやってやったんだろう・・・」
「それは私が聞きたいよ・・・」
新米冒険者にはあり得ない速度でのダンジョン攻略を行う白黒コンビに担当アドバイザーであるエイナは頭を抱えるのだった。
ギルド本部から逃げ出してホームに戻りヘスティアと合流して北のメインストリートへと向かう。ヘスティアによるとそこはいろんな種族の服が売っているらしくそこでドレスを決めるようだ。
「うーん、どれにしようかな〜。ベル君、どれが良いかな?」
「え!?えーと、これとかどうですか?」
「決まったら言ってくれよな〜zzz」
オレは朝早くに起きて張り切って金稼ぎを頑張ったからか疲れで眠気が襲いかかってきた。店の中にある椅子に座るとすぐさま眠りについた。
「シエン、ほら起きて。神様のドレスが決まったよ」
「んあ?お〜、決まったか〜」
「全くもう、レディが服を選んでいる時に眠るって、キミってヤツは・・・」
「悪かったって、頑張って稼いでたんだから許してくれ。それで、ドレスは・・・よく似合ってるな。流石は女神様だ」
ヘスティアのドレスは黒の布地で豊満な胸を自慢するかのように胸元をさらしている物だった。ヘスティアが着ているからか嫌味に感じない、なんというかよく似合っていた。
ドレスの代金を払い店を出た。所持金はほとんど使う羽目になったが、まあしょうがないだろう。
「二人共、本当にありがとう!じゃあボク、パーティーに行ってくるよ。それと前にも言ったけど帰ってくるのはちょっと遅くなるかもだからホームのこと頼んだよ!!」
「はい、分かりました。神様、楽しんできてくださいね!」
「他の神様からなにか良い情報を聞き出してくれよな〜」
ヘスティアはパーティ会場へ向かっていった。時間はまだ昼の中頃、ホームに戻って他の杖と魔道書の研究をするとしますかね・・・
ガネーシャファミリアのホーム 【アイアム・ガネーシャ】
「ふー、ついたついた。ゲェッ!?ここをくぐるのかい・・・悪趣味だなぁ」
へスティアはベル達と別れてパーティ会場にたどり着き、中に入ろうとしたが会場の入り口はガネーシャ像の股間だったので嫌々ながらも中に入った。
会場の中には多くの神々がいて食事を食べながら各々談笑していた。ヘスティアも滅多に食べられない豪華な料理を無心に貪っていた。日持ちしそうなものを持ち帰りたかったがドレスでタッパーを持ち歩いて帰るところはないだろうと思い留まり使わなかった。
「うんまぁああああい!?ベル君達にも食べさせてやりたいなぁ・・・」
「なにやってんのよ、あんた・・・」
振り向くとそこには紅い髪と真紅のドレスを着ている右眼に大きな眼帯をしている親友のヘファイストスがいた。
「ヘファイストス!やっぱり来ていたんだね、今日来て正解だったよ」
「なに?いっとくけどもうお金は貸さないからね」
ヘスティアが友神の所でニートライフをしていたのがこの女神の所だった。ヘスティアには散々苦労をかけさせられていた。
「ふっふーん!それならもう大丈夫さ!今までは何度も助けてもらったけど今はそのおかげで何とかやっていけている!親友の懐を食いあさる真似なんかするもんか!」
「ドレスも着れているくらいだし、まあ、そのようね」
「あら?ヘスティアじゃない、お久しぶりね」
「キミは・・・フレイヤ!?」
ヘファイストスと話していると銀髪の美の女神、フレイヤが会話に混じってきた。ヘスティアはこの女神が食えない性格をしているため少し苦手だ。
「キミも来ていたのかい?珍しいね」
「たまには顔を出しておかないとね、ヘスティアのドレスとても似合っているわよ」
「えへへ、ありがとう。ボクの眷属の子が選んでくれたものなんだ。ボクは私服でもいいっていったんだけど馬鹿にされるからダメだって言われてね」
「へえ、親想いのいい子なのね」
「うん、本当にいい子達なんだよ!」
「子達って事はもう一人増えたって事かしら。前についに一人目の眷属が出来たー!って喜んで自慢しに来たのを覚えているけど」
「うん、最初はベル君で二人目がシエン君だよ。毎日頑張ってダンジョン探索をしているんだ」
「・・・へぇ、そうなの」
ヘスティアが自分の大切な眷属の事を二人に自慢していたが話の区切りができた所でフレイヤは用事を終えたのか去って行った。その後に二人で他の神々に会いに行き話し合ったりした。その時に遭遇したロキとは一悶着があったが。
「さてそろそろ帰ろうかしら」
帰ろうとし始めたヘファイストスにヘスティアは本来の目的を果たすために覚悟を決めて友人に話しかけた。
「あの、そのぉ・・・ヘファイストスに頼みたいことがあるんだけど・・・」
「・・・また頼み事?さっき言ったことは何だったのかしら?」
「ウグッ!?」
このままでは親友との関係は最悪になってしまうかもしれない。しかし、これからも頑張っていく2人のためにも臆するわけにはいかなくて親友の目を逸らさずに真っ直ぐ向き合い言い放つ。
今までとは違った様子にヘファイストスは事情を聞くぐらいはしようと思った。
「・・・一応聞いてあげるわ。なにを私に頼むのかしら?」
「2人に武器や防具を作って欲しいんだ!!」
ヘスティアがパーティに行ってから2日経ったがまだ帰ってこない。オレとベルはいつもの様にダンジョン探索をしている。
エイナのお説教から逃げ出した次の日にエイナにギルドで会ったのだが妙に忙しいそうでお説教はしばらく後ということになった。事情を聞くとなにやら怪物祭とやらを開催するらしくそれの準備で忙しいそうだ。
調べたところ怪物祭とは【ガネーシャ・ファミリア】主催の催しで東にある闘技場にダンジョンから連れてきたモンスターを放ち調教するのだそうだ。
調教というのは素質に依るところも大きいようだがモンスターに自分のことを格上だと認識させて従順にさせてしまうことだそうだ。
「ふーむ、なるほどオラリオの領民の不満のガス抜きといったところか。だがどんな風にやるかは興味があるな」
「シエン、明日はどうする?僕、こういうお祭りは初めてだからその・・・」
どうやらベルはお祭りに行ってみたいようだ。モンスターの調教する所とかも見てみたいし行ってみようかな。
「そうだな、たまには気分転換のためにも・・・行くか怪物祭に!」
「うん!行こう!」
次の日
昨日もヘスティアは帰ってこなかった。神の恩恵はまだあるみたいなのでヘスティアが天界に帰ってしまったということはないようだが心配だ。【神の宴】とやらはもう終わっているようだからどこか知らないところに行っているのだろう。
仲間の居場所をすぐに分かる手段が欲しくなるな、レノアさんの店に売ってた魔宝石の魔素を覚えてスキルで辿るって方法が使えそうだ。これなら【魔力】を持っていなくたって見つけることが出来る。よし、次は魔宝石を入手するために金稼ぎと節約をしよう!節約は今日は祭りなのでナシだ!
西メインストリートを歩いていて闘技場に向かっていると猫人に呼び止められた。
「おーい、待つニャ!そこの白黒頭ー!」
声をかけてきたのは豊饒の女主人の店員さんだった。
「おはようございます、ニャ。ちょっとお願い事があるのニャ」
「何ですか?」
「はいこれニャ、シルのお財布。これを怪物祭に行ったシルに渡して欲しいのニャ」
「えっ、シルさんは今日はお店の仕事はお休みですか?」
「ええ、そうです。お二人共、それで申し訳ないのですがシルにその財布を渡してはもらえないでしょうか?」
今度はエルフさんが現れて頼まれた。ちょうどオレ達も怪物祭に行くし問題はなさそうだ、ただ見つけられるかどうかは別として・・・
「わかりました!」
「了解、会えるかどうかは分からないけど任された」
「「よろしくお願いします(ニャ)」」
予想外の依頼を頼まれながらもオレ達は東メインストリートにある闘技場に向かって移動を始めた。
「うわぁ・・・」
「うーむ、こんなに人が多いとシルを見つけられるのか?」
闘技場に向けて歩いていくと大勢の一般客がいた。多すぎてシルを見つけることは出来るのだろうか。
「ねぇ、シエン。二手に分かれて探そうよ。一緒に探すよりもそっちの方が早く見つかるかもしれないし」
「そうだな、見つかったら闘技場に向かうことにしよう」
ベルからの提案で別々に探すことになった。早く見つけないと闘技場での見世物が終わってしまうな。キョロキョロと首を振り周りを見渡していると誰かに激突した。
「あいたッ!?」
「おっと、すまん・・・ってヘスティアじゃないか。どこ行ってたんだ?」
ぶつかった相手はヘスティアだった。格好はいつもの私服だったのでどうやらホームに戻って着替えたようだ。
「あ、シエン君!あー、ちょっと寄り道をしていたのさ。でも良いものを持ってきたぜ、ほらこれ!」
どこに行っていたのかは誤魔化されたがヘスティアはオレに黒色の防具【バンブレーズ】を渡してきた。(肘から手首までを守る鎧)
オレが触れた途端に胎動するように紫紺の輝きを放つ。その光でなにやら【神聖文字】に似た刻印を見つけた。えーと?ヘファイ、スト、ス・・・マジか!?あの武器や防具で有名なヘファイストスファミリアが作った防具かコレッ!?
「おい、ヘスティア。これは・・・」
「これはね、ボクからの贈り物さ。なにも出来なくていつも帰ってくる君達を待っているだけじゃ嫌だから、だからボクも君達の力になりたいんだ」
このパンブレーズはヘスティアが言うにはヘスティアの【神聖文字】が刻まれているらしく【ステイタス】が発生している。つまり生きている防具で装備者が獲得した【経験値】を糧にすることでこの防具も進化していくらしい。
・・・ヤバくないかこの防具、オレが強くなればこの防具も強くなっていくし進化って一体どんな成長をするのか楽しみだ。
でも待てよ、こんな凄い防具を買えるほどオレ達には金はないのだが・・・
「ヘスティア、オレ達の為にこんな凄いものをくれてありがとう」
「ふふーん!まあね!「幾らだ?」・・・え?」
「これを買う為には幾らかかったんだ?オレだけに買ったと言うことはないだろう、ベルにもまた別の物を用意しているはずだ。いったい幾らかかったんだ?しばらく、いや、永遠に貧乏生活になることになったんじゃ・・・」
「あ、いや、その・・・これはボクが背負うべき借金だ!君達の手を借りないさ、何十年、何百年経ったって返してみせる!」
値段は言ってはくれなかったがやはりとんでもない値段のようだ。何百年って・・・どんだけ高かったんだこれは・・・値段を知りたいが知らない方がいいような気がした。取り敢えず左腕に装備はしておこう。
この後ヘスティアはベルにも何かを渡す為にベルを探しに行った。
オレは単独でシルを探しているが未だに見つけることはできていなかった。もしかしたらベルの方が先に見つけて闘技場にいるかもしれないと思い闘技場へ向けて歩き始めたら辺りが悲鳴や騒ぎ声が聞こえてきた。
「モンスターだぁぁぁぁぁああ!?」
「いやぁぁぁぁぁ!?」
「パパ、ママ!どこにいるの!?うえーん!!」
「何故だ!?なぜ脱走しているんだ!?なにがどうなっているんだ!?」
オイオイオイ、冗談じゃないぞ・・・モンスターの脱走とかシャレにならない。
なにが起きているのか事情を知る為にギルド職員とガネーシャファミリアの眷属の人を探して聞くとどうやらモンスターが脱走してめちゃくちゃに暴れているらしい。
逃げたモンスターはソードスタッグ、トロール、シルバーバックだ。
エイナの勉強会にて知っているモンスターはシルバーバックだけだ。その他の2匹は知らないという事は上層に出てくるモンスターではないという事。
つまり中層や下層クラスの強さを持ったモンスターということになる。
よし、逃げよう!かないっこない!ベル達と会ってすぐにここから離れなければ!
「ベルー!!ヘスティアー!!あとシルー!どこにいるんだー!!」
東メインストリート付近を走り回ってベル達を探しているがまるで見つからない。あちこちの建物が潰れていたりしていて明らかにモンスターの仕業だと思える。ここら辺にモンスターがいたということ、くそッさっさと逃げてェ!!
「ブルルッ!」
「うえーん!パパ、ママァ!!」
「マジかよ・・・」
探していると小さな子供と角が曲刀のような形をした物が二つ生えている鹿のようなモンスターと遭遇した。これがソードスタッグって奴か!
よりにもよってオレが遭遇してしまうのか!?ちくしょう・・・
「うえーん!うえーん!だずげでぇ!!」
「ッ!!」
子供はオレに助けを求めてくるのだがこんなの勝てないぞ!?
どこかの屋根の上
「ウフフ、好きな子にちょっかいをかけたくなるのは男だけではないわ。さあ見せて頂戴、貴方達の今持っている力を・・・輝かせなさいその魂を・・・」
美の女神フレイヤはこれから起きるであろう出来事に体を震わせた。
「ブルゥ!!」
「【ミラーバリア】!・・・グッ!?」
ソードスタッグは子供に向けて突撃をすることで命を奪おうとするがそこはシエンが透明の障壁を張ることで防ごうとするが勢いを少し殺すだけであっさり破壊される。再び子供に危機が迫る。
「【ミラーバリア】!【ミラーバリア】!【ミラーバリア】!【ミラーバリアー!!】」
「ブルゥ!?」
1つ張るだけで破壊されるのならば何枚も展開することで子供の目の前でソードスタッグの角がバリアに刺さったままになり身動きが取れなくなる。
シエンは戦えなくはないと少しばかり安心した。
「おい!そこの子供!早くこっちに来い!はやく!!」
「ヒック、ヒック・・・うえええん!」
「・・・くそ!しょうがねえ!」
シエンは泣いてばかりの子供を抱えて逃げる為に子供に近づいた。しかし近づいて来たシエンにソードスタッグは視線を向けて邪魔をする者を粉砕するべく足に力を込めてバリアからツノを引き抜き、シエンに向けてツノを向けて突撃する。
「オラァ!」
シエンは【ファイアー】を複数放ち、ソードスタッグにダメージを与えようとするがソードスタッグは鹿のような姿をしているだけに素早く全てかわし接近する。
「(ヤバイ!?)くッ!?・・・ッッ!??」
迫る角に左腕のバンブレーズで突撃を受け流し身体を右に逸らした。しかし相手の力が強すぎて防具は無事であったが腕の方が衝撃に耐えきれず左腕の骨が折れる嫌な音がした。左腕に力が入らない・・・
モンスターに背を向ける形で子供のところまで走り辿り着いた。モンスターが弾丸のようにまっすぐ突っ込んで迫ってくるッ!!
「おい!大丈夫か!?」
「た、助けて!」
「オレが助けてほしいよ!だかやるっきゃねえ!!」
シエンは【魔力】を高めると怪我をしたことで【復讐】が発動する、身体から黒紫色の【魔力】が吹き荒れる。そして目から口からは赤紫色の【魔力】が噴き出した。見た目は黒紫色の人型でウォーシャドウに似ているが禍々しさは段違いだ。
「あ、あくま・・・?」
子供は見て正直な感想を述べた。シエンはこっちの世界でも悪魔呼ばわりされて若干苦笑しながらも迫るソードスタッグを見つめ【トロン】の魔道書に精神力を注ぎ込み黄色の魔道書は【復讐】の影響からか紫色に輝き出す。
「ブルゥ!!」
シエンの姿は少し変わったが構わずに突撃を続けるソードスタッグ、再び蹴散らすために接近する。
「【ミラーバリア】!」
「ブルゥ!?」
再び張られた障壁に突撃を止められ驚愕するソードスタッグ、【復讐】の効果は【魔法】の威力を高めるものでバリアの強度も上がっていたのだ。
「【ミラーバリア】!【ミラーバリア】!」
シエンは再び障壁をモンスターの左右に張った。上から見るとコの形になる。
そして形を変形して口の形にして上に跳んで逃げられないようにドーム状にした。
「トドメだァ!!【トロン】!!」
ソードスタッグの目の前のバリアの下側を変形させて穴を作り紫電を撒き散らす紫色の雷の槍を穴に向かって発射した。下側に撃っても地面に穴を開けるだけで意味がないがシエンはここでもう一工夫をした。
「【ミラーバリア】!」
シエンは地面の上にバリアを展開してそこに雷の槍を当てて威力を上昇させつつ向きを変えソードスタッグの腹下からぶち当てた。
「ピィィィィー!??」
周りに障壁が展開されて身動きを取ることができず雷の槍が直撃して腹下から背中に大穴出来上がった。反射して威力の上がった槍はドームを破壊して空高くへと登り、雲を穿った。
胸の中にある魔石を失ったモンスターは例外なく生き絶える。ソードスタッグも同様に消滅した。
そこには黒い灰とドロップアイテムの【ソードスタッグのツノ】が落ちていた。
「へへ、なんだよ・・・やれば出来るじゃねえか」
膨大な精神力を消費したシエンは黒紫色の【魔力】を抑えて腰を落として座り込んだ。
「あ、助けてくれてありがと。お兄ちゃん!」
「無事か?両親のところに行きたいだろうけどちょっと待ってな。もう少し待ったらさっきの空に行った【魔法】を見て誰か来るはずだ。」
シエンの言葉通りしばらく待つとゾウの仮面を被ったガネーシャファミリアの冒険者が複数やって来てシエンは事情を話して子供は両親のところに連れていってもらえることになった。
「もうはぐれたりするんじゃないぞ。元気で」
「うん!じゃあねー!ありがとー!」
泣きべそをかいていた子供は泣き止んでシエンに礼を言って去って行った。
オレもあの子供も無事でめでたしめでたし・・・と思ったがベル達のことを忘れていた。
慌てて2人の事を聞いてみるとベルとヘスティアはシルバーバックに遭遇して無事ベルが倒して帰っていったそうだった。
二人が無事で安堵したオレは折れた左腕を気にしつつ東のメインストリートを後にした。やれやれ、破茶滅茶な怪物祭だったな・・・
トロンが雲を穿ったとき
「ウフフ、良いわ、とても良い。魂の輝きが増して、濁りが消えていっているわね。また遊びましょう・・・ベル、シエン」
防具
【ヘスティア・バンブレーズ】
肘から手首までを守る鎧。【神聖文字】を刻んで【ステイタス】が発生している防具。
装備者が獲得した【経験値】を糧に成長、進化していく。
防具と同じヘスティアの恩恵を授かったものにしか使いこなせない(つまりベルも使用可能)
現状の防具の能力
・装備中【魔力】が高ければ高いほど強度を増す
・装備中【魔法】の威力上昇
ソードスタッグを倒す前のシエンのステイタス
シエン
Lv.1
力 :I0
耐久 :H120
器用 :S989
敏捷 :I89
魔力 :SS1084