イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか?   作:カルビン8

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ダンジョン24階層

アスフィ達はダンジョンの食料庫にて激戦が繰り広げていた。
敵は死んだはずの人間に蛇のような図体をして頭が花のようになっている新種のモンスター。
アスフィ達のパーティよりも個人の強さよりも上であるがそこはアスフィの指揮と団員達の連携でなんとか対応をする事ができていた。

「やれ、ヴィスクム!ひたすら産み続けるのだ!!」

「!!」

しかし新種のモンスターよりも巨大なモンスターがひたすらに新種のモンスターを産み続ける事により状況は悪くなる一方だった。
仲間達は傷付き倒れそうになるがアスフィはシエンに作ってもらった杖の数々を使いこなし治療して仲間達を奮い立たせていた。
新種のモンスターは【魔法】や【魔力】に反応して襲いかかってくるが三年前の出来事に比べれば大したことになかったが数が数だけに厄介だった。

「私を守ってください!私の魔法で全て倒します!!」

【千の妖精】と呼ばれるエルフが吠えた。この場は彼女の魔法で切り抜けるしかないとアスフィはシエンから受け取った杖を握りしめて覚悟を決めた。

「全員【千の妖精】のもとへ!彼女に全てを委ねます!そしてこの先誰一人死ぬことを許しません。さあ、戦局を変えますよ!」



秘密は思わぬところでバレるもの

「ふあぁ〜、眠り足りね〜」

 

アスフィの依頼を終えてホームに戻って眠り、次の日起きた時には昼頃になっていた。ホームにはシエン以外誰もいない。

かなり無理をして魔道具を作っていたので気だるさは今はないが無理をせず今日はホームから出ないことにしたので再び実験をする事になる。

昨日アスフィから貰った魔道具を試すのに丁度いいだろう。

 

「えーと、血をペン先につけてっと・・・おお!本当にインクの代わりになってる!?」

 

早速羽ペンの使い心地を確かめてみるとアスフィが作っているだけに高性能だった。普通のインクでは精神力が馴染みにくかったがオレの血をインクの代わりに使うのなら精神力はよく馴染むのだろう。これは性能のいい魔道書が出来そうでかなり期待ができる。

紙の方はもう少し魔道書を書く練度を上げてから使おう。足りなくなったらアスフィに頼んで買うかな。

あ、今は金がないんだった・・・よし、ダンジョンに行こう。ほどほどの階層までならオレでも行ける。

 

 

 

「いや〜ホントに死ぬかと思ったよ。レフィーヤ、あの時魔法をぶっ放して蹴散らしてくれてありがとな!」

 

「いえ、皆さんが守ってくれたおかげです」

 

アスフィ達は依頼を終えてダンジョンの上層まで上がって来ていた。依頼の途中に援軍としてロキファミリアとデュオニュソスファミリアの眷属達がやってきたおかげで全員無事だった。

 

「それよりもアスフィさんが持っていた杖の方が凄かったですよ。無詠唱であれほど強力な回復魔法を出来るなんて私は聞いたことがありません」

 

「うん、すごかった」

 

アスフィは魔法を持っているのだが戦闘では使う事があまりなく【魔力】は持ち腐れとなっていたがシエンの魔道具を使うのならば無駄にはならないのでこれにより戦場で新たな活躍が期待できるだろう。

 

「だよな!これを売ったらとんでもない値段になるってアスフィが言ってたんだけど作った奴が悪目立ちはしたくないって止められてるんだよな〜」

 

「いったいどんな人なんでしょうね、フィルヴィスさん」

 

「さあな。まあ、こんな物を作れるような奴の居場所がバレたらロクでもない冒険者や神々がやって来る事は目に見えている」

 

「た、確かに。けど遠征の時にも使えると思いますから何本か作ってもらいたいからどんな人か知っておきたいです」

 

「うーん、アスフィ?」

 

「ダメですよルルネ。約束です」

 

「だってさ、悪いなレフィーヤ」

 

「ですよね・・・」

 

なんて雑談しながらアスフィ達はダンジョンの上層を歩いているととあるルームにて真っ黒のマントを着ている人物に遭遇した。

その男は左腕に防具を装備していて左手に杖を持ち、右手には赤色の魔道書を持ってモンスターと戦っていた。ちなみに今いる階層は9階層だ。

 

「あれは・・・アスフィさんが持っている杖と似ている・・・」

 

「あの野郎は・・・真っ黒野郎じゃねぇか。なんであいつがこの階層にいるんだ?」

 

シエンは出てきたモンスター達に対して引けを取らず、魔道書を使い魔法陣を複数展開してそこから火球を発射した。

発生の速すぎる魔法に対処出来ずにモンスター達は一瞬にして燃え尽き魔石を残して消滅した。

 

「・・・速い」

 

「あ、あの人詠唱してないですよ!?どうなっているんですか!?」

 

「レフィーヤ、落ち着け。先程あの本が赤く光ったのが見えた。それが詠唱の代わりなのだろう」

 

「・・・チッ!(あの真っ黒野郎の匂いはヘルメスファミリアの女が持つ杖や水晶にこびり付いて匂いと全く同じ。・・・つまりあの野郎がこれを作ったというわけか。いったいどんな力を持ってやがんだ?)」

 

ベートは【神の恩恵】により4段階強化された嗅覚でシエンが杖の作った人物だと察した。

彼女達の声が聞こえたのかシエンはそちらに振り向き声を掛けた。

 

「お、アスフィじゃないか!前に言っていた厄介ごとは終わったのか?」

 

「ええ、終わりましたよ。全員無事です」

 

「それは良かったな。・・・なんか他のファミリアの人らもいるみたいだけど・・・これは黙っておいたほうがいいのか?」

 

「そうですね、ギルドの方でも情報規制をしていたので迂闊に喋らないほうがよろしいかと」

 

「ひえ〜怖い怖い。やれやれ、オレも巻き込まれてしまったのかもなぁ。・・・さてキリがいいしオレもそろそろダンジョンから出ようかな。同行させてもらっても?」

 

「ええ、構いませんよ」

 

アスフィとシエンは話し合いをしながらダンジョンを歩いていく。ダンジョンで必要な物やこんな物があったらいいなど互いにアイデアを出していきメモを取っている。そして出てくるモンスターも瞬殺していった。

 

「ルルネさん、あの二人仲が良さそうですね」

 

「私もそう思うぜ。アスフィはいっつも気難しそうな顔をしているけどアイツと喋ってる時はなんかこう表情が柔らかいんだ。いつもこうだったらなぁ〜」

 

「だったら私に余計な面倒ごとを押し付けないでくださいね、ル・ル・ネ?」

 

「ハ、ハイ・・・」

 

「ハハハ、いやルルネがどうにかなってもヘルメスがいるから無理だろうなあ」

 

「ハァ、もうやだぁ・・・」

 

ケタケタ笑いながらも非情な現実を叩きつけていくシエンに溜息と弱音を吐くアスフィ。

 

その後ダンジョンを出て、アスフィ達と黒い髪のエルフは自分達のホームへと帰って行った。オレも帰ろうかとした時に

 

「おい、真っ黒野郎」

 

「え?真っ黒?あ、オレか」

 

「あの杖はテメェが作ったんだろ?そいつらだけでなくウチにも回してくんねーか?」

 

「なぜオレが作ったと思ったんだ?」

 

「オレの鼻の良さを舐めんなよ。杖についている魔宝石にはテメェの匂いがこびり付いてんだ。誤魔化そうとしても無駄だ」

 

前に罵倒してきた人物が話しかけてきた。ギルドにて誰かを調べたのでようやく分かった。

名前はベート・ローガ、狼人でロキファミリアのL v.5だ。

調べたところ彼はかなり口が悪く、超実力主義者らしく他のファミリアの冒険者達にも罵倒して喧嘩が起きる事はよくある問題児のようだ。

前に会った時に色々言われて多少は腹が立ったがまあそれは置いておこう。

 

問題はオレが杖を使った事がほぼバレてしまっている事だ。匂いか、急いで必死に作っていたから手汗とか付いていたんだろう。匂い消しとかが必要か、今度からは気をつけよう。

 

材料をオレに持ってくる事や他の人にバラさない事などなどを条件にした。後はお互いの神様に許可を取ったら契約成立となる事になった。

都市最大派閥のロキファミリアと交流できるのはウチみたいな弱小ファミリアにとっては非常にありがたい。ベルも【剣姫】さんに会いやすくなるし遠征についていく事ができたり、オレ達の知らないような情報もたくさん手に入る。

ただ問題はもし契約が公になるとロキファミリアの敵対している派閥に狙われることになってしまうし、オレがロキファミリアに引き抜かれてしまうかもしれないことだ。

トリックスターと言われる神ロキの事だ、油断はならない。そこら辺はヘスティアにお任せだな。・・・大丈夫だよな?

 

 

 

「おかえりぃ、三人共。よう無事やったなぁ。で、どうだったんや?24階層の事」

 

アイズ達はアスフィ達と別れてホームに戻り24階層で何があったのかを応接間にて三人はロキに話した。

 

「ほーん、そないな事があったんかいな」

 

「はい」

 

「で、その戦いで超便利な魔道具を使ってて、たまたまその作成者を見つけてこれから取引したい・・・か」

 

「ロキ、ダメですか?」

 

「うーん、ええと思うけど。まずその子に話を聞いてみてからやな。んで、ウチに来るように言っといてや」

 

「・・・ああ」

 

三人はロキに許可をもらう事ができた。

あの万能者が使っていた杖は回復に優れていた杖だった。しかもまだ使っていない種類もあってそれもおそらくも凄まじい効果を持ったものなのだろう。

それがロキファミリアでも使用する事ができれば遠征での危険も少しばかりは減るはずだ。

その子供の主神はロキの気に入らない神ではあるが愛する自分の子供達の安全のためならばそんな事はロキにとっては些細な事だった。

 

「さて、いったいどんな代物なんやろなぁ。ワクワクしてきたで!」

 

ヘスティアファミリア

 

「ロキの所にバレてしまったか・・・」

 

「すまん、匂いでバレるなんて思わなかった」

 

「いや、バレてしまったらしょうがないよ。問題はどうするかだよね、シエン君」

 

場所はシエン達のホーム、シエンはヘスティアと戻ってきたベルにバレてしまった事を話し相談していた。

 

「この機会に繋がりを持つ事が大事だと思う。なにせ相手は最大派閥だ、かなりの利があるはずだ。悪くないと思うしそもそも見逃してくれると思うか?」

 

「確かにロキだったら絶対に『だったらこの魔道具の事を他の神々にバラす』とか言いそうだ・・・完全に詰んでるね」

 

「シエン、どうするの?」

 

「多分相手から訪ねに来るだろうからその間にいくつか魔道具を作っておくか。魔道書は・・・持っていかない事にしよう。もし対立した時に使われたらとんでもない脅威になる。いや杖だけでも十分にヤバいんだけどな・・・」

 

バレた事によりこの先、ずっと魔道具を作る羽目になる未来が見えてシエンはため息を吐くのだった。




ダンまち15巻を買いました。
激アツなバトルもいいですが日常編もいいものですね〜
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