イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
「英雄ってどういう事、シエン!?」
「オレがヘルメスに聞きたいぞ・・・なんでオレが英雄なんだよ。あの野郎、色々言いふらしてんじゃないだろうな」
「あ〜、ヘルメスならあり得るだろうね」
「せやな。せやけど自分、ミノタウロスにやられたって聞いたからL v.1かL v.2やろ?それなのにヘルメスに英雄呼ばわりは変な感じやな」
ロキ達はシエンがこちらに来て弱体化しているのを知らないのでとてもじゃないがロキ達からしてみて英雄と呼ばれるくらいに強そうに見えなかった。
しかし力を隠している場合もある。アイズからの情報でスキルをたくさん持っているようなので油断はならない人物という評価になった。
「この話はもういいですよね?それよりも商談の方はどうなったんですか?」
シエンはこの話を嫌がったのか話題を変えようとした。
「ふふふ、激論を終えて無事依頼料7000万ヴァリスをいただく事になったのだ!」
「うえええええッッ!?本当ですか神様!?」
「物凄い金額だけど、どうやって持ち帰るつもりなんだ?小分けにしてロキファミリアを往復しても怪しまれるし、オレ達は金狂いのソーマファミリアの奴らに目ェつけられたんじゃなかったのか?」
「うぐッ!」
「なんや、金に目が眩んで何も考えとらんかったんか。ハァ、これだからドチビは・・・」
「なんだとッ!?」
なにやら喧嘩になりそうだったのでヘスティアをオレ達が、神ロキを向こうの団員達が止めた。
ヘスティアが頑張って交渉したのに申し訳ないが依頼料はオレ達が持ち歩いても怪しまれないくらいの金額となった。
神ロキは「ボロ儲けやー!」と騒いだが流石に割りに合わないと思ったのか【剣姫】さんがオレ達を鍛えてくれることになった。
アイズはベル達の異常な成長スピードの秘密を知るためというアイズなりの思惑があるのだが目標であり憧れの人であるアイズに修行をつけてもらえることになってベルは大喜びだった。逆にヘスティアは面白くなさそうな顔をしていた。
場所はオラリオを囲む市壁の天辺でそこは立ち入り禁止で誰も来ることはなく人の目にもつかない修行には絶好の場所だという。
修行の時間帯は早朝に決まった。恥ずかしい話ではあるがウチは貧乏なので生計のためにダンジョンに潜らなければならないからだ。
・・・起きられるのかオレ。
ヘスティア達がロキファミリアのホームを出てからロキは幹部を呼び出して緊急会議を開くことになった。勿論会議の内容はシエンについてだ。
「おし、みんな集まったな。ぶっちゃけ、あの子はウチに欲しい。なんやアレ、反則やろ」
ロキは机の上に置いてあるシエンから見本としておいていった杖を見ながら言った。少しずつではあるがシエンのダンジョン探索の様子は噂されつつあった。【魔法】のみを利用してダンジョンを攻略する黒づくめの冒険者がいると。アイズ達に聞いた話では光る本を持って【魔法】を放っていたこともあったようでおそらくそれも作ることが出来るのだと実際にシエンに会ってロキは確信していた。
「ンー、僕は直接会っていないから分からないけどロキがこのファミリアに必要というのであればいいんじゃないかな。リヴェリアはどう思った?」
ロキファミリアの団長、小人族のフィン・ディムナは副団長のハイエルフのリヴェリアに尋ねた。
「・・・そうだな。レノアが興味を示して気に入っているだけのことはあった。回復だけでなくかなり特殊な魔法を発動出来る杖を作ることが出来るみたいでベートが遠征に必要だと言ったのにも納得がいった。彼が少し前の頃の闇派閥にいたらと思うとゾッとするほどだ。敵に回すと厄介になることは間違いない」
オラリオの魔導士で最強ともいわれるリヴェリアが他派閥の魔導士を褒めたことに他の幹部達も興味を持ち出した。
「ほう、リヴェリア、お主がそこまで言うとはのう」
老兵のドワーフ、ガレス・ランドロックが自分の長い顎髭をしごきながら言った。
「それにヘルメスが言うには国の英雄らしいんや」
「英雄!?それ本当なの、ロキ!」
「せやろ、アイズたん」
「はい、ルルネが言っていました」
「うわー!会ってみたかったなー!」
「でも国の英雄と言われるくらいならもっといろんな人に知られているはずなのにそれらしい噂は聞いた事はないわね」
英雄という言葉に激しく反応した人物はアマゾネスの双子姉妹の妹のティオナ・ヒリュテ。逆に冷静に考え違和感を覚えたのは姉のティオネ・ヒリュテ。
「ケッ、英雄だかなんだか知らねェがミノタウロスにやられるくらいの雑魚だ、大した事はねェだろうよ。・・・あの反則じみた杖の事は認めてやるが」
24階層の戦いでベートもシエンの作った杖を持つアスフィにより戦闘中に【リザーブ】による範囲回復魔法による治療を受けていた。
傷付いた仲間達を瞬時に回復させて立て直すこと出来るのは何が起きるかわからない遠征においても非常に重要なことで必要だと感じた。
だからこそあの時声をかけたのだ。
「へぇ、ベート。自分、ミア母ちゃんとこであんだけ馬鹿にしとったんになぁ」
「るせー!」
そう言ってこの話は終わりと言わんばかりにブーツで机に軽くかかとを落とした。
「くくく。ま、ヘルメスにはもうちょっと色々聞いてみないと分からんし、あの子には遠征に行くのに必要なもんを作ってもらう事になってちょくちょく会うことにもなりそうやからそこで仲良くなっていくしかないな。あ、本人は英雄呼ばわりは嫌そうにしとったし、この事は秘密って事で眷属の子らには頼むで」
「わかったー!!」
「絶対に話すわね、このバカ妹は・・・」
次の日
「改めてよろしくね、リリ」
「はい、ベル様!」
中央メインストリートの広場にてベルのサポーターだったリリルカ・アーデとベルがサポーター契約をして一緒にダンジョン探索をする事になった。
オレは魔道具を作る予定ではあったがロキファミリアは今材料集めをしているので今日はまだ材料が届かないそうなのでオレも一緒にダンジョン探索する事になった。またダンジョンに潜れなくなる為少し感覚を取り戻しておかなくては。
「リリルカ・アーデだったな。前に少しあったシエンだ。これからよろしく」
「お久しぶりです、シエン様。リリこそよろしくお願いします!」
「早速ダンジョンに行こうよ。今日は何階層まで行く?」
「オレは単独では9階層まで行けることが分かっているから10、11階層は行けるかもだな」
「なら、10階層にまで行きましょうか。余裕がありそうならば11階層といった感じで行きましょう。ベル様、シエン様よろしくお願いしますよ」
久しぶりに一緒にダンジョン探索をすると以前よりもベルの戦闘での俊敏さが上がっており敵を見つけ次第に襲いかかり反撃をくらいそうになったらすぐさま引く、ヒットアンドアウェイが出来ている。魔石やドロップアイテムはリリが自分の体よりも大きいバッグパックに収納していく。・・・正直オレの出番がない。
11階層に行く前に少し休憩をする事にした。
「ベル、随分と強くなったなぁ。オレの出番がないぜ」
「そうかな?」
「そうですよ!信じられないほどの速さでのダンジョン攻略です。リリも驚いています」
「うまく戦えているのはリリ達がいて安心して戦えるからだよ。僕一人じゃ絶対に無理だよ」
「・・・自分の力に過信していないのならば大丈夫そうだな。さ、行こうか11階層に」
ベル・クラネル
11階層は10階層と同じく霧の立ち込める場所で大型モンスターのオークが出現する。エイナさんによると稀にインファントドラゴンと言われる竜種のモンスターも出現する。
「フッ!」
「ブギャアアア!?」
手に持っている神様のナイフをオークに突き刺して仕留め、次のモンスターに斬りかかる。
インプにゴブリンとニードルラビット、様々なモンスターを倒すことができた。
霧が出ていると周りが見えづらく、リリの身の安全が心配になるけど今日はシエンがいるから大丈夫だ。やっぱり一人で戦っている時と違って安心感が違う。本当に頼もしいや。
「グォォオオオオ!!」
モンスターを倒していると霧の奥から咆哮が聞こえてきた。聞いたこともない雄叫びに僕の体が硬直する、いったいなんだろう?
「ベル様!引きましょう!この咆哮はインファントドラゴンです!!」
インファントドラゴン!?まさか本当に現れるなんて!?
確かレアモンスターの四本足で竜種で上層の主みたいだったはず・・・。前にシルバーバックを倒した事はあったけどエイナさんにはソロで戦って勝てる相手ではないのでインファントドラゴンからは逃げろと言われている。急いでこのルームから出なくちゃ!
「おー、なかなか良い声で鳴いてんじゃねぇか。ちょっと低めの声、おそらく寝てた所を起こされて怒ってるんじゃないのか?」
「・・・え?シエン、わかるの!?」
急いで逃げようとしているとシエンがモンスターの事を気にかけていた。寝ていて起こされた?僕には全然わからなかった。
「さて、こっちでも上手くいくかな?スゥ、〜♪」
そう言ってなんとシエンは突然に歌い出した。シエンは聞いたことのないような歌を歌うと霧の奥にいるであろう主の動きが止まった。そんな馬鹿な!?
そしてズシン、ズシンと足音が遠ざかって行き、ダンジョンは静まり返った。周りに耳をすませると寝息のようなものが聞こえてきた。ほ、本当だ・・・眠ってる。
「よしよし、うまくいったな。さて、起こさないように静かにこのルームから出るぞ」
僕達はインファントドラゴンが眠っているうちにルームから出て10階層に戻った。
「ふぅ、危機一髪でしたね。ベル様」
「うん、本当に。シエンのおかげで助かったよ。それでさっきの歌は何?」
「あの歌か?あれは暴れている竜を大人しくする歌だ。また子竜の子守唄とかにも使われているぞ。ま、ダンジョンにいるモンスターにも効いて良かったよ」
「凄いですシエン様!もしかして調教師だったりしますか?」
「いや違うな。昔、よく竜と触れ合っていてな。世話をしたり飛竜の背中に乗って飛んだりしてたからなんとなく竜の状態がわかってしまうんだ。ま、今回はマグレだよマグレ」
さ、流石はシエン・・・僕達の常識に当てはまらない男だ。
けどシエンの事を知れたような気がする、シエンの育ったイーリス聖王国・・・いったいどんなところなんだろう
相変わらずFEに没頭中なので更新は不安定です。申し訳ありません!