イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか?   作:カルビン8

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シエンとベルが一緒に戦ってる時、全然なくね?
中層編は何とか絡ませたいです・・・

原作を見て間違いを修正しました。

魔法陣→魔法円(マジックサークル)

シエンの魔法を使う時が魔法陣で足元が魔法円、これは間違えそう・・・


絶体絶命

今日の1日特訓が終わり3人で帰宅中だ。外はもう薄暗く星が見えている。

特訓はランクアップしてもオレは結局地面に転がされてばかりだった。ちょっとはマシになるかなと思っていたがそうは甘くはなかった。レベルの差というものは恐ろしいな。

 

「今日は大変だったね、シエン」

 

「そうだな。ベルは今日一回も気絶してないじゃないか。ベルこそよく頑張ったな」

 

「うん、2人ともよく頑張っていたと思う」

 

「・・・!アイズさん、また明日も特訓お願いします!!」

 

「・・・・・」

 

「アイズさん?」

 

ベルが元気よくお願いしたにもかかわらずアイズはベルの方を見ずに前方を見ていた。薄暗く見え辛いが何者かがいる、少し【魔力】を探ってみると所々に【魔力】持っている輩がそれなりにいる。

 

よく周りを見てみるとポール式の魔石街灯が壊されている。これは偶然ではない、間違いなくコイツらはオレ達を襲う気満々だ。

オレは相手にバレないようにいつでも魔道書を発動できるように準備しておく。

 

すると猫耳の生えた男が襲いかかって来た。服装は暗色のインナーに暗色のバイザーで顔を見ることが出来ない。

高すぎる【敏捷】にどうすることもできなくて携えた槍で撃ち抜かれそうになるが真横から伸びたサーベルがそれを防いだ。

アイズが防いでいるうちにオレはベルを連れて後ろに移動を開始する。アイズの邪魔をするわけにはいかない。

すると人家の屋上から四つの影が現れた。どう見ても相手側の増援だった。

アイズと襲撃者の戦いにその四つの影も加わり戦いは激しさを増していった。

あいにくとオレ達が分かるのはぶつかり合った時に飛び散る火花だけであったが。

 

「シエン!アイズさんが!!」

 

「わかってる、だがオレ達では何もできないし邪魔だ。急いでこの場を離れて助けを呼びにいくぞ。そうすれば相手側も正体を知られたくはないはず、必ず退却するさ」

 

「・・・ッ!わかった・・・急ごうシエン!」

 

何もできないという言葉に若干傷付いたベルはすぐさま助けを呼びに行くためにその場を離れようとするがそれをさせないとさっき感じた【魔力】を持った連中が現れた。【魔力】を持っていない奴も合わせて10人だ。

流石にそう簡単に逃げる事は出来ないか。

 

「【ファイアボルト】!!」

 

ベルは相手の足元に稲妻のように走る炎を打ち出した。対人経験が少なく人に直撃させるのに抵抗があったのだろう。優しい子ではあるが今はそんな余裕はない、まだまだ甘いな。

 

「うおッ!?」

 

「コイツ、詠唱なしで魔法を使いやがった・・・」

 

「気をつけて奴らを取り囲め!」

 

ベルの魔法を見た襲撃者達はオレ達を四方八方から同時に攻めて来た。

しかし、何故だろう。ベルを襲おうとする奴よりもオレを狙っている奴の方が速い!?

 

「【ミラーバリア】!」

 

「なんだ!?近寄れないぞ!?」

 

「チィ!」

 

「また無詠唱か!どうなってやがる!?」

 

障壁をドーム状にして出現させて敵の攻撃を弾く、もちろんそれだけじゃない。弾かれて隙が出来たところで【呪い】を発動、今は敵がそばにいる絶好のチャンスだ。薄暗くても光さえあれば影は出来る!

 

音も無く手の形になった影は速めの敵の足をしがみつき、その足をへし折った。まずは足だ、機動力を落としてオレ達が逃げれるように、もしくは確実に倒す。正直手加減する必要はないのだがアイズと戦っている連中に狙われたくはない。

【呪い】はオレのステイタスによって強化、融通が利くようになる。【力】がなくても大丈夫だ。

 

「「「ぐあぁああああ!???」」」

 

「足がッ!?足がァ!?」

 

「おい!どうした!?」

 

「そこ!」

 

「グァ!?」

 

騒いだ奴らにベルを狙っていた奴らが気を取られているうちにベルは攻撃を仕掛ける。ベルは特訓の影響からか上手く立ち回れている。上手く蹴散らせたし追撃は来ない、すぐさま撤退を・・・

 

 

 

「クッ!この化け物め・・・」

 

アイズは一人で第一級冒険者クラスの襲撃者5人を相手に善戦していた。

それはアイズも少し前にL v.6に上がっており体の感覚の調整も出来ているためだった。

また、シエンがベルを連れてこの場から離れようとしてくれたお陰で思いっきり戦えるのもある。

アイズの後ろからは何やら悲鳴がきこえて来る。どうやらまだ逃げきれていないようだ。

襲撃者達は武器を構えてまた襲いかかってきた。小さな四人の襲撃者がそれぞれの武器でアイズに攻撃をして猫人も襲いかかって迫って来るが・・・アイズを無視してベルとシエンのいる所に神速をもって襲いかかった。

アイズはそちらに向かおうとするが四人の襲撃者が邪魔で追いつけない。

 

「シエン、逃げ」

 

アイズはシエンに危機が迫っている事を伝えようとするがもう遅い。シエンの背中を襲撃者の槍が貫いた。

 

「「シエン!?」」

 

「グボッ、ゴハッ!?ウ、オオオオアアア!!」

 

心臓付近を貫く一撃、普通ならばショック死するがシエンに宿る力がそうはさせなかった。血を吐きながらも腹を貫いた槍を掴み叫び【復讐】が発動する。

薄暗くて分かりづらいが黒紫色の【魔力】が瀕死の重傷からか膨大に溢れ出てLv.2とは思えないほどの重圧を放つ。

すぐさま精神力を持っているトロンの魔道書に注ぎ込み黄色の魔道書からは紫電を撒き散らし足元には黒色の魔法円を展開、【魔導】も発動させる。

まだ終わらない、同時に【呪い】も発動して40本を超える黒い手が襲撃者を捉えようとする。

 

「チッ!」

 

襲撃者は槍をシエンの体から引き抜き、自身を捉えようとして来る黒い手を薙ぎ払い撤退に成功する。黒い手はシエンから5M辺りで動きが止まった。

 

「(クソッ!遅・・・過ぎて話に・・・ならねえ・・・ッ!!)」

 

スキル、魔道書の発動準備、【魔導】、それらを同時に行い使った時間は約2秒。他の魔導士からすれば信じられないほどの速さだが格上の相手からすればあくびが出るほどに遅かった。

もはや意識は朦朧としていて必殺の一撃は狙いを定められない、それに放っても容易く躱されるか放つ前に近づかれて刺し殺されるかのどちらかだ。

気になるのは何故自分を殺さないのかだけは気になりつつもシエンは前に倒れて気を失った。

 

「シエン!?」

 

「目的は達成した。人もそろそろ気づき集まってる筈だ、引くぞ」

 

襲撃者達はベルが倒した冒険者達を回収して去っていった。残ったいるのはベルとアイズ、そして血溜まりを作っているシエン。

 

「シエン!しっかりして!シエンッ!」

 

「落ち着いて、ベル」

 

敵が去った事を確認してからベルはシエンに駆け寄って叫ぶ。僅かに息をしているが呼吸が浅く体がどんどん冷たくなっていく。

アイズは常備しているエリクサーをシエンの傷口に振りかける事で傷はたちまち塞がった。

 

「これで大丈夫」

 

「本当ですか!?良かった・・・本当に、良かったッ!」

 

「でも血を流し過ぎているからバベルの治療施設に連れて行こう」

 

そうしてベルとアイズはシエンを治療施設に連れて行った。

その後、シエンは無事命を落とさずに済んだがしばらくは目を覚まさないだろうとベル達は医師に言われた。

シエンを、大切な仲間が倒れた事に強いショックを受けたベルはアイズに今まで以上に厳しい特訓をしてもらうようにお願いした。

 

 

そして数日後

 

「・・・う、ここは・・・?」

 

シエンは重い瞼を開けてベットから身体を起こし周りを見渡した。少なくとも自分達のホームではないことは分かった。よく見ると包帯ぐるぐる巻きにされているベルとリリが眠っていた。

 

「シエン君・・・?シエン君!!目を覚ましたんだね!?よかったぁ・・・」

 

それとヘスティアがいた。ずっと見ていたのか目の下にクマがある、しばらくは対あまり眠れていないのだろう。

 

「やかましいぞヘスティア。頭に響く・・・それと心配かけたな」

 

「・・・ッ!本当だよ!!全くもう、君達は無茶ばっかりするんだから!約束したってのに!」

 

「ああ、いや。しょうがないだろ、逃げきれなかったんだから・・・あ!?魔道具!!」

 

ヘスティアと会話をしていると依頼されていた魔道具のことを思い出した。まだ途中だっていうのに・・・

 

「・・・ハァ。君ってやつは本当にそればっかりだね。なんだか怒っていたのになんだか馬鹿らしくなってきちゃったよ。その事なんだけど」

 

ヘスティアによるとロキファミリア達はもう既に遠征に出かけており、いないのだという。

また今回の件はロキファミリアのせいではないが医療費を出してもらう事になった。今回作ったものはそれくらいではお釣りが出るくらいだから気にしなくていいとの事だそうだ。

ベルとリリは上層でミノタウロスに遭遇して・・・倒したらしい。

オレは理不尽だったけどお前の方が無茶してないか、ベルよ・・・

 

 




ベル君とヒロインの決闘はカットします。詳しくは原作3巻を読んでください。

襲撃者のアレンがシエンを狙ったのは、フレイヤがシエンの魂を見てベルと戦わせるミノタウロスがあっさり倒されてしまう事を分かってしまい。その邪魔をさせないためにはシエンを遠ざける必要があったので病院送りにすることにしました。
また、シエンの考察した【魔力】についても同じ事を感じており、お節介ながらシエンの心臓付近を貫いて【耐久】の上昇に貢献しました。

愛だからしょうがないですね。

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