イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
神会にてシエンに与えられた二つ名
名付け親はロキ、ヘルメス
あまりにもシエンの情報が少なすぎる為、困っていたがヘルメスがシエンが向こうではソーサラーだった事から【ソーサラー】を提案し、真っ黒の服装から【ダーク】を連想して出来た。
シルの情報通ぶりに驚きつつも会話を続け食事をしていると
「クラネルさん、シエンさん、貴方達はランクアップしてこの先どうするつもりですか?」
「え?この先ですか・・・?」
「ベル、お前は防具がボロボロになってるみたいだし防具を買いに行ったほうがいいんじゃないのか?」
「それもそうだね。それじゃ、明日買いに行ってこようかな」
「申し訳ありませんベル様。リリは明日用事がありまして一緒に行くことができません・・・」
「それなら私が付いていってもいいですか?」
リリはどうやら用事があって同行することが出来なかったが代わりにシルが付いてこようとした。それを聞いたリリは表情を変えた。
「え?」
「私もベルさんと一緒にお買い物がしたいな〜なんて」
シルはベルを見つめ懇願する。
・・・やれやれ、オレはお邪魔だから明日は修行にするか。
「シエン様!なにを諦めたような顔をしているのですか!?シル様は関係ないので付いてこないでくださいくらい言ってくださいよ!?」
「いや〜、お邪魔かなって」
「シエン様、本音は?」
「裏路地で刺されないかな、コイツ」
「ちょっと何言ってるのシエン!?」
「ベルさん、では一緒に「何言ってんだいこのバカ娘は」あいたッ!?」
シルが付いて行くと騒いでいたら店長さんの拳骨がシルの頭に落ちた。シルは捨てられた子犬のような目をして交渉していたが店長さんには通用せず失敗に終わった。
最近シルはよく出かけていたりサボっていたりと好き勝手にやり過ぎていたようだった。
「話は逸れてしまいましたが、その後はどうするのですか?」
リューが話を戻し先程の質問をしてきた。装備を整えてその次、オレ達は中層にチャレンジするつもりだ。とはいってもベルもランクアップしたばかりで自分の力を把握できていないので12階層でしばらくは様子見になるだろう。その事をリューに伝える。
「なるほど、それは妥当でしょう。しかし、中層は甘くない。上層に比べてモンスターの出現率早く、処理が間に合わなくなってきます。それに前にクラネルさんに聞きましたがシエンさん、貴方のパーティーの役割は攻撃、防御、回復、だそうですね」
「ああ、まあね」
「1人でそれらをこなせるのは素晴らしいのですが、いくらなんでもシエンさんの負担が大き過ぎます。なので負担を減らす為にも貴方達はパーティーを増やすべきだ」
【ファミリア】の勧誘、新人の教育、などなどを考えたらすぐに中層には行けそうに無い、やれやれ困ったな。
「ハッハッハ、パーティの事でお困りかァ?【リトル・ルーキー】」
僕達がこの先の事を考えていると別のテーブルに座っていた客が声を張り上げていた。その客、冒険者は仲間の二人を連れて僕達のテーブルまでやってきてリューさんとシエンの後ろで止まった。
「話は聞いたぜ、仲間が必要なんだろぅ?なんなら俺達のパーティにお前ら二人を入れてやってもいいぜェ!?なぁに困っているのならば助け合いだ」
いきなり現れた冒険者達は僕達をパーティに入れてくれると言ってきた。お酒も飲んでいてかなり酔っている様子だ。
「申し訳ないがお断りする。オレ達のパーティに入ってくれる仲間を探しているんであってどこかのパーティに入ろうとは思っていない。それにあんたらはオレ達のことを見ているのではなく別の所に視線を向けているように感じる。その様なパーティに入る事は出来ない」
しかし、シエンはスパゲッティを食べていた手を止めて後ろを見ずに断った。そうだ、僕達がこの人達のパーティに入れたとしてもリリも入る事が出来るとは言い難い。それにリリは冒険者達を嫌っている、リリにも配慮した仲間を増やさないと。
「んだとテメェ、ルーキーのくせして調子乗ってんじゃねぇぞ!?」
シエンが断ったのが気に食わなかったのか冒険者がシエンに拳を振るう。
シエンは後ろを見ずにスパゲッティをフォークに絡めた。いや、そんなことしている場合じゃ無いでしょ!?
「なに!なんだこれは気色悪りぃ!?う、動けねぇ!」
シエンに拳が当たりそうになった時にシエンの足元から無数の黒い手がシエンの後ろにカーテンの様に広がり、冒険者の拳が当たった所から黒い手が絡め取り足も掴み行動を不能にした。
あの襲撃から接近戦の対処を考えていたみたいだけど上手く行ったみたいだ。
「モルド!?」
「おい、大丈夫か!?」
「元の席に戻っていうのなら拘束を解くけど?」
「馬鹿にすんじゃねぇ!?このぐれぇ引き千切って・・・」
「抵抗するならば拘束している部分をへし折るぞ」
「イダダダッ!?ま、まて!分かった!戻るから離してくれ!!」
モルドと言われた人はシエンに戻ると懇願して離してもらった。その人はシエンの事を鋭い目つきで見てその後席に戻った。結局シエンは一度も彼を見る事はなかった。
「なにやら騒がしいわねぇ。ってあら?シエン君じゃない!?珍しい偶然もあったものね」
お店に入ってきた赤髪の女性がシエン見つけ僕達のテーブルにやって来た。旅商人だろうか色々荷物を持っていた。その女性はリリの隣にイスを持ってきてシエンの隣に座った。
「お、アンナさんじゃないですか。いや、久しぶりですね、商売うまくいっていますか?」
「ぼちぼちね。このオラリオって所はなかなか面白いじゃない。気に入ったわ」
「シエン、この人は?」
「ああ、そうだな。この人はアンナさん。旅商人で人がいない様な所でお店を開いている変わった人だ。けど売っているものはとても珍しい物ばかりなんだ」
「君、名前は?」
「ベル、ベル・クラネルです」
「ベル君ね。うちの店をどうぞよろしくね!来てくれたら特別サービスしちゃうわよ?」
と、特別サービス!?い、いったいどんな事をされるんだろう・・・そう思っているとリリがまたすごい顔になっていて、シルさんはニコニコと笑っているはずなんだけどなにか怖い。シエンは呆れ顔でため息を吐いていた。
「アンナさん、あんまりウチの団長をからかわないでやってくださいよ」
「うふふ、ごめんねベル君。それでベル君が団長?シエン君がファミリアっていうのの団長かと思っていたけど」
「ベル達が作ったファミリアにオレが入ったんですから当然でしょうに」
そう言って二人は仲よさそうに話している。もしかしてシエンの事を良く知っているんじゃないかな。聞いてみよう。
「あの、アンナさん。イーリスってどういう所なんですか?シエンはあまり教えてくれなくて」
「私も聞きたいです!」
「うーん、そうねぇ。イーリス聖王国というのは平和で穏やかな国ね。それで神竜ナーガを神として信仰しているわ」
「え・・・神、竜?竜ってモンスターの事ですよね?それを神として信仰しているなんて・・・」
「その神竜ナーガ様はどの様な神なのですか?」
「いにしえの時代、世界の破滅から救った神竜よ。邪竜を封印する力を人間に授けたとされて守護神として崇められているわ。伝承によると人の姿を借りて現れるみたいで男性であったり少女だったりと定まらないみたいよ」
「・・・・・」
世界の破滅、守護神、人の姿になれる・・・な、なんだか混乱してきた。
「邪竜というのは?」
「邪竜ギムレー、世界を破滅させようとした竜ね。とてつもない大きさの竜だったわ」
「だった?という事は見たことがあるんですか!?」
「ええ、だってシエン君達が倒しちゃったんだもの。あまり時間はかからなかったみたいだけど。ね、魔導軍将のシエン君?」
え、シエン達が倒した?世界を破滅させるような竜を・・・?
もしかしてシエンってものすごく強かったんじゃ・・・僕達はシエンに目を向けると目を逸らされた。
「こっちに話を振らないでくださいよ・・・それとその呼び方はやめてください」
「いいじゃない、聖王が貴方のことを認めていた証よ」
「ルフレの方が潜在能力的にも上で強いじゃないですか、なんでオレが・・・」
「戦場であれだけ大暴れしておいて認めないわけないでしょうに、魔道士の皮を被ったバーサーカーさん?」
「バ、バーサーカー・・・いったいイーリスではなにをやっていたのシエン!?」
「血生臭いから言わん。ずっと戦い続けていたんだオレ達は、そしてようやく平和になった。それだけだよ」
「そんな平和になったイーリスを飛び出したシエン君にある物を持ってきたわ」
そう言ってアンナさんは荷物から本を取り出した。なんだろう、いつもシエンが書いていた魔道書に似ている・・・それにシエンも驚いている。
「ちょっとアンナさん。これはオレの家に隠しておいた本ですよね?なんで貴方が持っているんですか?」
「ちょっとお宝探しを・・・ね?」
「おい!」
「でも苦労したわよ、何度死にかけたことか・・・屋敷に殺されるとか嫌よ。他にもシエン君の屋敷に宝があると信じて行って帰ってこなかった人なんて山ほどいるんだから。それに手に入れたのはこの本一冊だけで暗号だらけで読めないし行って損したわ」
「泥棒しに行ってなんで文句を言っているんですかねぇ・・・」
ちょっとシエンの【魔力】がふつふつと上昇している気がする。絶対に怒ってるよ!?
屋敷に行って帰ってこれないっていったいどんな屋敷なんだ・・・
「ごめんなさいね、取り敢えずこの本を渡しておくわ。私には意味なさそうだし」
「・・・そりゃどうも」
アンナさんはシエンが本を受け取ったのを見て席を立った。
「それと聖王からの伝言ね。『オレ達はどんなに離れていても絆で繋がっている。また会おう、友よ』だそうよ」
「ルフレと同じような事を・・・それじゃオレからは『エメリナ様から託された国を民を守ってくれ。いつか、また会おう』でよろしくお願いします」
「分かったわ。それじゃあね」
そしてアンナさんは店から出て行った。その後僕達は食べてお喋りしている間シエンの表情は柔らかかった。
シエンの魔道書のパワーアップフラグです。
暗号は日本語とローマ字を組み合わせたもので転生者しか読めないものになっています。
タケミカヅチファミリアなら解読できるかもしれません。