イーリス聖王国の魔道士がオラリオに来るのは違っているだろうか? 作:カルビン8
ロキファミリアの団員の年齢とかもわかったし、ありがとうダンメモ!
18階層 草原 朝
「あぁ〜気持ちいいわ〜」
「うん、まさかダンジョンでお風呂に入れるなんて思わなかったよ」
オレとベルは今、朝風呂を満喫していた。風呂に入ろうとした時に桶がないことを思い出し急遽作った。女風呂にいるティオナに塀越しで伝えて石桶を放り投げたので大丈夫なはずだ。横は塀が邪魔でなにも見えないが天井は青い空があって開放感に溢れている。
「やあ、お邪魔するよ」
「おお、本当に風呂があるのう。酒でも持ってくれば良かったわい」
「ガレスさん、そんなことをしたら副団長に叱られるっすよ」
「ガッハッハ!冗談じゃわい!」
ゆっくり風呂に入っているとロキファミリアの皆さんがやって来た。風呂の大きさはキャンプにいた人全員が余裕を持って入れるくらいなので問題はない。フィンさんがこっちにいるという事はティオネはフィンさんと混浴に入る許可を得る事ができなかったという事だろうな。まあ、そうなったらそれはそれで困るわけでもあるが。
フィンがやって来たのは立場の事もあるがこういった場所ならばシエンに話しかけるいい機会でもあったので風呂に入りに来た。
「マジで風呂がある・・・シエン、お前はなんでも出来るんだな」
「前に石桶を作っただろ?それを大きくしただけだから大した事じゃない」
ヴェルフも一緒にやってきて風呂に入る。ヴェルフは驚いているが塀を建てる事を除けば前に作った石桶をデカくしただけだ。
「いや、大した事だと思うよ。遠征では水を自由に使えるという事はないからね。風呂に入れるなんて事はまずない、それに僕の身体に合わせて風呂を作ってくれた事に感謝するよ。今度遠征に行く時には是非とも同行してほしいくらいだ」
「あはは、下層とかはまだオレには早いと思うので遠慮しておきますよ」
「そうかい?それは残念だ」
まさかフィンさんに遠征のお誘いをされるとは思わなかった。遠征に誘われたことにベルは驚いていたがオレは遠慮した。中層からは今のオレたちの誰かが欠けて攻略出来るほど甘くはないからだ。オレが遠征に行って帰って来たらベル達が全滅してましたなんて洒落にならない。
「にしても良くランクアップしたばかりで18階層まで来れたっすね・・・。ランクアップしたてのレベル2が2人にレベル1が2人、普通死ぬっすよ?」
この前ウチのホームにやって来た事があるラウルがオレ達の強行突破についてそう評価して身体を震わせていた。自分がもしそんな状況に陥ったらと想像したんだろう。他の冒険者達もウンウンと頷いていた。
「なあ、実際に中層はどうやって突破したんだ?」
「えっと、中層にある落とし穴を使って下を目指しました。モンスターとの戦闘は接近戦は僕とヴェルフ、盾と魔法と治療はシエンがやってくれました。あとリリも治療をしてくれました」
「ンー、シエンはウチでいうと、リヴェリアとガレスみたいだね」
「負担は大きそうじゃが出来立てのファミリアならばこれでもまだマシじゃの、魔法職なんぞそうそう出会えん」
「ガレス、他所のことは僕達は言えないよ。僕達だって最初から盾も魔法も揃っていたじゃないか」
「ま、ドワーフとエルフで相性は最悪じゃったがの!あの頃はよくくだらんことで喧嘩をしたもんじゃわい!」
いつの間にかオレ達の話からフィンさん達の昔話に変わっていった。若い冒険者達にとっては今では有名な冒険者達の昔話は貴重なもので大いに盛り上がった。
「なんだか向こうは盛り上がってるね、楽しそう!」
「うん」
「どうやら団長達の昔話をしているみたいですよ」
「団長と一緒に混浴したかったのに・・・」
「流石にそれは許可できん」
「手前はそれでも構わんのだがなぁ、裸の付き合いというのは大事だぞ?思いもよらぬ話が聞けるかも知らないからな」
男湯でフィン達が話で盛り上がっているところアイズ達も風呂を楽しんでいた。
いつもならば泉の覗きを警戒して好きに入る事ができなかったが今回は塀によって囲まれて覗き対策はされていて仮に塀を登り覗こうものならば彼女達の魔法の応酬が始まるだろう。
実はこの中で風呂を楽しんでいるのはリヴェリアでいつもはハイエルフのリヴェリアの肌を見せるまいとエルフ達の重苦しい警備の中で泉に1人で入っているだけだったのでこうやって大勢で入るというのはダンジョンでは珍しい事だったからだ。
「あ、筒からお湯が出て来てる!」
「という事はシエンがあがったって事?」
「ティオナー、湯加減はどうかな?」
「うん!丁度いいくらい!ありがと!」
ティオナがそう返事を返すとシエンの気配が少し遠ざかったような気がしたので彼女達はまた話し始めた。
「でもこれってホント便利だよねー。遠征でもお風呂に入り放題じゃん!頼んだら一緒に来てくれないかな!?」
「ベルのファミリアは今2人しかいないから無理だと思う・・・」
「ならシエンが来なくともあの本を交渉して貰えばいいじゃない。同じ魔導士のレフィーヤやリヴェリアなら出来るでしょ?」
「え、ええ。おそらくは」
「この遠征に出る前に会った時には回復系統の杖だけを作ってきた。攻撃手段にもなるあの魔導書を我々に渡すとは思えん」
「手前も少しヴェル吉からあれについて聞いたが簡単に言えば本の形をした魔剣だそうだ。しかも魔力が高ければ高いほど威力を増してしかも壊れにくいときた。全く、魔剣を作れる手前達のお株を奪われた気分だな」
椿の言葉に彼女達は驚愕する。杖ですら強力なのに魔剣以上に優れた本の形をした魔剣を作れる事に。
「攻撃魔法を覚えてなくてもあの本があれば火とか出せるようになるって事!?」
「そういえば魔法の詠唱抜きで発動してたわよね。対人戦でもかなり使い勝手がいいんじゃないかしら」
「すぐにもらう事は出来ないかも知らんがこれからもヘスティアファミリアと交流していけばいつかは手に入れられるだろう」
「仲良くするのなら得意だよ!お風呂から上がったらアルゴノゥト君と模擬戦でもしようかな。他にすることもないし!」
そう言ってティオナは風呂から上がり脱衣所に入って行った。
「せっかく風呂に入ってサッパリしたのにまた汗かいてどうするのよバカティオナ・・・」
行動力の塊である自分の妹に呆れるティオネだった。
だがフィンの事になると周りが見えなくなって暴走しがちでもあるティオネと似たもの姉妹だとロキファミリアの仲間達は思っている。
夜 開けた中心地
朝、昼と模擬戦を行いあっという間に夜になった。ベルはティオナの相手をしていると途中からアイズが参戦して戦いに激しさを増した。
アイズとまた模擬戦を行う事ができて嬉しかったベルだが前と同じようにボコボコにされた。
「つ、疲れた・・・」
「アルゴノゥト君はよく動くから余計に疲れたのかもね!あたしはまだ暴れ足りないかな〜」
「私もまだやれる」
「もう勘弁してください〜!?」
「・・・ん?」
ベルが叫んだ時にシエンは何やら見覚えのある魔力が滑り降りてくるのを探知した。忘れるはずはない、何せ自分が渡したものなのだから。だからこそここにくるのはあり得ないはずなのに・・・そう思っているとまた身に覚えがあるのが2つ感じ取った。そしてもう2つ・・・
「いったいどうなってるんだ・・・?」
「シエン、どうかした?」
「ベル、落ち着いて聞いてくれ、ヘスティア達がやって来た。・・・ん?なんでヘスティアがやってくる必要があるんだ?」
「え・・・?神様が!?でもどうやって!?」
「護衛を雇ってこっちに降りて来ている。アスフィもいるって事はまさかヘルメスもいるのか?うわー、絶対に面倒な事になるぞこれ・・・」
シエンがヘスティア達がやってくる事を探知して頭を抱えていると
「(アイズから聞いたとリヴェリアから聞かされていたが本当に探知能力持ちでもあるのか・・・やはり得難い人材だね)それは本当かい?」
「ええ、まあ。えーと、神がダンジョンに来たら不味いんでしたよね?」
「うん、ギルドから罰則だね」
「何やってんだって言いたいけど心配してやって来てるんだから怒りたくても怒れな「ぐぬあぁっ!?」・・・」
「本当に、神様の声だ・・・会いにいかなくちゃ!」
オレ達が降りて来た17階層へ上がる階段付近まで行くとアスフィにヘルメス、ヘスティア、覆面を被って顔を隠したつもりでいるリューにオレ達を囮にして逃げ出した奴らもいた。
やけにデカい男にサイドテールの黒髪の少女に目隠れの少女がいた。
「ベル君、シエン君!!よかった無事だったんだね!?」
そう言ってベルとオレを包み込むように一緒に抱きしめた。いくらヘスティアが与えた神の恩恵が消えていない事でオレ達が生きている事がわかっていても元気でいるかはわからない、不安でいっぱいだったはずだ。
こんなに心配されると思っておらずなんだか少し照れ臭いものがある。
「は、はい。リリもヴェルフも無事です」
「そうか、みんな無事で良かったよ」
「やあ、シエン。久しぶりだね」
ヘスティアによる抱擁から抜け出すと橙黄色の髪を持つ男ヘルメスが話しかけて来た。
「ヘルメスも元気そうで何よりだな。・・・それと本当に神だったんだな、あっちで色々言って悪かったな」
「全くだ!これからはオレのことも敬意を持って話すように」
「それはない」
「グハッ!?そりゃ無いぜ・・・」
「自業自得です、ヘルメス様」
「それにしてもなんでまたヘルメスまでここにやって来たんだ?地上でのヘルメスのお守りは他の団員でも良かったはずだが」
「いや、なに。今話題の【リトル・ルーキー】に会ってみたくてね。それに君に渡すように言われた届け物があるしね」
「届け物?」
そう言ってヘルメスは懐からなんの変哲も無い石を取り出した。魔石でも無さそうだし何なのかと思いながらそれを受け取ろうとするとその石は僅かに白色に発光した。オレはこの光に見覚えがあった。間違いなく竜石だった。
「ふむ、やはりチキちゃんの言う通りだったね。やはりシエンには適性があるみたいだ」
「いや、おかしいだろ。オレは人間だぞ?」
「チキちゃんが言うには神竜の涙を飲んだのが原因だって言ってたぜ?まだステイタスにその経験がスキルとして出てないだけじゃないか?」
まさか全能力を向上させる神竜の涙にそのような効果があるなんて知らなかった。神秘の塊である竜のアイテムだけあってとんでもないな。
「あの、いったい何の話を?」
「おお、君が噂の【リトル・ルーキー】ベル・クラネルだね?初めましてオレはヘルメスだ、よろしく」
「は、はい・・・初めましてヘルメス様」
「やいヘルメス、その石はなんだ!?シエン君にいったいなにをしたんだ!?」
「いやなにもしてないって。オレはただ届け物を渡しただけさ、それに事情ならシエンが1番知ってるんじゃないかな?」
「シエン君!いったいどう言う事か言ってもらおうじゃないか!?」
「人間がどうのこうのっていってたけど・・・」
ヘスティアとベルがどう言うことかと聞きに来た。オレもまだ少し戸惑ってはいるが声を落としてヘスティア達の耳元に伝えた。
「いや、あの・・・人間を辞めちゃった・・・かも」
「「え?・・・えええええええええええ!????」」
思いもよらない返答に2人はポカンとした顔をした後にその言葉を理解して2人は叫び声をあげ夜のダンジョンに響き渡った。
リヴェリアの1人で泉に入るのはオリ設定です。でも外伝9巻を見た感じだとアイズなら入ってくれるかな?
竜石
竜族が扱うことのできる石。その石を使うことで己の身体を竜に変身させることができる。
その石を見た事が無い人にとってはただの石にしか見えない。
チキ
神竜族の王ナーガの娘で強大な力を持つ竜人で年は3000歳になる。
ナーガは5000歳で死去。