魔理沙と咲夜は、妖夢を倒して霊夢達と合流するために先を急いでいた。
「咲夜。あの仮面の男のことで、聞きたいことがある。」
「どうしたの?」
「…‥…‥エルと名乗る人物…‥聞いたことないか?」
魔理沙の発言に動揺する咲夜だが、気付かれないようにして答える。
「エル?聞いたことないわ。貴女の知り合いなの?」
「…‥…‥小さい頃に、霊夢と一緒に遊んだ幼馴染みだぜ…‥」
魔理沙は深く帽子を被り咲夜に表情を見せないようにする。
「…‥…‥そのエルは、いつ頃姿を消したの?」
「…‥…‥妖怪の森に…‥…‥」
「それ以上言わなくても良いわよ。」
咲夜は泣いている魔理沙を抱き締める。
「ありがとう…‥」
「それにしても、長い階段ね。ちょっと疲れてきたわ。」
「ん?霊夢達だ。」
「咲夜と魔理沙あの剣士に勝ったのか。」
「簡単だったぜ!」
「よし。さっさと主犯を倒して春を取り戻すわよ。」
四人は階段を登り終えると、扇子を片手に持った着物の女性が現れた。その女性はエルを見ると、笑みを浮かべて喋りだした。
「久し振りね…‥」
「久し振りだな…‥…‥西行寺幽々子…‥」
幽々子とエルの会話を聞いて霊夢がエルを睨み付ける。
「主犯と知り合いなの!?」
「やっぱり、信用できないぜ!」
霊夢と魔理沙に敵視されたエルは、何も言わずに幽々子を睨み付ける。
「咲夜。あの異変の黒幕を倒す。協力してくれ。」
「わかったわ。」
「博麗の巫女と魔法使い…‥話なら後にしろ。邪魔をするなら殺す。」
エルの瞳から殺気を感じ取った霊夢と魔理沙は、恐怖したのか後ろに下がる。
「準備できたわ。貴方のスペルカードで、全体強化出来ないかしら。」
「問題ない。俺のスペルカードはサポート程度しか出来ないがな。」
咲夜とエルはスペルカードを取り出して構える。
「早く始めましょう。スペルカード発動!【反魂蝶 一分咲】」
幽々子の周りから蝶の形をした弾幕が展開される。エルは、幽々子の弾幕を避けながら、進んでいくとスペルカードを取り出す。
「咲夜!奴のスペルカードが終わるのと同時に周りの時間を止めろ!俺が仕留める。」
「わかったわ。霊夢と魔理沙は何やってるのよ。」
「咲夜…‥あんな奴の言うことをどうして信用できる!?」
「そうだぜ!どうしてだ!」
霊夢と魔理沙の発言を聞いて咲夜は、二人を睨み付ける。その様子をエルは、辛そうにしながらも幽々子に対峙している。
(やっぱり…‥辛い…‥あの二人だけは…‥嫌いに…‥なれない…‥)
エルは仮面を取り掛けようとしたが、すぐに正気に戻り幽々子の弾幕を処理する。
「弾幕だけじゃあ、ダメか…‥咲夜やるぞ!【契約符・ロイヤルフレア】」
「そんな弾幕では、私は倒れないわよ。」
エルは、パチュリーのスペルカードを発動させて幽々子の行動を妨害するが、軽々避けられる。
「咲夜!今だ!」
「スペルカード発動!【時符・タイムロード】」
時計の針の弾幕が四方八方に展開されて、幽々子を取り囲む。
「残念だったわね…‥スペルカード発動【死符・死者の眠り】」
エルの目の前に幽々子の弾幕が迫り絶体絶命になる瞬間。
「【霊符・夢想封印】」
霊夢の弾幕が、幽々子の弾幕を消し飛ばした。
「大丈夫!?怪我はない!?」
「博麗の巫女!?何故、俺を助けた。」
「助ける理由なんて必要無いわ…‥異変解決の仕事は、私の役目。貴方は、私のサポートをお願い。」
「…‥今回だけは、指示に従ってやる。」
「あらら。避けられちゃったわね~」
「もう一度…‥スペルカード発動【霊符・夢想…‥「邪魔するぜ!【恋符・マスタースパーク】」ちょっと…‥邪魔!」
魔理沙が、霊夢の前に飛び出して、スペルカードを発動させる。幽々子は、魔理沙の出現により動きを止めてしまい弾幕に被弾するが無傷だ。
「私には効かないわね。」
幽々子は、笑みを浮かべながら扇子を降ると、エルの周りに蝶の弾幕が出現して取り囲んだ。
「囲まれたか…‥博麗の巫女。その蝶に触れたら死ぬぞ!絶対に俺に近づくな。」
「な!?」
エルは、札を取り出す。
「悪いが俺は、退散させてもらうぞ。咲夜!」
「わかったわ。」
「ちょっと、逃げるの!」
「黒幕…‥取引だ。春を返すならお前の願いを叶えてやる。」
エルは、霊夢を無視して幽々子に取引を提案する。
「あら。良いのかしら?」
「お前の目的は、春を集めて西行寺妖の花を咲かせることだろ?どうだ?」
「有難い話だけど、やめておくわ。春も返すわね。」
「そうか…‥博麗の巫女。異変は解決した。俺は、帰らせてもらう。咲夜。レミリアによろしくと伝えてくれ。」
「わかったわ。」
「ちょっと…‥あんた待ちなさい!」
霊夢は、立ち去ろうとするエルを呼び止める。
「八雲紫との契約は完了した。博麗の巫女…‥ここからは、敵対同士だ。」
エルの体が燃えて消滅した。