夜の人里に来ているエルは、慧音の依頼を受けて寺子屋に向かっていた。人一人いない静かな人里。すると、白髪の少女、藤原妹紅がエルに声をかけた。
「エル、こんな遅い時間にどうしたんだよ?」
「慧音さんに依頼されて、寺子屋に行くところだよ。」
「私も一緒に行くぞ。慧音に用があるんだ。」
エルと妹紅は一緒に寺子屋に向かうことに、すると遠くの方で騒がしい声が聞こえてきた。
「エルだー!」
「エルさん、こんばんわ。」
ルーミアと大妖精が近寄ってくる。その後ろでは、チルノ、橙の二人がじゃんけんをしている。
「大ちゃん、何かあったの?」
「チルノちゃんと橙がエルさんの事で喧嘩しちゃって…」
「僕で喧嘩…何で?」
首をかしげているエルに、妹紅は小さく溜め息している。
(エルが記憶喪失だと聞いてはいたが、鈍感の所は変わらずか…)
喧嘩しているチルノと橙に近づくと、エルは喧嘩を止めるために、二人を抱き締めた。突然のエルの行動に、チルノと橙は喧嘩を中断する。
「チルノ…橙…喧嘩はだめだよ。」
涙目のエルにチルノと橙は喧嘩をやめた。ルーミアは面白くなさそうにチルノと橙を見つめている。
「解決したみたいだな。そろそろ、寺子屋に急がないと慧音に怒られるぞ。」
妹紅の言葉に、五人は急いで寺子屋に走っていった。
「エルは急がなくてもいいんだがな…」
寺子屋に到着したエル、妹紅、大妖精、ルーミア、チルノ、橙の六人は、慧音が来るまで教室で雑談している。
「慧音遅いのだー」
「まだかな…」
「気長に待とうよ。」
エルは夜食用に貰っていたお菓子をあげると、静かに食べ始めた。
「夜食用に貰ってたんだ。丁度よかったよ…」
「そうか。」
暫くして、慧音が大量の本を抱えて教室に入ってきた。
「待たせて済まない。今日の授業は自習とするが、読書をするように。」
本は小説が主だが、漫画も少なからずあった。これらの本は、慧音が紫に頼んで外の世界から取り寄せたものだ。
「………漫画まで、どうやって…」
「エルはこの本を知ってるのか?」
「………外の世界に…行ったことがある。」
妹紅の質問を曖昧に答え、漫画を一冊手に取り席に戻ると、静かに読書する。
大妖精は恋愛小説、チルノは絵本、ルーミアは料理本、橙は外の世界のアニメ雑誌を見ている。
「妹紅さんは読まないの?」
「……どの本を読もうか悩む。」
「それもそうだね。」
静かな時間が流れて、気が付くと、夜が明けていたようで、慧音は読書をやめるように言って、本を回収する。
「今日はここまで…」
寺子屋を出ると、霊夢が迎えに来た。
「霊夢姉…」
「帰るわよ。」
博麗神社に帰った。