紅魔館のロードが借りている客室に、紐で縛られている文が転がっていた。その近くには、窓ガラスの破片が飛び散っている。
(射命丸文だったか。本体と契約していない知り合い…予想はできるが…)
文はロードを見る。ロードは溜め息をして、紐を切り解放する。
「……俺に何のようだ?」
「エルさんに依頼をお願いしたいんですよ!」
「依頼…」(予想通りだ。射命丸文は本体が記憶喪失な事を知らない。)
ロードは頭を抱えながら、どうするか考える。とりあえず、文の依頼を聞くことにした。
「実はですね。妖怪の山に突如、神社が現れたんですよ。」
「神社…それで?俺に何をさせたいんだ?」
「貴方に話を聞いてきてもらいたいんです。ダメでしょうか?」
文の依頼内容は理解したが、話を聞いて来るだけの依頼内容に、深く考える。ロードは文を怪しんでいる。
「ふむ…話の内容は?」
「………妖怪の山を攻めるかどうかの話です。」
「………天狗の事情を俺に持ち出すのか?俺の立場をわかってるよな?霊夢は俺の立場を知らないんだぞ。」
「わかってるつもりです。」
ロードは気分を変えるため、紅茶を飲んで落ち着かせる。
「正直に言えば…依頼は受けたくないな。妖怪側の味方だが、限度がある。」
「そうですよね…」
文は見るからに落ち込んでいる。何とかしようと、ロードはしゃがんで、文の頭を撫でる。
「天狗側の事情に、俺が出るわけにはいかないだろ?だが、アドバイスならしてやるよ。俺が出来る限りだけどな。」
「エルさん…」
「それとだが、今はロードと名乗ってる。わかるな?」
「………わかりました。」
文の手を握り立ち上がらせると、紅茶とクッキーを取り出す。
「休んでいくだろ?」
「ありがとう…ございます…」
ロードと文が楽しんでいる頃。エルは迷いの竹林で、兎の妖怪達と戯れていた。
「かわいい…」
耳を撫でられてい兎は、気持ち良さそうに、大人しくしていると、妹紅が竹の子を抱えて歩いていた。
「エルじゃないか…何してんだ?」
「兎の妖怪と遊んでた!」
「………そうか。」
兎の妖怪は妹紅に近寄ると、足を頭を擦り付けている。
「兎だよな?化け猫が兎に化けているわけじゃないよな…」
「それは大丈夫よ。」
エルと妹紅が振り向くと、兎耳の制服姿の少女が立っていた。
「お姉さん…誰?」
「鈴仙・優曇華院・イナバよ。鈴仙て呼んでね。」
「僕はエルだよ!よろしくね…お姉さん!」
「で、鈴仙は何してんだよ?」
妹紅が鈴仙を睨みながら質問する。エルは妹紅の態度の変化に気づいたが、空気を読んで何も言わない。
「薬売りからの帰りよ。エル君もまたね。」
鈴仙は帰っていくと、妹紅がエルの方を見る。
「帰るか?送っていくけど…」
「うん!」
エルと妹紅は迷いの竹林を出ていった。すると、帰ったはずの鈴仙が戻ってきた。
「あの少年が…エル?聞いていた情報と違うわね?一応、報告しておきますか。」
エルと鈴仙が出会いから半年、人里の商店街を散策しているエルは、妖夢と夕飯の買い出ししていた。
「妖夢姉、買い出し終わったね。」
「今日は大人数ですから、買い出しが大変です。」
人里を出るところで、鈴仙と遭遇すると、声をかける。
「エル君、久し振りね。」
「久し振り!鈴仙姉ちゃん!」
鈴仙とエルははいタッチすると、お互いに笑みを浮かべる。妖夢がエルに駆け寄る。
「エルさんの知り合いですか?」
「鈴仙お姉ちゃんだよ!前にあった。」
「そうですか。私は魂魄妖夢です。」
「鈴仙・優曇華院・イナバよ。鈴仙て呼んで。」
妖夢と鈴仙は握手すると、互いに警戒していて、殺伐とした雰囲気になるが、エルの声で正気に戻る。
「鈴仙お姉ちゃんと妖夢姉…何か…怖い…」
エルを怖がらせてしまったようだ。それを察知したかのように、エルの使い魔であるレイと式神のレインが出現して、鈴仙と妖夢に殺気を放っている。
「マスターを怖がらせるな!」
「……………」
レイは威嚇していて、レインは無言で睨んでいる。
「ごめんなさい。」
「エルさん、済みません…」
「気にしてないよ。レイ、レインは怒らないで…」
エルの説得に無言で頷いて、殺気をやめる。
「妖夢姉。そろそろ帰らないと、霊夢姉に怒られる。」
「そうですね。帰りましょうか。」
「鈴仙姉ちゃん、またね!」
エルと妖夢は帰っていくと、鈴仙は迷いの竹林に向かっていった。