東方妖怪堂     作:ノック

53 / 93
52

博麗神社の境内で、エルは魔力と妖力の2つの力を試しに発動した。お互いに反発している。

 

(力の影響が強いよ…踏ん張らないと…)

 

力の余波をなんとか抑え込むと、冷や汗を流した。

 

「やっぱり…僕は…化け物…」

 

エルが短剣を取り出して、自分を刺そうとする寸前で、霊夢が短剣をお祓い棒で落とした。

 

「何してるのよ…」

 

「霊夢姉…僕は…化け物だよ。」

 

エルは悲しみの笑みを浮かべて、3つの力…霊力、魔力、妖力の球体を作り、周囲に浮かべる。

 

「霊夢…姉は知ってたでしょ?」

 

「エルは…思い出したの?」

 

「覚えてるのは、力の使い方と…」

 

両手を出して、エルが力を込める。すると、黄金に輝いた光を放ち、金の十字架を出現させた。

 

「それは…何!?」

 

「僕の力を制御する装置みたい。まだ、僅かながらしか使えないみたい。」

 

「私に言って、どうするつもりよ?」

 

「わかってるよね?幻想郷の掟…僕を殺さないの?博麗の巫女様?」

 

エルの言葉に、霊夢が目を見開いて、見続ける。

 

「……確かに、私はエルを退治しないとダメみたいね。」

 

「早く退治してよ…」

 

エルの行動に、霊夢の体が震え出して、近寄ろうとしない。退治するのを躊躇している。

 

「…どうしたの?殺さないの?」

 

「……嫌だ…」

 

「どうしたの?霊夢姉…」

 

「嫌…エルを退治するのは…それだけは…」

 

霊夢の拒否にエルは、魔力を体に纏う。

 

「幻想郷の掟に従わないなら…今から潰すよ。」

 

「何で…」

 

「幻想郷の掟では、人里の人間は妖怪になってはならない。これは…絶対なる掟だよ。博麗の巫女は…人妖を退治…殺さないダメだよね?霊夢姉…」

 

「でも、エルは妖怪じゃ…」

 

「この妖力を使える僕は…妖怪じゃないの?霊夢姉…使命を果たさなきゃ…ダメだよね?」

 

エルは霊夢に近づいている。

 

「嫌だ…お願いだから…そんなこと言わないでよ!」

 

「ダメだよ…僕を…殺さなきゃ…」

 

エルが霊夢に妖力を放つ瞬間。隙間が出現して、妖力の球体を相殺した。

 

「……この隙間は…!?」

 

「エル、貴方は何をしているのか…わかってるの?」

 

霊夢の前に紫が現れて、隙間で霊夢を守る。

 

「紫さん…何で…邪魔するの?」

 

「エルが霊夢を攻撃するからよ。弾幕ごっこなら止める気はなかったわ。」

 

「紫さんならわかるよね?僕は…人里の人間で…妖怪の力を持っている。霊夢姉が僕を殺さないなら…」

 

「エル…貴方は確かに妖怪の力を持っている。本来なら博麗の巫女に殺されるわね。でも、貴方は既に人里の人間ではないわ。」

 

紫の言葉にエルは動揺している。

 

「僕が…人里の人間…じゃない…どういうこと?」

 

「記憶を失う前…幼い時にエルは、人里の保護を放棄したのよ。貴方自身の意思で…」

 

この真実に霊夢は一瞬だが、幼い頃の記憶の一部を思い出した。

 

「……あの時なの?」

 

「霊夢姉…?」

 

「エルは…あの時から…恨んでたの?」

 

「違う…僕は…恨んでなんて……」

 

エルは突然、気を失った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。