神社の一室にエルを寝かせる霊夢は、紫に看病すると言って、エルの傍にいる。
(私のせいで…エルが…)
霊夢はエルの頭を撫でると、魘されている。
「霊…夢…ごめん…」
「エル!?しっかりして!」
魘されているエルの手を握り、呼び掛ける。すると、エルが目を覚ました。
「霊夢…姉…」
「よかった…目を覚ましたのね。」
「ごめん…なさい…」
「え…?」
「霊夢姉…ごめんなさい…」
エルは涙を流しながら霊夢に謝っている。謝罪の言葉を聞いて、霊夢は抱き抱えて起こす。
「何で、エルが謝ってるのよ?」
「だって…僕…霊夢…姉に…殺されようと…」
「言わないで!もし、言ってみなさい。本気で怒るわよ!」
霊夢の言葉に、エルは何も言えなくなった。
「私はエルがいなくなったあの日……泣いちゃってね。」
「え……」
「あの頃の私は…エルが目の前から消えた時…理由がわからなかったの。情けない話だわ。」
エルを抱き締める力が強くなる。
「もし、記憶が戻ったら…全ての怒りを私にぶつけなさい。私は抵抗しないわ。」
「そんな…何で…霊夢姉は…」
「私の気がすまないわ。」
「嫌だ…絶対嫌だ…頼まれても…やりたいない…」
エルの怯えたような表情に、霊夢が一旦エルから離れる。
「エル…今まで…ごめんね…」
霊夢が涙を流すと、エルは指で涙を受け止める。
「泣かないで…霊夢姉…今の僕を見てよ。」
「え…」
「僕には記憶がない。でも…僕は…許すよ…だから…泣かないで…僕を見て…」
エルの優しさに、霊夢の涙が止まった。
「エル、ありがとう。もう…迷わないわ。」
「うん!」(前の僕…霊夢姉には…手を出させないよ…どんな手を使っても、復讐はやらせない…)
疲れたようで、エルは眠ってしまった。霊夢は起こさないように部屋を出た。隙間が開いて紫が現れる。
(エルの自殺未遂…なんとかなったようね。霊夢にも感謝しないといけないわね。まさか、エルが霊夢に攻撃をすると思わなかったわ。)
エルの頭を撫でる紫は、今回の出来事が再び起こらないように対策を考える。
(今のエルの実力なら、能力を記憶喪失以前の状態に、戻すことができるわね。でも、まだ様子を見ないとダメね。何が起こるかわからないし…)
隙間を開いて、紫はもう一度エルの寝顔を見る。
(エルの記憶が戻れば…復讐心も戻ってしまう。そうなれば、幻想郷に危機が訪れてしまう。それだけは、阻止しないとね。)
紫は姿を消すと同時に、ニーナの声が部屋内に聞こえた。
「やっと、紫がいなくなったね。」
ニーナが眠っているエルの近くに姿を現した。
(博麗の巫女を許す?冗談じゃない!巫女が勘違いな攻撃をした原因で、エルの心を闇に染めたくせに…やっぱり、エルの記憶を戻さないとダメか。戻す方法を見つけないと。)
ニーナは闇に消えた。