魔法の森にいるエルは、野生の妖怪…猫又と戯れていた。
「くすぐったいよ。ほら、魚を持ってきたからちょっと待ってね。」
持っていた札を魚に戻すと、その場で捌き始める。
「…後は、血を水で洗い流して…」
水の文字が刻まれた札から水を出して、血を洗い流す。
「猫の妖怪だけど、生は危ないよね?」
さみしにした魚を火で炙ると、猫又に食べさせた。
「急いで、食べなくてもいいよ。まだ、たくさんあるからね。」
エルの言葉に、猫又はゆっくりとちびちび食べ始める。すると、他の動物系の妖怪が集まってきた。
「魚あるけど食べる?」
エルの言葉に、その場に座り込んで、おとなしく待っている。
「ちょっと待ってね。」
暫く時間が経ち、持ってきていた魚は、全部なくなった。
「今日の仕事は終わりっと…」
「久し振りじゃな!エル。」
「あ、マミ姉ちゃん。久し振り!」
エルに声をかけてきたのは、化け狸の妖怪、マミゾウだ。部下である子狸達も一緒だ。
「遠くで、見させてもらったぞ?わしの力を上手く活用できてるじゃないか。」
「え!?見てたの!?」
「エルならわしに気づけたじゃろ?紫殿から聞いたが、記憶喪失なんじゃろ?能力…戻ってきたのか?」
「記憶はまだだけど、能力だけは…少しずつだよ。」
エルの暗い表情に、マミゾウが我慢ならずにエルの頭を乱暴に撫でる。
「ちょ…マミ姉ちゃん!?」
「暗い表情はなしじゃよ!」
子狸達がエルの足に掴まって、エルを見ている。
「撫でていいかな?」
子狸達は小さく頷いている。エルは子狸の頭をゆっくり撫でると、体を震わせている。くすぐったいようだ。
「ごめんね。」
謝ると、子狸が首を横にする。気にしていないようだ。
「かわいい…」
「よかったの…」
子狸達は嬉しそうにしている。
「そろそろ、戻らないとね。」
「エルは帰るのか」
「霊夢姉が心配するから。」
「そうか。なら、わしも当代の博麗の巫女に挨拶するかの。幻想郷に帰ったのは8年振りじゃ。」
エルとマミゾウは博麗神社に向かった。
「それにしても、エルが記憶喪失なのは、驚いたぞ。原因は?」
「紫さんからは、精神的な問題らしいけど…わかんない。」
「それは、困ったの…」
「余り、思い出したくないかな。」
「それは……」
「前の僕、霊夢姉に恨みがあるみたいなんだよね…原因……不明だけど。」
疲れたようで、エルは切り株に座る。
「……ふむ。今を楽しめ。そうすれば、何とかなるじゃろう…」
「マミ姉ちゃん…ありがとう。急いで、行こうよ!」
「そうじゃな!」
休憩を終えたエルは、急いで向かった。