エルとマミゾウが博麗神社に向かっている頃。ニーナは人里で買い物をしていた。
(今の私は、人化してるから、妖怪とバレても騒がれない。元の姿に戻らなければ、問題ない。)
買い物を粗方終えると、荷物を異空間に入れ、身軽になる。
(さて、何処に行こうかな…)
鈴奈庵の前を通り掛かると立ち止まった。
(貸本屋。初めてだし…入ってみるかな。)
店内に入るニーナに気づいたのか、鈴奈庵の店番をしている少女、本居小鈴がニーナに挨拶する。
「いらっしゃいませ!」
「どうも…」
「何をお求めですか?」
「幻想郷の歴史に関する資料ありますか?」
小鈴が本棚から数冊の資料本を取り出すと、ニーナに見せる。
「こんなにあるんですか……店員さん。」
「なんですか?」
「この本……妖魔本ですよね?店員さんは、人間…ですか?」
「私は人間ですよ。私は本居小鈴です。妖怪…ですよね?貴女から妖気が出てますよ。」
小鈴の言葉に、ニーナは目を見開いたが、すぐに笑みを浮かべた。
「よくわかりましたね。私の名前はニーナです。猫又の妖怪ですよ。」
「妖怪の気配ありましたし…私は妖魔本を読みに来たと、思ったんですけど…」
小梅が壁に貼られている紙に指を指す。妖怪文字で、【妖魔本の入荷】と書かれていた。だが、小さな字で【条件あり】の文字が…
「……この本は誰が?」
「紫さんですよ。御得意様なんです!」
「………そうなんですね。」(あのスキマ妖怪が、御得意様!?何か、企んでるのか?)
ニーナは妖魔本の1冊に触れてみると、急に違和感を感じて、妖魔本から離れた。
(何、この違和感は!?)
「ニーナさん、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です。ちょっと、適当に本探しますね。」
「自由にどうぞ。」
ニーナは本棚にいくと、冷や汗を流しながら体が震えている。
(あの妖魔本…あの感じ…私に対する魔除けか!他の妖怪は効かないだろう。あの小鈴、人間の少女が触れていても、問題はなかった。何処まで見透かしているんだ…)
適当に本を読みながら考えている。
(どうするかな。紫に警戒されている以上、エルの記憶を戻せない。それだけは何とかしないと。でも、どうする……)
悩ませているニーナに、小鈴が本棚の本のチェックをしながらニーナを見る。
(ニーナさん……妖魔本に触れた時、様子がおかしかったな。何かあったのかな?)
チェックを終えると、椅子に座り、妖魔本を開いて読書する。ちなみに、読んでいる妖魔本は、紫の新作で、【藍ちゃんの観察記録特集】と妖怪文字で書かれている。小鈴か紫以外は読めない妖魔本である。
(……紫さんも藍さんに、意地悪するんですね。)
本棚の本を読み終えたニーナは、本棚に戻すと帰っていった。