「嫌だ…逝かないで……」
エルは最近、就寝中に魘されるようになった。記憶喪失の影響なのかはわからず、原因不明だ。
「……まただ…あの夢は何?」
冷や汗をかいているエルは、居間から出て境内に出る。
(……頭が痛い。何か思い出しそうなのに…)
喉が乾いたエルは、台所に向かいコップに水を入れて一気に飲み干す。
「…………疲れた。」
疲労した体を無理矢理動かして、布団に倒れこんだ。暫くすると、疲れが消えて楽になった。
(早く寝ないと…)
寝ようと思って、目を閉じるが眠気が来ない。完全に眠れなくなってしまったようだ。
「どうしよう…眠れなくなっちゃった…」
エルはダメ元で、使い魔のレイを召喚する。
「マスター!やっと喚んでくれました!」
「夜遅くにごめんね。」
「大丈夫ですよ!」
レイは嬉しそうに、エルを抱き締めている。そのレイの表情に癒されているエルは、頭を撫でているのたが…
(マスターの体が震えてる。)
「マスター…」
「どうしたの…レイ…」
「怖い夢でも…見たんですか?」
レイの言葉に、エルの震えが止まらなくなる。
「そんな…」
「マスター…私は、マスターから…離れません。マスターが…大好きです…」
レイのその言葉に、我慢して耐えていたが、耐えきれなくなり涙を流す。
「レイ…暫く…一緒にいてよ。」
「わかり…「レイ…抜け駆け…禁止…」レイン、邪魔しないでくださいよ!」
エルの背中に張り付いているレインは、機嫌が悪い。
「エル…私には…甘えない…」
「そんなことないよ…」
「………私も……一緒……やっぱり…エルは…ワタサナイ…」
レインの黒い笑みに、レイは恐怖で体を震わせる。エルは平気のようだ。
「レイ、レイン…ありがとう。」
「マスター!」
エルはレイとレインの頭を撫でる。
「マスター…」
「エル…大事な…」
「どうしたの…レイン?」
「それは……エル…震え…治った…」
エルの震えがなくなり安心すると、エルが欠伸をしている。眠くなってきたようだ。
「眠い…レイ、レイン…おやすみ…」
エルは眠ってしまった。
「今回は…」
「休戦…」
レイとレインは、エルを挟んで眠った。
すると、ニーナが天井から顔を出して、レイとレインの様子を見て嫉妬していた。
「いいな……早くエルの記憶を直したいけど、準備に時間が掛かるし、記憶の欠片なんて簡単に集まるものじゃない。どうにかしないと…」
ニーナは少し焦り始めていた。でも、どうすることも出来ないゆえ、嫉妬してしまっていたのだ。
「時間はまだある。ゆっくりやろう。」
ニーナは姿を消した。