エルは妖怪の山付近で、椛と弁当を食べていた。
「エル君、お肉食べないと…」
「体質で食べられないからね。椛姉ちゃん。」
「完全に忘れてましたよ。てか、エル君が記憶喪失になってるの知りませんでした。」
椛は妖怪の噂で聞くまでは、エルが記憶喪失になっているのを知らなかったようだ。
「半年も会ってないから仕方ないよね。僕も椛姉ちゃんと知り合いなの知らなかったから。」
「それは悲しいですよ。」
エルは椛の頭を撫でると、犬のように甘えてくる。
「気持ちいいです…」
「椛姉ちゃん、今日は仕事ないの?」
「非番です…わふん。」
「犬みたいだね。」
「今日は犬で良いですよ。もっと撫でてください。」
椛はエルを抱き締めると、そのまま寝てしまった。エルは苦笑しながらも、されるがままだ。
(椛姉ちゃん、仕事疲れたんだね。)
頭を撫でながら眠った。2時間くらいで、椛が目を覚ますと、エルを抱き締めたまま寝てたことに気づいた。
「…………!?」
離れようとするが、エルに掴まれてるので、離せない。
(ど、どうすれば…)
「………椛姉ちゃん…おはよう。」
漸くエルが目を覚ましたようで、椛から離れた。
「え、エル君。苦しくなかったですか!?」
「どうして?」
「えーと…」
「椛姉ちゃん…可愛いね。」
エルの言葉に、椛は顔を赤くしている。
(あれ?僕…変なこといったかな?)
「……そ、そんなことよりも、どうしてエル君……体が縮んでるんですか?」
「それは……あれ、そうだ。紫さんが僕に負担を与えないようにする処置かな。」
「そうですか。」
「椛姉ちゃん…顔赤いけど大丈夫?」
「え?」
エルが椛に近づいて、おでこ同士をくっつけた。
(エル君!?近いですよ!?)
「少しおでこが熱いね。風邪かな?」
「だ、大丈夫です。風邪は引いていないので…」
椛が風邪を引いていないとわかると、安心した表情になる。
「体調には気を付けてね。椛姉ちゃん。」
「ありがとう。エル君…さて、人里まで送ります。」
「1人で行けるよ?」
「妖怪に襲われたら、洒落になりませんから。」
「それじゃあ…お願い。」
エルと一緒にいられるので、椛は嬉しそうだ。
「餡蜜か団子どっちにする?」
「選べませんね。」
「両方頼んじゃう。どうする?」
餡蜜と団子両方を食べようか椛に聞いてみると、暫く考えて、両方選ぶようだ。
「人里に着いたら、買って帰りましょう。」
「そうだね。椛姉ちゃん!」
「開いていたら良いですね。」
「そうだね。」
人里に到着すると、エルと椛は団子と餡蜜を買って、帰ったそうだ。