翌日。人里で荷物運びの仕事をしているエル。慧音の家に泊めてもらってはいるが、週3日は人里内で仕事をしている。
「今日はありがとう。少ないけど、あげるよ。」
「ありがとうございます!」
「また、頼むね。」
人里の住人はエルが、外来人であることを気づいてはいるが、簡単な仕事を依頼して、手助けしている。
「そろそろ、昼になるよ。何処に行こうかな?」
「エル!一緒にお昼食べよ!」
魔理沙はエルに声をかけると、走って近づいてきた。どうやらお昼を一緒に食べたくて、誘っている様子。
「良いよ。僕もお昼まだだったから。」
「だったらうどん食べよ!」
「それにしよう!」
魔理沙とエルは近くのうどん屋に向かっている最中に、何かの匂いを感じ取った。少なくとも、昨日助けた黒い猫又ではない。
(これは…妖怪…でも、ちょっと違う。)
「エル?どうかしたの?」
「何でもない。早くいこう!」
お昼を食べ終わると、魔理沙から行きたい場所があると言われた。暇だったので、一緒に行くことにした。
到着したようだ。石階段を登り終えると古びた神社に到着した。博麗神社である。
「霊夢!遊びに来たよ!」
「魔理沙…隣の男の子…誰?」
「僕はエルだよ!魔理沙の友達だよね?名前を教えてくれない?」
「私は博麗霊夢。今はお母さんがいないから、お茶しか出せないけど…飲む?」
魔理沙とエルは、霊夢からお茶を淹れてもらい、飲みながら縁側の方で暇を潰す。
「魔理沙は明日来るの?」
「私は明日からの半年間は遠出するの。帰るのは…来年かな。師匠に魔法を教えてもらうの!」
「…………なるのは…人間の魔法使いよね。」
「妖怪に魔法使い…いるの?」
魔理沙の発言に、安心している霊夢は、エルを見ている。視線に気づいたエルだが、何かの遊びかなと思っている。
「そろそろ帰らないと。」
「霊夢。明日も来てもいいかな?」
「………お茶しか出せないわよ?」
「遊びに行くね!」
「待ってる。」
魔理沙とエルは人里に戻るが、その場で立ち止まった。
「魔理沙?」
「エル、また半年後ね!」
人里に入らずに、行ってしまった魔理沙。エルは嫌な予感を感じて、魔理沙を追い掛ける。
「魔理沙!?家に帰らないの?」
「私はいったよ?魔法使いになる。家を出ていくの…」
「………また、会えるよね?」
泣き出しそうになるが、必死に我慢して、魔理沙に聞いた。
「半年後に帰るよ。それまで、待っててよ!」
「待ってるね!」
魔理沙は魔法の修行に出掛けたのだった。
翌日。昼頃に博麗神社に来ていたエルは、霊夢に手土産を持ってきたようだ。
「人里で饅頭が売られてたから…一緒に食べよ…」
「……ありがとう。お茶淹れるから、縁側で待ってて……」
「わかった。」
縁側で待っていると、紅白巫女を来た女性が神社に来た。霊夢の母親で、先代巫女である。
「………こんにちわ。」
「こんにちわ。君は、霊夢の友達かな?」
「は、はい。エルといいます。」
緊張をしてしまい、話し方が変になっていた。先代巫女は笑わずに、エルの頭を撫でている。
「緊張しなくても大丈夫。霊夢と仲良くしてやってくれ。」
「……うん!」
「エル。お茶……お母さんお帰りなさい!」
「ただいま。友達が出来てよかったね。霊夢?」
「うん!」
お昼をご馳走してもらったエルは、お礼を言って夕方に神社を後にした。
「早く戻らないと…」
霊力で身体強化をしたエルは、凄い速さで走っている。人里に到着する寸前で、悲鳴を聞いてその場で立ち止まった。
「……泣き声?何処から……」
泣き声のする方に歩いていくと、木の天辺に妖精の少女がいて、泣いているのだ。
(助けないと…)
「誰か…下ろしてください!?」
(……まだ浮けない。木に登るしかない。)
決心したエルは、木登りを開始した。妖精の少女は、そんなエルを見て目を見開いている。
「もう少し……」
だが、エルは木の枝に足をかけた瞬間。枝が折れて足場を失って落ちてしまった。
妖精の少女が意を決して、木から飛び降りて、エルを抱えて中に浮いた。
「え…浮いてるの?」
「余り…動かないで!うわぁ!?」
エルと妖精の少女は地面に背中からぶつかり、怪我をしてしまったが軽傷で助かった。
「大丈夫?」
「なんとか…」
「私は妖精…レイといいます。」
「僕はエルだよ。ありがとう…」
妖精の少女……レイは、エルに助けられた事に、お礼を言っている。
「木登り…自信があったんだけど……」
「泣かないでください!」
悲しそうな表情に、レイは泣きそうになりながらも、エルを抱き締めた。
「……私も、泣いちゃいますよ…」
レイの感情表現が行動に出るようで、エルは抱き締められた状態で、動けなかった。
「ありがとう…レイ。」
「また…会えますか?」
「会えるよ。でも、僕は人里に住んでるよ。」
「私から会いに行きますよ。人里まで、送りますよ!」
エルはレイに見送られて、慧音の家に帰っていった。