エルが紫の提案を受け入れたため、妖怪達の相談役となった。相談役の役割は、ストレスが溜まっている妖怪の相談または、戦うことである。
「でも、萃香と私が後ろ楯になっている以上、エルを守護するわ。組手での戦闘は、エルに頑張って貰うしかないわ。」
「僕の修行になるから、構わないよ。」
「その意気だわ。私はそろそろ、帰るわね。」
「わかりました。」
隙間で姿を消すと、エルは荷物の整理を始める。近い時期に、人里を出るためだ。
(僕がいたら、人里の皆に迷惑になる。今月中には、人里を出ようかな…)
ある程度の荷物の整理が終わると、慧音が部屋に入ってきた。
「荷物整理をしてたのか?」
「はい。紫さんの提案を受け入れた以上、人里を出た方がいいと思ったので…」
「そうか。また、帰ってきなさい。」
「ありがとうございます。慧音先生!」
翌朝。エルは紫の隙間で人里を後にした。
紫が用意した建物に到着した。室内は案外見た目とは違い、広かったようだ。
「確かに、森の中だね。修行には良さそうだよ。」
荷物を置いて、寛いでいると、外に黒髪の少女が歩いていた。森の中を歩いている内に、迷ってしまったようだ。
「大丈夫?」
「……大丈夫よ。迷子になっちゃた。」
「それは大変だね。」
エルは黒髪の少女が、妖怪であると気づいた。だが、何もされていないので、黙っていることにした。
「僕はエルだよ。君の名前は?」
「私はニーナです。よろしくね。エル君。」
「此方こそ…」
夕方になると、ニーナは何処かに行ってしまった。
「さて、掃除は明日するかな。」
そう決めて、荷物を持って紫から貰ったマヨイガに通じるお札を使い、マヨイガに向かった。
人里の方では、妹紅が迷いの竹林で竹を切っていた。人里の人間の依頼で、竹が欲しいらしい。
(竹で笛でも作るのか?依頼されたからやるが…)
竹を切り終えた妹紅は、届けに向かう。
「妹紅さん。待ってましたよ!」
「待たせて悪いな。霧雨の店主。」
妹紅が竹を届けたのは、人里で唯一の道具屋【霧雨道具店】の店主である。道具だけではなく、玩具も販売しているらしいが。
「これだけの竹があれば、いろいろと出来ますよ。」
「そうか?」
「代金の方は、これでとうですか?」
「……丁度だ。」
「じゃあな。」
妹紅は帰っている最中に、霊夢と先代巫女を見掛けた。何かを探しているような様子だった。
(妖怪退治の依頼かな。声をかけたら、邪魔になるしやめとくか。)
その頃。黒猫は魔法の森で、のんびり歩いていると、目の前に霊夢と先代巫女が現れた。何かのお札を持って構えている。黒猫は危険を察知して人化する。その姿は、エルと会話していた黒髪の少女、ニーナであった。
「博麗の巫女が私に何か用事?」
「貴女が、人里の人間に悪さをしている情報が入ってね。」
「………それだけで、退治する理由になるの?私は人間に悪さしてないけど……」
「妖怪の言い訳が、通用するとでも?後から調べればわかることだ。」
先代巫女はニーナの話を聞くつもりなど、無いようだ。お札から弾幕が発射されると、ニーナは妖怪の身体能力で、段幕を回避する。
「妖怪風情が中々やるね!」
「だから、博麗の巫女は嫌いなんだ!」
霊夢が針を霊力で発射するが、何処からか霊力の弾丸が飛んできて、針を破壊した。
「………な!?何でいるのよ…」
「面白いな。君が、その妖怪を庇うなんてね。」
「………何してるんですか?霊夢と巫女様。」
ニーナの目の前に現れたのは、短剣を持って構えているエルの姿だった。