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あれから3年。エルは12歳になり、人里から離れて暮らしており、人里の保護を拒否した。その理由は、人里の人間達から、離れて暮らしたいからである。
今現在は、森で熊を狩っている最中である。因にだが、エルは肉が苦手である。狩っている理由は…
「ルーミアとレイ。熊を狩ってきたからちょっと、待ってね。」
「マスター、私も手伝いますよ!」
「私も手伝うのだー」
エルは薪を集めるように指示を出すと、ルーミアレイは集めに向かった。その間に熊を解体して、準備しておく。
「今日は紫さんからの用事はないから………暇だよ。」
熊の解体作業を終えると、ルーミアとレイが薪集めて戻ってきた。
「たくさん拾ったのだー」
「マスター!たくさんあったよ。」
エルはルーミアとレイから大量の薪を貰うと、焚き火を始める。結界内で、焚き火をするため安全である。
「肉まだ…」
「ルーミア待ってね。」
「熊焼き、熊焼き。」
熊肉の表面に焼き色がついたら、ゆっくりと回して、火を中まで通していく。暫くして、全体に焼き色がついたら完成である。
「熊肉焼けたよ。ルーミアとレイは、先に食べてもいいよ。もっと準備するから。」
「いただきます。」
「いただくのだー」
熊肉にかぶりつく、ルーミアとレイを見ながら、処理を続けていく。すると、見えない何かが通り過ぎる気配を感じたエルは、その位置に結界を構築する。
「痛い……これ……結界!?」
「何者なのかな?」
「私は古明地こいしだよ。ルーミア、久し振り!」
ルーミアとこいしは、はいタッチしている。知り合いのようだ。
「……………君は誰?」
「僕はエルだよ。よろしくね…」
こいしは興味津々で、エルを観察しているが、首を傾げながら、回りを一周する。流石に表情には出ていないが、イライラしているエルは、どうしたのか聞いた。
「……何だか、暗いよ?元気がないのかな……」
「何を言ってるの?それより、こいしは肉食べる?」
「…………食べようかな。」
エルは串焼きにした熊肉をこいしにあげた。ゆっくりと食べ始めたこいしは、目を輝かせて食べ続けていく。
(……こいしも妖怪だよね。人間は勘弁してほしいかな…)
熊肉を食べ終えたレイはエルと、火の後始末をする。ルーミアとレイは、妖怪の山に遊びにいくようで、飛んでいった。
「エルは予定あるかな?」
「なにもないよ?」(依頼がないから仮眠したいけど………)
こいしはそれを聞いて、嬉しそうにする。懐から封筒を取り出すと、エルに渡した。その封筒には、狐のマークがついていた。
(封筒に狐のマーク…依頼者なんだ。どんな依頼なのかな?)
「何を依頼するの?」
「お姉ちゃんが家に引きこもりなんだけど、外出させるの手伝ってほしい。」
こいしの依頼は、引きこもりの姉を外に出すことのようだ。家から追い出すのではなく、外出させる依頼。
「こいしのお姉ちゃんは、どんな妖怪なの?」
「覚り妖怪だよ。私もだけどね…」
「覚り妖怪。」(生物の心が読める妖怪だったね。ん……僕の心読んで、拒絶反応しなきゃいいけど…大丈夫かな。)
依頼を受けるか受けないか。どちらにしようか悩んでいる。
(悩むな。けど、依頼を受けなかったらコネのチャンスが………よし。)
「決まった?」
「依頼を受けるよ。こいしの家に案内してくれない?」
「ありがとう。」
エルはこいしの家に向かったのだった。