地霊殿に招待されたエルは、さとりから紅茶を出されたので、一口飲んでみたら美味しかったようだ。
「美味しいです…」
「君に合ってよかったわ。」
安心した表情のさとりは、紅茶を飲みながらエルの心を読んで、観察を始める。
(博麗の巫女に、友達である妖怪を殺されたのが、原因なのね。それで、心を閉ざしている。人間を嫌う理由は、理解できるわ。私は妖怪だけど…)
さとりのサードアイの視線に気づいたエルは、紅茶を飲み終えると、気になったようで質問した。
「さとりさんのそれは、能力の一部なの?視線に気になったから…」
「そうよ。私の能力は、心を読む程度の能力。生物の心が読めるわ。君は読まれても、気にしないみたいだけど。」
エルはクッキーを食べながら、何も言わなかったが、さとりには何が言いたいのか、伝わっている。
「面白い人間ね。普通の人間なら、気味悪がって誰も、近付こうとしないもの。」
「……僕は普通の人間じゃないよ。妖怪の味方をする人間は、他からしたら…化け物当然だから…」
暗い笑みを浮かべるエルだが、足元にさとりのペットである猫が近寄ってきた。妖怪ではない普通の黒猫である。たまに、こいしが拾ってきて、地霊殿に連れてきているのだ。
「………どうしたのかな?」
「………なるほどね。黒猫から心配されてるわよ。敏感な動物もいるみたいだし。」
黒猫はエルの足に、頭を擦り付けている。気を許したらしい。黒猫の行動に、恐る恐る右手を黒猫に近付ける。
「………頭を撫でて、大丈夫かな?」
「………大丈夫よ。普段は人間を見つけた瞬間、威嚇するけど、君は大丈夫みたいね。」
黒猫の頭を撫でると、大人しく撫でられていると、他の動物達がエルに集まってきた。
「鳥もいるんだね……この子は妖怪だね。」
妖怪鳥の頭を撫でるエルは、嘴で指を噛まれた。痛くはないようなので、甘噛だろう。
「懐かれているわね。何かの体質かしら?」
「……動物には、懐かれてるよ。一部妖怪もいるから…」
「妖怪に懐かれるのも、変な話ね。でも、それは君が信頼されている証拠よ。基本、妖怪は人間を襲うのが、幻想郷での常識…なのかしら?」
「常識じゃないかな?人里に住む人達は、妖怪に恐怖して、人里から出ないから…」
人里に住んでいたことを思い出したエルだが、霊夢のことを思い出した瞬間。急に、激しい頭痛に襲われた。エルは椅子から転げ落ちて、頭痛に苦しんでいる。
「エル君!?大丈夫なの!」
「どうしたのお姉……エル君!?」
「こいし、私の寝室から頭痛薬を持ってきなさい!青の箱に人間用が入ってるから、急いで!」
「青の箱だね。わかった!」
さとりの寝室にある青の箱から、頭痛薬を取り出すと、さとりに渡した。
「頭痛薬よ、飲める?」
頭痛が酷すぎて、頭痛薬を飲める状態ではない。さとりは迷う暇もなく、頭痛薬をエルに口移しで飲ませる。頭痛薬を飲み込んだのを確認すると、エルから離れた。
「お、お姉ちゃん!?何してるの!?」
「何って、こいしは何で、赤くしてるのよ?」
「だ、だって…」
こいしは顔を赤くしながら、無言になる。
「エル君を寝室に運ぶわよ。」
さとりはエルを寝室に運んだ。