エルが地霊殿に来て、1週間が経過した。今現在は、さとりからペットの世話を任されるようになった。
(確か、依頼期間は30日だから…残り23日。そろそろ、能力を試してみようかな?)
そう考えていると、さとりから書斎に来るように言われた。ペット世話を終えて、書斎に入る。
「こいしも、さとりさんに呼ばれたの?」
「私は無意識だから…」
「エルが来たから、本題に入るわよ。」
さとりに呼ばれた理由は、エルの能力に関してだ。能力は、生物の潜在能力を上げる代わりに、その生物の能力を劣化コピーする能力らしい。因みに、エル本人も、能力を知らなかったようだ。
「生物の能力を…劣化コピー出来る能力?」
「能力名は別に決めればいいわよ。紫さんから、エル君の能力を教えてもらったわ。そろそろ、能力を使ってもいいそうよ。」
「能力の使い方は……対象者と手を繋いで、お互いが承諾すれば…使えるみたい。」
「意外と簡単なんなのね?」
試しに、さとりとエルが手を繋いで、お互いに承諾すると、お互いの体に金の十字架が出現した。
「この金の十字架は、仮契約の証だね。銀の十字架もあるみたいだけど、ランダムみたい。」
「この十字架は、軽いわね。金属じゃないみたい。」
金の十字架を興味深げに触れているエルとさとり。潜在能力を確かめるために、さとりはこいしの心を読んでみると…
「……………私のことを毎回、引きこもりだと思ってたのね。こいし…」
「え、お姉ちゃんは、私の心を読んだの!?」
「今の私は、こいしの心を読み放題よ…」
「え、そんな…エル!?なんとかしてよ!」
こいしは、さとりから離れて、エルの後ろに隠れる。溜め息をしたエルは、さとりに注意する。
「さとりさん。悪ふざけが過ぎるようなら、仮契約を解除するよ。契約解除の権限は、僕にあるから…」
「…………ごめんなさい。悪ふざけが過ぎたわ。実は、能力が自動発動じゃなくなったわ。」
「意地悪は嫌い…」
機嫌を悪くするこいしに、少しショックを受けてしまったさとりだが、心を読めるのは、さとりだけではない。
「こいし…さとりさんに気を付けてね。シスコンらしいから。」
「エル君!?私の心を呼んだわね!」
「仮契約しているから、さとりさんの心を読めるようになったよ。断片しか読めないけど…」
こいしも、エルと仮契約したいようで、頼んできた。仲間外れは嫌なようだ。エルの容量的に、後1人しか契約できない。
「本当に良いんだね?」
「証がほしい。私とも仮契約して!」
「それはいいけど、こいしも覚り妖怪だから…封印してある能力が、解放されるけど、覚悟はある?」
「…………」
こいしは、閉じられているサードアイに触れるが、既に覚悟はあるようで、頷いている。
「わかった。僕の手を握って…」
ゆっくりと、エルの手に触れるが握ろうとしない。少し、怖いようだ。
「大丈夫?」
「少し……怖い……」
エルはこいしの手を両手で、握ると安心させる。
「どうかな?」
「……大丈夫。」
エルとこいしの仮契約が成立して、金の十字架が出現した。すると、閉じられていたこいしのサードアイが開くと、こいしは気を失った。