東方妖怪堂     作:ノック

84 / 93
83

気を失ったこいしを寝室まで運んだエルは、目が覚めるまで、こいしの傍にいた。さとりは地霊殿の仕事があるため、エルに任せた。

 

「……」

 

こいしの手を握り、目が覚めるのを待った。さとりが寝室に入ってくると、エルを心配している。

 

「少しは休憩しなさい。私がこいしを見てるから…」

 

何も喋らないエルだが、さとりは心を読んで、話続ける。

 

「余り、自分を責めたらだめよ。仮契約をしたのは、こいしの意思なの。だから、エル君は悪くないわ。」

 

無言のエルに話続けるさとりに、エルは立ち上がって、寝室を出た。少し、客室で休むようだ。

 

「こいしが目を覚ましたら、教えるわ。」

 

「…………わかった。」

 

客室に入り、ベットに横になるエルは、眠気が来たようで、そのまま眠ってしまった。

 

 

 

 

翌日。客室で寝ていたエルが目を覚ますが、動けないでいた。こいしが腕を掴んだ状態で、隣で寝ていたのである。

 

「こいし…起きて。」

 

「ん…エル、おはよう。」

 

こいしが目を覚ますと、エルはこいしの開かれているサードアイを見た。

 

「……開いてるね。」

 

「エルと仮契約した影響かも。一応、エルの心が読めるよ…いろいろと、我慢してきたんだね。」

 

こいしがエルを抱き締めると、最初は抵抗しようと思ったが、すぐにやめた。こいしの好きにさせたのである。

 

「……無理したらだめだよ。私達、妖怪なら頼れるよね?無理して、笑わなくても大丈夫だよ。」

 

こいしの抱き締める力が強くなると、泣くのを我慢していたエルは、我慢できずに泣き出してしまった。それを拒まないこいしは、エルが泣き止むまで、抱き締め続けた。

 

「……………ごめんなさい。」

 

「謝らなくて良いよ。」

 

泣き止んだエルだが、こいしの目の前で、思いっきり泣いてしまったので、恥ずかしくなり後ろを向いている。だが、こいしも心が読めるので、余り意味がない。

 

「………さとりさん。隠れてないで、出てきてよ…」

 

扉の裏側に隠れていたさとりが、部屋に入ってきた。エルを心配しているようだが、誤魔化されない。

 

「さとりさん。僕は、さとりさんの弟にはなりませんよ。一応、人間なので…」

 

「エル君は、人里の保護を放棄したのだから、妖怪になれるわよね?3人目の覚り妖怪として、地霊殿に、一緒に暮らさない?」

 

「それは、良いアイデアだね。お姉ちゃん!エルも一緒に暮らそうよ!」

 

「さとりさん、こいし…紫さんを敵に回すつもりなの?僕は、妖怪専門の何でも屋だけど、限度があるからね?」

 

エルの説得により渋々諦めたようだが、油断ならない。

 

「こいしの依頼は、さとりさんを外出させることだよね?そんなに、地霊殿から出てないの?」

 

「出てないね。私は無意識状態で、頻繁に出掛けてるけど、お姉ちゃんは50年近く地霊殿から出てないよね?誤魔化してもわかるからね。お姉ちゃん?」

 

「やっぱり、こいしのサードアイ、閉じませんか?」

 

「それなんだけど、仮契約を解除しても、こいしのサードアイは、閉じないよ。元々、覚り妖怪だからのと、こいしがトラウマで、能力を封印しただけだから。解除したところで、意味がないよ。」

 

懇切丁寧にさとりに説明したエルは、眠くなったので、ベットに横になり寝たのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。