エルは地霊殿の客室を借りていて、さとりから何冊か、本を借りていた。今読んでいるのは、地底に住む妖怪が書いた小説である。妖魔本のようだが、人間が読めるように漢字が使われている。
「………鬼と人間の争い。鬼が書いたのかな?」
読んでいる内に、わからなくなってきたので、読むのをやめた。すると、こいしが部屋に入ってくるとエルを抱き締めた。
「え、何してるの?」
「エルが甘えないから…私がエルに、甘えてみたよ。心の中、読めるからね。」
「僕も読めるけど…さとりさんには、甘えないの?」
「お姉ちゃんには…………いいかな。甘えなくて…」
こいしが言ったら、さとりが客室のクローゼットから出てきた。驚いているこいしにエルの方を見る。
「お姉ちゃんが隠れてたの!?」
「僕は知らなかったからね。さとりさんは何で、クローゼットに隠れてたんですか。」
「エル君が構ってくれませんから……」
こいしとさとりは、エルに構ってほしいのか、見続けている。溜め息を我慢して、外出することを話す。こいしは一緒に行くようだが、さとりは部屋から出ようとしたので、捕まえて強制的に地霊殿から出発した。
「部屋に戻してください!?」
「観念して、外に出ようね。お姉ちゃん?」
「今日は外泊するからね。地霊殿の動物達に話したら、お願いしますと、言われたから。」
エルの衝撃発言に、さとりはぶつぶつと、「私の味方がいません」と、呟いていた。
「地底の町は賑わってるね。」
「何処に宿泊するの?」
「鬼が経営している居酒屋兼宿なんだけど、戦闘してくれたら、無料で泊まらせてくれるみたいで…」
エルの発言に、さとりは逃げ出そうとしているが、腕を掴まれているため、逃げられないようだ。こいしは平気そうだが…
「何で、鬼なんですか!?」
「萃香さんが、酒を飲みながら、言っちゃったらしくて…一鬼さんに頼まれました。」
「一鬼おじちゃんの居酒屋なら、大丈夫だよね。卵焼き美味しいから…」
「こいしは頻繁に行ってるけど、お金大丈夫なの?」
「地霊殿にいると暇だから、お手伝いしてるよ。皿洗いとか。それで、卵焼き2つとお菓子貰ってるよ。」
こいしの言葉に、感心しているエルだが、さとりは目を見開いて、小石を見ている。何も知らなかったようだ。
「………さとりさんは、知らなかったみたいだけど…」
「こいしは週毎だったり、帰る日数が疎らなのよ。」
エルはこいしを家出少女と、思っていると、こいしのサードアイに睨まれてしまった。
「…………ごめん。」
「私は何も言ってないよ?」
「心読めるから、わかるよね?」
「私は無意識だから…エルも無意識使えると思うけど…」
「無理みたい。僕が使える能力は、覚り妖怪の固有能力、心を読む力しか使えないみたい。使える能力にも、条件があるみたいで…」
エルの能力では、コピーできる能力の条件があり、自由にコピーできるわけではない。
「でも、エルは妖怪の匂いがわかるんだよね?」
「元々は、外から来たから…多分、犬を飼ってたから、犬の嗅覚の特性を劣化コピー出来たんだと思う。」
「犬でも、契約可能なんだね?」
鬼が経営している居酒屋兼宿に到着したのだった。