エルは一鬼と戦闘をするために、地底の広場に移動すると、人だかりができていた。萃香が噂でも流したのだろう。
「エル坊、大変だな。」
「萃香さんの仕業だね。後で、仕返しやらないとね。」
黒い笑みをしているエルに、一鬼は冷や汗をかいている。周囲が騒いでいるので、戦闘準備をすることに。
「俺のハチマキを取れれば、勝ちにしてやる。」
「何時ものですね。僕もやりますね…【契約能力モード…古明地さとり】」
エルは契約したさとりの能力を使用する。永続的に使えるため、使い勝手はいいが、能力の使用には負担が掛かる。
「一発目行くぞ!」
右手から大岩を出現させると、エルに目掛けて投げると、その場から動かないでいる。すると、大岩が突然周囲に散乱した。
「よく見極めたな。」
「偶然です。」(さとりさんの能力がなかったら、大怪我かな?)
楽しくなってきた一鬼は、足を踏み入れた瞬間、エルの目の前に現れて拳を当てる寸前に、エルの姿が消え、一鬼の真後ろに現れた。
「今度は…僕の番だよ。」
右手を霊力で纏い、黒く染まると、地面を殴って亀裂をいれた。この威力に、一鬼は焦りを見せずに、大岩を投げた。
「砕くよ。《バーストポイント》」
黒い右手で大岩を殴った瞬間、粉々に粉砕した。
「なんだよ、その右手は!?」
「右手に霊力を流す時に、霊力を過剰に流すことで、霊力を暴走させて威力を高める技術だよ。妖怪なら妖力になるかもね。」
「力を暴走させて…人間がやる技じゃないぞ!?」
「そうだよね。でも、戦うのは…楽しいよね。《バーストスペシャル》」
暴走状態の霊力で、身体強化をしたエルの体が黒く染まっている。その姿に、流石の一鬼は焦りを見せる。
「お前…は…仕方ない…殴ってでも、止めるぞ!」
「効かないよ…《バーストポイント改》」
体の霊力を右手に集中させて、一鬼を殴り飛ばしたが、右手を一鬼に掴まれているため、右手が動かせない。
「これで、技は止まっ…は!?」
「左手が残ってるよ。《バーストポイント改》」
左手から来る攻撃に、反応できずに一鬼のハチマキが取られた。エルの勝利である。
「…………疲れた。」
「あれはズルくないか!?」
「なんで?」
「殴ると見せ掛けて、ハチマキを取ったじゃねえか!」
一鬼はエルの戦い方に、不満があるようだが、勝利条件を決めたのは一鬼であり、戦い方に不正もないため、文句を言われる筋合いはない。
「鬼は嘘が苦手だよね?ルールを決めたのは誰かな?」
「う……」
エルに正論を言われてしまい、何も言えなくなった一鬼である。
「エルが勝ったね!」
こいしはエルを抱き締めている。嬉しそうにしているが、内心では…考えもなく抱き締めたため、恥ずかしいようだが、離れるタイミングを逃したたようだ。
「離れようか?」
「………もう少しだけ。」
抱き締めている腕の力が、少しだけ強くなったので、エルはこいしの好きにさせた。
「もう、良いよ…ありがと…」
「わかった。」
こいしはエルから離れると、無意識を発動してエルと一緒に泊まっている部屋に戻った。