守矢神社に居候しているエルは、諏訪子から出された修行である座禅を組んでいる。精神を保つ修行らしい。監視役として、八坂神奈子が目の前にいる。
(物凄い集中力だな。一切の雑念を感じない…)
神奈子の部屋で座禅しているエルだが、一瞬集中力が途切れたので神奈子から止められた。
「一旦中断する。集中力が続いてないな…」
「ごめんなさい。」
「まあ…まだ1週間だからな。そろそろ、慣れてもいい頃だがな。後で、居間に来な。朝食にする。その後で、境内の掃除だ。」
「わかりました。」
エルは簡単な柔軟体操をしてから、居間に向かう。諏訪子が欠伸をしながらエルを呼んだ。
「おはよう…エル。そろそろ、慣れた?」
「まだです。」(諏訪子さんと神奈子さんは、人間じゃないからまだいいけど…)
居間に入ると早苗が料理を並べていて、エルが来たことに気づく。
「諏訪子様とエル君…おはようございます。朝食の準備ができましたよ。」
「………な、何か手伝うことある?」
「座って待ってください。神奈子様も、そろそろなので。」
早苗が居間から出ていくとエルは座布団に座ると、諏訪子からお茶を出された。
「まだ、人と話すのは無理?」
「まだ、マシです。」(人里を出てから、妖怪と妖精だけだったから…レイとルーミア。どうしてるかな?)
「ふーん。」
諏訪子から出されたお茶を飲みながら、早苗と神奈子が来るのを待つ。
(紫はエルが、人間嫌いになっている理由を話さなかった。元々はそうでなかったみたいだけど、幻想郷で何かあったのかな?)
早苗が作った朝食を食べているエルは、隣に座っている早苗を見ずにさっさと、朝食を食べ終えると流しに持っていく。
「私がしますよ…」
「……………自分の分は、洗うから。」
エルは台所に行ってしまった。早苗を見ずに行ってしまったため、嫌われていないかと思っている。
「諏訪子様、神奈子…」
「13歳の少年だし…思春期かな?」
「嫌われていたら、そもそも居候しない。」
「ですが、紫さんの頼みでしたよね?」
暗くなっている早苗。すると、皿洗いを終えたエルが戻ってきた。境内に行こうとしたら諏訪子に止められた。
「早苗も、そろそろ食べ終えるから一緒に境内に行くんだよ。」
エルは内心面倒だと思ったが、居候の身なので、諏訪子の言葉に従った。朝食を食べ終えた早苗と一緒に、掃除道具を持って境内に出る。
「ボチボチ、掃除を始めましょう。」
「……………わかった。」
早苗から竹箒を受け取り、境内の奥から掃いていく。無言で掃除しているエルに、早苗は耐えきれずに話し掛けた。
「1週間になりますが、慣れましたか?」
「…………少しかな。」
一言だけいったら、掃除を続ける。会話が続かないせいか早苗は、話し掛けようと話題を考える。
(何で…この人は僕と会話したがるんだろ。)
(会話が続きません…てか、明らかに避けられているような…)
集めたゴミを黒い袋に入れると掃除を終える。早苗は一旦部屋に戻り、お茶と茶菓子の準備をする。エルは近くにある水道で手を洗う。
(外の世界だと、霊力使えないんだっけ。不便だよ…)
溜め息をするエル。お茶と茶菓子の準備を終えた早苗が呼んできたので、縁側に移動する。
「お茶と茶菓子を持ってきましたよ。和菓子ですけど、大丈夫ですか?」
「食べれる……」
ゆっくりとお茶を飲んで、茶菓子である饅頭を一口食べる。おいしいのか目を見開いている。
(エル君は無言ですけど、感情が顔に出るんですかね?)
饅頭を1個食べ終えて、お腹がいっぱいになったようだ。
「御馳走様でした。」
「少食でしたか?」
「……沢山は食べれないだけ。お茶…おかわり。」
「そうですか。なら、昼食は何かリクエストありますか?」
「…………肉以外なら何でもいい…せめて、魚かな。」
「わかりました。魚料理ですね!」
笑みを浮かべている早苗に、首を傾げているエルなのだった。