蒼き雷刃のゼノグラシア ~灰かぶりの呪子と守る乙女ゲーシナリオ~   作:雨在新人

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隼、或いは終結

ファルコン・ストライク

 所謂奥義スキルと呼ばれるものの一種。自軍フェイズにコマンドから選択して発動する特殊攻撃の一種であり、攻撃力計算値は武器威力×2+(力+技+魔力)/2、射程は1~5と長く、貫通(選択した対象と自身との間に居る敵にもダメージ)を持つ。何よりの特徴は、必殺が普通に発生する(多くの奥義はそのダメージ補正を加えた火力インフレを防ぐためか必殺補正がマイナスであったり必殺が発生しないを持っていたりする)上に相手の防御or魔防の低い方をダメージ計算に適用するドラゴンブレス計算式な事。コスト制限共に緩く(2ターンに一度、消費MP5とローリスク低コスト)連発可能な事も相まって圧倒的殲滅力を誇る、皇族の皇族と呼ばれる所以を証明する壊れ奥義である。ゲームではおれも散々ぶっぱなした記憶がある

 ……とまあ、ゲームでの性能は置いておくとして

 

 要は、普通の攻撃よりもバカみたいに強い皇族の一撃という事である

 その大鳥が地面に突き刺さり、消えると共に

 貫かれた鉄の巨人は煙を上げ、そして完全にバラバラのパーツに分かれ、大地に崩れ落ちた。そのスタイリッシュな細身になった腕も、鉄兜を模したような頭部も、いくつもの欠片となって地に降り注ぐ

 

 「ファルコン……ストライク……」

 おれと同じく呆然とした声

 まあ、有名だから知ってはいるだろう。騎士団所属してた時代が最近あって知らなければモグリだ。使い手はただ一人。隼の神器の継承者、皇位継承権現在の第一位、ゲーム開始時点でも押しも押されもせぬ……訳では(某妹のせいで)なくなってはいるものの未だ第一位。甘いマスクと蕩ける声で街のお姉様方に大人気な第二皇子のあの人、血が父方だけ繋がった兄である

 

 「一人で解決は難しいだろう、ゼノ

 助けに来たよ」

 お姉様方ならばキャーキャー言うだろう甘い蕩けるような声。それでも媚びすぎず、しっかりとしたちょっと高めの男性ボイスで声優さんすげぇなと思ったことを覚えている

 そして、お前には無理だというちょっとした棘を(いやまあ事実なので言い返しようもないのだが第一形態(アイアンゴーレム)撃破で許して貰えないだろうか。こんな人生序盤から第二形態持ちとかゲームならケイオス5あるだろう)含ませた正論っぽい言い分

 間違いない。いや、元々ファルコン・ストライクの時点であの人なのは確定しているのだが気分の問題である

 「シルヴェール、兄さん……」

 「正解、私は弟だから助けに来たんだから、ね」

 ふわりと降り立つ人影。その空に浮かぶ魔法おれも欲しいと何度思ったことか。まあゼノであるおれには一生縁の無い魔法なのだが(魔法を使うことそのものに縁がないので当たり前か)

 未だ燃える草原の火に下から照らされ浮かび上がるのは優しげな顔。母方の髪色を引き継いだのか柔らかな色合いであるはずの金の髪が、炎の色を反射してか何時もより橙に染まっている。年の頃は20に届かない程だが、その存在感は既にしっかりと感じさせる

 その青年が……

 「分かるよね、君ならば

 投降、してくれるかな」

 たった一言で、瓦礫の中呆然としていた男は膝を折った

 

 おれは

 皇族の恥さらしたる第七皇子ゼノは。本来皇族とはこうあるべきという解決の見本を見ながら、ただ事態がたった一度弦を引いただけで終わるのを眺めていた。自分の弱さというものを、噛み締めて

 

 そのまま駆け付けた者達により火も消し止められ、散り散りになった者達も捕らえられた。一人だけ逃げおおせた者が居たらしいが、それをどうこう出来るような事は特に無く

 阿呆か貴様。勝てた死合を棄てたか。慢心するな、と刀を託した師にボッコボコにされて、日が過ぎていったのである

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