蒼き雷刃のゼノグラシア ~灰かぶりの呪子と守る乙女ゲーシナリオ~   作:雨在新人

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煽り、或いは輝界

「げぶっ!?」

 おれの背後で吐く音が聞こえる。恐らくだが、おれの後ろを取ろうとしたユーゴが転移の最中に叩き斬られて血反吐でも吐いたのだろう

 

 それを確認して右足でステップ、軽く前へ飛ぶ

 そんなおれの背後で風切り音がするも、何も起きない。空振りしても斬撃が飛んでくるタイプでは無かったようだ

 いや、そう決めつけるのは良くないが、少なくとも今回は飛ばしてこず単に空振りしただけ。ガツンと地面に突き刺さる巨大剣の音を聞きながら、更におれは距離を取る

 至近距離で斬りかかり続けるのが今のユーゴを倒すだけなら正直な話最適解ではあるんだが、それを選ぶ意味はない。一回死んで復活してきた方が面倒見臭い!

 

 だから適度に攻め手を緩めて煽る必要がある、という訳だ。距離を取ること自体は……

 

 と、背中に熱風が吹きつけるのを感じて空中で足を振って半回転、ユーゴ側を見て着地すれば、おれが少し前まで居た辺りが、刺さった鋼剣を中心に融解しているのが見えた

 煮立った石畳に思わず目を疑いたくなるが、良く考えたら普通に雷王砲等でも似たような事になるな。圧倒的熱エネルギーならば、石だって溶ける

 

 「ひっ!?」 

 「こ、これがユーゴ様の真の力……」

 「その刃、太陽の如く!吠えろガラティーン!」

 輝きを増した巨剣を両手で持ち上げながら、金髪青年は自分の周囲だけ熱を遮断しているのか微かに額に汗を浮かべて叫ぶ

 

 それを聞き流しながらおれは愛刀を鞘に納め直した。おれの基本の型は抜刀術、後は単純にアルビオンパーツだけでも相応に戦えるからな。というか、幾らなんでも刀を振るいながらパーツ制御がちょっとまだ苦手というのもある

 いや、変身すれば始水やアルヴィナがやってくれるんだが、その点がネックなんだよな。アルヴィナが近くに居ないから変身の隙が大きいし、何よりあれは……

 

 と、少しだけ意識が逸れた瞬間、ユーゴの姿がブレる。転移の重力球に呑み込まれて消えたと思うや

 

 「そこだろうっ!」

 おれは愛刀の鞘を握る手を大きく下げると、弧月を大きく描くように天へ向けて振り抜いた

 鞘から解き放たれた蒼き刃から天へと迸るのは青き雷。その光柱に照らされるのは、太陽の如き輝きを放ち、周囲の空気を燃やしながら落ちてくる鋼の巨大剣!

 

 やはり、空からか!

 って違う!

 

 「アウィル!」 

 『クゥ!』

 おれの叫びに咄嗟に事態を理解したのだろう、白き狼は背に黒髪の少女を乗せたまま跳躍し、その下を青きレーザーが突き抜けていった

 

 やはり、目立ちすぎると思った!あいつガラティーンだけ上空に転移させて自分はこそこそと地上から桜理を狙って攻撃しようとしてた訳だ

 「せせこましいな、竜胆!」

 「はっ!こっちは超有利なんだぜ?てめぇに従ってやる義理なんて、何処にあんだ?」

 「本当に有利ならば、なっ!」

 アルビオンパーツを展開、降ってくるガラティーンは放置して愛刀を納刀し、ユーゴが遠巻きに見させているメイドの少女へと

  

 「あっ、てめぇ!?」

 ブン!とおれの視線の先、ユーリというらしい少女の眼前へと転移してくるユーゴ。何時の間にか巨剣も手元に呼び戻しており……

 

 「だから、そういうのは無しだって言ったろうが」

 おれにだって、その子くらい殺せるぞ?とこれ見よがしに鞘と鍔を当てて金属音を鳴らす

 「アガートラームを呼ばれたら流石に困るが、な」

 「わっかんねぇなぁ……

 寧ろお前ら、この我にアガートラームを呼ばれた瞬間に勝ち目無くなるんだってのに、良くもまあそんなことを言うよ

 やるべき事はよ、呼ばれないように死力を尽くすことじゃねぇの?」

 向けられる嘲ったような笑み。だが、目は笑っていない。もっとキラキラしているし、何なら口元も少し疑問を抱くように釣り下がっている

 

 「分かってないのはそっちだ。おれは、おれ達は……銀腕のカミを、お前が信じる最強を打ち砕いて、間違ってました御免なさいと心から謝るまで、お前の尻を叩きにきた」

 一息置いておれは続ける

 「本当は、あの時やらなきゃいけなかった。竜胆佑胡、君達相手にさ、ただ苛めの矛先をおれに代えてさ、そこで満足するんじゃいけなかった」

 「で、苛め殺されたしーどう君?ゴールドスターグループが護ってもくれなかったし、仇すら取ってくれなかった見棄てられた大ボケさんよぉ?」

 出来んのかよ、とユーゴは嘲る

 

 それが何よりの答えであり激励だ。出来ると証明して欲しくなきゃ、此処で煽る必要もない!

 「始水はおれを信じてたし、君を信じてた

 でも、変われなかっただけだろう?お互いに、な」

 だから、と愛刀を構える

 

 「抜かすな!」

 「抜かすさ。銀腕、落とさせて貰う」

 で、とおれは嘲りを返す

 

 「軽く斬り結んで分かった。多少修行したろうが、お前弱いだろ」

 「はっ!これでもかよ!?

 輝界・装着!」

 次の瞬間、おれの前に立っていた青年の頭は白銀のフルフェイスヘルメットに覆われていた

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