蒼き雷刃のゼノグラシア ~灰かぶりの呪子と守る乙女ゲーシナリオ~   作:雨在新人

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悪戦苦闘、或いは先導者

「っ!悩んでる暇もないか!」 

 思い切り地を蹴って空へと翔び上がる。攻撃というよりは、周囲に人が居ない状況を作り出すことでターゲットをおれに絞るというのが主な目的だ

 まだおれならばワンチャン回避も迎撃も可能だが、桜理やアナ達があんなもんに狙われたとして何の対処も出来ないだろう。圧倒的な力に潰されるだけだ

 

 だからこそ、おれは一人で闘うしかない。誰も巻き込まない、それがおれの……やるべきことだ!

 カッ!と噴き出すエネルギー。死者達の想いを燃やして生じる正負の熱量をもって飛翔する。決して何時までも持つものではない

 

 「ぐぅぅっ!」

 不意に右目が凍りつき、空のおれへと放たれていたバルカン弾に頭突きして強引にそれを打ち砕く。ぐわんぐわんと揺れる視界を目を閉じて無視し、軌道を逸らせば……

 

 「見えていたぞ!」

 骨組みだけの翼から無数……いや正確に数えれば恐らく65535機放たれた青い結晶で出来た拳大の超小型ビットが、おれの軌道を塞ぐように大量に集まって壁を形成する。更には一瞬の隙に四方八方に転移してきたビットの壁が形成されておれを箱状に閉じ込めた

 

 っ!そうだ、これが本領。時間を操り少しだけ過去に攻撃を飛ばせるということは、ユーゴからすればおれが晒した隙を見てから後出しで、隙が生じた瞬間にそれを突いていた事に出来てしまう訳だ

 だから実質先読み攻撃を放たれて、このザマか!

 

 「獅童君!」

 「ゼノ皇子!」

 二人の声が聞こえる。それに……隠れて貰っているアナやルー姐の声は聞こえないが、同じように心配させている筈だ

 諦められるかよ!とおれを擦り潰すべくどんどんと分厚く小さくなっていく無数のビットによる箱の中で叫ぶ

 

 だが、おれは単独で転移なんて出来ない。とすれば、抜け出す手立て等……

 

 「咆哮するは神解(かみとけ)、龍!覇!尽雷断!」

 風雷火を纏って、強引に押し退ける以外には無い!

 周囲の空間が無くなる寸前、ギリギリで壁を形成する粒子ビットの波を掻き分けて離脱。だが……

 

 「げほっ!」

 無理をし過ぎだ、制御が効きにくくなってきた

 更に……

 

 「もう、終わりかぁっ!」

 抜け出す事も、その飛び出す方向も、飛び出したのを見たおれからすればほんの少しだけ未来のアガートラームがとっくに知った行動として対処の一撃を既に撃ち終えている!

 っ!裏をかくように、左方向へと飛び出してみたが、当然ながら何の意味も無いか!

 

 「ブリューナク!」

 「くっ!」

 どうする!?確実に手が足りない。相手が未来視というか、一旦おれが避けきったのを見た未来のあいつが過去のおれを攻撃してくる以上、分かってはいたが、未来から攻撃してくるのを止められなければダメージを与えるどころじゃない!

 

 「吠えろ!」

 咄嗟に右翼をブースター型から翼脚を捻って前方に突き出して肩巨大砲のような姿に変え、左翼で無理矢理己を空に固定。さっき突っ切ったビットの壁ではないが、精霊結晶の粒子を全力放出でビームというか壁を形成して強引に飛んでくる雷槍を受けきる!

 

 「そこだぁぁっ!オーバーブラストパニッシャァァッ!」

 が、既に相手はブリューナクの為に腕を振り切った隙……なんてものは未来から飛んできた攻撃だから存在しないが、粒子ビットの隙を転移でキャンセルし、再度成層圏まで届く巨大剣を振り下ろしてきている!

 

 っ!

 そう唇を噛んだ瞬間、おれの身体は突如として左翼の空間制御能力を喪って大きく真横に向けて吹き飛ばされていた

 

 というか、左翼自体が消滅している!?あいつの大元はアドラー・カラドリウスから託されたものの筈で

 と、そこで漸く気が付く。あの翼はおれ一人が使うマントではなく……

 

 「シロノワール!」

 そう、眼前で空を切る巨剣を共に見下ろしながら、混沌色の瞳をした魔神王がおれの首根っこを掴んでいた

 

 「既に誰が為にか鐘は鳴り続けている。私が居たところで変わるまい?」

 「行けるのかよ、銀の腕のカミ相手に」

 「ふん。私が目指すは魔神王の討伐。これしきの相手に勝てぬようでは、やはり人を信用など出来んということだ。アルヴィナをくれてやる道理はなくなる」

 静かな瞳がおれを見るが……魂だけの八咫烏、正直今のおれと比べて、最高難易度の竜魔神王ならいざ知らず今のシロノワールでは能力不足も甚だしい筈だ

 

 「おまえ、は」

 「知る必要などあるのか?私はお前の死、それだけだ」

 だというのに黒き翼を拡げ、魔を導く八咫烏は不敵に嗤う

 

 「死ねぇ!アンタなんてお呼びじゃないんだ!」

 そんなおれを掴んだ王に向けて、翼から再度無数のビットが吹き上がるが……

 

 「あがっ!?」

 迸る金雷にその全てが爆発して、初めて白銀の巨体が微かに揺らぐ

 

 やはり上手く行ったか。龍覇尽雷断の本質は月花迅雷の……天狼の操る全ての雷を統合して放つ金雷の力。制御と撃滅、何とかビットだけは異常をきたしてくれたのだろう

 

 だが、所詮は本体と別に攻撃してくるオプション兵器を封じれたに過ぎない。かの銀腕の能力自体は何一つ落ちていない

 

 「……そもそもだ。私が勝ち目もなく現れるとでも、思われているのか?」

 その瞬間、天空におれとは無関係の金雷が走る。アウィルだ

 地上から迸る雷の柱を駆け登り、白き狼が空へと現れている。が、おれには何が何だか……

 

 「七天の眷。癪かもしれないが、今この時だけは、私に従え」

 ……っ!まさか!?

 

 その瞬間、天に翼を拡げた青年が八咫烏としての本性を一瞬だけ見せたかと思うと、その姿が溶けた

 そして、アウィルを包み込むと二重螺旋を巻き起こし……太陽のような光と共に、一つの姿を形取る

 

 「人間風に言ってやるのならば……天魔狼王ノワール・ガイアウィル、というところか」

 そうして現れたのは、黄金の髪に純白のメッシュが混じり、妹のように頭頂に狼耳を生やし、全身に甲殻を生やし……雷と黒き烏の翼で二対四枚の翼を生やした、魔神王の姿であった

 

 「フュー、ジョン……」

 原作ゲームでも、己の配下たる天獄龍と合体した第三形態はあったが……アウィルともフュージョン体があるのか!?ってか、ゲームじゃ絶対不可能だろその姿!?

 なんて、おれ自身ゲームじゃ有り得ない変身してるから何も言えんがな!

 

 「……行けるのか」

 「私を何だと思っている?そも、生命の絶望の冷気結晶、お前達の死と絶望たる私達の方が余程扱いやすいというもの

 だからこそ、アルヴィナに見初められ、魔神に先祖返りした姿ではあやつらに比べて扱いに長ける」

 伸びた犬歯を見せて笑うシロノワール、その手には何時もよりも鋭く大きく姿を変えた結晶槍が見える

 

 「……頼りにするぞ」

 「共通の敵が居る限り、な」

 首を離され、空に浮かぶ……って、そもそもシロノワールの実体化に左翼パクられたんだった!と落下し初めて理解し、シュリの眷たる証の翼は両翼生やせる程肉体が毒に染まっていないから、炎雷で翼を形成。空間を支配するカラドリウスの力が抜けたせいでエネルギー噴出でのみ空を舞うようになり、今までより最高速が少し落ちつつ軌道ももっと直線的になりがちになった

 

 が、それ以上に、シロノワールが共に闘えるという点は大きいか!1の力を振るうよりも、0.8と0.4の二人で挑んだ方がマシ!

 

 「待っててくれたようだ」

 「ま、見て分かるように負けねぇかんな。好きなだけ策を練れよ、そうじゃないと下らなさすぎっての」

 「後で後悔しな、ユーゴ。行くぞシロノワール!」

おまけ、好きな男性サブキャラは?(半分だけ男性含む)

  • 遠藤隼人/エッケハルト・アルトマン
  • 早坂桜理/サクラ・オーリリア
  • テネーブル・ブランシュ/シロノワール
  • 竜胆佑胡/ユーゴ・シュヴァリエ
  • ロダキーニャ・ルパン
  • 竪神頼勇
  • シグルド・ローランド
  • 【笑顔】/サルース・ミュルクヴィズ
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