蒼き雷刃のゼノグラシア ~灰かぶりの呪子と守る乙女ゲーシナリオ~   作:雨在新人

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うっかり此方の更新忘れていて、2話10分間隔で連投です。もしも話が飛んでるなと思ったら前話をご覧ください。


メリッサ考、或いは知りたくなかった真実

「ということで、どやっ」

 ニコニコ顔のリリーナがおれを見上げた。此処は学園内の一室、ノア姫に言って借りた部屋である。職員会議等で使われる奴だな

 

 「ちっ、何でこんな事に……」

 ぼやきながら茶を飲んでいるエッケハルト

 「僕じゃ役に立てないかも……」

 椅子に縮こまって悩む桜理

 「捲土重来、呼んだか」

 「はっはっはっ、呼んでないだろうぜ?借りてくぜワンちゃん」

 何か乱入してきて連れ出されていくリュウと連れ出すロダ兄

 そして……

 「何だかちょっとわたし浮いてる気がしますけど……」

 微妙に不安そうなアナ。リリーナから話を聞こうとして翌日まで待ってと言われて場所用意して待ってたがコレは何の集まりだ?

 

 「まあまあアーニャちゃん、私ってばどうしてもヒロインそのものの考え方って出来ないからさ、手伝ってよ?

 それにさ、アーニャちゃんが居ると隼人君が来る」

 「あれ、わたし客寄せですか?」

 こてん、と首を傾げるアナと、ごめんと軽く笑うリリーナ。何だか和やかでほっとする

 

 が、ホイホイ来たって扱いのエッケハルトは不満げに二杯目を……

 あ、ノア姫にそんな人には二杯目用意してないわよと断られてた。仕方ないので口をつけていないおれの分を卓上をスライドさせ前まで送っておくか

 

 「ってことで、私だけじゃ心許ないから私の知ってる転生者達に来て貰ったんだ

 ゼノ君が聞きたがってること、確か原作ゲームだけだと断片的にしか語られないしさ」

 その言葉には頷く。っていうか、原作ゲーム範囲で語られてることならRTA走ってたくらいにはシナリオ周回してるし覚えている

 テキスト早送りしながら選択肢出たら速攻選ぶって大体今何の話してるのか覚えてないとガバるんだよな……

 

 「そして、頼勇様にもね。本人だし合ってる間違ってる聞きたいし」

 「護衛の意図もある。今は……私が居ても殿下の邪魔だ」

 静かに扉を開けた青年は、そう告げた

 

 ……まあ、ゴーレムの開発力的には本当にアイリス頼みの面が大きいからな、一人で集中して貰おう

 

 「でさ、ゼノ君は何を聞きたかったの?」

 こてん、と小首を傾げる少女を見て、おれは少しだけ頼勇と目配せする

 彼の茶色い瞳は……未だに転生者バレしてなかったのかという顔をしていた

 いや、そうだったなと思わず2人で目をしばたかせる。リリーナ、未だにおれの事普通のゼノ扱いしてるんだよな……結構真性異言丸出しの事もしてはいるんだが

 

 「リリーナ、君に似た女の子について……何か知らないか?」

 「私ににてる?」

 「そう、竪神に関係してる事だ」

 ぽん、と打たれる手

 

 「あー!そういえば頼勇様の心の師匠って珍しく私に似た色合いなんだっけ?」

 「……心は似ていなかったが、外見は」

 「うんまあ、私普通に真性異言だしね、似てないのは分かるよ」

 少しだけ肩を落とすリリーナ。気にしてるしな……とフォローを考えるがその前にアナに肩を叩かれ大丈夫と立ち直る

 

 「私はどうだっけなー、結構資料集とか買った事はあるんだけど

 こういうのはさ、二次創作してた隼人君の方が詳しくない?」

 「俺に振るなよ!そもそも俺はアナちゃん同人誌しか描く気無かったから竪神の過去についての話が乗ってるイラスト集とか合っても買ってないかアナちゃんのページ以外流し読みしてるって!」

 「よ、読まないんだ……」

 「竪アナ本とか描く気無いのに竪神の話とか同人誌で出してるページは!ない!」

 言われてみればと頷く

 

 でもなぁ……

 「ごめんね?僕って本家のゲーム自体はプレイしてたけど、やっぱりシリーズとしては続いてるけど世界観は別な音色シリーズの方が詳しいから……」

 「その音色シリーズには、竪神ゲスト出演とかしてなかったのか?」

 シリーズとして繋がりがあるなら、ロボという縁ある頼勇が出ててもおかしくはないだろうから問いかける

 

 が、黒髪の少年は申し訳なさげに目線を下げるだけ

 「ゲストでは居たよ?居たけど……メリッサさん?については軽く触れるだけというか名前を出されたことがファンからしたらサービスみたいな扱いで良く分からなかったんだ」

 ……確定した。メリッサって原作から居たんだな。少なくとも転生者だから知識あるということでこの世界では介入してきた訳ではなかった……ろう

 いや、詳しく知ってたらそれっぽく化けられるか

 

 「あー!」

 と、そこで大声を上げて身を乗り出す少女が居た。リリーナである

 

 「メリッサ!思い出した!」

 「そうなのか」

 「うん、頼勇様の幼馴染で、メリッサって名前で……えーと、確かロダ兄とも因縁があるんじゃ?だから頼勇様とロダ兄の絆支援があって……後は……確か考察的な話で確定していない設定だけどって何かあったんだよね……」

 むむむ、と唇に指を当てて唸るリリーナ。それは良いが、現状知ってる情報しか……

 

 「そうだ!罪滅ぼしの為に世界を回り始めたんだった」

 それも頼勇から聞いた

 「確か、八神以外に救いを見出そうとした……んだっけ?」

 こてんと首を傾げられ、おれは目を見開いた

 

 そう、来たか

 「八神……混沌と七天の事か」

 「つまり、龍姫様がた……や魔神族の神さま以外にも神様がってお話ですか?」

 「そうなんだよね、ほら、頼勇様のところには禍幽怒って異世界から落ちてきた流れ星の神様の話が残ってるでしょ?でも、それって七大天でも万色の虹界でも無いよね?だから、今救われない人々の為に別の神様を見出そうとした……って話だったような」

 

 ……一つ、脳裏に電流が走る。嫌な想定、だが、だとすれば辻褄は合う

 ……ん?何だっけな

 「他の神って、何を見出すんだ?」

 「わたしなら、人々を救ってくれそうな神様ですけど……

 あっ、わたし自身はそんな事ないですよ?龍姫様がわたしの思いに力を乗せてくれてますし

 でも、もしもそうでなかったら。特別な相手とそうでないのが居るだけなら。救われない相手のために、そういった人こそ救ってくれる他の神様を探すかもしれないです

 ……罰当たり、なんですけど」

 それに、おれは何も言えない

 

 始水……居ると頼れるが、此処まで居て欲しかったのは初めてだ。他の神、実在は勿論知っている。っていうか、立ち向かっている。だが、それはそれとして……

 

 「頼勇、どう思う?」

 「可能性としては、分かる。元々皇子もそう思ったんじゃないか?」

 と言われてしまっては肯定の首肯を返すしかない

 「ああ、異端……他の神を観ている可能性は否定のしようが無かった。そうでなければあそこで亡くなるのも可笑しい」

 まあ、此処は実は可能性としてはずっと思っていた。ゲーム的にもおかしくは無いしな。聖教国に居ながら何となく拒絶されているという状況にはマッチする

 

 「それでさ、結局……自分で人々を助けるしかないって結論に達した、みたいなんだよね

 神様は他にも存在するかもしれない。でもさ、七柱の神が見守るこの世界で……その七柱全員からあまり重視されない人達を、遠くの神様は救ってくれる訳も無かった。声は届かなかった」

 神妙な面持ちの頼勇を見て、おれは成程と頷く。納得の行く話だとは思うが……

 

 「そう、ですよね。神様はこの世界のことを想ってくれてはいますけど、完全に平等じゃないです」

 「晶魔様とかそうだよね。だからこそ悪の甘美さを知って善を謳う者は輝かしいっていう理念自体が、そうある人の方が良いって話だし。平等よりも公平というか……」

 「そうそう、誰にでも手を貸さないからこそ、佳く生きる者が救われる公平っていうか……

 でもさ、救えるなら救いたいのも分かるよね?

 でも、無理だった。他の神様を探しても誰も救えなかった

 だからそんな自分への罪滅ぼしとして医者として行業を始めた……って話だったと思う。『明日が無かった人達のために』って、頼勇様がたまに口にする理念を持って」

 

 そうかと頷く

 すると、怪訝そうな目を頼勇から向けられた

 「竪神?」

 「皇子……何か、疲れていないか?」

 「え、疲れ取れてないんですか皇子さま?」

 いやいやとおれは首を振る

 「何を言っているんだ?流石にそんなことは」

 「いや、合点がいった。行ってしまった

 私がそうならば、まず皇子が反応すると思ったが……」

 唸る頼勇、首を傾げるおれ、何言ってんだと呆れ顔のエッケハルト……

 

 背筋が、凍った。まるで鍵の掛かっていた扉が開いたかのように、一つの考えが浮かび上がる

 そう、まるで……シュリを守るべく、意識外に送られていたように

 

 舌を軽く切った苦い血を呑み込み、脳裏の考えを整理する

 「そういう、事か……」

 恐らくは、思考を読んだシュリが自罰として解除した。ならば、これはきっとシュリの中での正解なのだ。だから、制限されていたその思考の答えは……

 

 「ゼノ君?」

 「いや、そうだな。原作ゲームでは、きっと誰も応えてはくれなかったんだろう

 だからこそ、この世界がある。幾多の真性異言(ゼノグラシア)が居る、今が」

 「え、何言い出すのゼノ君?いきなり頼勇様も変なことを」

 「リリーナ。神様は居るよ、七大天じゃない、恐ろしい神が

 なんとなくさ、可笑しいと思っていたんだ。シュリ以外が積極的に動いてこない程度には受け身な堕落と享楽(アージュ=ドゥーハ)の亡毒(=アーカヌム)が、どうしてこの世界に現れたのか」

 「人々を救いたいから神を呼ぶメリッサの声に、応えた?」

 「理由は、分からない。シュリがやり直してみたかったのか、声が苛立ったのか……

 兎に角、きっと……この世界の彼女は、神を喚ぶことで招き入れてしまったんだ。総てを腐らせる心毒の龍神を」

 「そう、きっとメリッサが……カルト宗教団体、混合されし神秘(アルカナ・アルカヌム)の切り札(・アマルガム)の創始者だ」

 重苦しく、少女の幼馴染が残酷な真実を続けた

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