最凶最悪の天災ファンタジスタ   作:憂鬱なサラリーマン

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どうも、さっそく第2話上げてしまいます




努力してもだめなこともあるよね

『雷門中対帝国学園の試合が始まります。実況は私、角馬圭太が務めさせていただきます』

 

「いくぞ」

 

ホイッスルがなり、キックオフ。試合が始まった。

雷門イレブンの攻め、染岡と半田が駆け上がる。

帝国イレブンは一切動かない。

 

サイドにボールが渡り宍戸がボールをゴール前にセンタリングを上げる。

そこに合わせようとした半田がボールをあえてスルーし、染岡が空中ボレーでゴールを狙うも、帝国のキーパー源田が何の焦りもなくしっかりキャッチする。

 

稚拙かつ未熟な戦略。

普通のサッカーだったら通用するであろう戦術だが、ここは違う超次元サッカーの世界。その程度では超越させた全国優勝校のゴールキーパーからはゴールは奪えない。

 

「ちっ」

 

シュートを止められた染岡は悔しそうに舌打ちをする。

 

源田からのボールは鬼道の元へと届く。

ボールを受け取った鬼道はインサイドでトラップするとすぐに反転し、足を振り抜く。

ハーフラインからダイレクトで雷門ゴールにシュートする。

 

『ゴ、ゴー~~~~~~~~~~~~~~~~~ル。ハーフラインから直接ゴールを決めたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!これが力の差なのか?』

 

「何だよ、この程度かよ、バンダナ君」

 

ベンチで寝っ転がる羅刹が残念そうにつぶやいた

 

「次々ーー次こそ決めるぞぉ」

 

 

圧倒的な力でゴールを決められてへこむのかと思われていたバンダナはどうやらまだ諦めていないようだった。

あれだけの力の差を見せつけられたら、普通はへこむはずなのにあいつは笑っている。そんなの、諦めが悪い馬鹿なのか、それともまだ実力を隠しているのか、前者である可能性は低いと考える。

そんなことを考える羅刹は心の高鳴りが始まる。

 

面白い、俺たち相手になめてるのか?それとも出し惜しみか?

そう考えるだけで羅刹は口角が上がり始める。

 

 

だが、その考え方は間違いだったのか、試合が進むごとにどんどん帝国イレブンにボッコボコにされている雷門イレブン。

 

「もう少し遊んでやるか。デスゾーン開始」

 

鬼道が手を挙げると、寺門、佐久間、洞面が三角形の状態で空中に飛び上がる。3人で体を回転させながらエネルギーを送り、そのまま3人で踏みつけるようにして同時に蹴り出す。紫色のエネルギーがボールに伝わり弾き出される。

 

「「「デスゾーン」」」

 

空気が裂けるような衝撃波がフィールド全体に走り、雷門イレブンは身体が固まる。抵抗する間もなくボールはキーパーに直撃。観客の悲鳴が止まらない。

 

「終わったね…。デスゾーンをまともに受けて立ち上がれる奴なんているわけがない。」

 

羅刹はベンチに寝転び、あくびをしながらその光景を見つめる。

 

「おいおいどうなってんだ?使い物になりそうなやつなんて1人も見当たらないぞ。」

「やっぱり無駄足だったんじゃないスか?」

 

ズダボロの雷門イレブンが地に伏す傍らに汗の一つすらかいていない帝国イレブン。そんなボロボロのサッカー部を見て観客たちが落胆の声を上げる。

 

「全然だめじゃん」

「期待外れもいいとこだな」

 

「鬼道さんもういいでしょ。こんな試合練習にもなんないですよ。」

帝国イレブン辺見がキャプテンに告げる

それもそうだ。前半だというのに誰1人立ち上がってすらいない

 

「まだだ」

 

ニヤッと笑った鬼道の後ろ姿をみた辺見は奥で震えている何かが見える。

それと同時にざわざわと観客の騒ぐ声が聞こえる。

 

どうやらデスゾーンを受けてもあのキーパー立ち上がったみたいだった。

 

「やるじゃん」

 

アイマスクを完全に取り、ベンチに座り直す。

満身創痍、体を痙攣させながら立ち上がったキーパーに興味が湧く。

 

「円堂くん!!!」

 

雷門ベンチからマネージャーの声が響き渡る。

一段とグラウンドを見る観客の声が大きくなる。

なんとか立ち上がったバンダナが大きな声で叫ぶ。

 

「俺たちはまだ終わってねぇぞぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

だが、たた上がったから全てが一変するわけではない。

ましてや口だけの雑魚、帝国イレブンに怒りが湧いても恐怖の感情は生まれない。つまり状況は何も変わらない。

 

終始圧倒され点差が10点ついたとき笛が鳴り響き、そのまま前半が終わる。

 

「立ち上がった時は面白かったのにな」

 

ベンチに座る羅刹がつぶやいた時に、総帥からの着信がなる。

そろそろってことかな?

 

『私だ。後半は出てもらう』

 

「了解しました」

 

『やつはまだ出ていない。引き摺り出せ』

 

「かしこまりました」

 

総帥直々の指令とあっては断るわけにはいかない。

羽織っていたジャージを脱ぎ、外していた脛当てをはめる。

サンダルを脱ぎ、スパイクを履き直しているところに、ハーフタイムを迎えベンチに戻って来た鬼道に声をかけられる。

 

「総帥からの指示か?」

「あぁ、引き摺り出せってさ」

「そうか」

 

再びニヤッと笑う鬼道のゴーグルが太陽の光に反射する。

 

審判の合図が鳴り、後半が始まるようだ。

練習試合とはいえ、久しぶりの試合。否が応でもテンションが上がる。

帝国側のキックオフ。ボールを佐久間に渡すと、帝国イレブンのパス回し一つで雷門メンバーがまた地に倒れる。

 

だがただ1人、雷門ゴールキーパーだけは、立っている。

そいつを潰すためのシュートを壁当てのように打ち続けられているが、ゴールを守るという強い意志、絶対負けないと未だ勝利を疑わないキーパーが鋭い眼光でこっちを見ている。

 

それに奮い立つ雷門イレブンが倒されても倒されても一緒に立ちあがろうとしている。あのキャプテン1人が全員に強い意志を与える。

 

「まだまだ終わってねーぞ」

 

諦めない。

だが、それは強い奴がやるから脅威になる。

弱いくせに大きな口を叩き、立ち上がる。

羅刹はそんな姿になぜか苛立ちがつもり始まる。

 

「渡せ」

 

鬼道からパスを受け取り、シュートを放つ。

羅刹で蹴ったそのボールは全てを破壊せんという意思が込められ、そのボールはスピード重さともに一級品の最悪のシュートである。

まともに食らった雷門のキーパーは文字通りゴールにねじ込まれる。

 

「偉そうなことはさぁ、このボール止めてからいえよ。お前らは雑魚過ぎる」

 

倒れるキーパーに近づき、目の前で現実を告げる。

弱い奴が何をほざいても意味がないと

 

その言葉は雷門イレブン全体に届きへこんでいる。

1人の男を除いて

 

「俺は諦めない。最後まで勝利の女神がどちらに微笑むのかはからない」

 

イラッとした

まだ分からないのか

俺のシュートは彼の心をへし折るのに足りえない威力だったのかと

 

「お前は馬鹿は馬鹿でもとんでもない馬鹿らしいな。女神がいるかわからんが、微笑むとしたらそれは強いものだけだ。越えられない壁があるのを教えてやるよぉぉぉぉ!!」

 

ボールを空中に上げ、かかと落としをし、回転を加える。

そのボールは回転がかかり、少しずつ回転を増す。

その回転が最高潮に達した時、バイシクルシュートをボールに叩き込む。

回転と共に込められていた黒い光が蹴られたと同時に解放され、黒いレーザーの雨となり降り注ぐ

 

「ペイン・レイン」

 

意識が飛ぶほどの重く、速く、鋭い無数のレーザー。

直撃したバンダナは顔面や体中に当たり吹き飛び倒れる。

この技受けた者は地に伏し、絶望の表情を浮かべる。まさに天災の一振り。

 

「「「「「「円堂ぉぉぉ」」」」」

 

雷門イレブンがキーパーを心配し、体中の痛みを忘れて駆け寄る。

 

「円堂!しっかりしろ!」

「大丈夫か?」

 

「あぁ、大丈夫だ…………」

 

ズダボロになったキーパーが目を開ける

どうやら無事のようだ

 

「頑丈で良かったな、だがそれだけだ。お前はキーパーとして実力が足りえない」

 

羅刹のその言葉にバンダナはよろよろと立ち上がり、ゴールを守ると右手を前に突き出す

 

「円堂、左腕が…」

 

だらっと垂れ下がった左手は骨が砕けていた。

 

「大丈夫、俺はぜったいあきらめない!!」

 

「死にてぇのか」

 

殺すほどのシュートを叩き込まなければあいつの心は折れないか

お望み通り殺してやるよと覚悟を決めた

そのときだった、ギャラリーが騒ぎ始める

 

観客を掻き分け、あの男、豪炎寺修也が現れる。

もちろんユニフォームを着ている。背番号は逃げ出した眼鏡がつけていた10番だ

 

「豪炎寺来てくれたのか」

 

「あぁ、大丈夫か?」

 

安堵したのか豪炎寺に近づくキーパーは豪炎寺の近くでよろめき倒れる

そんなキーパーを、ボロボロのバンダナを豪炎寺が支える。

 

「やっときたか炎のストライカー」

 

「羅刹。ここまでやる必要はないだろう」

 

「あっ?逃げ出した臆病者が何言ってんだよ」

 

睨みつけてくる豪炎寺は闘志が燃えている

羅刹もその闘志に睨み返す

炎のストライカーと最凶のストライカー

相対した2人はまさに虎と龍

 

「こ、こら。君はうちの部員じゃ「かまいませんよ、俺たちは」じゃ、」

 

水を差してきた雷門の顧問を鬼道が制する

 

「帝国学園承認のため交代を認めます」

 

審判が笛を鳴らし、交代を認める

 

「面白くなってきたな、待ってたぞ豪炎寺」

 

ニヤッと笑った鬼道が雷門を見据える

総帥の狙いはここからだ

 

雷門のキックオフだったが、すぐに帝国が奪う

 

とどめを刺すぞと、鬼道と羅刹はアイコンタクトをとる

羅刹から鬼道にボールが渡り、寺門、洞面、佐久間が飛び上がる

 

「デスゾーンだ。トドメをさせ」

 

鬼道の指示とともにボールが上がり、回り飛んだとトライアングル。

そのエネルギーがボールに伝わり、3人が同時に踏むようにして蹴る。

 

「「「デスゾーン」」」

 

とてつもない威力のそのボールを豪炎寺は無視して前に走る

実況で敵前逃亡かぁぁぁぁと叫んでいた

片腕のキーパーにとれるわけがない。そう帝国イレブンは思っていた。

 

「あいつは信じているんだ。俺がこのシュートを止められるって」

 

右手をさらに掲げると金色に輝く大きな右手が顕現する

 

「ゴッドハンドォォォォォ!!!」

 

次出された神のような右手はデスゾーンを包み込み、威力を殺した

 

「「「なにっ!」」」

 

全ての人間が驚愕していた。

さっきまで何もできなかった、ボロボロな姿で大きな口を叩くことしかできなかった男が勝利への執念で掴んだ奇跡の技に

その奇跡が帝国イレブンの必殺技を完封したことに

 

「豪炎寺ー!」

 

バンダナの投げたボールは前線にはしっていた豪炎寺にドンピシャで届く

 

「今度は逃すかよ!」

 

走り出した豪炎寺にきになり、勘が働いた羅刹は自陣に全力で走り、ボールを受け取った豪炎寺に対面する

 

「抜いてみろよ天才」

 

「止めてみろよ天災」

 

豪炎寺と羅刹の激しい一対一

エラシコ、ルーレット、ダブルタッチ、あらゆるドリブル技を試みるが、その全てを羅刹は看破する

 

「こんなもんじゃねぇだろぉ!!」

 

ボールをキープしていた豪炎寺の足ごと刈り取ろうと羅刹が踏み込んだが、そこを呼んだ豪炎寺がひらりと舞うと振り抜く羅刹の足にボールを当てて上空に飛ばすと、同じく豪炎寺も飛んだ

 

「ちっ、、やられた」

 

ジャンプした豪炎寺は足に炎をまとい、自身も回転して空中でシュートする

 

「ファイアートルネード!」

 

豪炎寺の必殺技が炸裂する

 

「舐めるな!」

 

炎のシュートを止めようと源田が飛ぶが、回転で軌道が変わったボールはゴールネットを揺らす

 

「やるじゃん。ヒーロー」

 

してやられたと笑った

久しぶりに笑った

自分の敵など全てが下だったのに

 

帝国学園の最強の技を止めたキーパー

あの羅刹との一対一を制し、最硬ともいえる帝国のゴールを破ったストライカー

 

こんなところにいたのか

俺を高揚させる人間が

ワクワクが溢れ、羅刹の目に光が灯る

 

「フッ、やってくれたな。」

 

笑った鬼道は羅刹のもとに行き耳元で囁く

 

「撤退する」

「は?冗談だろ?面白くなってきたところだろ?」

「あぁ、だが、総帥命令だ」

 

総帥に目を向けると、さっきまで車の上にいたはずが居なくなっていた。

あの人が言うならしょうがない

 

「チッ。分かったよ」

「まぁ、いいだろう?なかなか面白い奴もいたしな」

「あぁ、あのキーパーだろ?確かに面白そうだ。俺のシュートを受けてピンピンしてやがったよ、それに豪炎寺のやつも俺をかわして点を決めやがった」

「これは一筋縄では行かないな」

「あぁ、フットボールフロンティアが面白くなりそうだ」

 

ニヤッと笑い、ベンチにかけてあった自分のジャージを手に取る

 

鬼道は雷門イレブンの前に走って行き宣言する

 

「我々はここで棄権させてもらう」

 

「え?」

 

「試合は貴様らの勝ちでいい、また地区大会予選でも会うだろう。その時は最後まで相手になってやる。覚えておく。お前らのこと」

 

 

「お前らはまだまだ力が足りない。今のところ2人だけだまともと呼べる戦力はよ。ところで、おいっ、バンダナキーパー」

 

車に戻ろうとする羅刹が足を止め、雷門イレブンに告げつつ、人差し指をキーパーに指を刺す

 

「ん?俺か、何?」

 

アホな顔をしたキーパー

こんなのを俺らは一杯食わされたのか

 

「名前なんだ?」

 

「円堂守」

 

「円堂守か、次、楽しみにしとく。」

 

「あ、あぁ」

 

さっきまでとは違う殺意のない表情のギャップに思わず円堂はたじたじになってしまう

 

「あと、豪炎寺!次は潰してやるから初めから来いよ」

 

豪炎寺は返事はしない。

だが、その表情はかすかに笑っていた。

それを見た羅刹はアッハッハと笑いながらその場を後にする。

 

目的を達した帝国は雷門から撤退する。

 

「面白いもの見つけたな」

 

車の中ひとりでつぶやいた羅刹の顔はおもちゃを見つけたような顔をしていた。

 

「何か言ったか?」

 

後ろの席にいた佐久間が身を乗り出してきた

 

「なんでもねぇよ」

 

目を閉じ眠りに落ちた。

雷門いや円堂は「最凶のファンタジスタ」に目をつけられてしまった。

 

これがのちに最悪の事態を引き起こすことをまだ誰も知らない。

 




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