影になりたい海兵(笑)   作:夕千康成

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第14話

---港町---

「今朝獲れたばかりの魚だよ!さぁ、買った買った!」

「瑞々しい果物を売ってるよ!よかったら買ってみな!」

「そ〜ら、もうすぐ焼き上がりだ!

串焼き一本200ベリー!買った買った!」

グランドライン春島『ブロッサ島』

その港町はたくさんの人で賑わっていた。

「それにしても、凄い賑わい様だなこれは…」

グラナータ大佐への報告を終えたカゲルは港町を散歩していた。

「おう!海軍将校の兄さん、あんたこの町は初めてか?」

と、『正義』と背中に書かれたコートを羽織ったカゲルは目立つようで、先程から町の住民に声を掛けられていた。

「えぇ、この島には任務で来たんですが、その任務が済んだので、こうして町を散策しているわけでして」

「ふ〜ん、そうかい、それじゃあ楽しんでいきな!」

「えぇ、そうさせてもらいます」

そう言って、カゲルは軍艦が停泊している港へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして数分後---

タッタッタッタッ!

「はぁはぁ…あ、あの…」

「ん?うぉ?!大佐さんじゃないか!一体、どうしたんですかい?そんなにも息を切らして」

カゲルに伝えないと行けないと大慌てで走ったグラナータが現れた。

「あ、あの…ですね…」

「とにかく、一度呼吸を整えてくだせぇ」

「あ、はい…(スー…ハー…)先程、海軍将校のコートを羽織った男性を見ませんでしたか?」

「うん?コートを羽織った男ねぇ…、あ、もしかして任務で来たとか言ってた兄さんの事ですかね?」

「!その人は今どこに!」

「み、港の方へ行きましたけど…」

グラナータの勢いのある反応に驚いたものの、男はカゲルの行き先を伝えた。

「ご協力、感謝します。では」

そう言ってグラナータは港へと走っていった。

「……あの大佐さんでも急ぐことってあるんだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

---軍艦にて---

一隻の軍艦が今まさに出航の準備を進めていた。

「さてと、あとはシェルズタウンに戻るだけか…」

その軍艦の甲板でカゲルは一人つぶやいていた。

「グラナータ…、久しぶりに会ったが、元気そうだったな。今じゃあ、俺よりも階級は上だし、町の人からも慕われていたな…。」

(拾った頃とは大違いだ…)

カゲルはふと、昔のことを思い出していた。

「出航ー!」

カゲルが思い出に浸っている間に出航の準備が進められ、軍艦は港を離れた。

「さてと、船室に入るか」

カゲルが船室へと入ろうとしたその時

「-----!」

何処からか声が聞こえた

「うん?」

「-----ん!」

「何処だ?」

「--ゲ--さーん!」

ふと、ブロッサ島の方角を見た。すると、なにかがこちらへ向かって飛んで来ていた。

「な、なんだ?」

「カゲ--さーん!」

「あの声はまさか…」

こちらへと近づくにつれてソレがなんなのかがわかって来た

「カゲルさん!」

「え!?グラナータ!?」

ソレは"月歩"を使ってこちらへと向かってくるグラナータだった。

スタッ

「はぁはぁ…やっと追いつきました…」

「えーと、なんでここに?」

「ち、ちょっと待ってください…息…整えるので…」

「あ、うん」

カゲルはグラナータの息が整うまで待った。

「ふぅ、整いました。」

「それで、改めて聞くけど、なんでここに?」

「それは、この書類の件でです。」

「ん?それはおれの昇格の書類だよね?何か不備でも?」

グラナータはカゲルの昇格について書かれた資料を見せた。

「不備もなにも、カゲルさん、この書類をちゃんと読みましたか?」

「えーと、一応は…軽く…」

グラナータの指摘にカゲルはそっと目をそらした。

「はぁ、その反応だと最後まで目を通してませんね」

「面目ないです…」

「良いですか?この資料には"支部"大尉への昇格ではなく、"本部"大尉への昇格と書かれています。」

「え?本当に?」

「本当です。加えて、勤務地の異動も書かれてますよ?」

「嘘…」

グラナータから伝えられた内容にカゲルの頭は追いつかなかった。

「はぁ、貴方って人は…」

グラナータも呆れたとばかりの反応を示した。

「ははは…、俺のことは分かったとして、グラナータ、きみは支部基地を放置してもいいのかい?支部長だろ?」

「あぁ、それなら、私もカゲルさんの異動先に用があるのでこのまま一緒に行きます」

「そうかい。それで、異動先って何処なんだ?」

「"東の海"ローグタウンです」

 




さて、次回に幕間の様なものを挟んでローグタウンでの物語に突入します。原作の時間軸ですと、今はルフィ達がバラティエでサンジを仲間にしようとしているところです。

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