「フッ……フッ……フッ……」
ビュッ……ビュッ……
早朝、あと数分もすれば太陽が顔を出すであろう時間の訓練場に竹刀を振るう音が鳴っていた。
先日、異動されたばかりのカゲルである。環境が変わっても、その身に染み付いたルーティーンを崩す事はなく、こうして竹刀を振るっていた。
「フッ……フッ……」
ビュッ……ビュッ……
「ふ〜」
カゲルは素振りを終えると、息を吐いた。
ふと、自分の手を見た。
(シェルズタウンでは、今の腕前でも通じていた……、だが、ここはグランドラインの入り口。相手になる海賊たちの実力も上がっている。果たして、今の腕前で勝てるのか?)
先日の模擬試合の際に、カゲルが負けることは無かったのだが…
(それに、たしぎ曹長…、彼女には勝ったものの、それがいつまでも勝ち続けられるとは限らない。)
カゲルはたしぎの才能を感じていた。
「やっぱり、強くなるしかないか……」
そう呟くと、段々と明るくなってきた空を見上げた。
「……….そろそろ戻るか」
竹刀を片手に持つと建物の中へと戻っていった。
---海軍本部---
カゲルの勤務するローグタウンより、"赤い土の大陸"を越えた先、グランドライン前半の島マリンフォード
人呼んで"海軍本部"ここには、並外れた実力を持つ海軍将校達が多数集まっている。その会議室にて、天然パーマにサングラスを掛けた海兵---ブランニュー少佐---が将校達の前で会議を進行していた。
「---次に、"東の海"にてアーロンパークが壊滅したとの情報がありました。この件の首謀者として上がっている海賊は、"モンキー・D・ルフィ"と言う海賊だそうです。」
「モンキー・D・…?」
「誰なんだ?」
事件の首謀者としてルフィの名前が挙がったが、将校達は誰なのか分からなく、互いに顔を見合わせていた。
「えぇ、初めて名前の上がったルーキーですが、アーロンの他にも、"首領 クリーク"、"道化のバギー"いずれも懸賞金が一千万ベリーを超える海賊を討ち取っていると言う、ネズミ大佐からの情報により懸賞金を三千万ベリーとしようと思います。これは情報提供をしたネズミ大佐からの要請もあります。」
「なっ!?」
「三千万だとっ!?」
「バギーやクリークらの一千万でも異例なのに!」
賞金首達の平均が三百万である"東の海"で、最初から三千万と言う大金が掛けられた事に将校達は驚きを隠せなかった。
「よって、この件については、全支部へと情報を回そうと思います。必ず仕留めるためにも。」
ブランニュー少佐の宣言により、ルフィの情報は瞬く間に全世界の支部へと回っていった。それは勿論、カゲルの勤務するローグタウン派出所にも届いていた……
---麦わらの一味---
「なぁ〜、ナミ〜まだなのか?」
帆に風を受け、順調に走っている海賊船--ゴーイング・メリー号--その船首の上に寝そべっていたルフィは、一味の航海士であるナミへと尋ねた。
「もう少しよ、ルフィ!そろそろ見えてくると思うけど……」
ナミは海図を片手に、水平線の向こうを見ていた。
「おいおい、本当に着くのかよ、ナミ」
と、鼻の長い男--ウソップ--が聞いてきた。
「うん、もうそろそろのはずなんだけど…」
「てめぇ!こらウソップ!ナミさんの言うことは絶対に正しいんだぞ!ねぇ、ナ〜ミさん♡」
ナミに向かって疑問をはいたウソップへと罵声が浴びせられ、金髪にぐるぐる眉毛の青年--サンジ--が近づいてきた。
「うるせぇぞ、ぐるぐる眉毛!」
「なんだと、コラ!三枚におろすぞまりもヘッド!」
そのサンジに対して、ゾロが喧嘩を売るように言い、サンジも喧嘩腰で返した。
「やめなさい、二人とも。まったくもう…」
この二人の言い合いにナミは頭を抱えた。すると、
「?おっ!島だ!島が見えたぞー!」
船首で寝転んでいたルフィは勢いよく起き上がると、仲間たちに向けてそう言い放った。
「楽しみだな〜、どんなところだろう?」
「ローグタウン、グランドラインへの入り口で別名"始まりと終わりの町"よ。そして、海賊王ゴールド・ロジャーが生まれて、処刑された場所でもあるのよ。」
「海賊王が処刑された町か……、なんか、ワクワクするな!」
そう言って、ルフィは目を輝かせていた。
ようやく、ローグタウン編へと入れそうですε-(´∀`; )
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