ガンダムビルドファイターズ Beginning Tale 作:セルフィア
「逃がさないですよ!」
「くそ!何でこんなことに...」
響のアスタロト改は後方から迫る沙希のZZグレイズのダブルライフルによる射撃を躱しながら何故こんなことになったのか思いだす事にした。
事の発端は数日まえに遡る〜
期末試験が終わり数日たったある日の事、俺と拓哉は行きつけのゲーセンへと足を運んでいた。
「ガンプラが欲しいかぁぁぁ!」
「「「うぉぉぉぉぉ!!!」」」
ガンプラアイドルの前島 遥と藤宮 楓がデザインした限定ガンプラが手渡しで貰えるイベントが1週間後に行われその参加条件というのが、ベースが鉄血のキットである事だった。
「おい!前島 遥と藤宮 楓に会えるぞ!」
テンション高めな拓哉の言葉を遮るように。
「あーあの可愛い子達か、これを逃す手はないな。」
「そうと決まれば早速ベースを買いに行こうか。」
「善は急げってやつだな?行くか。」
行きつけのガンプラショップ「ホワイトベース」に足を運んだ響と拓哉は鉄血コーナーへと向かう。
「俺はもうガンダムでいく、そしてアスタロトを使う。」
「早すぎるだろ...まぁ俺も獅電って決めてたけど。」
自身の使うガンプラを買いついでにパーツコーナーでいくつか見繕い部室へ戻り早速制作を開始すると、その様子を見ていた翼が声をかける。
「君たちが鉄血系のガンプラを買ってくるなんて珍しい事もあるものだね。もしや、鉄血祭に参加するつもりかい?」
「はい!前島 遥と藤宮 楓に会いたくて!」
「自分の場合は限定ガンプラが主な理由です!」
響と拓哉の参加する理由を聞いた翼が誰もいない方角を見つめながらそっと呟く。
「そうか、検討を祈るよ。」
鉄血祭に参加する為のガンプラ製作は夕方の下校アナウンスがなるまで続いた。
そして、鉄血祭当日
再びゲーセンのイベント会場へ向かうと大々的なイベントらしく普段の数倍筐体が連結されていた。
「はぁ〜こりゃすげぇな。」
「そんだけアイドルは凄いって事だろ、始まるみたいだぞ?」
[皆さま、長らくお待たせしました。これより第一回鉄血祭を開催したいと思います!ルールは以前話した通りやっていれば問題ありません。それではGPベースと機体をセットして下さい!]
「「優勝目指して頑張って〜!」」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」
テンションが最高潮まで高まっていた参加者達が筐体を真ん中に挟むとGPベースをセットする。
《Beginning[Plavesky particle]dispersal.Fiard?,MARS》
《Please set your GUNPLA》
音声に従ってガンプラを置く
《BATTLE START》
「城戸 響、アスタロト改。行くよ!」
「安藤 拓哉、獅電キマイラ。出るぞ!」
そしてほかの参加者たちもレバーを動かしガンプラを発進させる。
今回のフィールドは鉄血のオルフェンズお馴染みの火星だった。
「ステージも凝ってんなぁ、流石鉄血祭だけあるな。」
「ホントになって、早速おっ始めてる所があるし行きますか!」
火星の地面に降りたった響たちの元にグシオンリベイクフルシティが現れ手に持ったアックスを振り下ろす。
「別に1人で行動しないといけないってルールはないよな!チェストォォォ!」
響の気合とともにアスタロト改がバスターブレードを抜きグシオンのアックスを弾くとその背後から拓哉の獅電キマイラがナックルバンカーで胸部を貫いた。
「まずは1機!幸先の良いスタートだ。」
「次もこの調子で行こう!そら次だ!」
背後から迫っていた小型ナイフを振りかざした百錬をアスタロト改が足裏ダガーで斬りつけ動きを止め獅電キマイラと共に爆心地へバックパックのブーストを噴かして移動を開始する。
爆心地へ向かった響と拓哉を待ち受けていたのは、赤色のバルバトスが集団で襲いかかっていたであろうガンプラを1機1機斬り伏せていた光景だった。
「あははは!もっと来なさい!」
その光景の中でも響たちが驚愕したのは、クタン参型を装備していたグレイズをその背中に背負っていたブースターを使った二刀流のバルバトスが飛び上がり右アームを斬り落としその返す刀でグレイズの下半身を斬り落としていた。
「なぁ拓哉、なんかあのバルバトスめちゃくちゃ見覚えのある動きをしているんだが?」
「奇遇だな、俺も思った。とりま逃げるか?」
「そうするか...」
乱戦の中見覚えのある動きをするバルバトスから逃げようと後ろを向いた瞬間見覚えのあるカラーリングの機体が現れアスタロト改の逃走経路を塞ぐ。
「狙われてるの完全に響だな。それじゃ俺はアデュー!」
「何処かで見たカラーリングのグレイズだけどって拓哉置いていかないでくれ!」
「やっと見つけました、城戸さん!」
「お、小川さん⁉︎どうして...!」
「この前...」
話を纏めるとどうやら、部室で拓哉と鉄血祭について話していたのを沙希に聞かれていたらしい。
「あそこにいたのって男だけだよな...」
(もしかして、あのガンプラ作ってる時小川さんいたのか?)
「何か言いました?」
「い、いえ何でも。って何で小川さんがその話の流れでここに来てるの?あ、もしかして小川さんもあのアイドル好きなの?」
「そ、それは...!」
「それは?」
「それは、、、城戸さんのバカぁ!」
「なんでさぁぁぁ!」
直後、ZZグレイズのダブルライフルが火を噴きアスタロト改に迫るがアスタロト改は右手のライフルを犠牲にして弾幕を張り逃走する事になった。
「響の奴なんかやらかしたのか?」
アデューして隠れていた獅電キマイラがZZグレイズに追いかけられるアスタロト改を見届け再び地上に出た途端、アラームがなる。
「今度はなんだ⁉︎」
「拓哉さん見つけました!」
どこからか飛んできたアックスをナックルバンカーで殴りつけながら飛んできた方向を向くとそこにいたのは青を基調としたグレイズアインだった。
「まり!ち、違うんだこれは!」
「何が違うと言うんですか!アイドルにうつつを抜かして!」
グレイズアインの大型アックスをナックルバンカーで防ぎながらかすれかすれ答える。
「誰だって男ならアイドルに会いたいと思う筈だ!」
「...遺言はそれで良いですか?」
茉莉乃が言い終わると同時にグレイズアインのバックパックから更に腕が2本伸びてきて近くに倒れ込んでいたグレイズリッターのナイトブレードをそれぞれの腕で掴んだ。
「う、嘘だろ...?」
そんなグレイズアインに挑むかのように獅電キマイラがライフルを構えるのだった。
「たっのしいわ!かかって来なさい!」
中折れした太刀をこちらに飛びかかって来たハシュマルに突き立てると先程木乃香のバルバトスが斬り伏せたバエルのソードを抜き取り二刀流で構えハシュマルの頭部を同じように斬り伏せ、ハシュマルがその動きを止め地面に崩れ落ちる。
「部長楽しそうだね...」
「まぁ木乃香ちゃんが楽しければ良いんじゃない?」
その様子を遠くから遠距離用のスコープから覗いていたのは翼のグレイズスナイプと接触回線で画像を回してもらっていた紫と黒のカラーリングが施された奏の百錬だったが落ち着いたのか木乃香のバルバトスがこちらに歩いて来た。
「楽しかった〜。2人は行かないの?」
「僕はガンプラが手に入れば良いから生き残る事を優先するよ。」
「私は行きたいけど、木乃香ちゃんが片っ端から落としていっちゃうから出番がね...」
木乃香が翼と奏の話を聞くと目を輝かせながらある提案をする。
「なら、私と楽しい鬼ごっこを始めましょうか!」
「お、良いねー!負けないよ!」
「おや、僕の話はスルーかな?」
今この場は、バエルソードを構えたバルバトスとグシオンアックスを構えた百錬と全身のミサイル発射口を開いたグレイズが三つ巴で睨み合うという異質な空間になっていた。
「グレイズアインに隠し腕ってありかよぉぉぉ!」
弾切れを起こしたライフルをグレイズアインに投げつけるが、隠し腕の剣に一刀両断されてしまう。
「悔い改めて下さい!」
ブーストを噴かして獅電を追っていたグレイズアインが途中近くにあった落石を掴み獅電キマイラに投げつける。
「ガンキャノン⁉︎ってそれはエクバか。」
落石をしゃがんで躱した獅電キマイラは、近くの窪みに滑り込みそれに気づかなかったグレイズアインの背後を取った。
「後ろですか⁉︎」
「正解!必殺、パイル!バンカー!ナックルゥゥゥゥ!!!」
グレイズアインに組み付いた獅電キマイラがナックルバンカーをその背に押し付けておもむろに引き金を引くとパイルバンカーが作動し胸部を貫く。
「アイドルなんか、に...」
「粒子消費を考えるの忘れてた...」
動きを止めたグレイズアインに寄り添うように獅電キマイラも動きを止めた。
時を同じくして、木乃香・奏・翼の三者による三つ巴の睨みあいで最初に動いたのは翼だった。
グレイズスナイプの全身からミサイルが放たれ左右のバルバトスと百錬に向かう。
「こんなもので!」
「私の動きを!」
「「止められると思わないで!」」
バルバトスがバエルソードで斬り払った際の衝撃波でミサイルを誘爆させていき、百錬はナックルユニットで衝撃波を起こして同じように爆発させる。
「それでこそと言いたい所だけど、化け物かな?」
「ひっどーい!翼くんのお母さんに翼くんの事任されてるのに!」
「え?そうなの?親公認だ、と...?」
思いがけない所でダメージを受けた木乃香が、バエルソードをグレイズに投げつけ右肩に突き刺さる。
「リア充...滅ぶべし...」
「おや、何かのスイッチを踏んでしまったかな?」
「これはマズそう...!」
背中のブースターを使って高速でグレイズスナイプに接近したバルバトスが突き刺さったバエルソードを抜き押し倒すと今度は頭部に突き立てるが足をグレイズスナイプに掴まれてしまう。
「奏、今だ。僕ごとやってくれ。」
「りょーかい!これで私たちの勝ちだぁ!」
「って思うだろうけど、ただじゃ死なないわ!」
百錬がバルバトスの胸部を貫きバルバトスがグレイズの胸部を踏み潰し逆手に持ったバエルソードを百錬に突き立て3機が動きを止めた。
「逃がさないですよ!」
「クソ!なんでこんな事に...」
というのがこの騒動の発端だった。
アックスをアスタロト改に向けぶん投げそれを躱したアスタロト改がバスターブレードをZZグレイズはナイトソードを抜き斬り結ぶ。
「とりあえず、落ちて下さい!」
「とりあえずで落ちる人はいない!」
何度か鍔迫り合い距離をとったアスタロト改がバスターブレードをもう1本抜き連結すると薙刀形態で再度突撃する。
「おらぁぁぁ!」
「くっ!こんな事で!」
ライフルシールドで防いだZZグレイズがライフルを連射しその弾がアスタロト改の左手に持ったライフルに命中し爆発。
「ライフルが⁉︎まぁ使ってなかったから良いけどね!」
爆発による煙を利用してブースターを噴かしてZZグレイズに接近、分割したバスターブレードをシールドライフルのはみ出たライフル部分に突き立て爆発を起こす。
続けて左脇腹を突き刺そうとするが狙いが浅かったのか左腰の装甲を削ったのみになった。
その後も何とかZZグレイズの攻撃を躱しながら画面右下の現在参加者の欄を見ると当初30名だった数字が2名にまで減っていた。
「そういや、残り参加者は...2人。って俺と小川さんか!」
「話はまだ終わってません!」
「いや!もうこの大会も終わりだ、そろそろ決着をつけよう!俺が負けたら小川さんの言う事なんでも聞くって事で話終わらない?」
「...完全に納得したとは言えませんけど、それで手を打ちましょう。」
ちょうど弾切れを起こしたシールドライフルをパージしナイトブレードを二刀流で構え、アスタロト改はバスターブレードを二刀流で構えてお互いに突撃する。
何度か鍔迫り合いアスタロト改はバスターブレードの1本を失いZZグレイズもナイトブレードが真ん中で折れてしまっていた。
「「これで!」」
「「終わりだ(です)!」」
残り1本となったバスターブレードをアスタロト改が振り下ろしZZグレイズが短剣サイズにまで折れてしまったナイトブレードを突き立てる。
バスターブレードがZZグレイズの右腕を斬り落としZZグレイズのナイトブレードはアスタロト改の胸部に突き刺さっていた。
[YOU WIN!!!」
アスタロト改に撃墜マークが表示された瞬間、沙希の勝利が確定しファンファーレが鳴り響く。
「決まったぁぁぁ!第1回鉄血祭、勝者小川 沙希さんだぁぁ!」
「「「おぉぉぉぉぉ!!!」」」
「「おめでとう!」」
「あ、ありがとうございます...」
壇上に上がった沙希が遥と楓から限定ガンプラを渡され盛り上がったまま大会は幕を閉じた。
壇上から降りた沙希に響が駆け寄り声をかける。
「小川さんおめでとう!」
「ありがとうございます...そ、それでさっきの話なんですけど...」
「あぁ、なんでも言うこと聞くやつね!さぁなんでも良いよ!」
「わ、私とデートして下さい...!」
その後木乃香たちの見守りがない正真正銘2人だけのデートが行われる事になるのだが、これはまた別のお話。
前回のお話から続けて書こうと思いましたが、あえて脇道に逸れたお話を書いてみました!
集団戦闘って書くの難しいですよね...他の方の作品見てると上手く書かれていて凄いなと思います!
今回のガンプラ紹介!
ZZグレイズ
武装:シールドライフル×2、ナイトブレード×2、アックス×2
SP:無し
沙希が鉄血祭に参加する為、極秘裏に制作された機体。ただしカラーリングが沙希のメインカラーだったので響にはすぐに気づかれてしまった。
沙希が制作する機体にしては珍しく近接格闘に特化しておりバックパックに大型ブースターが採用されている高速戦闘型。