ガンダムビルドファイターズ Beginning Tale   作:セルフィア

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第23話〜燃える剣と煌めきの銃口〜

響と沙希のデートから数日たったある日の事

 

「所で来週から試験期間だけど、城戸くん達はちゃんと勉強してるの?」

「やって、ます...」

「まぁボチボチ。」

「ややや、やってまふよ。」

「若干1名、狼狽えすぎて噛みまくってるけど...とりあえず試験期間中は部活動が禁止だからこの部もお休みね!」

「期間中は僕がメンテナンスをしたい関係もあるから預からせてもらうよ。」

 

響たちは自身の愛機を翼に預けそこでその日の部活動は終わりになった。

下校途中、響と拓哉はぶらり街中を歩いているとゲーセンを見つける。

「なぁ、響。ちょっとゲーセン寄っていかないか?」

「良いけど、勉強しなくて良いのか。」

「そんなもん後でやれば良いだろ!」

 

ゲーセンに立ち寄った響たちは真っ先にガンプラバトルブースへ足を運ぶ。

「ちょうど空いてるし、対戦待ちの人いるから俺声掛けてくる!」

「俺まだビルドプロミネンス調整中なんだけど。」

「俺もV2調整中だから、大丈夫。すみません、俺たちとバトルしませんかー!」

行動の早い拓哉を見習いたいと思う響と早速対戦相手を連れてきた拓哉を合わせ、4人は筐体を真ん中に挟みGPベースをセットする。

 

《Beginning[Plavesky particle]dispersal.Fiard1,space》

 

《Please set your GUNPLA》

音声に従ってガンプラを置く

 

《BATTLE START》

「城戸 響、ビルドプロミネンスガンダム。推していくよ!」

「安藤 拓哉、V2ガンダムアサルトバスター。派手にブチまける!」

 

レバーを動かしガンプラを発進させる。

 

スタート位置から中央付近まで進んだ辺りで同じく前方から2機現れる。

「あれはシュバルツリッターとセラヴィー?セラヴィーの方は盾デカイな...」

目の前に現れた紫と金でカラーリングされた槍持ちのシュバルツリッターと緑と黒でカラーリングされた盾持ちのセラヴィーを交互に見た拓哉の横で響は我慢できないと言わんばかりに前に躍り出た。

 

「一番槍行かせてもらう!」

意気揚々とビルドプロミネンスがトリアイナを構えスラスターを噴かしながら突撃する。

その全体重を乗せた攻撃は並のガンプラであれば一撃で貫けていたのだが、目の前のガンプラを貫くことは出来なかった。

 

「この盾、獅電のやつにプラ板を重ねてあるのか!」

もう一撃とトリアイナを振り下ろそうとしたが横からシュバルツリッターの槍<ナイトランス>が突き出されそちらにトリアイナを斬り合わせる。

「これがホントの横槍ってか。拓哉スイッチ!」

「任せとけ!打ち上げ花火!」

 

響のビルドプロミネンスがシュバルツリッターを蹴り飛ばしたのを見届けるとV2背部のメガビームキャノンが敵機の方を向き1発のビーム弾がある程度いった所で弾け辺り一面にビームの雨が降り注ぐ。

「これならセラヴィーは無理でもシュバルツはってなにぃ⁉︎」

「おいおい、拓哉なんだって...」

 

V2の足元にしゃがみ込んで待機していたビルドプロミネンスが拓哉の驚いていた方向に向くとシュバルツリッターの上空にシールドビットが陣形を組んでビームを防いでいた。

「セラヴィーの後ろのあれは放熱板じゃなくてシルビだったのかよ!」

呆気に取られていた響と拓哉は思わず機体の動きを止めてしまい、この動きを止めたのを好機と捉えたのかシュバルツリッターがシールドビットを携えながらナイトランスを真正面で構え突撃してくる。

 

「うわった!間に合うか⁉︎」

ナイトランスの突き出しに合わせトリアイナを突き出すが、踏み込みが足りなかったのか弾かれて手元から飛んでスペースデブリに突き刺さった。

「まだ武装を1つ失っただけだ!」

背部ラックから分割式実体剣<アメノミハシラ>を分割して両側で持ちシュバルツリッターの周囲に浮遊していたシールドビットを数基斬り伏せ、近くのMSの残骸を蹴り飛ばしながらセラヴィーに接近する。

 

「見た所レールガンしか射撃武装を持ってないみたいだから近づけば!」

一定の間隔で撃たれるレールガンの砲撃をMSの残骸を盾にしながら近づいたビルドプロミネンスがアメノミハシラを振り下ろすが直後黒い炎のようなものを纏ったシュバルツリッターに止められて蹴り飛ばされてしまう。

 

「響悪い!抑えきれなかった。」

「いや、仕留められなかった俺のせいだ!それよりもこれはバーニングバーストか...」

蹴り飛ばされたビルドプロミネンスを庇う形でV2がビームスマートガンを連射するが、シュバルツリッターのナイトランスに突かれた瞬間全て搔き消える。

 

「あの槍は邪魔だな、俺のV2だと相性悪いという事は?」

「あーはいはい、接近戦なら俺の方が相性いいしな。ほんじゃ作戦開始!」

今もなお周囲を周回していたシールドビットを足場にビルドプロミネンスがブースターを噴かして加速、再びアメノミハシラをシュバルツリッターに振り下ろしそれを防がせると先ほどのお返しで蹴り返す。

 

「行くぞビルドプロミネンス!バーニングプロミネンス!」

[Burning prominence system standby]

プロミネンスの一部装甲が外れ中から元のトライバーニングと同じ炎のような粒子を煌めかせ周囲の空間を揺らがせながらアメノミハシラを1本の大型実体剣に戻して構え突撃する。

 

態勢を立て直した黒い炎を纏ったシュバルツリッターもナイトランスを構え直し同じく突撃し剣と槍がぶつかった瞬間、お互いの熱気もぶつかり合い周囲のスペースデブリが吹き飛んでいく。

「今のこの機体ならストライクと同じような事が出来るはず!」

 

発動中のバーニングプロミネンスのSPスロットから更に以前ストライクが使用した炎を剣に纏わせた技を使えるように登録していた派生スロットを選択、装甲のハズれた箇所から出ていた炎が勢いを増しアメノミハシラに収束すると紅く燃え上がった超大型ビームブレードへと姿を変える。

「そういや、さっきからシールドビットが守る様子を見せないけどビームから守るように設定されてたのか?」

 

先ほどの衝突から浮遊したままのシールドビットと少し距離を置いたシュバルツリッターが腕部ビームサーベル発生器からビームを撃ち出すが超大型ビームブレードとなったアメノミハシラの刀身に触れた途端、搔き消えてしまう。

「極・限・全・力!隕石ジャンプ斬り!」

 

アメノミハシラを両手で構え戦艦の残骸や小惑星の間を器用に蹴りながらシュバルツリッターに肉薄するとちょうどシュバルツリッター側のバーニングバーストが終わったらしくバーニングプロミネンスをギリギリの所で抑えていた炎が消えてしまい、巻き込まれたシュバルツリッターのナイトランスの塗装がどんどんハゲていく。

 

「燃やし尽くせ、ビルドプロミネンス!」

なんとか伏せごうと腕部ビームサーベルを展開したシュバルツリッターだったが、出力全開のアメノミハシラを防げるはずもなくビームサーベルごとシュバルツリッターを跡形もなく燃やし尽くした。

 

一方その頃拓哉はメガビームランチャーを出力全開でセラヴィーに向けて撃ち込んだV2だったが、戦艦の残骸に足を食い込ませて盾を構えたセラヴィーに防がれていた。

「響の槍で貫けなくても砲撃なら行けるかと思ったんだが...」

 

どうしたものかと、続けて頭部・右肩・脚部目掛けてビームスマートガンを連射して様子を見るがどの部位も盾に重ねてGNフィールドを展開され一向に当たる気配がない。

「GNフィールドもありかよ⁉︎俺もエクシアで来れば良かったけど無い物ねだりだな。」

 

砲撃を諦めビームスマートガンを投げ捨てると代わりにビームサーベルを抜刀、光の翼を展開しながら今もなおGNフィールドを貼り続けているセラヴィーに振り下ろすがGNフィールドに阻まれセラヴィー自体には刺さらなかったがレールガンの砲口だけはGNフィールドが貼られておらず少しだけ斬り落とす。

「粒子消費を抑える為に身体ギリギリに纏わせてたのか!通りで長く続くと思ったぜ...」

 

セラヴィーが砲口を斬り落とされたレールガンを爆発する前にパージして左手で構えていた盾も捨て先ほどのV2と同じ様にビームサーベルを抜くといきなり機体の色が紅くなり目の前から姿を消した。

「トランザムか!けど、俺だって普段トランザムを使ってるんだ見切ってみせる。」

 

右から左からビームサーベルでの攻撃によってV2はビームランチャー・メガビームシールドを使用不能になりスラスターバーニアも損傷が酷くまともに動けない状態になるが拓哉は落ち着いてセラヴィーに意識を集中する。

(最初の攻撃は右からその次は左、そしてその次は後ろから...という事は!)

 

「俺の予測が正しければ、右!」

拓哉の推測通りトランザム中のセラヴィーが右側からビームサーベルを振り下ろしてきたのに合わせV2の右手に持ったビームサーベルを振り上げビームサーベルを弾く。

「よっしゃ!このまま追撃させてもらおうか響!」

「あいよ!」

 

セラヴィーのビームサーベルを弾きV2の右スラスターが温度上昇により煙を上げた瞬間、シュバルツリッターを撃墜した際セラヴィーの元へ戻ろうとしていたシールドビットに乗ったバーニングプロミネンスの終了したビルドプロミネンスが姿を現しアメノミハシラでセラヴィーの右腕を斬り落とす。

「やっぱりエクシアで来たかった?」

「それさっき思ったよ。それよりその腰に付けたライフルくれ今のV2武装がサーベルしかないんだ。」

 

ビルドプロミネンスからライフルを受け取ったV2が右腕を斬り落とされた反動でトランザムが終了したセラヴィーに狙いを定める。

「損傷確認、軌道修正、射撃...今!」

V2が引き金を引き1発のビームが撃ち込まれると狙い違わず、セラヴィーの胸部を正確に撃ち抜き爆散していった。

 

[YOU WIN!!!」

 

スクリーンが溶け対戦してくれた人達と挨拶を交わして響たちはゲームセンターを後にする。

「いやー盛り上がった!」

「楽しかったな、でも明日から勉強期間だけど数学と英語は試験までに間に合うのか?」

その瞬間、響の満足気な顔が凍りつき額から冷や汗が滲み出る。

 

「忘れてた...拓哉、数学と英語。」

「人に教えられる程、理解してないぞ。それに近くにいるじゃないかちょうど数学と英語が得意な人が。」

「あー!ちょっと用事思い出したからここで解散という事で!」

「あいよ、じゃぁまた明日な〜。」

響がある人物がいるであろう場所へ走り出したのを拓哉は見届けると駅へ歩き出していった。




ようやく1章が終わって今回から2章の新しい幕開けです!
季節的には7月に入って自分では絵心ないので書けませんが、夏服に変わってます。
そして、夏を書くにあたって海合宿とかやれればなと...

今回のガンプラ紹介!
セラヴィーガンダムGNGW(GNガードウェポン)
武装:レールガン、ライオットシールド、ビームサーベル×2、シールドビット×8
SP:GNフィールド、トランザム
響たちが対戦したファイターの機体で、普段はセラヴィーが敵の攻撃を引き受けそれに気を取られている内に相方のシュバルツリッターが槍で仕留めるという戦い方をとる。
武装の殆どを防御に振っていてその中でもシールドビットは相方の支援に行かせたり響が使ったように足場として使う事もできる。
今回の敗北を気にシールドの数を増やすか検討中らしい。

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