ガンダムビルドファイターズ Beginning Tale   作:セルフィア

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第39話〜裁定者の判決〜

地区予選が終わった次の週、優勝をもぎ取った響たちガンプラバトル部一行は温泉旅館を訪れていた。

「ったぁぁぁ!温泉旅館再び!」

「それにしても地区予選優勝でヤジマ商事から温泉旅行に招待されるなんてな。」

そういやそうだ、と木乃香の方に視線が集まっていたがとうの本人はあっけらかんとしており

 

「それ程、ガンプラバトルに力を入れてるんでしょう。私たち以外にも招待されてるみたいだしね。」

「凄いですね...」

「立ち話も良いけど、僕ら以外の人たちはもう移動したみたいだよ。」

「そーだよ!早く行かないと!」

駆け足気味に旅館に入った響たちが見たのは色々な制服に身を包んだ高校生の集団だった。

 

「全国から集まってるんだな。」

「当たり前よ、北海道や沖縄の両極端からも来てるんだから。取り敢えずカギを貰ってくるわね。」

フロントでカギを受け取りその内の1つを翼に渡しそれじゃまた後でね、と木乃香の解散の命を受け部屋に向かいつつファイタールームの位置を確認し

 

「翼先輩も宴会の前にやりません?」

「いや、僕は遠慮しておこう。ストライクの新武装の調整があるからね。」

「了解です。」

「じゃぁ行ってきます。」

部屋に荷物を置き湯浴みに着替えた響と拓哉が宴会前に軽くバトルしていくかと、曲がり角を進んだあたりで誰かとぶつかってしまう。

 

「いったぁ...」

「ん?なんだ今感覚は...⁉︎」

数回ほど右手の感触を試していたところ、目の前の女性の顔がみるみる赤くなり振り上げたビンタが響の顔面を直撃した。

「まだ誰にも触られた事ないのに!」

「え⁉︎いやすみません...ホントにそう言うつもりじゃなくて不可抗力というか...」

未だ顔を赤くしている女性に罪悪感しか覚えなかった響にできる事は地面に額をつけてひたすら謝る事だった。

 

「ま、まぁ?幸いな事にここはガンプラバトルが出来る旅館ですし?私からの挑戦を受けてもらえればこの事を騒ぎ立てるつもりはないけど?」

「ガンプラバトルで?それで済むなら願ったりなんだけど...」

バトルを受けるために腰のポーチから愛機を取り出そうとしたところで拓哉がその手を止める。

 

「おい響、やっちまったな...」

「どうした拓哉、俺の行く先はファイタールームじゃなくて警察か?」

「彼女は、全国ガンプラバトルレディーストーナメント個人の部優勝の経験を持ち決勝では相手の機体から四肢を引きちぎり頭部すらも斬り落とした事から付いた[裁定の皇后(アルバレイターエンプレス)]の異名を持つ立花 美咲だ!」

 

「そっちの地域だと私ってそうやって伝わってるのか〜、まそういう訳だけどまさかやらないとか言わないよね?」

「当たり前だ、起きた事は最低だけどそんな凄い人と出来るんだやらなきゃ損だろ。」

「そうこなくっちゃ、後ダメージレベルはAで。私を辱めた事を後悔させないと。」

「その発言は誤解があるからやめてぇ!」

 

ファイタールームへ足を進め筐体を真ん中に挟んだ2人はGPベースをセットする。

≪Battle Damage level set to A≫

 

《Beginning[Plavesky particle]dispersal.Fiard4,sity》

 

《Please set your GUNPLA》

音声に従ってガンプラを置く

 

《BATTLE START》

「城戸 響、ムラマサフルアイギスストライク!推して参る!」

「立花 美咲、リブラドミナント。さぁ、始めよっか!」

 

レバーを動かし機体を発進させる。

 

今回のステージは、古びた高層マンションが軒を連ねる廃墟だった。

 

地区予選決勝での損傷を改修したムラマサフルアイギスストライクが宙を掛け地面に砂煙を立てながら降り立つ。

すると目の前から同じように砂煙を立たせ立花 美咲の機体、リブラドミナントが姿をあらわす。

 

「これが拓哉の言ってた[裁定の皇后(アルバレイターエンプレス)]の機体...見た感じペイルライダーベースっぽいな。」

「先に言っておくね、私は今回のバトル本気は出さないよ。」

「前大会優勝だか知らないけど、最後まで同じ台詞を言えるかな!」

「それなら始めよっか、先手は譲ってあげる。」

 

ムラマサフルアイギスストライクが右手に持ったトリアイナはリブラドミナントを貫く事はなく逆に裏拳を決められ近くの廃ビルに顔面から突っ込んだ。

「いったぁ!これがリアルだったら気を失ってるな...」

「そのまま気だけじゃなくて落ちちゃいなよ!」

 

瓦礫を押しのけ起き上がったムラマサフルアイギスストライクの眼前には、リブラドミナントが迫っており突きつけられたビームサーベルをすんでのところで躱し更に違う廃ビルに突っ込むが回避行動を取ってる場合ではない。

腕部からビームライフルを取り撃ち続ける。

「えっと...ビームライフルの撃ち方って分かる?教えてあげようか?」

「今小川さんに教わってる最中だから大丈夫!」

 

撃ち出されたビームを最小限の動きで躱し振り下ろされたビームサーベルにムラマサフルアイギスストライクもビームサーベルを抜刀、斬り結び横に流しつつ蹴り飛ばし距離を取る。

「よし、この隙に!部長の壊れた幻想(ブロークンファンタズム)をアレンジしたコイツで!」

「お?何を見せてくれるのかな♪」

「強者の余裕ってやつか、なら受けてみろ!ライトニングブラスト!」

 

リブラドミナントを正面に捉えつつ上空へ舞い上がったムラマサフルアイギスストライクはSEEDをトリアイナのみに展開し雲を割きながら急降下、その蒼い粒子を纏った切っ先は間違いなく突き刺さる筈だった。

「嘘だろ?いくら試験的だったとはいえ砂煙を被ったぐらいなんて...」

「うーん、勢いと迫力は満点なんだけど肝心の命中率が悪いね。後数センチあってれば片腕ぐらいはあげれたかな!」

 

美咲の助言?を受けた響が見てみると確かに数センチ程ずれており、その後のことを考えていなかったトリアイナは深々と地面に突き刺さっていて抜けず恐る恐る顔を上げるとビームサーベルがムラマサフルアイギスストライクの左肩を抉りさっきのお返しと言わんばかりに蹴り飛ばされる。

 

「ありゃ改良が必要だけど今は!行けよ、シールドドラグーン!」

「そのドラグーンもらっちゃおうかなぁ。」

ムラマサフルアイギスストライクの両翼から射出された6基のシールドドラグーンが勢いよく向かっていったがリブラドミナントの射程距離に入った瞬間その動きを止めてしまう。

 

「まさか...」

「そ、[サイコミュジャック]が私のリブラドミナントには組み込まれてるの。それじゃよろしくねドラグーン!」

動きを止めていたシールドドラグーンがリブラドミナントの周囲を飛び始め、指先をムラマサフルアイギスストライクの向けると弾かれたように動き出しビームの刃を放出しながら装甲を少しずつ切り刻んでいく。

 

「いくら自分の物とは言えめんどくさいな!纏めて薙ぎ払う!」

リブラドミナントに背を向けて少し狭い路地へ逃げ込むと方向転換、ソウルプリディジョンシールドのビームキャノンを起動しそのまま撃ち放す。

放たれたビームの渦はシールドドラグーンを正面に捉えると5基巻き込みそこから撃ち逃した1基をビームサーベルで斬り伏せる。

 

「面白い盾だね、ちょっと貸してよ!」

「貸して?それはどういう意味...⁉︎」

だ?と言葉を続けようとした響のムラマサフルアイギスストライクのシールドを付けていた左腕の付け根にいつのまにか接近していたリブラドミナントのビームサーベルを突き立てられて緩くなった所を強引に引きちぎりソウルプリディジョンシールドが強奪され

 

「強引すぎるだろ!」

「褒め言葉として受け取っておくね、アブソーバがついてるんだぁ凄い凄い。」

ビームライフルを再び撃ち続けるが、そのビームは全てリブラドミナントのソウルプリディジョンシールドに飲み込まれ消え失せる。

 

撃っていたビームライフルを投げつけビームダガーを投擲しようとした瞬間先にリブラドミナントのビームガンがビームライフルを撃ち抜き逆に怯まされ引きちぎられた右腕で顔面を思いっきり殴られ思わず膝をつく。

「それで?これが君の限界なの?ガッカリ...」

「クソ!見てろよ、俺の本気はこんなもんじゃない。SEED!」

 

[SEED system standby。Remaining until the time limit of 180 seconds。]

蒼い粒子を纏ったムラマサフルアイギスストライクがリブラドミナントの周囲を高速で移動しながらビームサーベルで斬りつけるが、その一撃一撃を的確に躱され背後に回ってビームサーベルを突き立てようと腕を振り上げた瞬間、目の前のリブラドミナントが上半身だけ後ろを向きその腕を掴んだ。

 

「嘘だろ⁉︎俺SEED中なんだけど⁉︎」

「関係ないよ、トランザム系の挙動は頭の中に入ってるからね!」

そう言い切りおもむろに地面に叩き伏せ、ソウルプリディジョンシールドのアブソーバをムラマサフルアイギスストライクの胴体に押し付けるとSEEDの蒼い粒子が凄まじい勢いで吸収されていく。

 

「これ以上吸わせてたまるか!」

「はぁ、うざっ。」

イーゲルシュテルンを乱射してアブソーバの開閉口を潰し使い物にならなくした響だったが、お返しと言わんばかりにリブラドミナントがムラマサフルアイギスストライクの頭部を鷲掴んで発射口を潰しそのままビームサーベルで斬り払われる。

 

「まだだ、まだメインカメラと左腕と左足がやられただけだ...」

掴まれていた頭部を失った事で自由を取り戻し出来る限り後方に下がったムラマサフルアイギスストライクの蒼い粒子が徐々に弱まってしまう。

[SEED終了、粒子消費を抑えるためビームの使用を制限します。]

ここで肝心のSEEDが終了し距離を取る事に集中しすぎた結果廃ビルに突っ込む。

 

「今更だけどビル多すぎだろ⁉︎なんで俺の行く先々にビルあんだよ!」

「さぁ、懺悔の準備は出来ているか♪」

リブラドミナントがブーストを伴った前蹴りでムラマサフルアイギスストライクを蹴り倒し体制の崩れた所でバキバキと右足を踏み潰すと、最後に残っていた右腕をもビームサーベルで斬り飛ばされる。

 

「じゃ、さようなら!ん?」

「ぶ、部長⁉︎どうして...」

「拓哉くんから連絡を受けてね、もうこの辺でいいんじゃないかな?このバトルは貴女の勝ちよ。」

四肢と頭部を失ったムラマサフルアイギスストライクはなす術なく胴体に押し当てられたビームキャノンからビームが放たれるその直前、当初居なかった木乃香のストライクガンダムバンダースナッチが対艦刀を振りかざしながら乱入しリブラドミナントを引き剝がす。

 

[YOU WIN...]

 

スクリーンが溶け自身の愛機を回収した美咲は

乱入はあったけどスッキリしたしこの程度で許してあげる、と言葉を残すとファイタールームから去っていきこの場に残っているのは胴体のみが残りボロボロになったムラマサフルアイギスストライクと木乃香を含む3人だけだった...




地区予選が終わりヤジマ商事からの旅行招待で訪れた旅館での39話でした!

各メンバーの機体を新調しようかなと思う今日この頃。

今回のガンプラ紹介!
リブラドミナント
武装:腕部内蔵ビームガン×2、ビームサーベル×2、実弾ライフル
SP:HADES
裁定の皇后の異名を持つ立花 美咲の操るペイルライダーがベースの機体。目立った改造はしてなくカラーリングや細部が変更されているのみとなっている。
美咲の反応速度に対応できるよう調整されており、響のSEEDにHADESを使用しなくても付いていけてむしろそれを上回る程の反応速度を誇る。
また、レディーストーナメント優勝の腕は伊達ではなく木乃香の乱入がなければ胴体までもバラバラだった。
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