ガンダムビルドファイターズ Beginning Tale 作:セルフィア
全国大会3日目の朝、1人目が覚めた拓哉はコンビニでピザまんとスマイルコーヒーを買っていた。
「やっぱり寒い日の朝はピザまんと苦いコーヒーに限るぜ。」
ブラブラと宿舎に向かって歩き出していると今にも泣き出しそうな少女と熱血そうな青年が地面をゴソゴソしていたが、敢えて触れずに通り過ぎようと曲がり角に差し掛かった瞬間。
「む!そこにいる高校生!だいぶ助けてくれないか!実はだな...」
「ちょっとまてぇい!一旦くれないかの辺りで止まってこっちの返しを待て!まぁいいけどさ...」
そこから彼の話を聞くと、どうやら女の子がお気に入りのストラップを落としてしまったらしくそこを通りがかり一緒に探しているところに俺が来たという事だった。
「事情は分かった。俺も手伝うけど、朝食バイキングの時間までには探し終えるぞ!」
「お、おぅ...ここのご飯美味しいからな。そうと決まれば!」
朝食の時間までの2時間を使ってフルに周囲を捜索したが見当たらず諦め掛けていた拓哉だったが最後の救いで訪れたのが朝ピザまんとかを買ったコンビニに尋ねたところ、あっさり見つかりそれを少女に手渡しながら。
「ほらこれだろ?もう無くしたらダメだからな。」
「うん!ありがとお兄ちゃんたち!」
笑顔で駆けて行った少女を見送り、改めて横に同じように立っている青年に声を掛ける。
「えっと、良かったな見つかって。」
「おう!俺1人ではコンビニに聞きに行くという判断が出来なかっただろうから君が居てくれて助かった。はっ!そう言えば自己紹介がまだだったな。俺は榧野 衛兎!君は?」
「だから畳み掛けてくるなって。俺は安藤 拓哉、多分会わないだろうけどよろしくな。」
「そんな釣れない事を言うな!きっと再開は早いかもしれないぞ!じゃあな!」
だからぁ...と言葉を言い終わる前に衛兎は陸上部さながらのスタートを切って宿舎の方へ全力疾走で遠ざかっていき1人残された拓哉はすっかり冷め切ってしまったピザまんを頬張っていた。
時は流れ朝食を食べ終えた拓哉たちは昨日と同じく選手控え室で対戦相手の発表を今か今かとそわそわしていた。
[ガンプラバトル全国大会、高校生の部3日目がやってまいりました!組み合わせ発表について...]
「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」
会場全体が盛り上がりを見せる中、2日目が終わり残っていた8校が正面のスクリーンに映し出され映像内でシャッフルが起き次々と組み合わせが決定していく。
[第2戦、天ヶ崎高校 対 順堂高校の試合となっております!]
「アミダの結果、安藤くんが2連チャンになっちゃったけど行けそう?もしダメそうなら城戸くんに変えるけど...」
「いや大丈夫っす。翼さんが追加武装パック組み込んでくれてたんで。」
「ぶっつけ本番になってしまって申し訳ないね。」
「むしろ感謝してますよ!んじゃ行ってきますかっと!」
「じゃ行ってくるね!」
そうしてステージ発表のアナウンスから多少遅れてコートへ向かうと既に相手方の選手が待機しており、そこに見知った顔を見つけていた。
「ん?あんたさっきの...」
「お!そういう君は少女の落し物を探すの手伝ってくれた人!」
「あれ、俺あの時自己紹介したよな。榧野さん...」
「うんうん、覚えてる。ちょっとど忘れしただけだ!えっと安藤くんだったよな?」
「急に不安になるなよ...」
「たっくん知り合いだったの?」
「今朝知り合いまして。」
衛兎と拓哉の会話で場がホワホワしていたが試合開始を告げるブザーが鳴り響き、意識をバトルへ向けて4人はGPベースをセットする。
≪ Damage level set to A≫
《Beginning[Plavesky particle]dispersal.Fiard3,Forest》
《Please set your GUNPLA》
音声に従ってガンプラを置く
《BATTLE START》
「滝沢 奏、ダハック弍号機!狩る!」
「安藤 拓哉、クァンタムセグエンテフルウェポン。飛び立つ!」
レバーを動かし機体を発進させる。
今回のステージはガンダムビルドファイターズ1話でセイとサザキが戦った桜舞い散るエリアだった。
木々の隙間を器用に避けながら進むクァンタムセグエンテとその横をメガライダーではみ出た木を薙ぎ倒しながら進むダハック弍号機を横目に今回増設したGNセンサービットを3基射出していた。
「滝沢先輩、位置情報丸出し過ぎません?」
「いやぁステージをコロニーか砂漠とか通りやすいので想像してたからこれは完全にやっちゃったよね♪」
「...そうっすね。」
きっと今奏の顔を見たら舌を出してテヘって出してるんだろうな...そんな事を考えつつもGNセンサービットが集めてきた情報をモニターに映す。
「こりゃ...ウイング?とクロボンか?独自のカスタマイズがされてるが...」
「情報サンキュ!それじゃ派手に開始の祝砲を打ち上げようか!」
「ちょ、先輩⁉︎まだ気づかれてなかっ...!」
拓哉の言葉を遮り放たれたメガライダーの一撃は周辺に桜の葉を舞わせながら爆発音が響き、爆風がクァンタムセグエンテの装甲を撫でていく。
「やったか⁉︎」
「この瞬間を待っていたんだ!」
「やれてるわけないよな⁉︎滝沢先輩!」
「オッケイ!私はクロボン行くね!」
直後伸びてきたアンカーがGNフルクロスに絡みつきそれを急いでGNビームサーベルで切り裂く頃には敵機と自身の距離がだいぶ近づいてしまっていて
かたや、ビームサーベル同士で斬り結びもう片方はGNビームガンを乱れ撃つがミラージュコロイドによる分身を展開してビームを躱しウイングガンダムのカスタム機が迫ってくる。
「目標捕捉、ウイングガンダムインフェルノ殲滅を開始する。」
「さっきの熱血キャラはどこいった!」
出会い頭に振り下ろされた実体ブレードをGNメガランチャーで受け流しつつ左手で握ったGNビームサーベルを振り上げるがこれは手持ちシールドに防がれてしまい
続けて背部ラックから拡散パイルドライバーを撃ち放ちウイングガンダムインフェルノの上空から降り注ぐとウイングを展開してミラージュコロイドによる分身で躱していたが流石に連続して放たれた2発目は躱しきることが出来ず分身が消えていく。
「貰った!」
「インフェルノ、俺を導いてくれ...」
「あぁ⁉︎機体が燃え、いやクリアパーツから粒子が炎に姿を変えて放出されてるのか。」
大型ビームソードをその頭上に振り下ろした拓哉だったが切っ先がウイングガンダムインフェルノに触れるその直前、機体各部に配されたクリアパーツから炎が溢れ出しその熱気がビームが掻き消えていた。
「赤には紅だ!トランザム!」
紅い残像を残しながら加速したクァンタムセグエンテが大型ビームソードで木々を薙ぎ倒しウイングガンダムインフェルノも各所から炎を放出し燃える剣と化した実体ブレードでこちらも木々をなぎ倒しながら鍔迫り合いへ発展していった。
「ダハックにビーム兵装で挑むなんて無茶してるね!」
「そういう貴女もクロスボーンにビームで無茶してると思わない?」
「ABCマント剥がせば無茶じゃないよ!」
先ほど拓哉が斬り落としたアンカーのワイヤーを引っ込む前に両手で掴んで力一杯に引くとやはり機体が小さい分軽いX1パッチワーク改が釣り上がるがお互いの姿を認知した瞬間、ピーコックスマッシャーから連射したビームをダハックはワイヤーを手放して両手を前に掲げビームを吸収しお返しにメガライダーからビームを放つがこちらはABCマントに当たって搔き消える。
「もう!邪魔なビームバリアだなぁ!」
「それはこっちのセリフだよ!ビーム兵器しかない私に対しての嫌がらせのビームシールドは!」
遠距離からの撃ち合いを諦めた2機がダハックは8本のビームサーベルをX1パッチワーク改は左手にビームザンパーを右手にヒートダガーを持ち鍔迫り合いを繰り広げビームサーベルがABCマントとビームシールドからはみ出てるXスラスターの上部2部を斬り飛ばし対するX1パッチワーク改もビームザンパーの一撃を敢えて防がせてヒートダガーを右肩に突き立てると右腕がプラーンと力なく垂れ下がっていた。
「スラスターを犠牲にしてまで⁉︎」
「2基までなら予備はあるから!」
「え、予備⁉︎」
X1パッチワーク改が腰裏からピーコックスマッシャーだと思われていたものが真ん中から左右に分かれスラスターの形を形成するとXスラスターが再び形を取り戻し
呆気に取られていた奏に畳み掛けるようにダハックを押し倒して両肩のビーム砲を踏み潰しバックパックのビームサーベルアームをビームザンパーで切り飛ばしていく。
「このまま...!」
「来て!メガライダー!」
「SF風情が⁉︎」
押し倒されていたダハックの後方から凄い勢いでメガライダーがX1パッチワーク改にぶつかり木々にめり込ませようと勢いを止めることなくブースターに火が入るがブランドマーカーで発射口を殴りつけられそれにより姿勢制御が取れなくなり地面にめり込んでしまう。
「こんなもので私を止められるなんて思ってないよね。」
「当たり前!今度はこっちが行く番だよ!」
「減らず口を⁉︎」
直後、ダハックの姿が消えブランドマーカーを形成していた方が切り飛ばされており
状況を飲み込めないX1パッチワーク改は腰につけたままのビームザンパーなどの外付け武装を自身を守るように乱れ撃っていくが所々紫色の残像やビームを吸収したようなエフェクトだけ目視ではっきりと確認でき最初に左腕を続けてピーコックスラスター、右足が切り落とされて行く。
『ダハックがトランザム⁉︎』
『いや、正確にはダハックが吸収したビームを推進エネルギーに変換してヴォワチュールで機動性を上げる事により擬似的なトランザムが出来るように改造したんだ。』
『『『へぇ〜』』』
翼による解説を聞いた響たちはまたモニターに視線を移し元々持続時間が短かった[ヴォワチュールトランザム]が終了し再びはっきりとダハックの姿を見れるようになった頃には、X1パッチワーク改はABCマントがズタズタに引き裂かれ両手両足とXスラスターがなくなり身動きが取れない状態となっていた。
強引に使ったため、回路の焼き切れたバックパックをパージしながら歩き出し途中メガライダーからダブルビームライフルを回収してX1パッチワーク改に押し当てる。
「まさかダハックがトランザムするなんてね...」
「正確にはトランザムじゃないんだけど...作ってくれた人には感謝の気持ちでいっぱいだよ。」
「腕利きのビルダーさんがいるのね。」
「うん!私にとっても大事な人が!けど、貴女のパッチワークも強かったよ!」
「えぇ、ありがとう...」
ありがとうの後にも何かを言いかけていたがその言葉を聞き終える前にダブルビームライフルの引き金を引き、パッチワークの胴体を撃ち抜いて爆発が起こる。
「あーくっそ!ビームサーベルで斬り合えば良かった!」
鍔迫り合いを繰り広げていた拓哉だったが、自分の使っていた武装が小回りの効かないものだったためやはり獲物の小さいウイングガンダムインフェルノの方に分がありGNメガランチャー1つとパイルドライバー1つを失ってしまっていた。
「ここで決めさせてもらう...!」
「はっ!そうかい、やれるもんならやってみろってんだ!」
一度距離を空けるためにスカイレガースを起動しビームを蹴ってウイングガンダムインフェルノを遠ざけるがすれ違いざまにGNビームガンが傷つけられ爆発が起こる前に投げ捨てる。
再度突撃をかけるためお互いがそれぞれの獲物を構えた瞬間、相方に関してのアラート通知が鳴り響く。
「...リリーナがやられたか。」
「滝沢先輩はイエローか...ってあの人外国人だったのか⁉︎見た感じ日本人だと思ってたんだけど。」
「本名が榎本・リリーナ・ベルンで正確にはおじいちゃんが何とかのクォーターらしいが...」
間合い的に届かない、そう思っていた矢先のことシールドから伸びてきたヒートロッドが左肩に突き刺さっており引き寄せられまいとGNランチャービットを射出し自身の左腕を持っていたGNメガランチャーごと撃ち抜き再び自由を取り戻す。
「何処にそんな収まってんだよ!」
「なんか奇跡的に収まってな。」
「そんな奇跡があってたまるか!行けよビットたち!」
先ほど射出したGNランチャービットに加えGNセンサービットも3基射出しビームバルカンを連射ながら旋回するがウイングガンダムインフェルノのヒートロッドが一つ一つ的確に貫いていき最後の一つはバルカンによる乱射で撃ち落とされていた。
「バスターライフル、最大...出力!」
「しかも2丁持ちだぁ⁉︎トランザムの出力じゃ...なら!トランザムエクスプロージョン!」
バスターライフル2丁によるビームの渦は地面を抉り周辺の木々を溶解させクァンタムセグエンテもGNメガランチャーを最大出力で撃ち放つが徐々に押されていきウイングガンダムインフェルノのビームが自身を飲み込むその直前、SPスロットから[トランザム]の上位互換である[トランザムエクスプロージョン]を選択GNドライヴから勢いよくGN粒子が吹き出し翼の形を形成するとビームの出力が跳ね上がりGP02のアトミックバズーカに負けず劣らずの爆発が起こる。
「やった、のか...?」
「んな訳ないだろ!この程度やられる俺とクァンタムセグエンテじゃねぇ!」
爆発による煙が晴れるのを待つ事なく体制を低くグッと踏み出し炎システムの終了したウイングガンダムインフェルノの下からGNカタールを振り上げバスターライフルを斬り、返す刀でもう一つのバスターライフルを斬りふせる。
流石に3撃目はバルカン乱射に防がれてしまい一度距離を取りウイングガンダムインフェルノが実体ブレードを抜きブーストを噴かし突撃をかけていた。
「わざと弱点を残したな⁉︎姑息な手を!」
「姑息とは失礼だな!ちゃんとした作戦だっての!」
GNフィールド用のGNドライヴを前に掲げ実体ブレードの一撃を無理矢理に防ぎ柔道でやる足掛けの挙動でよろけさせると
パイルドライバーから拡散弾頭を引き抜いて押し倒したウイングガンダムインフェルノの胴体に縫い付ける。
「これでしまいだ!エクスプロージョンノヴァ!」
「ここまでだな...お疲れ様インフェルノ。」
左腕、姿勢制御用の追加武装に加えGNドライヴが損傷している状態での大型ビームソードによる[エクスプロージョンノヴァ]はかろうじてシールドを掲げていたウイングガンダムインフェルノを響の
[YOU WIN!!!]
スクリーンが溶け地面に座り込んだ男組となにやら話し込んでいた女性組に分かれ、一呼吸置いて拓哉が立ち上がり筐体の反対へ回り込み同じく座り込んでいた瑛兎に手を差し伸べる。
「ほら、立てるか?」
「あぁすまない!ここまで熱く燃え上がる事の出来た試合は数少ないから全力で楽しませてもらった!」
「試合が終わった途端戻りやがった...」
ワイワイ話していた拓哉たちだったが次の試合のアナウンスが鳴り試合会場を追い出され、それぞれの控え室へ戻りそこからの時の流れは早く意識をはっきり戻す頃には布団に潜っていた。
(滝沢先輩はリリーナさんと連絡先を交換していたな。何か通ずるものがあったのだろうか?)
「ま、いっか。今日はもう寝よう...」
拓哉のベット横の机にはボロボロにはなっていたが仁王立ちが出来るくらいに修復されたクァンタムセグエンテが置かれていた。
今回榧さん(@kayanoki102)から[ウイングガンダムインフェルノ]をお借りしました!
大切な機体をお貸しいただいてありがとうございます!
話は変わりますが、この前ユーラヴェンガンダムを買ったのでこれからストライクガンダムバンダースナッチのアーマー仕様を作ろうと思ってます^_^
今回の機体紹介!
クァンタムセグエンテフルウェポン
武装:GNメガランチャー×2、GNフルクロス×2、GNビームガン×2、GNビームサーベル×2、GNカタール×2、GNセンサービット×3、GNランチャービット×2、GNミサイルコンテナ×2、大型ビームソード、パイルドライバー×2、スカイレガース×2、スカイアンカー×2
SP:トランザム、トランザムエクスプロージョン、エクスプロージョンノヴァ
2日目で損傷した部位の修復に加え3日目と連続して戦う事になってしまったため急遽、翼が設計制作したクァンタムセグエンテのリペア仕様。
本来の武装の他にGNセンサービットなど遠距離系の武装を積み込んであり機体重量が増えているが増設したバーニアユニットにより強引に推力を向上させている。
普段は近〜中距離戦を得意としている拓哉はこの武装追加により近〜遠距離まで幅広く対応出来るようになったが普段の戦闘スタイルを崩さなかったのでGNミサイルなどは使われなかった。